ディスコースマーカーとは
ディスコースマーカー(discourse markers)は、文と文、段落と段落の関係を示す言葉です。日本語でいえば「しかし」「さらに」「たとえば」「したがって」のような表現にあたります。
英語の文章では、この言葉があるかどうかで読みやすさが大きく変わります。次の2つを比べてみてください。
- A:I wanted to study abroad. It was too expensive. I decided to join an online program.
- B:I wanted to study abroad. However, it was too expensive. Therefore, I decided to join an online program.
Aは文法的には正しいのに、3つの文の関係がわかりにくい文章です。Bでは However が「ここから逆の話」、Therefore が「ここから結果」を予告しているので、読み手は迷いません。
ただし、つなぎ言葉は多ければ多いほど良いわけではありません。すべての文の頭に付けると、かえってうるさくなります。大事なのは、関係がわかりにくいところにだけ、正しい種類を置くことです。
ポイント:ディスコースマーカーは「標識」。曲がり角には必要だけど、まっすぐな道に並べすぎると邪魔になります。
機能別・よく使うつなぎ言葉一覧
英作文でよく使うものを、役割ごとに整理しました。まずは各グループから2つずつ使えるようになれば十分です。
追加(さらに・加えて)
- also / in addition / moreover / furthermore / besides
- 例:The library is quiet. In addition, it has free Wi-Fi.
対比・逆接(しかし・一方で)
- however / on the other hand / in contrast / nevertheless / although(接続詞)
- 例:Online classes are flexible. On the other hand, it is hard to stay focused at home.
因果(だから・その結果)
- therefore / as a result / consequently / because(接続詞)/ because of(前置詞)
- 例:It rained heavily. As a result, the game was canceled.
例示(たとえば)
- for example / for instance / such as(名詞の前)
- 例:Some sports, such as soccer and basketball, require teamwork.
順序(まず・次に)
- first / second / next / then / finally
- 例:First, set a small goal. Next, decide when to study.
言い換え・強調(つまり・実際に)
- in other words / that is / in fact / indeed
- 例:He rarely misses practice. In fact, he has come every day this month.
結論(まとめると)
- in conclusion / to sum up / overall / for these reasons
- 例:For these reasons, I believe schools should offer more English classes.
学習者に多い誤用例と直し方
1. However を接続詞のように使う
- × I like summer, however I don't like the heat.
- ○ I like summer. However, I don't like the heat.
- ○ I like summer, but I don't like the heat.
However は接続詞ではなく副詞なので、2つの文をカンマだけでつなぐのは誤りとされるのが一般的です。文を切るか、セミコロンを使って I like summer; however, I don't like the heat. とします。迷ったら but を使うのが安全です。
2. Because を単独の文にする
- × I stayed home. Because I had a cold.
- ○ I stayed home because I had a cold.
Because は「理由の節」を作る接続詞なので、それだけで独立した文にはなりません。会話ではよく聞きますが、英作文では主節とつなげましょう。
3. On the other hand を「さらに」の意味で使う
On the other hand は「一方で(反対の面から見ると)」という対比の表現です。「その上」の意味で使うと、読み手は逆の話が来ると思って混乱します。追加なら in addition や also を使いましょう。
4. such as と for example の混同
- × There are many sports, for example soccer and tennis.(文として不完全になりやすい)
- ○ There are many sports, such as soccer and tennis.
- ○ There are many sports. For example, I enjoy soccer and tennis.
such as は名詞を並べるとき、for example は例を1つの文として示すときに使うと覚えると混乱しにくくなります。
文頭の And・But・So はダメ?
学校で「And や But で文を始めてはいけない」と習った人もいるかもしれません。実際には、英語の文章で And や But を文頭に置く例は珍しくなく、文法的に誤りとは言い切れません。
ただし、試験の英作文やフォーマルな文章では避けたほうが無難です。採点者によってはくだけた印象を持つことがあるからです。次のように置き換えると安心です。
- 文頭の And → In addition, / Also,
- 文頭の But → However,
- 文頭の So → Therefore, / As a result,
逆に、日記やSNS、友だちへのメールなら、文頭の But や So はむしろ自然です。場面によって使い分けましょう。
同じマーカーの連続に注意
「First, ... Second, ... Third, ...」は便利ですが、「In addition, ... In addition, ... In addition, ...」のように同じ言葉を繰り返すと単調になります。追加なら also → in addition → moreover と、少しずつ変えるだけで文章がこなれて見えます。
ポイント:言い換えのバリエーションは、1つの機能につき3つあれば十分です。多く覚えるより、確実に使える3つを持ちましょう。
1週間でつなぎ言葉を使いこなす練習
1日10〜15分でできるメニューです。
- 月:英語の文章を1つ読み、ディスコースマーカーに丸をつけて、機能(追加・対比など)をメモする
- 火:上の一覧から各機能2つずつ選び、自分用のミニ表を作る
- 水:接続詞なしで書いた3文(例:I was tired. I kept studying. I passed the test.)に、つなぎ言葉を入れて関係をはっきりさせる
- 木:誤用例の4パターンを見ながら、自分の過去の英作文をチェックする
- 金:あるテーマで、「主張→理由(because)→例(for example)→反対の面(however)→結論(therefore)」の5文を書く
- 土:金曜の文章から、なくても意味が通るマーカーを1つ削ってみる
- 日:1週間で使ったマーカーを数え、偏りがないか見直す
つなぎ言葉は、覚えた数より「正しく使えた回数」で身につきます。今日書く英文に、1つだけ意識して入れてみましょう。



