理工学部

【早稲田大学理工3学部英語徹底研究】過去5年分析&2027年度 超絶入試予想|5年とも53問・大問Ⅴ「数字変換」完全攻略

WASEDA / SCIENCE AND ENGINEERING
早稲田 理工3学部の英語は
5年とも53問。完全固定
2022〜2026年の全25大問・265設問を1問単位で解剖。
マルチテキスト15問・整序25問・「数字変換」大問Ⅴの攻略
早稲田の理工3学部(基幹理工・創造理工・先進理工)は、英語が完全に共通問題です。同じ日、同じ問題を解きます。
そして構成が異常なほど安定しています。5年とも大問5題・53問。しかも大問Ⅰの内訳まで9問・3問・3問で1ミリも動いていません。
最大の特徴は大問Ⅴ。2つの定義と例文から共通する単語を思いつき、その綴りを数字に変換してマークするという、他大学でまず見ない形式です。
この記事では過去5年(2022〜2026)の全25大問・265設問を数え直し、5題それぞれの攻略法と2027年度の予想までを渡します。
CONTENTS / この記事の中身

SECTION 01

まず全体像。3学部共通問題という前提
早稲田の理工系は基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部の3つに分かれていますが、入試問題は3学部で完全に共通です。試験日も同じ2月16日。したがって併願はできません。出願時にどの学部・学科を受けるかを決めておく必要があります。
この記事で扱う英語も、当然3学部で同一の問題です。「基幹理工の英語対策」「先進理工の英語対策」を分けて考える必要はありません。
問題は同じでも、合格最低点は学科ごとに違う
3学部共通問題でありながら、合格最低点は学科・学系ごとに設定されます。同じ点数でも、受ける学科によって合否が変わるということです。
また創造理工学部の建築学科のみ、他の科目に加えて「空間表現」の試験が課されます。自分の志望学科の科目構成と配点は、必ずその年度の募集要項で確認してください。
英語の位置づけ──理系だからこそ差がつく
理工系の入試は数学と理科の比重が大きく、英語は「取りこぼさなければよい科目」と見なされがちです。しかし実際には逆で、数学と理科で差がつきにくいぶん、英語で差が開きます。
理由は3つあります。①理系受験生の英語学習時間が相対的に短い②理工学部の英語は形式が特殊で、慣れの差が大きい③大問Ⅴのように対策の有無が直接得点に出る設問がある
つまり形式を知って準備した人が、そのまま点を取る構造になっています。この記事の目的はそこにあります。

SECTION 02

5年とも53問。異常なまでに固定された構成
過去5年の全25大問・265設問を数えました。結果がこれです。
年度
大問Ⅰ
大問Ⅱ
大問Ⅲ
大問Ⅳ
大問Ⅴ
合計
2026
15問
5問
8問
10問
15問
53問
2025
15問
5問
8問
10問
15問
53問
2024
15問
5問
8問
10問
15問
53問
2023
15問
5問
8問
10問
15問
53問
2022
15問
5問
8問
10問
15問
53問
1問も動いていない。早稲田で最も安定した試験
大問Ⅰ15問・Ⅱ5問・Ⅲ8問・Ⅳ10問・Ⅴ15問。5年間、完全に同一です。
さらに細部まで見ると、大問ⅠはText Ⅰが9問、Text Ⅱが3問、Text Ⅲが3問という配分まで5年とも同じ。大問ⅢはSection A 6問+Section B 2問、大問ⅣはSection A 5問+Section B 5問。ここまで揃っている学部は他にありません。
これは受験生にとって圧倒的な利点です。本番で「何が出るか」を完全に知った状態で臨めます。
大問
設問数
形式
内訳(5年とも同一)
15問
マルチテキスト読解
Text Ⅰ 9問/Text Ⅱ 3問/Text Ⅲ 3問
5問
語句整序
7語を並べ替え、3番目と5番目の組をa〜dから選ぶ
8問
読解+短文
Section A 6問/Section B 2問
10問
読解+短文
Section A 5問/Section B 5問
15問
語彙(数字変換)
2つの定義から共通語を考え、綴りを数字に変換して選ぶ
大問Ⅴだけは、年によって内部のセクション分けが変わります。2024〜2026年度はセクション分けなしで1〜15。2023年度はSection A(1〜10)+Section B(11〜15)。2022年度はSection A(1〜7)+Section B(8〜10)+Section C(11〜15)。ただし合計は必ず15問です。

