間違い探し会話(Spot the Difference)― 見せ合わずに英語だけで、2枚の絵の違いを7つ見つける
ペアの2人は、少しずつ違う絵を持っている。見せ合うのは禁止。「Is there a cat on the bed?」「How many books are there?」と英語で聞き合わないと違いは見つからない。There is / 前置詞 / 数を、聞き返しながら使い倒す活動です。
- ⏱ 時間
- 10-15分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- ペア
- 🎯 技能
- やり取り・スピーキング・リスニング・文法
- 📶 CEFR
- A1-B1

- There is / There are・前置詞・数・色の表現を、相手に情報を伝えるために使う。
- 聞き取れない・わからないときに「Sorry?」「Where is the …?」と確認する。
- 相手の説明を聞いて、自分の絵と比べて判断する(聞く・話すの統合)。
間違い探し会話ってなに?
ひとことで言うと、少しだけちがう2枚の絵をペアで1枚ずつ持ち、見せ合わずに英語で聞き合って、ちがいを見つける活動です。
電話で待ち合わせ場所を確かめ合うようなものです。相手の姿は見えないので、「赤い看板の前にいる?」「いや、青い看板だよ」と、言葉だけでたしかめるしかありません。見えないから聞く、聞き取れないから聞き返す。質問と確認のやり取りそのものがゲームの中心です。
似た活動とのちがい
| 間違い探し会話 | 絵の描写(ピクチャー・ディスクリプション) | |
|---|---|---|
| 絵 | 2人がちがう絵を持ち、見せない | 1枚の絵を説明する |
| やり取り | 2人とも質問し、答える(相手の情報がないと終わらない) | 1人が説明し、相手は聞く |
| ゴール | ちがいを7つ見つける | 絵の内容を伝える |
間違い探し会話は、相手の持つ情報を英語で聞き出す「インフォメーション・ギャップ(情報の差を埋める活動)」の一種です。
やり方を3ステップで
- 型を確認する:Is there ...? / How many ... are there? / What color is ...? と前置詞を、黒板の絵で練習する。
- 聞き合う:ペアで A・B の絵を持ち、見せずに1問ずつ交代で質問して、ちがいを表に書く。
- 答え合わせ:2枚を並べてちがいを確かめ、見つけられなかったちがいは「どう聞けば見つかった?」を考える。
教科書の There is の単元のあと、「机の上に本があります」の英作文はできても、相手に部屋の様子を伝えることはできない、という生徒は少なくありません。間違い探し会話では、2人は違う絵を持っていて、見せ合えないので、英語で聞き合うしかありません。「Is there a cat on the bed?」「Yes. … Wait, is it black?」。違いを見つけたいという気持ちが、質問と確認を次々に生みます。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生の動き |
|---|---|---|
| 0:00〜3:00 | 表現の確認(There is / 前置詞 / How many) | 黒板の絵で質問の型を実演 |
| 3:00〜4:00 | ルール説明・A/B の絵を配る | 「見せないことがゲームの条件」を確認 |
| 4:00〜11:00 | ペアで違い探し(7分) | 机の間を回り、生徒が使った良い質問や聞き返しの言い方をメモする(あとで全体に紹介) |
| 11:00〜13:00 | 2枚を並べて答え合わせ | 見つけられなかった違いの言い方を確認 |
| 13:00〜15:00 | 全体で共有・振り返り | 難しかった表現を板書 |

- 絵を用意:同じ部屋・町・公園の絵を2枚。違いは7つ程度(物の有無・数・色・位置・時刻)。手描きでもよいし、A・B 2種類のシートを作れるツールも使える。ワークシートのカードは、絵の代わりに英文で部屋の様子を書いた文字版です。文字版では、絵を見て自分で英語にするのではなく、英文を読んで情報を取り出して伝えることになるので、「読むこと」をふくむ情報交換の活動として使います(答え合わせは2枚のカードを並べて読み比べる)。
- 表現の確認(3分):黒板の絵で「Is there a … on …?」「How many … are there?」「What color is …?」を練習。前置詞(on, under, next to, by, in)をジェスチャーとともに確認。
- 配る:ペアの片方に A、もう片方に B。机の間にファイルや教科書を立てて、見えないようにする。
- 違い探し(7分):交代で質問し合う。違いを見つけたら、ワークシートの表に A と B の違いを書く。どちらから質問してもよいが、1人が聞き続けないよう、1問ずつ交代する。
- 答え合わせ(2分):2枚を並べて、見つけた違いを確かめる。見つけられなかった違いは、「どう聞けば見つかった?」をペアで考える。
- 全体共有:「How many did you find?」と聞き、7つ見つけたペアに質問のコツを紹介してもらう。
