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🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約10分

マインドマップ・スピーキング ― 原稿ではなく「単語の地図」を見て話す、準備つき1分トーク

お題を真ん中に書き、2分で単語だけの枝を広げる。原稿は書かない。その地図を見ながら1分話し、相手を替えてもう一度。話す前に準備の時間をとると、その課題での発話がなめらかに・複雑になりやすいという研究を、授業の形にしました。

⏱ 時間
10-15分
🧰 準備
なし
👥 形態
個人→ペア(相手を替えて2〜3回)
🎯 技能
スピーキング・語彙・やり取り
📶 CEFR
A2-B1
🛡️
このページのウラ取り 出典 4 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
マインドマップ・スピーキング ― 原稿ではなく「単語の地図」を見て話す、準備つき1分トークのイメージ
💡ねらい
  • 話す前に、話す内容(アイデア)と使う単語を短時間で準備する方法を身につける。
  • 原稿を読むのではなく、単語を手がかりにその場で文を作って話す。
  • 相手を替えて同じ話をくり返し、だんだんなめらかに話せる体験をする。

マインドマップ・スピーキングってなに?

ひとことで言うと、お題について単語だけの「地図」(マインドマップ)を2分で書き、文の原稿は作らずに、その地図を見ながら1分話す活動です。相手を替えて2〜3回くり返します。

マインドマップは、真ん中にお題を書き、そこから関係のある語を枝のようにのばしていくメモのことです。

🎈たとえるなら

旅行の「行き先メモ」です。行きたい場所の名前だけ書いておけば、道順はその場で考えられます。もし道順を全部文章で書いておくと、その文を読むことに気をとられます。大事なのは、地図に文を書かないこと。文はその場で組み立てます。

原稿あり・準備なしとのちがい

原稿を書いてから話す 準備なしで話す マインドマップで話す
準備 文の原稿を書く なし 単語だけの地図を2分で
起きやすいこと 原稿の読み上げになる 固まって話せない 単語を手がかりに、その場で文を作って話す

1分間スピーチを「原稿を書いてから」やらせると、原稿の読み上げが中心になることがあり、「準備なしで話して」と言うと固まって終わる生徒も出ます。単語だけのマインドマップは、その中間です。準備の安心感と、その場で文を組み立てて話す練習(即興で話す力につなげる練習)の両方をねらいます。

やり方を3ステップで

  1. 地図を書く:真ん中にお題、まわりに単語だけの枝を4本以上(2分)。
  2. 話す:地図を見ながらペアに1分話し、聞き手は1つ質問する。
  3. くり返す:相手を替えて同じ話をもう2回。「1文多く」「地図をなるべく見ずに」と目標を上げる。

授業の流れ(分ごと)

時間 活動 先生の動き
0:00〜2:00 お題の提示・先生がマインドマップを書いて実演 「文は書かない、単語だけ」を強調
2:00〜4:00 個人でマインドマップ(2分) 枝のヒント(Who? Why?)を示す
4:00〜7:00 ラウンド1:ペアで1分ずつ話す+質問と答え(各30秒) タイマーで区切る
7:00〜10:00 ラウンド2:相手を替えて同じ話 「1回目より1文多く」と声かけ
10:00〜13:00 ラウンド3:相手を替えて同じ話 地図を見ないで話せる人は伏せてもよい
13:00〜15:00 言えなかった表現を回収・振り返り 2〜3表現を英語にして板書
マインドマップ・スピーキング ― 原稿ではなく「単語の地図」を見て話す、準備つき1分トークの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. お題を出す:「My favorite place」「My weekend」など、だれでも話せるお題から。
  2. 先生の実演:黒板の真ん中にお題を書き、枝を4〜5本、単語だけで書いてみせる(My favorite place → library → quiet / books / after school / with friends …)。その地図を見ながら30秒話してみせる。
  3. マインドマップ(2分):生徒はワークシートの枠に書く。文を書くのは禁止、単語(英語・わからなければ日本語も可)だけ。枝は4本以上が目標。
  4. ラウンド1(1分×2人+質問):ペアの A が1分話し、B は聞いたあとに質問を1つする。交代。
  5. ラウンド2・3:席を移動するか、隣の列とペアを替えて、同じ話をもう一度。2回目・3回目は「1回目より1文多く」「地図をなるべく見ないで」と目標を上げる。
  6. 言えなかった表現の回収:「英語で言いたかったけど言えなかったこと」をワークシートに日本語でメモさせ、何人かに聞いて先生が英語にして板書する。
  7. くり返し:同じお題を次の授業でもう一度(別の相手と)やるのも、話しやすくするための実践上の工夫です。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TToday's topic is "My favorite place." Look at my mind map. Only words, no sentences.
TMy favorite place is the library. It's quiet. I go there after school. I read books about history …
TNow it's your turn. Two minutes. Words only!
TRound one. A, talk for one minute. B, listen and ask one question at the end.
S1My favorite place is … the beach near my grandmother's house. I go there in summer. The water is very clear …
S2Who do you go with?
S1With my cousins. We swim and eat shaved ice.
TChange partners! Talk about the same topic. Try to say one more sentence this time.
TRound three. If you can, turn your map over and talk without it!
🏫そのまま使える素材

