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【やさしい英文de多読!】<36> Write “Today Was a Good Day” and Feel Happier: The Science of Positive Diaries ポジティブ日記の科学:「今日はいい日だった」と書くだけで幸せになれる ~英文を楽しく&音声つきで読もう!~

原田英語マン
原田英語マン
今日のテーマは「ポジティブ日記の科学」です。「今日はいい日だった」と日記に書くだけで、実際に幸福度が上がる——そんな驚きの研究結果と、その科学的メカニズムを読み解きます。

📖 英文(224 words)

Have you ever written a diary before? Most people write about bad things or worries. But what if you wrote only good things? Studies show that writing positive thoughts in a diary can actually make you happier. This idea comes from a field called positive psychology.

A famous study by Dr. Martin Seligman asked people to write down three good things every night for one week. The results were surprising. After just seven days, the people felt happier and less sad. Even more amazing, this feeling lasted for six months. Their happiness kept growing even after they stopped writing.

You do not need to write about big events. Small things are fine. For example, “The weather was nice today,” “I had a delicious lunch,” or “My friend smiled at me.” The key is to notice good moments that you usually forget. When you write them down, your brain starts to focus on the positive side of life.

In Japan, a psychiatrist recommends writing three positive lines before bed. He says the 15 minutes before sleep are special because your brain remembers things better at that time. If you think about happy moments before sleeping, you will sleep well and wake up feeling good.

Writing a positive diary is like training your mind. It does not take long—just a few minutes each day. Try it tonight. Write three good things about today. You might be surprised how much your life changes.

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📝 重要語句

diary:日記
a book where you write about your life each day(毎日の出来事を書くノート)
positive:前向きな
thinking about good things, not bad things(悪いことではなく良いことに目を向けること)
psychology:心理学
the study of how people think and feel(人の考え方や感じ方を研究する学問)
results:結果
what happened after a test or study(実験や研究の後に分かったこと)
amazing:驚くべき
very surprising in a good way(とても良い意味で驚くような)
focus:集中する
to pay attention to one thing(一つのことに注意を向けること)
psychiatrist:精神科医
a doctor who helps with feelings and the mind(心や感情を助ける医師)
recommends:すすめる
to tell someone a good idea(誰かに良い考えを教えること)
moments:瞬間
very short times in your life(人生の中のとても短い時間)
training:トレーニング
practicing to get better at something(何かを上手にするための練習)

🇯🇵 日本語訳

日記を書いたことはありますか? 多くの人は、つらかったことや悩みごとを書きがちです。でも、もし「良いこと」だけを書いたらどうなるでしょう。実は、ポジティブな内容を日記に書くだけで、幸福度が上がるということが研究で明らかになっています。この考え方のもとになっているのが、「ポジティブ心理学」という学問分野です。

ポジティブ心理学の第一人者であるマーティン・セリグマン博士が行った有名な実験があります。被験者に、毎晩寝る前に「今日あった良いこと」を3つ書いてもらったのです。期間はたった1週間。ところが結果は驚くべきものでした。わずか7日間で、被験者たちの幸福度は上がり、落ち込みの度合いは低下しました。さらに驚くべきことに、この効果は半年後まで持続し、幸福感はむしろ時間が経つほど増していったのです。

大きな出来事を書く必要はまったくありません。「今日はいい天気だった」「お昼ごはんがおいしかった」「友達が笑顔を見せてくれた」——そんなささやかなことで十分です。大切なのは、ふだん見過ごしてしまいがちな「小さな幸せ」に気づくこと。それを文字にして書き留めるうちに、脳は自然と物事の良い面に目を向けるようになるのです。

日本でも、ある精神科医が「寝る前にポジティブなことを3行書く」という方法をすすめています。寝る前の15分間は「記憶のゴールデンタイム」と呼ばれ、脳が情報を最も記憶に残しやすい時間帯なのだそうです。楽しかったことを思い浮かべながら眠りにつけば、睡眠の質も上がり、翌朝の目覚めも爽やかになるといいます。

ポジティブ日記は、いわば「心の筋トレ」。かかる時間はほんの数分です。今夜から試してみませんか? 今日あった良いことを3つ、書いてみてください。たったそれだけで、毎日の景色が変わり始めるかもしれません。

🧠 コラム:なぜ「書く」と幸せになれるのか?——脳のメカニズムに迫る

「良いことを書くだけで幸せになれる」と聞くと、少し信じがたいかもしれません。しかし、その裏にはきちんとした脳科学的な理由があります。

🔸 人間はもともと「ネガティブ」にできている

人間の脳には、ネガティブな情報に強く反応するという性質があります。これは「ネガティビティ・バイアス」と呼ばれるもので、太古の昔、外敵や危険をいち早く察知して生き延びるために必要だった本能の名残です。つまり、私たちは放っておくと悪い出来事ばかりに意識が向いてしまう生き物なのです。ポジティブ日記が効くのは、まさにこのバイアスを「書く」という行為で意識的に上書きするからです。

🔸 「書く」ことで脳内に幸福物質が出る

楽しかったことを文字にする作業は、脳の中でその記憶を再体験させ、ドーパミンやセロトニンといった幸福物質の分泌を促します。しかも、寝る前に行えば、睡眠中も脳がポジティブな情報を優先的に処理・定着させてくれるのです。人間の脳は同時に二つのことを考えられないため、良いことを思い出している間は、ネガティブな記憶が自然と脇に追いやられます。

🔸 「感謝」に特化すると効果はさらにアップ

興味深いのは、単に「良いこと」を書くだけでなく、「感謝」に焦点を当てるとさらに効果が高まるという研究です。日本の立命館大学の研究では、感謝日記を2週間書いたグループは、単に良いことを書いたグループと比べて、学習モチベーションが有意に維持されたという結果が出ています。「うれしい」「楽しい」だけでなく、「ありがたい」という感情に目を向けることが、より深い心の変化をもたらす可能性があるのです。

🔸 最もシンプルな「自己投資」

ポジティブ日記の最大の魅力は、その手軽さにあります。特別な道具も費用もいりません。ノートでもスマホのメモでも構いません。たった3行、たった数分。それだけで、脳の働き方が変わり、幸福を感じるアンテナの感度が上がっていく——科学が証明した、最もシンプルな自己投資と言えるかもしれません。

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