- 書く活動へ:最後に自分の絵(A か B)を3文で説明する英文を書く。There is / There are の定着を確認できる。
違いの種類(絵を作るときのチェックリスト)
- 物があるか・ないか(a plant / no plant)
- 数(three books / five books)
- 色(a red bag / a blue bag)
- 位置・前置詞(on the bed / under the bed)
- 時刻(7:30 / 8:30)
- 種類(a soccer ball / a basketball)
- 人の動作(is reading / is sleeping)——現在進行形の単元で
- 天気・季節(sunny / rainy)
- 表情・服装(is wearing a cap / glasses)
- 看板の文字・数字(Open 9:00 / Open 10:00)
場面のアイデア 11. Ken's room(部屋:There is / 前置詞) 12. A park on Sunday(公園:現在進行形 What is he doing?) 13. A shopping street(町:Where is the bank? / next to) 14. A classroom(教室:学校の物・人数) 15. A kitchen(台所:食べ物・数えられる名詞と数えられない名詞 How much …?) 16. A station timetable(時刻表:AとBで発車時刻や行き先が少しずつ違う。What time does the train for ... leave?)
質問の型(段階別):Is there …? / Are there …? → How many … are there? / What color is …? → Where is …? / What is … doing? → What does the sign say?
- 小学校:違いを3つにしぼり、色と数だけにする。「Red?」「Yes!」の1語のやり取りでもよい。見つけたら絵に丸をつける。
- 中学:単元ごとに場面を変える(There is → 部屋、現在進行形 → 公園、過去形 → 「昨日の部屋」と「今日の部屋」)。
- 高校:違いを10個以上にし、細かい描写(The man in the corner is holding an umbrella.)が必要な絵にする。完成後に「どちらの絵が先か、理由とともに推測する」話し合いに広げる。
- 大人数クラス:ペアで同時にできるので、40人でも全ペアが同時に取り組める。奇数のときは3人組にし、質問役を交代させる。教室がうるさくなりやすいので、先生は机の間を回りながら英語で続いているかを短く確かめて回る。早く終わったペアには、相手を替えて別の絵に挑戦させる。
- 苦手な生徒が多いクラス:質問の型カードを机に置き、指さしながら言ってよいことにする。違いの「種類」(色・数・位置)をヒントとして示す。
- オンライン・タブレット:A と B の画像をそれぞれの端末に配信し、音声通話で違いを探す。見つけた違いは画像に印をつけて提出させる。
やり取りの活動なので、記録に残す評価よりも、質問の型と確認のしかたの定着を見る「指導に生かす評価」が中心です。下の表は、小学校5・6年の外国語科と中学・高校で使う場合の例です。小学校3・4年の外国語活動では、A・B・Cの観点別の記載はせず、学校で定めた観点に照らして目立った様子を文章で記録するときの参考にしてください。単元末のパフォーマンステストで、先生(または ALT)と1対1で違いを3つ探すタスクにすると、そのまま評価に使えます。
| 観点 | 見るところ | A(十分満足) | B(おおむね満足) | C への手立て |
|---|---|---|---|---|
| 知識・技能 | There is / 前置詞 / 数の正確さ | いろいろな型の質問と答えを正確に言える | 決まった型で質問・回答できる | 型カードを見ながら言わせる |
| 思考・判断・表現 | 情報を比べて違いを判断し、確認する | 聞き取れないときに確認したり、質問を言いかえたりして、違いを見つけるのに必要な情報を引き出せる | 相手の説明を聞いて違いに気づける | 「色・数・場所」の順で聞くよう助言 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 伝わらないときも工夫してやり取りを続けようとする | 伝わらないときに質問を言いかえたり、型カードを使ったりして、やり取りを調整しながら続けようとする | 型カードなどの支えを使いながら、やり取りを続けようとする | 先生がとなりで一緒に質問する |
「見せ合わない」「英語で聞く」は評価の基準ではなく、活動のルールとして最初に約束しておきます。
- 見せ合ってしまう→ 机の間に教科書やファイルを立てて仕切りをしっかりさせる。うっかり見えてしまったら、すぐ隠して続ける。見えてしまった違いが多いときは、まだ使っていない別の絵のセットに替える。「見せないことがゲームの条件」と最初に確認しておく。