SECTION 03

過去5年 出題マップ──何が読まされてきたか
大問Ⅰ(マルチテキスト)と大問Ⅱ(整序)のテーマを並べます。理工学部が何を読ませたいのかが見えます。
年度
大問
テーマ/出典
2026
垂直農法と食料安全保障(3本の論文・記事を関連づけて読む)
生物は化学法則に従うか/B. Alberts ほか『細胞の分子生物学』系
優良企業はなぜ失敗するのか/C. クリステンセン『イノベーションのジレンマ』+有機化学
よい説明の条件(説明的美徳)/哲学入門+幹葉表示(統計)
2025
社会的ジレンマと協力行動/PLoS ONE ほかの論文3本
素数を見つけるアルゴリズム/B. Christian『アルゴリズム思考術』
科学史の謎/B. ブライソン『人類が知っていることすべての短い歴史』+ピアノ習得の研究
誤謬(fallacy)の見分け方/スタンフォード哲学百科+技能習得の法則
2024
情報漏洩とセキュリティ(2019年の3,800件の事例から)
解析学と論理の順序/J. M. Howie『Real Analysis』2001
オンライン家具店とレコメンド(機械学習の導入的説明)
イグナチウス・デ・ロヨラ『霊操』をめぐる論述
2023
気候変動をなぜ人は受け入れないのか(文化的認知の論争)/Kahan ほか
数体系の進化/International Encyclopedia of the Social and Behavioral Sciences
モデルと地図の抽象性/考古学の骨資料の洗浄+ハンチントン『文明の衝突』
生存者バイアス/水質の経済モデル+I. ボネット『WORK DESIGN』
2022
グローバル化した世界の非対称ネットワークと経済的威圧
統計手法の教科書の改訂方針/R. L. Ott『Introduction to Statistical Methods』
科学史という分野の発展/オーストラリアンフットボールの選手評価+科学史教育
誤謬の種類/建築の概念設計における知識モデリング(Computer-Aided Design)
この表から読み取れる3つの事実
「理工学部だから理科の英語」ではありません。イノベーション論、社会的ジレンマ、気候変動をめぐる文化的認知、文明の衝突、ジェンダー設計。社会科学と哲学の英文が大量に出ます。
論理と推論のテーマが繰り返される。誤謬(fallacy)は2022年度と2025年度に、生存者バイアスは2023年度に、よい説明の条件は2026年度に。「正しく考えるとはどういうことか」を問う英文が定番です。
出典が学術論文・専門書。PLoS ONE、Journal of Cultural Heritage、Computer-Aided Design、スタンフォード哲学百科、Springer。ジャーナリズムはほとんど使われません。アカデミックな英語に慣れているかが問われます。

SECTION 04

大問Ⅰ|3つのテキストを束ねて読む15問
大問ⅠはText Ⅰ・Text Ⅱ・Text Ⅲ という3つの英文を読み、15問に答える形式です。しかも配分が固定されています。
テキスト
設問数
役割
Text Ⅰ
9問
最も長い。テーマの導入と主要な議論を担う
Text Ⅱ
3問
短め。別の観点やデータを提示する
Text Ⅲ
3問
短め。しばしば3本を横断する設問が置かれる
3本合計の語数は実測で約690〜860語。1本あたりは200〜400語程度で、決して長くありません。しかし難度は高い。理由は次のとおりです。
3本は「同じテーマの違う立場」であることが多い
2023年度は気候変動をめぐる文化的認知の研究が題材で、Text Ⅰが Kahan らの研究、Text Ⅱが van der Linden による批判という構成でした。2025年度も社会的ジレンマをめぐる複数の論文が並びます。
つまり「AとBは同じ主張か、対立しているか」を判断させるのが狙いです。1本ずつ独立に読んで終わりにすると、テキストを横断する設問で失点します。
読みながら「Text Ⅱは Text Ⅰ に賛成か反対か」を一言で決めておくこと。これが大問Ⅰ最大のコツです。
出典は論文そのもの
2025年度のText ⅠはPLoS ONE 掲載の論文、2023年度も学術論文です。2026年度は垂直農法をめぐる複数の論文・記事でした。
Introduction/Method/Results/Discussion といった論文の構造がそのまま出てくることがあります。実際2026年度のText Ⅰには “Introduction” という見出しが付いていました。論文の型に慣れておくと、読む速度が変わります。

