ピクチャー・ディスクリプション ― 1枚の絵・4コマ漫画を英語で語る
「話す内容」は絵が用意してくれる。1枚の絵の描写から4コマ漫画のストーリーまで、言葉の力だけに集中して話す練習ができます。英検3級などイラストを描写する面接の練習にもなります。
- ⏱ 時間
- 10-15分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- ペア
- 🎯 技能
- スピーキング・文法
- 📶 CEFR
- A1-B1

- 絵の情報を、文法(現在進行形・過去形・There is/are など)を使って正確に伝える。
- 4コマでは出来事を順序立てて語る力(First / Then / Finally)を、1枚の絵では位置を示して整理する力(on the left / in the background)を育てる。
ピクチャー・ディスクリプションってなに?
ひとことで言うと、1枚の絵や4コマ漫画を見て、そこに描かれていることや起きた出来事を、英語で説明する活動です。
電話で、目の前の景色を友だちに伝えるようなものです。相手には見えないので、「左に公園があって、男の子が犬の散歩をしている」と、何がどこにあり、だれが何をしているかを順に言います。何を話すかは絵が決めてくれるので、「どう言うか」に集中できるのがこの活動の強みです。
似た活動とのちがい
| 絵の描写 | 間違い探し会話 | リテリング | |
|---|---|---|---|
| 材料 | 1枚の絵・4コマ漫画 | 少しずつちがう2枚の絵 | 読んだ・聞いた話 |
| 話し方 | 1人が1分説明し、相手はまだ出ていない情報をメモする | 2人が見せ合わずに質問し合う | 話の内容を自分の言葉で話し直す |
| 主な練習 | 描写と、順序立てて語ること | 質問と確認 | 内容を組み立て直して話すこと |
やり方を3ステップで
- 集める:絵を30秒黙って見て、人・物、動作、場所・時の語句をメモする。
- 説明する:ペアで1分ずつ描写。聞き手は、相手がまだ言っていない情報を1〜2個メモする。
- もう一度:言いもれた所と、4コマならつなぎの語(First, Then, Finally)、1枚の絵なら位置の言い方(On the left, In the background)を全体で確認し、相手を替えて2回目をやる。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生のポイント |
|---|---|---|
| 0:00〜0:30 | 絵を見る | 黙って観察 |
| 0:30〜3:00 | 語句を集める | わからない語は先生が教える |
| 3:00〜5:00 | ペアで描写(1分ずつ) | 聞き手はまだ出ていない情報をメモ |
| 5:00〜7:00 | 全体で確認 | 4コマはつなぎの語、1枚の絵は位置の言い方を板書 |
| 7:00〜9:00 | 相手を替えて2回目 | つなぎの語・位置の言い方を使う |
| 9:00〜11:00 | ふり返り・記録 | 1回目との差を確認 |

- 絵を見せる(30秒):電子黒板に大きく投影するか、ワークシートに印刷。まず全員で黙って見る。
- 語句を出し合う(2分30秒):ワークシートの表に、人・モノ/動作/場所・時をメモ。わからない語は手を挙げさせ、先生が教えて板書する。
- ペアで描写(1分ずつ):A が絵を説明し、B は聞きながら「A がまだ言っていない情報」を1〜2個、表に書く。役割交替。(先生が絵ごとに「必ず入れたい情報」を3〜5個決めて板書しておくと、聞き手の判断がそろいます。)
- 全体で確認(2分):言いもれが多かった部分について、英語での言い方を生徒から募り、必要なら先生が整えて板書する。全員で一度音読する。4コマならつなぎの語(First, Then, After that, Finally)、1枚の絵なら位置の言い方(On the left, In the center, In the background, Next to ...)も板書。
- 相手を替えてもう一度(1分ずつ):同じ絵を、4コマはつなぎの語、1枚の絵は位置の言い方を使って説明する。
- ふり返り(2分):1回目より言いもれが減ったか、順序に合うつなぎの語(4コマ)や位置の言い方(1枚の絵)を使えたかを記録。
1枚の絵(現在進行形・There is/are)
- 公園の日曜日:犬の散歩、ベンチで読書、サッカーをする子どもたち
- 教室の休み時間:黒板に絵を描く、窓の外を見る、お弁当を食べる
- 駅のホーム:電車を待つ人、走る人、傘を忘れた人
- 台所:料理をする父、手伝う子ども、猫が魚をねらう
- 夏祭り:金魚すくい、花火、浴衣の人たち
4コマ(過去形・つなぎの語) 6. 忘れ物:家を出る→雨→傘がない→友だちが傘に入れてくれる 7. 誕生日:ケーキを作る→落とす→あわてる→みんなで笑って食べる 8. 迷子の犬:犬を見つける→首輪の住所→家に届ける→お礼をもらう 9. テスト前夜:ゲーム→眠る→朝あわてる→テストで困る 10. 落とし物:財布を拾う→交番へ→持ち主が来る→ありがとう
高校向けの問い(4コマのあと) 11. What would you do if you were the boy? 12. What do you think happened next?