- 1人がずっと質問し、もう1人は答えるだけ→ 1問ごとに交代、と決める。見つけた違いを書くのは、その違いを質問した側。
- 日本語で説明し始める→ 前置詞などの言い方がわからないときは「Where?」と聞き、指で自分の絵の位置を示しながら考えるのは可、とする。
- 単語の意味がわからず止まる(plant, clock など)→ 始める前に絵の中の物の名前を全体で確認する。
- 早いペアと遅いペアの差が大きい→ 早く終わったペアには「自分の絵を3文で書く」課題を用意しておく。
タスクの種類と学習者のやり取りを調べた古典的な研究では、参加者が情報を交換しないと課題が終わらない「情報交換が必須」のタスクで、聞き返しや確認などの会話の調整がとくに多く起き、先生が前に立つ一斉授業よりもペアやグループの方が調整が多くなりました 1。間違い探し会話は、2人ともが相手の持つ情報を必要とする、典型的な「情報交換が必須」の課題です。
また、大学で外国語を学ぶ74人が、ペアで3種類のコミュニケーション活動をしたときのやり取りを、教室と実験室で比べた研究では、場所によるやり取りの違いはわずかで、違いはむしろ課題の種類によって生じていました 2。教室と実験室で、やり取りのパターンに大きな差は見られなかった、ということです。絵の違いの数や種類を調整して、目的の表現(前置詞・数・進行形など)が必要になるように作ることが、この活動のいちばんの工夫どころです。
なお、ここで紹介した2つの研究は、やり取りの中で何が起きるか(聞き返し・確認などの量やパターン)を調べたもので、間違い探し会話をすると英語の力がどれだけ伸びるかを直接測ったものではありません。
❓ よくある質問
Q. 英語の間違い探し会話では、どんな表現を使いますか?
There is / There are、前置詞(on, under, next to, by, in)、数(How many ... are there?)、色(What color is ...?)が中心です。聞き取れないときの Sorry? や Where is the ...? などの確認も、自然に使うことになります。
Q. 生徒が絵を見せ合ってしまいます。
机の間にファイルや教科書を立てて、見えないようにします。うっかり見えてしまったらすぐ隠して続け、見えた違いが多いときは別の絵のセットに替えます。「見せないことがゲームの条件」と最初に確認しておきます。1人が質問し続けないよう、1問ずつ交代すると決めておくのもポイントです。
Q. 絵の違いはいくつくらいにすればいいですか?
7つ程度(物の有無・数・色・位置・時刻)が目安です。小学校では3つにしぼって色と数だけに、高校では10個以上にして、細かい描写が必要な絵にします。違いの種類(色・数・位置)をヒントとして示すと、苦手な生徒も探しやすくなります。
Q. 間違い探し会話では、どんなやり取りが生まれますか?
情報を交換しないと終わらないタスクでは、聞き返しや確認などの会話の調整がとくに多く起き、一斉授業よりペアやグループの方が多くなったという古典的な研究があります 1。やり取りの違いは場所より課題の種類で生じていた、という研究もあります 2。どちらもやり取りの様子を調べた研究で、間違い探し会話で英語の力がどれだけ伸びるかを直接測ったものではありません。
Q. 間違い探し会話は、どう評価しますか?
やり取りの活動なので、ふだんは質問の型と確認のしかたの定着を見る「指導に生かす評価」が中心です。単元末のパフォーマンステストで、先生や ALT と1対1で違いを3つ探すタスクにすると、そのまま評価に使えます。
🎁 玉手箱で使えるツール
原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。
📑 出典(2件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Doughty, C., & Pica, T. (1986). "Information gap" tasks: Do they facilitate second language acquisition?. TESOL Quarterly, 20(2), 305-325. doi:10.2307/3586546 ✔ DOI照合済情報交換が「必須」のタスクほど、聞き返し・言い直しなどの会話の調整が多く起きることを示した古典的研究
- Gass, S., Mackey, A., & Ross-Feldman, L. (2005). Task-based interactions in classroom and laboratory settings. Language Learning, 55(4), 575-611. doi:10.1111/j.0023-8333.2005.00318.x ✔ DOI照合済大学生74人がペアで3種類のコミュニケーション活動をしたときのやり取りを、教室と実験室で比べた研究。場所の差は小さく、活動の種類による差が大きかった
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