SECTION 05

大問Ⅱ|7語整序×5問。3番目と5番目を答える
設問文は5年とも同じです。Read the passage and rearrange the seven words in 1-5 in the correct order. Then choose from a-d the option that contains the third and fifth words.
つまり7語を並べ替え、3番目と5番目に来る語の組み合わせを4択から選ぶ。記述ではなくマーク式です。
2026年度の実出題(正解)
1.sight difficult to accept the idea that
2.reproduce appear to set them apart from
3.nothing in living organisms that disobeys chemical
4.more complicated in its chemistry than any
5.properties of these macro-molecules that enable cells

本文は生物と化学法則をめぐる文章。1文の中に埋め込まれた7語を、文脈と文法の両方から復元する形式です。

素材は理数系の専門書が中心
2026年度は分子生物学、2025年度は素数を見つけるアルゴリズム(B. Christian『アルゴリズム思考術』)、2024年度は解析学(Springer『Real Analysis』)、2023年度は数体系の進化、2022年度は統計手法の教科書
5年とも理数系のアカデミックな文章です。専門知識は不要ですが、抽象的な議論の英語に慣れていないと、文脈から復元できません。
大問Ⅱ 語句整序の処理手順

コピー

【形式】7語を並べ替え、3番目と5番目の語の組をa〜dから選ぶ(5問)

【STEP 1】選択肢を先に見る(ここが最大の時短)
 a〜dには「3番目の語+5番目の語」の組が書かれている
 → 候補になる語が最大8つに絞られる
 → 7語のうち、3番目・5番目になりうる語が特定できる

【STEP 2】空所の前後を読み、文型を決める
 空所の前が主語 → 動詞から始まる
 空所の前が前置詞 → 名詞・動名詞から始まる
 空所の後ろに名詞 → 空所の末尾は前置詞や関係詞の可能性

【STEP 3】かたまりを作る
 to + 動詞原形/助動詞 + 原形/前置詞 + 名詞
 冠詞 a・the は必ず名詞とセット
 that は接続詞か関係代名詞か。動詞の数で判断する

【STEP 4】並べたら、3番目と5番目を指で数える
 ここで1つずれると両方外れる。必ず指で数える

【STEP 5】選択肢と照合する
 合致しなければ、STEP 1で絞った候補に戻って組み直す

【実出題に見る頻出構文】
・it is difficult to accept the idea that ...(形式主語+同格that)
・appear to + 原形(〜のように見える)
・there is nothing ... that ...(関係代名詞の限定)
・more ... than any(比較級+than any)
・the properties of ... that enable ...(関係代名詞の主格)

【時間ルール】
5問で10分。1問2分。決まらなければ選択肢から逆算して勘で埋める
4択なので、空欄にするより必ず埋めたほうが期待値は高い

SECTION 06

大問Ⅲ・Ⅳ|Section A+Bの二段構え
大問Ⅲと大問Ⅳは、どちらもSection A と Section B の2部構成です。設問数も5年とも固定されています。
大問
Section
設問数
形式
A
6問
長めの文章を読み、a〜dから選ぶ
B
2問
段落整序+文整序(詳細は下記)
A
5問
文章を読み、a〜dから選ぶ
B
5問
別の文章を読み、a〜dから選ぶ
大問Ⅲ Section B は「二重の整序」という難問
設問文はこうです。
The five paragraphs [A]-[E] below make up a passage but are not properly ordered. Moreover, the five sentences (1)-(5) in paragraph [A] are not properly ordered, either.
つまり①5つの段落[A]〜[E]の順序がバラバラ、②さらに段落[A]の中の5つの文の順序もバラバラ。この二重の混乱を復元して、2問に答えます。
2024年度と2026年度で同一の設問文が確認できており、定番化した形式です。わずか2問ですが、難度は全53問の中で最も高いと考えてよいでしょう。
整序問題は「指示語と冠詞」で解く
段落整序・文整序に取り組むときの手がかりは限られています。内容で考えると迷います。形式的な手がかりだけを追ってください。
①冠詞|a/an で初出、the で既出。a ○○ が出てくる段落は、the ○○ より前
②指示語|this / that / these / such / it が指す先は必ず前にある。指示語で始まる段落は先頭になれない。
③接続表現|However / Therefore / In contrast / For example は、直前との関係を示す。これらで始まる段落も先頭になれない。
④定義|用語の定義や導入がある段落が先頭になりやすい。
大問Ⅳ Section B は、大問Ⅲとは違って通常の読解問題です。2026年度は「幹葉表示(stem-and-leaf display)」、2024年度は「作業記憶の限界」がテーマでした。図表やデータの説明文が入ることがあるのが特徴です。