- 小学校:絵の中のモノを指さして I see a ... . と言うだけでも立派な描写。色や数を足して I see three red apples. に。
- 中学:現在進行形の単元で「公園の絵」、過去形の単元で「4コマ漫画」。英検3級〜準2級の面接の練習にもなる。
- 高校:4コマの「結末を予想して5コマ目を語る」、登場人物の気持ちを推測して語るなど、意見を加える。
- 大人数クラス:絵を大きく投影して全員同時にペア活動。先生は机の間を回りながら、聞き手のメモ(相手がまだ言っていない情報)を見せてもらう。
- 苦手な生徒が多いクラス:1コマにつき1文でよいことにし、主語と動詞をワークシートの表から選んで組み合わせる。1回目は先生のあとについて言う。
- オンライン・タブレット:画面共有で絵を見せ、各自が1分の描写を録音して提出。録音と文字起こしと組み合わせると、自分の言いもれや時制のまちがいを自分でふり返りやすくなる。
- 知識・技能:現在進行形・過去形・There is/are などを、絵の内容に合わせて正しく使えているか。
- 思考・判断・表現:4コマでは出来事を順序立てて(つなぎの語を使って)、1枚の絵では位置を示して整理しながら、聞き手にわかりやすく語っているか。気持ちや理由を推測して加えているか。
- 主体的に学習に取り組む態度:2回目に、1回目の言いもれや全体確認の表現を取り入れようとしているか(活動中に観察する)。評定に使うときは、この1回だけで決めず、ふり返りの記録や複数回の取り組みを合わせて、粘り強く取り組み、自分の話し方を調整しようとしているかを見ます。
パフォーマンステストで「4コマを1分で説明」を課すときにも使えます(下の表は4コマの場合。1枚の絵では「構成」を「位置の言い方で整理して伝える」に置きかえます)。
| 観点 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 文法 | 時制をほぼ正しく使い分ける | ときどき時制がまちがう | 時制がほとんど使えない |
| 内容 | 4コマすべての要点と気持ちまで伝える | 4コマの要点を伝える | 一部のコマしか伝わらない |
| 構成 | つなぎの語で自然につなげる | つなぎの語を1〜2回使う | 文がばらばら |
- 細部にこだわりすぎて先に進めなくなったら → 「わからない物は something でOK」と伝え、要点を先に言わせる。
- 1回で終わって伸びが見えないときは → 1回目は言いもれが多いのが普通。全体で表現を確認してから、相手を替えて2回目をやる。
- 日本語の説明文を作ってから訳そうとしていたら → まず絵から直接英語の語句を出すよう促す。難しい生徒には、日本語で要点を短くメモしてから英語の語句に置きかえる、という段階を認める。
- 現在形と過去形がまざったら → 「この活動では、1枚の絵は〈be動詞+動詞-ing〉(今起きていること)、4コマは過去形(もう起きたお話)で語る」と、練習のルールを最初に決めて板書する。4コマを現在形で語る言い方もあるので、これは文法のきまりではなく、その日の練習の条件です。
- 同じ文の形ばかりになったら → 2回目に「He looks ... .(気持ち)」を1文入れる条件をつける。
絵を語る活動は、「何を言うか」を絵が決めてくれるので、学習者は「どう言うか」に集中できます。ロンドンとテヘランの学習者計100人が、漫画の絵を見てお話を語った研究では、話の筋がはっきりした(出来事のつながりや展開がはっきりしている)絵の方が、その場の発話の正確さが高く、背景で別の出来事が起きている絵の方が複雑な文が出やすいことが示されました 1。正確な発話を引き出したい日は筋のはっきりした4コマ、複雑な文を引き出したい日は背景のある絵、と選び分けられます。ただし、これは絵によって出てくる発話が変わるという結果で、その絵で練習すれば正確さが長く伸びることを調べたものではありません。
一定期間お話を語る・語り直す指導(デジタル版も含む)を対象にした最近の系統的レビューとメタ分析では、指導の前後で、話す力・読む力・文法・語彙に中〜大の伸びが見られ、中級の学習者と中くらいの期間の指導で伸びが大きかったと報告されています 2。ただし、集めた研究は指導の前後を比べたもので、この10分ほどの絵描写の活動そのものの効果を調べたものではありません。成人の英語学習者が同じ絵描写の課題を間隔を変えて2回行った実験では、間隔にかかわらず、2回目の発話全体が良くなっていました 3。ただしこれは同じ課題の2回目の結果で、長期の習得や別の課題への広がりを示すものではありません。
