Listen and Repeatで問われる力
ETSの公式情報に基づくと、新形式のスピーキングは約8分で、聞いた英文をそのまま繰り返す「Listen and Repeat」と、録画された面接官の質問に答える「Take an Interview」の2種類で構成されています。人との対面ではなく、パソコンに向かって話します。
Listen and Repeatでは、次の力が問われると考えられます。
- 聞き取る力:英文を正確に聞き取る
- 保持する力:聞いた英文を頭の中に一時的にとどめる
- 再現する力:正しい発音・リズムで言い直す
2つ目の「保持する力」がポイントです。英文を単語1つ1つで覚えようとすると、長い文では記憶が追いつきません。意味のかたまりで覚えることで、長い文でも再現しやすくなります。
ポイント:音を覚えるのではなく、意味を理解して「自分の文」として言い直す感覚を育てましょう。
意味のかたまりで覚えるコツ
英文は、意味のかたまり(チャンク)ごとに区切ると覚えやすくなります。自作の例で確認しましょう。
例1(短め)
The library will be closed / on Monday / for a staff meeting.
→ 3つのかたまり
例2(長め)
Students who want to join the field trip / should sign up / at the front desk / by Thursday afternoon.
→ 4つのかたまり
単語で数えると例2は16語ありますが、かたまりで考えれば4つです。人間が一度に覚えられる情報には限りがあるため、かたまりにまとめることが長い文を再現するカギになります。
かたまりの作り方
- 主語のかたまり(Students who want to join the field trip)
- 動詞のかたまり(should sign up)
- 場所・時間のかたまり(at the front desk / by Thursday afternoon)
文法の知識があると、かたまりが見えやすくなります。関係詞や前置詞句の構造に慣れておきましょう。
リピーティングの練習法
リピーティングは、音声を聞いた後に一時停止し、同じ文を言う練習です。Listen and Repeatに最も近い練習です。
手順
- 1文ずつ区切られた音声を用意する(学習者向け音声や教材の例文)
- 1文を聞いて、一時停止する
- テキストを見ずに、聞いたとおりに言う
- テキストで確認し、言えなかった部分に印をつける
- 同じ文をもう一度聞いて、言い直す
段階的に長くする
- 第1週:5〜8語の文
- 第2週:9〜12語の文
- 第3週:13語以上の文
録音して確認
自分の声を録音して、元の音声と比べます。
- 抜けた単語はないか(冠詞 a / the、複数形の s、過去形の -ed は抜けやすい)
- 語順は合っているか
- リズムと強勢は元の音声に近いか
シャドーイングで音の土台を作る
シャドーイングは、音声を聞きながら、少し遅れて影のように同じ英語を言う練習です。リピーティングとは違い、一時停止をしません。
シャドーイングの効果
- 英語のリズムや音のつながりに慣れる
- 聞き取りと発話を同時に処理する力がつく
- 口が英語の音に慣れる
手順
- 1〜2分の音声を選ぶ(自分のレベルより少しやさしいもの)
- まずテキストを見ながら音声に合わせて読む(オーバーラッピング)
- テキストを見ずにシャドーイング
- 言えなかった部分をテキストで確認
- もう一度シャドーイング
リピーティングで「正確さ」を、シャドーイングで「リズムと流れ」を鍛えるイメージです。両方を組み合わせると、Listen and Repeatに必要な力をバランスよく伸ばせます。
抜けやすい音と文法に注意
日本の学習者がリピーティングで抜かしやすい音は、決まったパターンがあります。
抜けやすいもの
- 冠詞:a / an / the
- 複数形・三単現の s:students, she needs
- 過去形の -ed:finished, walked
- 短縮形:I'll, we're, didn't
- 前置詞:in, at, on, for
これらは音として弱く発音されるため、聞き逃しやすく、言い直すときにも抜けてしまいます。
対策
- 聞き取れなかった部分をテキストで確認したら、文法的に考えて補う習慣をつける
- 「Students は複数だから need に s はつかない」のように、文法で確認
- 弱い音を意識して音読する
文法の知識は、聞き取れなかった部分を補う力になります。意味と文法から正しい形を再現できれば、正確さが大きく上がります。
1日15分の練習メニュー
平日15分メニュー
- 5分:シャドーイング(1〜2分の音声を2回)
- 7分:リピーティング(10文)
- 3分:録音を聞き直し、抜けた音をチェック
素材の選び方
- 学習者向けの音声つき教材
- 大学生活の案内(図書館、授業の連絡など)を読み上げた音声
- 自分のレベルより少しやさしいもの
週末のメニュー
- 公式サンプル問題でListen and Repeatを練習
- 1週間で抜けやすかった音をまとめて復習
- 長めの文(15語前後)のリピーティングに挑戦
この練習は、リスニング全体の力にもつながります。スピーキング対策でありながら、聞き取りの精度も上がる、効率の良い練習です。
パソコンに向かって話す練習
新形式のスピーキングは、人との対面ではなくパソコンに向かって話します。普段の会話とは違う環境なので、慣れておかないと本番で声が小さくなったり、緊張で早口になったりしがちです。
本番に近い環境で練習する
- ヘッドセットやイヤホンマイクをつけて練習する
- パソコンの画面を見ながら、録音アプリで話す
- 周りに人がいる状況(図書館の個室やカフェなど、迷惑にならない場所)でも、落ち着いて声を出す練習をする
テストセンターでは、他の受験者も同じ部屋で話していることがあります。周りの声に気を取られず、自分の音声に集中する練習として、テレビやラジオを小さな音で流しながらリピーティングするのも1つの方法です。
声の大きさとスピード
録音を聞き直すとき、声がはっきり聞こえるか、元の音声より極端に速くなっていないかも確認しましょう。自然な大きさとスピードで、はっきり話すことを心がけます。
よくある失敗と今日やること
よくある失敗
- 音だけを覚えようとして、長い文で崩れる
- 冠詞や -s、-ed を抜かす
- 途中で詰まると、残りをすべて言わずに止まる
- 練習でテキストを見ながらばかり言っていて、聞くだけで再現する練習が少ない
本番での心構え
一部が聞き取れなくても、止まらずに聞き取れた部分を言い切ることが大切です。完全に再現できなくても、できるだけ多くの部分を正確に言うことを目指しましょう。
今日は、学習者向けの音声から5文を選んで、1文ずつ一時停止してリピーティングしてみましょう。録音して、抜けた単語に印をつけるところまでやれば完璧です。