SECTION 07

大問Ⅴ|「単語を数字に変換する」名物問題
早稲田理工学部の英語といえば、この大問Ⅴです。15問、全53問の28%を占めます。まず設問文をそのまま読んでください。
For questions 1-15, two definitions are given with one sample sentence each. Think of a word that matches both definitions and also fits in the blanks in both sentences. Convert each letter of the word into a number 1 to 4 according to the table below: number 1 represents letters a-g, 2 represents h-m, 3 represents n-s, and 4 represents t-z. Then choose the matching sequence of numbers from options a-d.
つまり手順はこうです。
1
2つの定義と2つの例文が与えられる
両方の定義に当てはまり、両方の空所に入る1語を思いつく。先頭の1文字だけヒントとして与えられている。
2
各文字を数字に変換する
a〜g=1/h〜m=2/n〜s=3/t〜z=4。たとえば wise なら、w は先頭なのでそのまま、i→2、s→3、e→1 で w231
3
a〜dの4択から、一致する数列を選ぶ
マーク式なので、単語を書く必要はない。
実際の出題を見てみる
2026年度 設問1(先頭文字は j)
(ⅰ) to show to be right or reasonable: This framework is the first to theoretically ( j ) the use of regression methods.
(ⅱ) to free from blame or guilt: The recent increases in the prices of gasoline ( j ) the large-scale protests.
選択肢:a.j13322/b.j434214/c.j213112/d.j321342

「正当化する」と「免責する」の両方に当てはまる j で始まる語 → justify。u→4、s→3、t→4、i→2、f→1、y→4 で j434214。正解はbです。

見てのとおり、問われているのは「多義語を知っているか」です。数字変換はマークシートで単語を答えさせるための仕組みにすぎません。2つの異なる定義に同時に当てはまる語——ここが本質です。

SECTION 08

大問Ⅴの解法|文字数と先頭文字から逆算する
この形式には、単語が思いつかなくても正答率を上げる方法があります。選択肢そのものが情報を持っているからです。
選択肢の「桁数」が文字数を教えてくれる
2026年度設問1の選択肢を見てください。j13322(6文字)/j434214(7文字)/j213112(7文字)/j321342(7文字)
つまり正解の単語は6文字か7文字だと、単語を思いつく前に分かります。
さらに各桁の数字は「その位置の文字がどのグループか」を示します。j+7文字ということは justify(7文字)か justices などの候補に絞れる。2文字目が4なら t〜z、3なら n〜s——ここまで分かれば、逆算で語を作れることも珍しくありません。
年によっては「変換なし」の設問もある
大問Ⅴは年によって内部構成が変わります。ここを知っておくと本番で慌てません。
年度
構成
中身
2026
2025
2024
セクション分けなし
(1〜15)
全15問が「2つの定義+数字変換」形式
2023
A(1〜10)
B(11〜15)
A=数字変換/B=2文の空所を埋める語をa〜dから選ぶ(変換なし)
2022
A(1〜7)
B(8〜10)
C(11〜15)
A=数字変換/B=イディオムの数字変換/C=2文の空所補充(変換なし)
とくに注目すべきは2022年度のSection Bです。単語ではなくイディオム(慣用表現)を思いつき、それを数字に変換するという応用形が出ました。復活の可能性があるので、頭の片隅に置いておいてください。
逆に2023年度Section B・2022年度Section Cは、2つの例文の空所に共通して入る語を4択から選ぶだけの素直な形式です。数字変換がない年・設問もあると知っておけば、形式が違っても動じません。
大問Ⅴ 攻略手順+変換表の暗記