❓ よくある質問
Q. 絵描写の練習には、どんな絵を選べばいいですか?
目的で選び分けます。漫画の絵でお話を語った研究では、話の筋がはっきりした絵の方がその場の発話の正確さが高く、背景で別の出来事が起きている絵の方が複雑な文が出やすいことが示されました 1。正確な発話を引き出したい日は筋のはっきりした4コマ、複雑な文を引き出したい日は背景のある絵、が目安です。
Q. 1回描写させるだけでは、伸びが見えません。
1回目は言いもれが多いのが普通です。言いもれの多かった部分の表現と、4コマならつなぎの語(First, Then, After that, Finally)、1枚の絵なら位置の言い方(On the left, In the background)を全体で確認してから、相手を替えて同じ絵で2回目をやります。同じ絵描写の課題を2回行った実験では、間隔にかかわらず2回目の発話全体が良くなっていました(同じ課題の2回目の結果です)3。
Q. 現在進行形と過去形がまざってしまいます。
「この活動では、1枚の絵は be動詞+動詞-ing、4コマは過去形で語る」と、練習のルールを最初に決めて板書します(4コマを現在形で語る言い方もあるので、文法のきまりではなくその日の練習の条件です)。中学なら、現在進行形の単元で公園の絵、過去形の単元で4コマ漫画、と単元に合わせると使いやすくなります。
Q. 小学校でも絵の描写はできますか?
できます。絵の中のモノを指さして I see a ... . と言うだけでも立派な描写です。慣れたら色や数を足して I see three red apples. のように広げます。
Q. パフォーマンステストにも使えますか?
「4コマを1分で説明」を課すときに使えます。見るのは、現在進行形・過去形・There is/are を絵に合わせて正しく使えているか、つなぎの語で順序立てて語れているか、2回目に1回目の言いもれを取り入れようとしているか、です。態度の評定は、この1回だけでなく、ふり返りや複数回の取り組みも合わせて見ます。
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📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Tavakoli, P., & Foster, P. (2008). Task design and second language performance: The effect of narrative type on learner output. Language Learning, 58(2), 439-473. doi:10.1111/j.1467-9922.2008.00446.x ✔ DOI照合済絵の話を語るタスクで、話の筋がはっきりしているほど正確さが上がり、背景の出来事があるほど複雑な文が出ることを示した研究
- Yao, T., Xi, X., & Prieto, P. (2025). The effects of oral narrative interventions on second language learning: A systematic review and meta-analysis. System, 134, 103835. doi:10.1016/j.system.2025.103835 ✔ DOI照合済お話を語る・語り直す指導の系統的レビューとメタ分析(50件・29研究)。話す力などに中〜大の効果
- Bui, G., Ahmadian, M. J., & Hunter, A.-M. (2019). Spacing effects on repeated L2 task performance. System, 81, 1-13. doi:10.1016/j.system.2018.12.006 ✔ DOI照合済絵の描写タスクを、すぐ/1日後/1週間後などにくり返した研究。間隔にかかわらずくり返しは有効で、間隔によって伸びる面が変わった
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら





