全体像:リスニングは「流れに乗る」、リーディングは「自分で配分する」
TOEIC L&Rは、リスニング約45分・100問のあと、リーディング75分・100問が続きます。この2つは時間の性質がまったく違います。
- リスニング:音声が進むペースは全員同じ。自分で時間を増やすことはできないが、設問の先読みで使える時間を生み出せる
- リーディング:75分をどう使うかは自分次第。Part 5・6で時間を節約してPart 7に回すのが基本戦略
「時間が足りない」と感じる人の多くは、Part 5で1問に1分以上悩んだり、Part 7の1題にこだわりすぎたりしています。以下で紹介する目安は、あくまで一般的な考え方です。公式問題集で自分のペースを測り、自分用の配分表を作るのがゴールです。
ポイント:時間配分は「知っている」だけでは身につきません。模試を解くたびに、各パートの終了時刻をメモする習慣をつけましょう。
Part 1・2:短い問題で「集中のスイッチ」を入れる
Part 1 写真描写(6問)
写真を見て、4つの説明文から正しいものを選びます。音声が流れる前に、写真の中の人物の動作・物の位置・場所をざっと確認しておきましょう。
よくあるひっかけは、写真に写っている物の名前は出てくるのに、動作や状態が違うパターンです。たとえば、机の上に書類が置いてある写真で「書類を整理している」と言われたら、動作が合っていません。名詞だけで飛びつかないことが大切です。
Part 2 応答(25問)
質問や発言に対して、3つの応答から最も適切なものを選びます。問題用紙には何も印刷されていないので、音声だけが頼りです。
- 最初の疑問詞(When / Where / Who / Why / How)を絶対に聞き逃さない
- 質問に含まれる単語と同じ単語・似た音の単語が入った選択肢は、ひっかけのことが多い
- 「わかりません」「確認します」のような、質問に直接答えない自然な応答が正解になることもある
迷ったら、すぐにマークして次の問題に切り替えましょう。Part 2は1問ごとの間隔が短いので、引きずると連鎖的に崩れます。
Part 3・4:先読みのリズムを作る
Part 3(会話、39問)とPart 4(説明文、30問)は、1つの音声に3問ずつ設問がついています。ここでの最大のコツは設問の先読みです。
先読みの基本サイクル
- 音声が流れる前に、次の3問の設問文(できれば選択肢も)に目を通す
- 「誰が」「何を」「いつ」など、聞くべきポイントを頭に入れる
- 音声を聞きながら、答えがわかった時点でマーク
- 音声が終わったら、残りの問題を素早くマークし、すぐに次の3問の先読みへ
このサイクルのリズムが崩れる最大の原因は、わからない問題で考え込むことです。音声が終わっても答えが出ないなら、勘でマークして次へ進みましょう。1問を捨てる勇気が、次の3問を守ります。
設問の順番と音声の順番
多くの場合、設問の順番と、答えのヒントが出てくる順番はおおむね一致しています。1問目のヒントを聞き逃しても、2問目・3問目に意識を切り替えることで被害を最小限にできます。
図表問題
グラフや表などを見ながら答える問題では、選択肢に並んでいない方の情報(たとえば選択肢が店名なら、表の中の値段や曜日)を聞き取るのがポイントです。
Part 5・6:Part 7のための時間を「貯金」する
リーディングの勝負は、Part 5(短文穴埋め、30問)とPart 6(長文穴埋め、16問)でどれだけ時間を節約できるかにかかっています。
目標時間の目安
- Part 5:1問あたり20秒前後、全体で10分程度
- Part 6:1文書(4問)あたり2分前後、全体で8分程度
これでPart 7に55分前後を残せる計算になります。もちろん、最初からこのペースで解ける必要はありません。まずはPart 5を15分以内など、自分の現在地から少しずつ縮めていきましょう。
Part 5の解き方
- まず選択肢を見て、問題のタイプを判断する
- 同じ語の形違い(例:decide / decision / decisive)→ 品詞問題。空所の前後だけで解けることが多い
- 意味の違う単語が並ぶ → 語彙問題。文全体の意味が必要
- 前置詞・接続詞が並ぶ → 文の構造を確認
- 知らない語彙の問題は、考えても答えは出てきません。5秒で決めて次へ
Part 6の解き方
Part 6には、文書の流れに合う「文」を選ぶ問題も含まれます。空所の前後の文だけでなく、段落全体の話の流れを意識して読みましょう。接続語(However、In addition など)が大きなヒントになります。
Part 7:54問を最後まで走り切る作戦
Part 7は、1つの文書を読むシングルパッセージと、2〜3つの文書をまとめて読むマルチプルパッセージで構成されています。問題数が多く、ここで時間切れになる人がとても多いパートです。
読む順番の工夫
- 設問を先に読む:何を探せばよいかを知ってから本文を読むと、読むべき場所が絞れます
- 文書の種類(メール、広告、記事、チャットなど)を最初に確認する:種類がわかれば、どこに何が書いてあるか予測しやすくなります
設問タイプ別のコツ
- 詳細を問う問題:設問のキーワード(日付、人名、商品名)を本文で探す
- 「正しくないもの」を選ぶ問題(NOT問題):選択肢を1つずつ本文と照合するので時間がかかる。後回しにしてもOK
- 文を挿入する位置を選ぶ問題:挿入文の中の代名詞や接続語をヒントに、前後がつながる場所を探す
- マルチプルパッセージ:2つ以上の文書を組み合わせないと解けない問題がある。条件(割引の条件、日程の変更など)に注目
時間切れ対策のルール
- 1題にかける時間の上限を決め、超えたら印をつけて次へ
- 残り5分になったら、未回答の問題をすべてマークする(空欄は確実に0点)
- 最後に余った時間で、印をつけた問題に戻る
ポイント:Part 7の後半には、比較的短い文書もあります。前半の難しい1題に固執して、後半の取れる問題を落とすのはもったいない。「全部読む」より「取れる問題を全部取る」を目標に。
マークと集中力の小さな工夫
スコアに直結する、ちょっとした工夫も紹介します。
- マークは解きながら:最後にまとめてマークすると、ずれや時間切れの原因になります
- リスニング中のマークは軽く小さく:塗りつぶしに時間をかけず、音声に集中する
- 腕時計で時刻をチェック:会場によっては時計が見えにくいことがあります。受験のルールで認められた時計を用意しておくと安心です
- リスニング開始前の説明時間:Part 1・2の説明が流れる間の使い方は、公式のルールで許されている範囲で工夫しましょう。受験ルールは必ず受験案内で確認してください
2時間の試験は、想像以上に集中力を使います。模試はスマホを別の部屋に置き、本番と同じように通しで解く練習をしておくと、本番で後半に崩れにくくなります。
自分専用の「時間配分表」を作ろう
最後に、今日から作れる時間配分表のテンプレートを紹介します。模試を解くたびに、次の項目を記録しましょう。
- Part 5終了時刻(リーディング開始から何分か)
- Part 6終了時刻
- Part 7シングルパッセージ終了時刻
- 最後まで解き終わったか、何問残ったか
- パート別の正答数
3回分ほど記録すると、「Part 5で予定より5分オーバーしている」「マルチプルパッセージで急に正答率が落ちる」など、自分の課題がはっきりします。
時間配分は、英語力と一緒に少しずつ改善していくものです。いきなり理想の配分を目指すのではなく、前回より1分でも早く、1問でも多く。その積み重ねが、確実にスコアを押し上げてくれますよ。