コピー

【変換表|本番前に必ず暗記する】
 1 = a b c d e f g   (7文字)
 2 = h i j k l m     (6文字)
 3 = n o p q r s     (6文字)
 4 = t u v w x y z   (7文字)

【覚え方】
 1は a から g(アルファベットの最初の7つ)
 2は h から m(前半の残り)
 3は n から s(後半の最初)
 4は t から z(最後の7つ)
 → 「1と4が7文字、2と3が6文字」と押さえる

【解く手順】
STEP 1 選択肢の桁数を数える → 単語の文字数が分かる
     例)j13322(6文字)/j434214(7文字)→ 6か7文字

STEP 2 2つの定義を読み、共通する意味を探す
     「多義語」が答え。1つ目の定義だけで決めない

STEP 3 先頭文字から候補を出す
     文字数と先頭文字が分かっているので候補は限られる

STEP 4 候補を変換して選択肢と照合する
     2文字目だけ変換すれば、たいてい2択まで絞れる

STEP 5 思いつかない場合は逆算する
     選択肢の数字から、各位置の文字グループを復元し、
     その並びで成立する語があるかを考える
     例)j 4 3 4 2 1 4 → j+(t-z)(n-s)(t-z)(h-m)(a-g)(t-z)
       → j u s t i f y が成立する

【よく狙われる多義語のタイプ】
・動詞と名詞で意味が変わる語(address/charge/figure/issue)
・抽象と具体で意味が変わる語(capital/current/volume/matter)
・程度を表す語(modest/moderate/marginal/sound)
・学術英語で頻出の語(justify/account/observe/yield/resolve)

【時間ルール】
15問で20分。1問80秒
思いつかなければ飛ばし、全問終えてから戻る
最後は必ず埋める。4択なので期待値は必ずプラス

【対策法】
英英辞典で「1語に複数の定義がある語」を引く習慣をつける。
英検準1級・1級の語彙問題や、大学の学術英語(academic word list)
に出てくる語を、日本語訳ではなく英語の定義で覚えると直結する。

SECTION 09

出典は学術書と論文。理系だけではない
過去5年の出典を集計すると、はっきりした傾向が出ます。新聞・雑誌はほとんど使われません。使われるのは学術論文と専門書です。
種別
実際に使われた出典
査読論文
PLoS ONE/Journal of Cultural Heritage/Computer-Aided Design/Transactions of the ASABE
理数系の専門書
Springer『Real Analysis』/Duxbury『Introduction to Statistical Methods』/OpenStax『Organic Chemistry』
事典・百科
The Stanford Encyclopedia of Philosophy/International Encyclopedia of the Social and Behavioral Sciences/Wikipedia
一般向け学術書
クリステンセン『イノベーションのジレンマ』/ブライソン『人類が知っていることすべての短い歴史』/ハンチントン『文明の衝突』/ボネット『WORK DESIGN』
理工学部なのに、社会科学と哲学が大量に出る
誤謬(fallacy)、生存者バイアス、よい説明の条件、文明の衝突、社会的ジレンマ、ジェンダー設計。これらは自然科学ではありません。
とくに「正しく考えるとはどういうことか」を扱う英文が繰り返し出ます。誤謬は2022年度と2025年度に、生存者バイアスは2023年度に、説明的美徳は2026年度に。
理工学部が求めているのは科学的思考の言語であって、理科の知識ではありません。「理系だから理科系の英文だけ読めばいい」という発想は捨ててください。
なお2026年度にはOpenStax(無料のオープン教科書)やWikipediaからの出題も確認できます。オンラインで無料公開されている教材が素材になっているということで、対策としては朗報です。同種の英文にいくらでもアクセスできます。

