先読みとは?なぜ効くのか
Part 3・4では、IIBCの公式案内のとおり、設問と選択肢が問題用紙に印刷されています。一方、会話や説明文そのものは印刷されておらず、音声は1回しか流れません。
先読みとは、音声が流れる前に設問(と場合によっては選択肢)を読んでおき、「何を聞き取ればいいか」を先に知っておく方法です。
先読みが効く理由はシンプルです。
- 聞くべき情報がわかっているので、必要な部分に集中できる
- 会話の場面(オフィス、店、電話など)を予測しやすくなる
- 設問の順番どおりに答えが出てくることが多いので、流れを追いやすい
ただし、先読みは「やれば必ず点が上がる魔法」ではありません。聞き取る力が土台にあってこそ効果を発揮します。リスニングの基礎練習と並行して身につけましょう。
ポイント:先読みの目的は「全部を覚えること」ではなく、「聞く目的を決めること」です。
設問のどこを読むか:キーワードの絞り方
設問を全部読んで覚えようとすると、音声が始まったときに頭がいっぱいになります。読むのは設問の核心部分だけで十分です。以下は編集部の作例です。
- What is the woman's problem? → 「女・問題」
- Where most likely does the man work? → 「男・職場」
- What will the speakers do next week? → 「来週・何する」
- According to the man, why was the event postponed? → 「男・延期の理由」
このように、誰の(男・女)+何を(問題・場所・理由・次の行動)という2つの要素に絞って覚えます。
特に大事な要素
- 性別:the man / the woman で、誰の発言に答えがあるかが決まる
- 疑問詞:What / Where / Why / When
- 固有名詞・数字・時:next week, on Friday, Ms. Lopez など。音声で聞こえた瞬間に「ここだ」と分かる目印になる
選択肢まで読むべきか?
これは多くの学習者が迷うポイントです。結論から言うと、自分の読むスピードと聞き取り力に合わせて決めるのが正解です。
設問だけ読む(おすすめの出発点)
- メリット:時間に余裕ができ、焦りにくい
- 向いている人:先読みに慣れていない人、音声が始まってから焦りがちな人
選択肢まで読む
- メリット:答えの候補を知ったうえで聞けるので、判断が速い
- 向いている人:読むスピードに余裕があり、設問と選択肢を短時間で処理できる人
中間の方法
選択肢が短い(1〜3語程度の)ときだけ選択肢まで読み、長い文の選択肢は設問だけにする、という使い分けもあります。
たとえば、選択肢が (A) At a bank (B) At a hotel (C) At a library (D) At a factory のように短い場所の名前なら、一目で読めます。一方、選択肢が長い文なら、設問だけ読んで音声を待つほうが安全です。
どの方法が合うかは、模試で試してみないと分かりません。同じ方法で最低3回分は試すと、自分に合うかどうか判断しやすくなります。
先読みしたキーワードを「待ち構える」
先読みでキーワードを決めたら、音声を聞くときはそのキーワードや、その言い換えを待ち構えます。たとえば設問が「延期の理由」なら、postponed だけでなく、delayed, moved, put off などが聞こえた瞬間に集中を高めます。言い換えを知っているほど、キーワードの「網」が広がり、答えの部分を逃しにくくなります。
先読みのリズム:時間を生み出すには
先読みの時間は、主に次のタイミングで作ります。
- ディレクション(指示文)が流れている間:Part 3・4の最初の説明の時間を使い、最初の問題の設問を読む
- 前の問題の解答時間:3問の設問が読み上げられている間にマークを済ませ、次の設問に目を移す
つまり、先読みの時間を生み出すカギは、前の問題のマークを素早く終わらせることです。迷っている問題にしがみつくと、次の先読みができず、連鎖的に崩れてしまいます。
3問の答えが出そろう前でもマークする
会話を聞きながら、答えが分かった時点でその場でマークしていくと、会話が終わった瞬間に次の設問へ目を移せます。会話が終わってから3問まとめて考えると、時間が足りなくなりがちです。
時間配分全体の考え方については、別記事「TOEICの時間配分と解き方のコツ」でも紹介しています。
先読みが崩れたときの立て直し方
本番では、先読みが間に合わないことが必ず起こります。大切なのは、崩れたときの動き方を決めておくことです。
立て直しのルール
- 今流れている会話の設問を、読めるところまで読む
- 間に合わなかった設問は、音声を聞いたあと勘でもいいのですぐにマークする
- 次の会話の設問に目を移し、そこからリズムを取り戻す
「1セット捨てて、次の先読みに切り替える」判断も、立派な戦略です。3問を落とすのは痛いですが、焦って次の会話まで巻き込まれると、6問、9問と被害が広がります。
よくある崩れ方
- 1問目の答えを待っているうちに、2問目のヒントが流れ去る
- 図表問題で図を見ている間に音声が進んでしまう
- 前のセットで分からなかった問題を考え続ける
どれも「1つのことにこだわる」ことが原因です。分からなければ即マークして前へ、を合言葉にしましょう。
先読みの練習ステップと1週間メニュー
先読みは、本番でいきなりやってもうまくいきません。段階を踏んで練習しましょう。
練習ステップ
- 音声を止めて先読み:設問を読む時間を自分でとってから音声を流す。キーワードの絞り方に慣れる
- 本番と同じタイミングで先読み:音声を止めずに、解答時間の間に次の設問を読む
- 復習でスクリプトと照合:設問のキーワードが、会話のどこで出てきたかを確認する
3番目の照合をすると、「1問目の答えは会話の前半」「次の行動は最後」といった、答えが出る位置の感覚がつかめます。
1週間メニュー(1日15〜20分)
- 月:Part 3を2会話。音声を止めて先読みし、キーワードをメモ
- 火:Part 3を2会話。本番のタイミングで先読み
- 水:Part 4を2本。本番のタイミングで先読み
- 木:図表問題を含むセットを2つ。図表と設問の見方を練習
- 金:選択肢まで読む/読まないを比べて2セットずつ
- 土:Part 3・4を通しで。先読みが崩れた回数を記録
- 日:休み、またはスクリプトで答えの位置を確認
よくある失敗とまとめ
- 設問を全部覚えようとする:キーワード2つに絞る
- 選択肢を全部読んで頭がいっぱいになる:まずは設問だけから始める
- 前の問題にしがみつく:即マークして次の先読みへ
- 先読みだけで聞き取り練習をしない:土台の聞き取り力がなければ効果は限定的
先読みは、正しく練習すればPart 3・4の安定感を大きく高めてくれる技術です。今日は、公式問題集のPart 3から1会話を選び、音声を止めた状態で設問を「誰の+何を」の2語に絞る練習をしてみましょう。それができたら、次は音声を止めずに挑戦です。