お題(中1〜中2)

  1. My favorite place
  2. My weekend
  3. My favorite food
  4. My best friend
  5. My family
  6. My favorite season
  7. A thing I always carry
  8. My dream trip

お題(中3〜高校) 9. The best day of my life 10. Something I want to try this year 11. A person I respect 12. My town: good points and bad points 13. Should students use smartphones at school? 14. How to spend a perfect Sunday 15. A problem in our school and an idea to solve it 16. The most useful invention

お題(教科書と結びつける) 17. 本文の登場人物になって自分を紹介する 18. 本文で一番印象に残ったこと 19. 本文の話題について自分の経験 20. ALT に紹介したい日本のもの

枝のヒント:Who? / When? / Where? / What? / Why? / How? / Feelings / Example / Good point / Bad point / Future

🔁アレンジ
  • 小学校:マインドマップの代わりに絵を3つ描き、それを指さしながら「I like … . It's … .」と言う。
  • 中学:単元の文法を1つ必ず使うルールにする(過去形の単元なら My weekend、比較なら My favorite season を比べる)。
  • 高校:意見のお題で、マップに「賛成の理由」「反対意見」「例」の枝を必ず入れる。最後のラウンドは地図を伏せて話す。
  • 大人数クラス:「内側と外側の2重の円」に並び、外側の人が1人分ずつ横にずれれば、相手がすぐ決まり、短い時間で全員が3人と話せる。
  • 苦手な生徒が多いクラス:話す時間を30秒にし、マップの枝を3本でよいことにする。話のつなぎ方の型を見ながら話してよい。
  • オンライン・タブレット:マインドマップを手書きかアプリで作り、自分の話を録音する。1回目と3回目の録音を聞き比べると、同じ課題の中で発話の量や止まり方がどう変わったかを確かめられる。
📊評価のポイント

練習の活動なので、ラウンドの記録と振り返りを「指導に生かす評価」に使います。学期末の準備つきスピーキングテスト(準備時間1分→1分スピーチ)で、同じ手順を知識・技能と思考・判断・表現の評価に使えます。ただし、思考・判断・表現を見るには「ALT に自分の町を紹介する」のように目的・場面・状況を明示した課題にし、特定の文法を知識・技能として見るなら、その文法を自然に使う必要がある課題(過去形なら「先週末のこと」)にします。主体的に学習に取り組む態度は、テスト1回だけでは判断しません。毎時間の記録表の目標と振り返りは、主に先生の指導の改善と生徒自身の調整に使い、記録に残す評価は、単元の中で生徒の変化や調整がわかる時点(たとえば単元の終わりのテストと、それまでの記録表を見比べる時点)に場面を絞って行います。

学習指導要領の「即興」との関係:中学校の学習指導要領解説では、「話すこと[発表]」の「即興で」は、事前に原稿を書いて暗唱するのではなく、その場で話すことと説明され、メモやキーワードを頼りにしながらでも即興で発表すればよい、と書かれています(「やり取り」の「即興で伝え合う」は、原稿を用意して覚えたり練習したりする準備時間をとらずに伝え合うこととされています) 1。マインドマップ・スピーキングも、キーワードを頼りにその場で文を作って話す活動ですが、2分間の計画の時間を先にとる、支えつきの課題です。

観点 見るところ A(十分満足) B(おおむね満足) C への手立て
知識・技能 文の正確さ・語彙 マップの語を使って正確な文を組み立てられる 意味の伝わる文で話せる 話のつなぎ方の型を見ながら話す
思考・判断・表現 聞き手と目的に合わせた内容 聞き手(例:ALT に自分の町を紹介する)と目的に合わせて伝える内容を選び、理由や例を加えて整理して話している 聞き手と目的に合う内容を選んで話しているが、理由や例が少ない 「だれに・何のために話すか」を確認し、枝のヒント(Why? Example)を示す
主体的に学習に取り組む態度 聞き手に伝えようとする姿と、くり返しでの調整 聞き手の反応を見ながら、伝わるように英語で話そうとしている。前のラウンドの振り返りで決めた目標(例を足す・because を使う)を、実際の話し方に生かしている 聞き手に伝わるように英語で話そうとし、振り返りで次の目標を決めている 「1文多く」の小さな目標を一緒に決める