SECTION 10

頻出トピック20と、知っておくべき背景知識
過去5年の英文を整理すると、次の20領域に集約されました。思考法・方法論・データの読み方が中核です。
#
トピック
押さえるキーワード
01
誤謬と論理的推論
fallacy/premise/conclusion/valid/sound
02
認知バイアス
survivor bias/confirmation bias/heuristic
03
よい説明の条件
explanatory virtue/parsimony/scope/testability
04
モデルと抽象化
model/abstraction/simplification/map
05
統計とデータ表示
stem-and-leaf display/distribution/histogram
06
アルゴリズムと計算
algorithm/prime number/complexity/efficiency
07
数の概念と数学史
number system/arithmetic/analysis/rigor
08
機械学習とレコメンド
recommendation/training data/prediction
09
情報セキュリティ
data breach/vulnerability/risk mitigation
10
イノベーションと企業
disruptive innovation/incumbent/dilemma
11
社会的ジレンマと協力
social dilemma/cooperation/collective interest
12
気候変動とリスク認知
science literacy/cultural cognition/polarization
13
食料生産と持続可能性
vertical farming/food security/resilience
14
分子生物学と化学
macromolecule/organism/chemistry/cell
15
技能習得と学習の科学
skill acquisition/law of practice/working memory
16
科学史と科学教育
history of science/paradigm/inquiry
17
国際関係と経済ネットワーク
asymmetric network/sanction/interdependence
18
ジェンダーと制度設計
gender equality by design/nudge/bias
19
建築・設計の知識表現
conceptual design/knowledge-based modeling
20
文化財と保存科学
archaeological bone/conservation/intervention
背景知識より「学術英語の型」が効く
出典が論文と専門書なので、分野を問わず共通する言い回しが繰り返し出ます。
This study investigates …/The results suggest that …/In contrast to previous research, …/These findings imply that …/One limitation of this approach is …
この型に慣れることが、20のトピックを覚えるより効きます。OpenStaxやWikipediaが素材に使われているので、同種の英文は無料でいくらでも読めます。

SECTION 11

90分の時間配分と、解く順番
構成が完全に固定されているので、配分も事前に決め打ちできます。53問を90分、1問あたり約102秒です。
順番
大問
目安
狙い
1番目
Ⅴ(15問)
20分
語彙の知識問題。頭が疲れる前に片付ける
2番目
Ⅱ(5問)
10分
整序。選択肢から逆算すれば速く終わる
3番目
Ⅳ(10問)
17分
Section A・Bとも標準的な読解
4番目
Ⅰ(15問)
28分
マルチテキスト。3本の関係を掴みながら読む
5番目
Ⅲ(8問)
10分
Section Bの二重整序は最後でよい
残り
見直し
5分
マークずれと空欄の確認
なぜ大問Ⅴから解くのか
大問Ⅴは15問、全体の28%を占める最大の塊です。しかも本文を読む必要がない語彙の知識問題。疲れる前に片付けるのが合理的です。
逆に番号順に解くと、大問Ⅰのマルチテキストで30分以上使い、大問Ⅴにたどり着いたときには集中力が落ちています。数字変換は集中力が落ちると単純ミスが増えるので、これは最悪の順番です。
大問Ⅲ Section Bの二重整序(2問)は最も重いので、最後に回して構いません。2問しかないので、詰まっても損失は限定的です。
本番用タイムテーブル(過去問演習でそのまま使う)

コピー

開始  0分 ─ 大問Ⅴ(15問/20分)1問80秒
   20分 ─ 大問Ⅱ(5問/10分)1問2分
   30分 ─ 大問Ⅳ(10問/17分)
   47分 ─ 大問Ⅰ(15問/28分)
   75分 ─ 大問Ⅲ(8問/10分)
   85分 ─ 見直し(5分)
終了 90分

【大問Ⅴ(20分)】
 選択肢の桁数を先に数える → 文字数が分かる
 2つの定義に共通する多義語を探す
 思いつかなければ飛ばし、全問終えてから逆算で戻る

【大問Ⅱ(10分)】
 選択肢a〜dを先に見て、3番目・5番目の候補を絞る
 かたまり(to+原形/前置詞+名詞)を作ってから並べる
 並べたら指で数える

【大問Ⅳ(17分)】
 Section A 5問/Section B 5問。標準的な読解
 1問100秒。詰まったら飛ばす

【大問Ⅰ(28分)】
 Text Ⅰ 9問/Text Ⅱ 3問/Text Ⅲ 3問(毎年この配分)
 ★読みながら「Text Ⅱは Text Ⅰ に賛成か反対か」を決める
  3本を横断する設問が必ず来る

