通勤リスニングは「聞き流し」だけでは足りない
通勤中に英語の音声を流しておけば、自然に聞き取れるようになる――そう期待したくなりますが、内容がわからないまま聞き流すだけでは、効果は限られます。理解できない音は、脳にとってはただの雑音に近いからです。
通勤リスニングの効果を上げるポイントは、次の2つです。
- 内容を知っている音声を聞く:一度スクリプトで確認した音声を聞くと、聞き取れる部分が確実に増えていきます
- 聞く目的を決める:「今日はPart 2の質問タイプを判断する」など、1つだけ目的を決めて聞く
つまり、通勤リスニングは「新しいことを学ぶ時間」ではなく、家や机で学んだことを定着させる時間と考えるとうまくいきます。
ポイント:夜に解いてスクリプトで確認した音声を、翌朝の通勤で聞く。この「夜に学んで、朝に定着」のサイクルが、通勤リスニングの基本です。
移動手段別の聞き方
電車・バス(座れる場合)
座れるなら、スクリプトやテキストを手元に置けます。
- スクリプトを見ながら音声を聞く→見ずに聞く、を繰り返す
- Part 3・4の設問を先読みしてから音声を聞く練習をする
- 口を小さく動かして、音声に合わせてささやくように読む(周りに迷惑にならない範囲で)
電車・バス(立っている場合)
テキストを広げにくいので、耳だけでできる練習が中心です。
- Part 2の音声を聞いて、質問を聞いた時点で応答の方向を頭の中で予想する
- 前日に解いたPart 3の会話を聞き、内容を頭の中で日本語でまとめる
車での移動
安全が最優先です。テキストを見る練習はせず、音声を聞くことだけに集中しましょう。声に出せる環境なら、音声のあとに続いて繰り返す練習(リピーティング)もできます。
徒歩・自転車
自転車でのイヤホンの使用については、地域のルールを確認し、安全を最優先にしてください。徒歩の場合も、周囲の音が聞こえる音量で聞きましょう。
公式問題集の音声を使い回すコツ
通勤リスニングにおすすめの教材は、すでに解いて復習した公式問題集の音声です。本番に近い形式・スピードの音声なので、本番の耳慣らしにもなります。
音声の使い回し方
- 夜に問題を解き、スクリプトで確認する
- 翌朝の通勤で、同じ音声を聞く
- 翌々日の通勤でも、同じ音声をもう一度聞く
- 1週間後に、もう一度聞いて聞こえ方の変化を確認する
同じ音声を何度も聞くと飽きると思うかもしれませんが、聞くたびに聞き取れる部分が増えていくのは、意外に楽しいものです。
パートごとの向き不向き
- Part 2:1問が短いので、立っているときにも向いている
- Part 3・4:会話やスピーチの内容を思い出しながら聞くのに向いている
- Part 1:写真を見ないと練習しにくいので、座れるときに
自作の例で言えば、前日に解いた会話で We need to reschedule the client visit because the train was delayed. という文があったら、通勤中に「電車が遅れたから、訪問の日程を変える話だった」と思い出しながら聞くイメージです。
1週間の通勤リスニングメニュー(片道20〜30分)
月曜
- 行き:前日(日曜)に解いたPart 2の音声を聞き、質問タイプを判断
- 帰り:単語帳の音声(覚えている単語の確認)
火曜
- 行き:前日の夜に解いたPart 3の会話を聞き、内容をまとめる
- 帰り:同じ音声を、スクリプトの内容を思い出しながらもう一度
水曜
- 行き:前日に解いたPart 4の説明文を聞く
- 帰り:Part 2の音声で、質問を聞いた時点で応答を予想する練習
木曜
- 行き:月曜〜水曜の音声から、聞き取りにくかったものを選んで聞く
- 帰り:単語帳の音声
金曜
- 行き:前日に解いたPart 3・4を聞く
- 帰り:好きな英語のポッドキャストや動画の音声で、楽しみながら耳を慣らす
週末
通勤がない日は、平日に聞いた音声のスクリプトを見直し、聞き取れなかった部分を確認します。
続けるための工夫
プレイリストを作っておく
朝、どの音声を聞くか迷っていると、時間がもったいないです。前日の夜に、翌日聞く音声をプレイリストにまとめておきましょう。
再生速度を工夫する
音声アプリで再生速度を変えられる場合、最初は少し遅めで聞き、慣れてきたら通常の速さに戻すのも1つの方法です。ただし、本番は通常の速さなので、最終的には通常の速さで聞き取れることを目指します。
疲れた日は好きな英語でもOK
仕事で疲れた帰り道まで、TOEICの音声を聞く必要はありません。好きな英語の歌やポッドキャストを聞くだけでも、英語に触れる時間はゼロになりません。
記録をつける
通勤でどの音声を聞いたかを簡単にメモしておくと、1週間後に同じ音声を聞き直すときに便利です。
イヤホンは周囲の音も意識して
ノイズキャンセリング機能などで音声に集中できるのは便利ですが、駅のアナウンスや周囲の状況に気づけるよう、使い方には気をつけましょう。
通勤中にできる「頭の中の英語」練習
音声を聞くだけでなく、通勤中は頭の中で英語を使う練習にも向いています。
見えたものを英語で説明する
電車の窓から見える景色や、駅の様子を、心の中で英語で説明してみましょう。これはPart 1の写真描写問題の練習にもなります。
自作の例:
- A man is reading a newspaper.(男性が新聞を読んでいる)
- Some people are waiting on the platform.(何人かがホームで待っている)
- A train is approaching the station.(電車が駅に近づいている)
その日の予定を英語で言う
その日の仕事や学校の予定を、英語で頭の中で言ってみます。
- I have a meeting with a client at ten.
- I need to finish the report by five.
聞いた音声を頭の中で要約する
Part 3・4の音声を聞いたあと、「誰が、何について、何をする話だったか」を英語で1文にまとめます。
これらの練習は、音声を聞けない混雑した電車の中でもできます。通勤時間を「聞く時間」と「頭の中で英語を使う時間」に分けて使うと、さらに効果的です。
よくある失敗
失敗1:初めて聞く音声を流し続ける
内容がわからないまま聞くと、途中から英語が頭に入ってこなくなります。まずは一度確認した音声から始めましょう。
失敗2:目的なく聞く
「なんとなく英語を流している」状態では、気づくと別のことを考えていることも。1回の通勤で1つだけ目的を決めて聞きましょう。
失敗3:安全より勉強を優先する
移動中は周りへの注意が必要です。音量を上げすぎない、車や自転車では安全を最優先にする、といったことを必ず守ってください。
通勤時間は、毎日必ずやってくる勉強時間です。今夜解いた問題の音声を、明日の朝のプレイリストに入れるところから始めましょう。



