📖 英文(227 words)
Have you ever worn a costume to a party? In nature, some creatures wear disguises to survive. Scientists recently found one of the most amazing disguises ever. In the mountains of Morocco, a fly larva was discovered living inside a termite nest. How? It has a fake termite face on its rear end.
The discovery was made by accident. A research team was looking for ants in the Anti-Atlas mountains. When they lifted a stone, they found a termite mound with three strange larvae inside. The back of each larva looked exactly like a termite’s head, complete with fake eyes and antennae. Surprisingly, the fake eyes were actually the larva’s breathing holes.
But the disguise goes even deeper. The larvae also smell exactly like the termites. Each termite colony has its own special scent. The larvae can copy this scent perfectly. Soldier termites usually kill any stranger immediately. But they treated these larvae like family members. The termites even groomed them and appeared to feed them.
The larvae belong to a type of blow fly called Rhyncomya. Scientists believe this is a completely new species. They tried to raise the larvae in the lab, but they all died. The adults have never been seen, so their true appearance remains a mystery.
This is the first time a blow fly has been found living peacefully inside a termite colony. The study was published in Current Biology in February 2025 and was chosen as one of the strangest discoveries of the year.
🔊 音読用音声
📝 重要語句
a way of changing your appearance so others do not recognize you(他人に気づかれないように見た目を変えること)
the young form of an insect before it becomes an adult(昆虫が成虫になる前の若い姿)
the back part of the body(体の後ろの部分)
the long thin parts on an insect’s head used for feeling(昆虫の頭にある、感じるための長い細い部分)
small openings in an insect’s body used to take in air(昆虫の体にある空気を取り入れるための小さな穴)
a particular smell, especially a pleasant one(特定の匂い、特に心地よいもの)
cleaned and cared for another animal’s body(他の動物の体をきれいにし、世話をした)
a type of large fly that is often metallic blue or green(メタリックな青や緑色の大型のハエの一種)
a group of animals or plants that are similar and can produce young together(似ていて一緒に子孫を残せる動物や植物のグループ)
something that is difficult to understand or explain(理解したり説明したりするのが難しいもの)
🇯🇵 日本語訳
パーティーで仮装をしたことはありますか? 自然界には、生き延びるために変装をする生きものがいます。最近、科学者たちが驚くべき変装を発見しました。モロッコの山中で、シロアリの巣の中に住んでいるハエの幼虫が見つかったのです。どうやって? なんと、お尻にシロアリそっくりの偽の顔をつけているのです。
この発見は偶然でした。研究チームはアンチアトラス山脈でアリを探していました。石をひっくり返したところ、シロアリの巣の中に3匹の奇妙な幼虫がいたのです。それぞれの幼虫の後部は、偽の目と触角を備えたシロアリの頭にそっくりでした。驚くことに、その偽の目は実は幼虫の呼吸孔だったのです。
しかし変装はさらに奥深いものでした。この幼虫は匂いまでシロアリとまったく同じなのです。シロアリの巣にはそれぞれ固有の匂いがあります。幼虫はこの匂いを完璧にコピーできるのです。兵隊シロアリは普通、よそ者を即座に殺しますが、この幼虫たちは家族同然に扱われていました。シロアリは幼虫の毛づくろいまでし、餌を与えているようにさえ見えました。
この幼虫はRhyncomya属というクロバエの仲間です。科学者たちはこれがまったくの新種だと考えています。研究室で育てようとしましたが、すべて死んでしまいました。成虫の姿は誰も見たことがなく、その本当の姿はいまだ謎に包まれています。
クロバエがシロアリの巣の中で平和に暮らしているのが発見されたのはこれが初めてです。この研究は2025年2月に学術誌『Current Biology』に掲載され、「その年で最も奇妙な発見」の一つに選ばれました。
🔬 コラム:自然界の「なりすまし」名人たち
お尻にシロアリの顔をつけて巣に潜入するハエの幼虫——あまりにも大胆な戦略ですが、自然界には似たような「なりすまし」の達人が実はたくさんいます。昆虫の世界は、まるでスパイ映画の舞台のようです。
🔸 アリの巣に忍び込む甲虫たち
「好蟻性昆虫(こうぎせいこんちゅう)」と呼ばれる生きものたちは、アリの巣に居候する達人です。たとえばハネカクシの仲間には、アリの体の匂いを真似て巣に侵入し、アリの幼虫のふりをして餌をもらう種がいます。なかにはアリの女王に化学物質を塗りつけて殺し、自分が女王の座を乗っ取るハチまでいるのです。まさに「昆虫版・王位簒奪」です。
🔸 「見た目」と「匂い」のダブル変装
今回のハエの幼虫が特別なのは、「見た目」と「匂い」の両方を同時に真似ている点です。多くのシロアリは地中深くに暮らし、目が見えません。ところが宿主の刈り取りシロアリ(Anacanthotermes ochraceus)は夕方に地上に出て草を集めるため、ちゃんと機能する目を持っています。だからこそ、幼虫は「視覚的な変装」も必要だったのです。呼吸するための穴を偽の目に、触覚器官を偽の触角に——進化とは、なんと精巧なデザイナーなのでしょうか。
🔸 1億5千万年離れた「偶然の一致」
シロアリの巣に潜り込むハエは、実はもう一種類います。ノミバエ(Phoridae)の仲間は成虫の段階でシロアリに擬態します。しかし今回のクロバエが面白いのは、ノミバエとは1億5千万年も前に共通祖先が分かれた、まったくの別系統だということです。つまり、「シロアリの巣に住みつく」という戦略を、二つの遠い系統が独立に進化させたことになります。これは「収斂進化」と呼ばれ、異なる生物が同じ環境圧のもとで似た解決策にたどり着く現象です。人間とイカの目が独立に進化したのと似ています。
そしてまだ謎だらけです。最大の謎は「幼虫は何を食べているのか」。シロアリを食べている様子はなく、巣を壊している形跡もありません。むしろ巣の中で最もシロアリが密集するエリアに好んで移動し、彼らと親しく交流しています。共生なのか寄生なのか、それとも巧妙にだましているだけなのか——答えはまだ出ていません。成虫の姿すら確認されていないこの新種。研究者たちは追加調査で数百の石をひっくり返しましたが、見つかった幼虫はわずか2匹だけでした。自然界には、まだまだ私たちの知らない「スパイ」が潜んでいるのかもしれません。