【大問Ⅲ(10分)】
 Section A 6問を先に処理(8分)
 Section B の二重整序2問は残り2分で。詰まったら勘で埋める
  → 冠詞(a→the)、指示語、接続表現の3点だけで判断する

【途中チェックポイント】
20分で大問Ⅴが終わらない → 残りを飛ばして先へ。最後に戻る
47分で大問Ⅳが終わらない → 大問Ⅰに必ず着手する(15問ある)
85分に達したら、未着手の設問はすべて機械的に埋める

【最後の5分】
1. 空欄をゼロにする(4択なので埋めれば期待値プラス)
2. マーク番号のずれを、大問の変わり目だけ確認する
3. 大問Ⅴで飛ばした問題に、逆算で1つでも答えを入れる

SECTION 12

2027年度 超絶入試予想
ここから先は過去5年の実測からの推定です。的中を保証するものではありません。
予想①|5題53問の構成は動かない(確度:極めて高い)
5年間、大問数・設問数・内訳のすべてが完全一致しました。Ⅰ15問(9・3・3)/Ⅱ5問/Ⅲ8問(6・2)/Ⅳ10問(5・5)/Ⅴ15問。2027年度もこの通りで来るとみて、まず外れません。
予想②|大問Ⅴの数字変換も継続する
5年連続で出題され、しかも2024〜2026年度は全15問が数字変換でした。この形式が消える兆候はありません。変換表(1=a-g/2=h-m/3=n-s/4=t-z)は暗記して本番に臨むべきです。
ただし2022年度のようにイディオムの変換や、変換なしの空所補充が混ざる可能性は残ります。
予想③|大問Ⅲ Section Bの二重整序も定番化
2024年度と2026年度で同一の設問文が確認できました。5段落の順序+段落[A]内の5文の順序という二重構造です。2027年度も出るとみて、整序の手がかり(冠詞・指示語・接続表現)を訓練しておいてください。
予想④|大問Ⅰは「複数の論文を突き合わせる」形式
Text Ⅰ 9問・Text Ⅱ 3問・Text Ⅲ 3問という配分が5年不変。しかも同じテーマについて立場の異なる論文を並べるのが基本です。3本を横断する設問が必ず来ると考えて読んでください。
予想⑤|テーマは「思考法」と「方法論」
誤謬、バイアス、モデル、説明の条件、統計の表示。科学的思考そのものを扱う英文が繰り返されています。加えてAI・データ・持続可能性といった現代的テーマ。自然科学の知識ではなく、科学を語る言語が問われます。
2027年度 予想トピック20と学術英語の型

コピー

【予想トピック20】
01 生成AIと科学研究 AI in research/reproducibility
02 機械学習の限界とバイアス training data/fairness
03 再現性の危機 replication crisis/p-hacking
04 因果と相関 causation/correlation/confounding
05 実験計画とサンプリング randomization/control group
06 データ可視化の倫理 misleading graph/scale
07 科学コミュニケーション public understanding/trust
08 気候モデルと不確実性 projection/uncertainty
09 エネルギー転換 renewable/grid/storage
10 材料科学と資源循環 recycling/critical minerals
11 合成生物学と倫理 gene editing/biosafety
12 脳科学と意思決定 decision making/dual process
13 認知負荷と学習設計 cognitive load/working memory
14 ネットワーク科学 network/node/centrality
15 暗号と情報セキュリティ encryption/vulnerability
16 ロボティクスと自動化 autonomy/human-robot interaction
17 都市と交通の最適化 optimization/simulation
18 医療statistics と診断 sensitivity/specificity
19 技術と社会の相互作用 technology assessment/regulation
20 科学史における転換 paradigm shift/anomaly

【学術英語の頻出フレーズ|トピックより優先して覚える】
This study investigates / examines ...
Previous research has shown that ...
In contrast to earlier findings, ...
The results suggest / indicate / imply that ...
These findings are consistent with ...
One limitation of this approach is that ...
Further research is needed to ...
It is widely assumed that ..., but ...
The extent to which ... remains unclear
A key distinction can be drawn between A and B

【使い方】
1トピック10分。日本語の解説を1本読み、
キーワードを英語で書き出す。20トピックで約3.5時間。
そのうえで、上のフレーズ10本を「見た瞬間に意味が浮かぶ」
状態にする。こちらのほうが得点に直結する。

