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🎲 授業アクティビティ集小学校中学校高校📖 約10分

Exit Ticket(振り返りカード)― 授業の最後の3分で「わかった・わからない」を先生の手元に集める

授業の終わりに、小さなカードに1問だけ答えて提出してから教室を出る。生徒は今日の学びを思い出し、先生は「どこでつまずいたか」の手がかりを短時間でつかんで、次の授業の最初を決められます。

⏱ 時間
3-5分
🧰 準備
少し
👥 形態
個人
🎯 技能
復習・ライティング
📶 CEFR
A1-B1
🛡️
このページのウラ取り 出典 4 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
Exit Ticket(振り返りカード)― 授業の最後の3分で「わかった・わからない」を先生の手元に集めるのイメージ
💡ねらい
  • 生徒が授業の最後に、今日学んだことを自分の力で思い出して書く。
  • 先生が、クラス全員の理解の状況を短時間でつかみ、次の授業の最初の5分を決める。
  • 「わからない」を言いにくい生徒からも、声を集める。

授業の最後に「わかった人?」と聞いて手を挙げさせても、本当のことはわかりません。手を挙げない生徒が「わからない」のか「恥ずかしい」のかも区別できません。Exit Ticket は、全員が紙に1問答えて出すだけの仕組みです。先生はカードの束を見れば、今日のめあてについて、どこでつまずいている生徒が多いかを推測する手がかりが得られます。1〜3問の短い答えなので、授業中の発言や活動の様子、次の時間の確認問題と合わせて判断します。

Exit Ticket ってなに?

ひとことで言うと、授業の最後の3分で、小さなカードに今日の内容についての問いに1〜3つ答えて提出してから教室を出る仕組みです。先生はそれを読んで、次の授業の最初を決めます。

🎈たとえるなら

お店の出口に置いてある「アンケート用紙」のようなものです。ただし、目的はお店(先生)の反省です。集めて読むだけでは何も変わらず、読んだ結果で次の日の品ぞろえ(次の授業の最初の5分)を変えて、はじめて意味がある、というところが大事です。

「わかった人?」の挙手や小テストとのちがい

「わかった人?」の挙手 小テスト Exit Ticket
わかること 手を挙げた人数だけ(本当にわかったかは不明) 点数(成績に入ることが多い) 一人ひとりが書いた答えと「わからないこと」
成績 なし 入ることが多い 原則として入れない(指導に生かすための記録)
時間 数秒 10分前後 3分

やり方を3ステップで

  1. 書く:授業の残り4分でカードを配り、教科書・ノートを閉じて、今日のめあてに直結する問いに答える。
  2. 分ける:授業後5分で、カードを「できた/もう少し/つまずき」の3つの山に分ける。
  3. 生かす:次の授業の最初の5分で、多かったまちがいを名前を出さずに紹介して全体で直す。

授業の流れ(分ごと)

時間 活動 先生の動き
授業の最後 0:00〜0:30 カードを配る・問いを提示 問いは1〜3つ、黒板かスライドに
0:30〜3:00 個人で記入(教科書・ノートは閉じる) 静かに待つ。質問は受けない
3:00〜3:30 出口で提出(または列ごとに回収) 「Thank you」と一人ずつ受け取る
授業後 5分 カードを3つの山に分ける できた/もう少し/つまずき
次の授業 0:00〜5:00 つまずきの多かった点を復習 匿名でよくあるまちがいを紹介
Exit Ticket(振り返りカード)― 授業の最後の3分で「わかった・わからない」を先生の手元に集めるの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 問いを決める:その時間の目標(めあて)に直結する問いを1つ。例:今日の文法を使って英文を1つ書く/今日の本文の要点を1文で(小学校では、聞いて選ぶ・絵と結ぶ・語句を写すなど、学年と目標に合う形にする)。加えて「わからなかったこと」を1つ書く欄をつける。
  2. 配る:授業の残り4分でカードを配る。教科書・ノートは閉じさせる(自分の頭から思い出すことが大切)。
  3. 記入(2〜3分):個人で静かに書く。英語で書けない部分は日本語でもよい。
  4. 回収:教室を出るときに先生に手渡す、または列ごとに回収する。出口で受け取ると、一人ひとりに声をかけられる。
  5. 仕分け(授業後5分):カードを読んで3つの山に分ける。「できた(目標どおり)」「もう少し(小さなまちがい)」「つまずき(目標に届いていない)」。全部に丸をつける必要はない。
  6. 次の授業で使う:最初の5分で、「もう少し」と「つまずき」に多かったまちがいを、名前を出さずに2〜3例紹介して全体で直す。「つまずき」の生徒には、ペア活動のときに先生が先に声をかける。
  7. 保管:カードは単元ごとに生徒に返してファイルさせる。単元末に見返すと、自分の伸びがわかる。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TBefore you go, please write your exit ticket.
TClose your textbook and notebook. Try to answer from memory.
TQuestion one: write one sentence using "have been ~ing."
TQuestion two: what was difficult today? You can write in Japanese.
TTwo more minutes.
TGive me your ticket at the door. Thank you, see you next time!
T (next lesson): Last time, many of you wrote, "I have been play tennis." What's missing?
S"-ing"! "I have been playing tennis."
TExactly. Some of you also wrote a great question: "When do we use 'since'?" Let's look at that first.
🏫そのまま使える素材

