ノートテイキングの目的をはっきりさせる
ETSの公式情報に基づくと、新形式のリスニングは約29分で、応答問題、会話、アナウンス、授業形式の講義の4種類で構成されています。音声は1回のみです。
ノートテイキングの目的は、全部を記録することではなく、あとで設問に答えるための手がかりを残すことです。
メモが必要な場面・不要な場面
- 応答問題:音声が短いので、メモより集中して聞くことを優先
- 会話・アナウンス:目的や変更点、数字をメモ
- 講義:主題とポイントの構成をメモ
メモの3原則
- 少なく:単語と記号で、1行に1つの情報
- 構造的に:主題・ポイント・例の関係がわかるように
- 自分が読める:日本語・英語・記号を混ぜてOK
ポイント:メモは「聞く」を助けるためのもの。書くことに夢中になって聞き逃したら本末転倒です。
自分用の記号・略語を決める
速くメモを取るために、自分用の記号と略語を決めておきましょう。本番で初めて考えると、かえって時間がかかります。
記号の例
- ↑ 増加、上昇、良くなる
- ↓ 減少、下降、悪くなる
- → 原因と結果、〜になる
- = 同じ、定義
- ≠ 違う、対比
- × 否定、だめ、失敗
- ? 疑問、不明
- ★ 重要(教員が強調した点)
- ex 例
略語の例
- b/c = because
- w/ = with、w/o = without
- govt = government
- env = environment
- info = information
- prof = professor
- stu = student
- imp = important
練習のコツ
最初は10個程度の記号・略語から始め、慣れたら少しずつ増やしましょう。多すぎると、自分でも意味を忘れてしまいます。
会話とアナウンスのメモの型
会話のメモの型
会話では、「誰が・何に困っていて・どう解決するか」を押さえます。
自作の例(練習用):学生が寮の部屋の騒音について職員に相談し、職員が部屋の移動と、静かな自習室の利用を提案する会話
メモ:
stu:寮 noise × 眠れない
職員:①部屋 移動(空き→来週)②study room 4F 24h
stu→①申請する
アナウンスのメモの型
アナウンスでは、「何が変わったか・いつ・何をすべきか」を押さえます。
自作の例(練習用):図書館の開館時間が試験期間中に延長され、深夜は学生証の提示が必要になるという案内
メモ:
lib 時間延長 試験期間
〜2am(通常〜10pm)
10pm以降 学生証 必須
数字(時間・日付・部屋番号)は必ず書き、変更の前後を矢印で示すと、あとで見返したときにわかりやすくなります。
講義のメモの型
講義では、主題と構成を押さえることが大切です。
講義のメモの型
- 1行目:主題(Today we're going to look at... の後)
- 2行目以降:ポイントに番号を振る
- 例は ex で、ポイントの下に字下げして書く
- 教員が強調した点には ★
自作の例(練習用)
講義の内容:都市のヒートアイランド現象について。原因として、アスファルトなどが熱をためること、緑地が少ないことを説明。対策として屋上緑化を紹介し、効果はあるが費用が課題だと述べる。
メモ:
TOPIC:urban heat island
①原因:asphalt → 熱 ためる
②原因:緑 少ない
対策:屋上緑化 ★
効果○ / 費用× 課題
展開の目印
- First / Second / Finally → 番号を振る
- For example → ex
- However / On the other hand → ≠
- The key point is → ★
こうした表現を聞いたら、メモの構造を変える合図だと考えましょう。
メモはスピーキング・ライティングにも役立つ
ノートテイキングの力は、リスニング以外でも役立ちます。
Take an Interviewの準備
質問を聞いて答える前に、頭の中で「結論・理由・例」の3点を素早く整理する力は、メモの構造化の練習と共通しています。練習の段階では、答える前に10秒で3つのキーワードを書き出してから話す練習も効果的です。
Write for an Academic Discussion
教員の問いと他の学生の意見を読むとき、それぞれの要点を1行でメモしておくと、自分の答案で他の参加者の意見に触れやすくなります。
メモ例:
prof:personal finance 必修?
A:賛成 カード知らない
B:反対 授業多い
自分:賛成 ← Bに反論(短い授業でOK)
留学後の授業でも
ノートテイキングは、留学後の実際の授業でも必要になる技能です。試験対策として身につけた力は、そのまま大学生活で役立ちます。
毎日10分のトレーニング
トレーニングの手順
- 講義や会話の音声を2〜3分選ぶ
- 音声を1回だけ聞きながらメモを取る
- メモだけを見て、内容を日本語か英語で30秒説明する
- スクリプトや字幕で確認し、抜けた要点をチェック
- 自分のメモの改善点を1つ決める
1週間のメニュー
- 月:会話の音声でメモ
- 火:アナウンス形式の音声でメモ
- 水:講義(2〜3分)でメモ
- 木:講義(5分)でメモ
- 金:メモを見て英語で要約(スピーキング練習を兼ねる)
- 土:公式サンプル問題でメモを使って解く
- 日:記号・略語リストの見直し
素材の選び方
大学の公開講座、教育系の講義動画、学習者向けのニュースなど、スクリプトや字幕で確認できるものを選ぶと、答え合わせがしやすくなります。
メモのよくある型を練習で固める
メモの取り方は、練習を重ねるほど自分の型が固まっていきます。練習の段階で、次の2つの型を試してみましょう。
縦型(リスト型)
上から下へ、情報を1行ずつ並べる。講義の構成を追うのに向いています。
左右型(対比型)
ページを縦に2分割し、左に「A説・利点」、右に「B説・欠点」を書く。対比が中心の講義や、2人の意見が違う会話に向いています。
例:
利点|欠点
安い|壊れやすい
軽い|修理× 難しい
音声が始まって最初の数文を聞き、「これは対比の話だ」とわかったら左右型に切り替える、という判断ができるようになると、メモの質が上がります。
よくある失敗と今日やること
よくある失敗
- 聞こえた単語を全部書こうとして、次の文を聞き逃す
- メモが雑すぎて、あとで読めない
- 数字や固有名詞を書き忘れる
- 記号を本番で初めて考える
- 応答問題のような短い音声でもメモを取ろうとして、集中が途切れる
今日やること
- 自分用の記号を5つ、略語を5つ決める
- 2〜3分の講義音声を1回だけ聞いてメモを取る
- メモだけを見て、内容を30秒で説明してみる
最初はうまくいかなくて当然です。メモが多すぎた日は「次は半分に減らす」、少なすぎた日は「数字だけは必ず書く」というように、1回ごとに小さな修正を加えていきましょう。毎日10分続けるうちに、何を書いて何を書かないかの判断が速くなっていきます。