【素材の入手先】
OpenStax や Wikipedia が実際に出典として使われている。
無料で同種の英文にいくらでもアクセスできる。
1本300〜800語の学術的な英文を、週4本読むことを勧める。

SECTION 13

逆算3か月ロードマップ
理工学部は形式が完全に固定されているので、対策の的が絞れます。しかも数学・理科と並行する前提で、英語に割ける時間は限られているはずです。費用対効果の高い順に積んでください。
時期
目的
やること
1か月目
大問Ⅴを固める
変換表を暗記。多義語を英英の定義で覚える。過去問の大問Ⅴだけを5年分解く
2か月目
学術英語に慣れる
300〜800語の学術的英文を週4本。頻出フレーズ10本を反射で読めるようにする
3か月目前半
通し演習
90分フルセットを週2回。必ずⅤ→Ⅱ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅲの順で解く
3か月目後半
弱点補強
整序(大問Ⅱ)と二重整序(大問Ⅲ Section B)だけを集中演習
前日
確認だけ
変換表とタイムテーブルを眺める。新しい問題には手を出さない
なぜ大問Ⅴから始めるのか
大問Ⅴは全53問の28%を占めるうえ、形式が独特なので対策の有無がそのまま点差になります。変換表を覚えているかどうかだけで、解答速度がまったく変わります。
一方、読解力は短期間では伸びません。先に大問Ⅴで確実な15問を作り、そのうえで読解を積み上げるのが、理系受験生にとって最も現実的な設計です。
過去問は5年分でも大問Ⅴが75問。これだけでも十分な演習量になります。

SECTION 14

落ちる人に共通する7つのパターン
パターン1|番号順に解いて、大問Ⅴが残る
大問Ⅴは15問で全体の28%。集中力が落ちてから取りかかると、数字変換で単純ミスが増えます。
処方:Ⅴ→Ⅱ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅲの順で解く。冒頭20分で15問を確保する。
パターン2|変換表を覚えていない
1=a-g/2=h-m/3=n-s/4=t-z。本番で表を見ながら変換すると、1問あたり30秒は余計にかかります。15問で7分半の損失です。
処方:前日までに暗記する。「1と4が7文字、2と3が6文字」で覚える。
パターン3|大問Ⅴで単語が出ないと固まる
選択肢の桁数が文字数を、各桁の数字が文字グループを教えてくれます。使わない手はありません。
処方:思いつかなければ逆算する。選択肢の数字から文字の並びを復元し、成立する語を探す。
パターン4|大問Ⅰで3本を独立に読む
Text Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは同じテーマの異なる立場であることが多く、横断する設問が来ます。
処方:読みながら「Text Ⅱは Text Ⅰ に賛成か反対か」を一言で決めておく。
パターン5|二重整序に時間をかけすぎる
大問Ⅲ Section Bは全53問中わずか2問。ここに10分使うのは明らかに損です。
処方:最後に回す。冠詞・指示語・接続表現の3点だけで判断し、決まらなければ埋めて終える。
パターン6|理科系の英文だけ読んでいる
実際には誤謬、文明の衝突、社会的ジレンマ、ジェンダー設計といった社会科学・哲学の英文が大量に出ます。
処方:「科学的思考を語る英語」に的を絞る。分野は問わない。
パターン7|英語を「捨て科目」にする
数学と理科で差がつきにくいぶん、英語で差が開きます。しかも形式が特殊なので、慣れの差が直接点数になります。
処方:大問Ⅴだけでも仕上げる。15問=28%を確保できれば、それだけで立ち位置が変わる。
この記事のまとめ
基幹・創造・先進の3学部は共通問題。試験日も同じ2月16日
5年とも大問5題・53問。Ⅰ15/Ⅱ5/Ⅲ8/Ⅳ10/Ⅴ15で完全固定
大問Ⅴの数字変換は15問=28%。変換表の暗記が直接得点になる
大問ⅠはText Ⅰ9問・Ⅱ3問・Ⅲ3問。3本の関係を掴んで読む
出典は論文と専門書。誤謬・バイアスなど「思考法」の英文が定番
出るものが完全に分かっている試験です。
形式を知って準備した人が、そのまま取ります。