① 思い出す問い(今日の内容)

  1. Write one sentence using today's grammar.
  2. Write three new words from today's lesson.
  3. Summarize today's story in one sentence.
  4. 英語で:(今日のターゲット文の日本語)
  5. Answer: What did Ken do in the story? Why?

② 理解を説明する問い 6. Explain to a friend: When do we use "have been ~ing"?(日本語可) 7. What is the difference between "since" and "for"? 8. Find the mistake: "She have lived here since 2020."

③ 自己評価の問い 9. How well did you understand today? (1 2 3 4) 10. Which part was the most difficult? 11. What do you want to practice more? 12. 今日のめあてに対して:できた/ノートを見ればできる/まだできない

④ 気持ち・関心の問い 13. What was the most interesting part today? 14. Which activity helped you the most? 15. One question you still have.

⑤ 型(フォーマット) 16. 3-2-1(新しい語3つ・言える文2つ・質問1つ) 17. Traffic light(緑=わかった・黄=少し不安・赤=わからない、に色を塗る) 18. Emoji scale(😀🙂😐 に丸) 19. Before / After(授業前に知っていたこと/授業後に知ったこと) 20. Tweet(今日の授業を英語で140字以内で)

🔁アレンジ
  • 小学校:「今日言えるようになった英語」を1つ絵と一緒に書く、または顔マークに丸をつけるだけ。先生が教室の出口でカードを見て「Great!」と声をかける。
  • 中学:文法の単元では、ターゲット文の和文英訳を1問。読解の時間は本文の要点を1文で。毎回の型を決めておくと、生徒が慣れて速く書ける。
  • 高校:「今日の内容について、まだ納得できない点」や「自分の意見を1文で」など、深い問いにする。カードの質問の中から次回の授業の導入を作る。
  • 大人数クラス:全部読むのは大変なので、問いを1つにしぼる。5クラス分なら、1クラスずつ曜日を決めて丁寧に読むのも手。
  • 苦手な生徒が多いクラス:英文を書く問いは、選択肢から選ぶ・語を並べかえる形にする。日本語の記述を認める。
  • オンライン・タブレット:フォームで回答させると、集計とグラフ化が自動でできる。回答を全体に見せるときは、氏名を表示しない設定にし、先生が内容を確かめてから、よくあるまちがいを名前のわからない形に書き直して見せる。自由記述をそのまま自動で映さない。
📊評価のポイント

Exit Ticket は指導に生かす評価(形成的評価)の道具です。原則として成績には入れません。点数がつくと、「わからない」と書きにくくなるおそれがあるからです(実践上の配慮です)。

観点 カードからわかること 次の授業での手立て
知識・技能 ターゲットの文法・語彙を正しく使えているか まちがいの多い型を最初の5分で全体指導
思考・判断・表現 要点を1文でまとめられるか、説明できるか 良い要約を紹介し、まとめ方の型を示す
主体的に学習に取り組む態度 1枚のカードからは判定しない。カードの質問や「次に練習したいこと」は、単元を通して見るための手がかりの1つ 質問に答える時間をとる。自己評価と実際の答えのずれを個別に伝える

カードの仕分けの目安

山 目安 対応
できた 目標の英文を正しく書けている 次の時間は発展課題を用意
もう少し 小さなまちがい(-ing 抜けなど) 全体での短い確認で十分
つまずき 文の形になっていない・白紙 ペア活動中に先生が個別に声かけ

主体的に学習に取り組む態度の評価では、カードそのものより、単元を通して目標に照らして自分の学習状況をふり返り、質問・練習・学び方の改善につなげようとしているか(単元末にカードを見返して書く振り返りや、授業中の言語活動の様子など、複数の資料)を見るとよいでしょう。この観点は、粘り強い取組の中で自分の学習を調整しようとしているかを含めて見るものです 1。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 集めっぱなしで、次の授業で何もしない→ Exit Ticket の価値は「集めたあと」にあります。カードを読んで、次の授業の最初の5分を必ず変える。それができない日は無理に集めない。
  • 毎回の記入が形だけになる(「楽しかった」だけ)→ 感想ではなく、今日の内容を使う問いを中心にする。問いの型を時々変える。
  • 書く時間がなく、チャイムが鳴る→ 授業の残り4分になったら必ず配る、と自分のルールにする。タイマーを使う。
  • 読む時間がない→ 全部に赤ペンを入れない。3つの山に分けるだけにする。短い1問なら、慣れれば40枚を5分ほどで見通せることもあります(実践上の目安)。要約や3-2-1など記述が長い問いは、そのぶん時間をとります。
  • 正直に書かない(できていないのに「わかった」)→ 自己評価だけでなく、授業の目標に直接対応する確認の問いを入れる(中学・高校なら英文を1つ書く、小学校なら聞いて選ぶ・絵と結ぶ・語句を写すなど、カードに書いて残せる形)。成績に入れないことを伝える。
🔬なぜ効く?