録音を聞き直して、1分間に話した語数のおおよそを本人が確かめると、発話量の変化の目安になります(聞き手には数えさせず、内容を聞いて質問する役に集中させます)。ただし語数は話した量の目安で、なめらかさそのものではありません。長く止まった回数や、相手に伝わったかもあわせて振り返らせます。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • マップに文を書いてしまう→ 先生の実演で「単語だけ」を強調する。文を書いていたら、その文の中で大事な語に丸をつけさせ、丸をつけた語や短い句だけをマップに残させる。最初は1枝につき1語まで、と制限するのもよい(苦手な生徒には、文の書き出し〔I like … because …〕だけは書いてよいことにして、少しずつ減らす)。
  • 2分で何も書けない→ 枝のヒント(Who? Where? Why?)を見て、1つずつ答えを単語で書けばよいと伝える。日本語の単語も可。
  • 1分もたない→ 30秒から始める。苦手な生徒が多いクラスでは、「話し手が途中で止まったら、聞き手は Who? / Why? / When? などと短く質問して、話の再開を助けてよい」というルールにする(ふだんの手順では、質問は1分話したあとにする)。
  • ラウンド2・3で同じことを言うだけ→「1文足す」「例を1つ足す」など、くり返すたびの小さな目標を示す。
  • 周りがうるさくて聞こえない→ 声の大きさの目安を示す。ペアどうしの距離を空けるため、教室の後ろも使う(廊下を使うのは、学校のきまりを確かめ、ほかのクラスのじゃまにならず、先生の目が届く場合だけにする)。
🔬なぜ効く?

話す前の準備(プランニング)の効果については、研究の結果がそろわないと言われてきましたが、それらをまとめたメタ分析では、準備には、そのあとに話す第二言語の発話に対してはっきりした効果があると結論づけられました(統語的な複雑さ・正確さ・語彙的な複雑さ〔語彙の多様さなど〕・流暢さの指標を調べた研究が対象。長期的な話す力の伸びを測ったものではありません) 2。また、話す前に準備の時間をとると文法的な複雑さが高まり(話しながら考えたグループより流暢で、使う語彙も多様でした)、話しながらゆっくり考える時間を与えると正確さと文法的な複雑さが高まった、という実験もあります 3。マインドマップの2分間は、この「話す前の準備」にあたります。

準備の道具として図を使うことについては、グラフィック・オーガナイザー(情報を図で整理する道具)の研究を整理した論文で、文章の構造をそのまま図にしたタイプの方が効果を支える証拠が強いとされています 4。ただしこれは読む活動での議論です。話す活動でマインドマップを使うこと自体の効果は、まだ十分に確かめられていません。大切なのは図そのものより、「話す前に考える時間をとり、その後に相手を替えて話す機会をくり返す」という授業の組み立てだと考えるのが安全です。

❓ よくある質問

Q. なぜ原稿ではなく、マインドマップなのですか?

原稿を書いてから話させると、原稿の読み上げが中心になることがあります。逆に準備なしだと固まって終わる生徒も出ます。単語だけのマインドマップはその中間で、話の材料は2分で地図にしておき、文はその場で組み立てます。準備の安心感と、即興で話す力につなげる練習の両方をねらいます。

Q. マップに文を書いてしまう生徒には?

先生の実演で「文は書かない、単語だけ」を強調します。文を書いていたら、大事な語に丸をつけさせ、その語や短い句だけをマップに残させます。最初は1枝につき1語まで、と制限するのもよい方法です。わからない単語は日本語で書いてもかまいません。

Q. 2分で何も書けない、1分もたない生徒には?

枝のヒント(Who? Where? Why?)を見て、1つずつ単語で答えればよいと伝えます。1分もたないなら30秒から始めます。苦手な生徒が多いクラスでは、話し手が途中で止まったら聞き手が Who? / Why? / When? などと短く質問して、再開を助けてよいことにします。

Q. 話す前に準備の時間をとると、効果はありますか?

話す前の準備(プランニング)の研究をまとめたメタ分析では、準備のあとに話す第二言語の発話(流暢さ・複雑さなど)にはっきりした効果があると結論づけられました 2。長期的な話す力の伸びまで示したものではありません。ただし、話す活動でマインドマップを使うこと自体の効果はまだ十分に確かめられていません。

🎁 玉手箱で使えるツール

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📑 出典(4件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. 文部科学省 (2017). 中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編 公式ページ ✔ リンク確認済中学校外国語科の目標(5領域)・言語材料(語数・文法事項)・指導計画の作成(授業は英語で行うことを基本とする等)を説明した公式の解説
  2. Johnson, M. D., & Abdi Tabari, M. (2022). Task planning and oral L2 production: A research synthesis and meta-analysis. Applied Linguistics, 43(6), 1143-1164. doi:10.1093/applin/amac026 ✔ DOI照合済話す前の準備(プランニング)の効果をまとめた研究統合とメタ分析
  3. Yuan, F., & Ellis, R. (2003). The effects of pre-task planning and on-line planning on fluency, complexity and accuracy in L2 monologic oral production. Applied Linguistics, 24(1), 1-27. doi:10.1093/applin/24.1.1 ✔ DOI照合済話す前の準備は文の複雑さと流暢さを、話しながらゆっくり考える時間は正確さを高めた実験
  4. Jiang, X., & Grabe, W. (2007). Graphic organizers in reading instruction: Research findings and issues. Reading in a Foreign Language, 19(1), 34-55. doi:10.64152/10125/66616 ✔ DOI照合済グラフィック・オーガナイザー(図で情報を整理する道具)の研究を整理した論文

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら