英語にも「ていねいさの段階」がある
「英語には敬語がない」と言われることがありますが、これは半分だけ正しい表現です。日本語の「です・ます」や尊敬語のような文法的な仕組みはありませんが、英語にも場面や相手によって言葉を選び分ける感覚ははっきりあります。
この記事では、わかりやすく3段階に分けて考えます。
- カジュアル:友だちへのメッセージ、SNS、日記
- ニュートラル(ふつう):学校の英作文、知り合いへのメール、一般的な説明文
- フォーマル:目上の人への正式なメール、応募書類、論文やレポート、試験のエッセイ
どれが正しい・間違いということではなく、場面に合っているかどうかが大切です。友だちへのメッセージをフォーマルに書くと、よそよそしく、冗談のように感じられることもあります。
ポイント:書き分けの基本は「相手との距離」と「文章の目的」。この2つを考えてから書き始めましょう。
同じ内容を3段階で書き比べる
例1:手伝いを頼む
- カジュアル:Can you help me with this?
- ニュートラル:Could you help me with this?
- フォーマル:I would appreciate it if you could assist me with this matter.
例2:遅れることを伝える
- カジュアル:Sorry, running late! Be there in 10.
- ニュートラル:Sorry, I'm running a little late. I'll be there in ten minutes.
- フォーマル:I apologize for the delay. I expect to arrive in approximately ten minutes.
例3:意見を述べる
- カジュアル:I think phones in class are a bad idea.
- ニュートラル:I don't think students should use phones in class.
- フォーマル:It could be argued that the use of mobile phones in classrooms may interfere with learning.
例4:お礼を言う
- カジュアル:Thanks a lot!
- ニュートラル:Thank you very much for your help.
- フォーマル:I am sincerely grateful for your kind assistance.
比べてみると、フォーマルになるほど文が長く、単語がかたく、表現が間接的になっていくのがわかります。
書き分けの5つのポイント
1. 短縮形
- カジュアル・ニュートラル:I'm, don't, can't, it's
- フォーマル:I am, do not, cannot, it is
試験のエッセイやレポートでは、短縮形を使わないほうが無難です。一方、友だちへのメッセージで I do not know. と書くと、かなりかたい印象になります。
2. 句動詞(phrasal verbs)と1語の動詞
- find out → discover
- look into → investigate
- put off → postpone
- go up → increase
get や put などを使った句動詞は日常的でやわらかい印象、ラテン語系の1語の動詞はかための印象になる傾向があります。
3. 依頼の形
- 命令形:Send me the file.(かなり直接的)
- Can you ...?(カジュアル)
- Could you ...? / Would you ...?(ていねい)
- I was wondering if you could ...(さらに控えめ)
4. 主語の選び方
カジュアルな文章では I や you が主語になりやすく、フォーマルな文章では It や物事が主語になる文が増えます。It is recommended that... や The results show that... のような形です。
5. 口語表現・スラング
gonna、wanna、kinda、stuff、a lot of などは、会話やカジュアルな文章ではよく使われますが、フォーマルな文章では going to、want to、many / a large number of などに置き換えます。
場面別:どのレベルで書けばいい?
迷ったときの目安をまとめました。
- 友だちへのLINE・DM、SNS:カジュアル
- 英語日記:カジュアル〜ニュートラル(自分の好きなスタイルでOK)
- 学校の英作文・自由英作文:ニュートラル〜ややフォーマル
- オンライン英会話の講師へのメッセージ:ニュートラル
- 先生・教授へのメール:ニュートラル〜フォーマル
- 留学や奨学金の応募書類:フォーマル
- 検定試験のエッセイ:ニュートラル〜フォーマル(試験の指示に従う)
判断に迷ったら、ニュートラルを選ぶのが一番安全です。ニュートラルな英語は、ややていねいすぎる場面でも、ややくだけた場面でも、大きく外れることはありません。
相手に合わせる
メールでは、相手の書き方に合わせるのも有効です。相手が Hi, Thanks! と短く書いてきたら、こちらもややくだけてよいサインです。反対に、相手がかしこまった文章なら、同じくらいのていねいさで返します。
よくある失敗と1週間の練習メニュー
よくある失敗
- エッセイに会話表現が混ざる:「So, I think...」「Anyway,...」「It's kinda hard.」など、会話の癖が試験の英作文に出てしまうケース。
- フォーマルにしようとして不自然になる:難しい単語を詰め込みすぎて、意味が伝わりにくくなるケース。フォーマル=難しい単語ではなく、ていねいで正確な表現のことです。
- 1つの文章の中でレベルがばらばら:最初はていねいなのに、途中で急に gonna が出てくると、読み手は違和感を持ちます。
1週間の練習メニュー
- 月:上の例1〜4を声に出して読み、3段階の違いを確認する
- 火:「誘う」「断る」「謝る」の3つを、カジュアルとニュートラルで書く
- 水:同じ3つをフォーマルで書く
- 木:過去に書いた英作文から、短縮形や口語表現を探してニュートラルに直す
- 金:句動詞5つを、1語の動詞に言い換える練習
- 土:友だち宛てと先生宛てで、同じ内容のメッセージを2通書き分ける
- 日:場面別の目安リストを見て、自分がよく書く場面のレベルを確認する
書き分けができるようになると、英語で書くときの「相手への気づかい」が伝わるようになります。まずは、今日書くメッセージを1つ、2つのレベルで書いてみましょう。