学習の途中で生徒の理解をつかみ、それにもとづいて教え方を調整する「形成的評価」については、生徒が受け取るフィードバックを強める取り組みが大きな学習の伸びにつながったとする有名な総説があります 2。一方で、その後のメタ分析では、条件を満たす研究にしぼると効果量の平均は0.20ほどで、「0.4〜0.7」とよく言われる数字は既存の研究では支えられないと指摘されました。なお、教科別の分析では、英語圏の子どもが母語として学ぶ国語(English Language Arts)で0.32と推定されました 3。ただし、分析全体でも13研究しかなく、教科ごとの推定のもとになった研究はさらに少ないうえ、これは外国語としての英語の授業の結果ではありません。日本の英語の授業にそのまま当てはめることはできません。形成的評価は「魔法の杖」ではなく、使い方しだいで効果が変わると考えるのが正確です。

Exit Ticket そのものについては、算数と組み合わせたコンピュータ科学の授業で、小学5年生1,067人を対象に、授業直後の短い質問票形式の Exit Ticket の回答が、事前・事後に別に行うまとめの調査の結果(自己効力感や興味)を予測できたという研究があります 4。つまり、短いカードでも、授業への気持ち(自信や興味)を知る手がかりにはなりうるということです。ただし、これは英語の授業での研究ではなく、英文を書かせて理解度を診断するカードの信頼性や、学力を伸ばす効果を調べたものでもありません。英語の授業での効果は、Exit Ticket で集めた答えを適切に読み取り、次の授業や生徒へのフィードバックにどう生かすかに大きく左右されると考えられます。

❓ よくある質問

Q. Exit Ticket には何を書かせればいいですか?

その時間のめあてに直結する問いを1つ出します(例:今日の文法を使って英文を1つ書く/本文の要点を1文で)。加えて「わからなかったこと」を1つ書く欄をつけます。「楽しかった」だけにならないよう、感想ではなく今日の内容を使う問いを中心にします。

Q. 40人分のカードを読む時間がありません。

全部に赤ペンを入れる必要はありません。「できた」「もう少し」「つまずき」の3つの山に分けるだけにします。短い1問なら、慣れれば40枚を5分ほどで見通せることもあります(実践上の目安)。記述が長い問いは、そのぶん時間をとります。授業の残り4分になったら必ず配る、と自分のルールにしておくと、書く時間も確保できます。

Q. 集めたカードは、どう使えばいいですか?

次の授業の最初の5分で、多かったまちがいを名前を出さずに2〜3例紹介して全体で直します。「つまずき」の生徒には、ペア活動のときに先生が先に声をかけます。集めっぱなしで次の授業が変わらないなら、無理に集めなくてかまいません。

Q. 形成的評価には、どのくらい効果がありますか?

形成的評価が大きな学習の伸びにつながったとする有名な総説がある一方 2、その後のメタ分析では、条件を満たす研究にしぼると効果は小さめでした 3。効果は使い方しだいで、Exit Ticket の価値は集めたあとにどう生かすかにあります。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(4件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. 文部科学省 (2019). 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知) 公式ページ ✔ リンク確認済観点別学習状況の評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理した文科省の通知(2019年)
  2. Black, P., & Wiliam, D. (1998). Assessment and classroom learning. Assessment in Education: Principles, Policy & Practice, 5(1), 7-74. doi:10.1080/0969595980050102 ✔ DOI照合済形成的評価(学習の途中のフィードバック)が大きな学習効果につながることを示した総説
  3. Kingston, N., & Nash, B. (2011). Formative assessment: A meta-analysis and a call for research. Educational Measurement: Issues and Practice, 30(4), 28-37. doi:10.1111/j.1745-3992.2011.00220.x ✔ DOI照合済形成的評価の効果は「0.4〜0.7」とよく言われるが、条件を満たす研究にしぼると平均0.20程度だと示したメタ分析
  4. Shehzad, U., Recker, M., & Clarke-Midura, J. (2025). Exploring the potential of exit tickets as formative assessments of student affect. Assessment in Education: Principles, Policy & Practice, 32(2), 173-191. doi:10.1080/0969594X.2025.2510206 ✔ DOI照合済小学5年生1,067人。授業直後の短い振り返りカード(exit ticket)が、学期末の自己効力感・興味をある程度予測した

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら