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🌍 英語学習

📚 語彙研究を大学の英語授業に活かす方法|4つの柱と単語テストの改善

✍️ 原田英語が厳選・執筆🗓 2026-09-28📖 6分🎁 読了で +10XP
大学の英語授業で「単語は各自で覚えてきて」と伝えるだけになっていませんか。語彙の研究は数十年にわたって蓄積されており、どの語を、どのくらい、どう学べばよいかについて、授業づくりに使える知見がたくさんあります。この記事では、研究の考え方を大学の授業設計に落とし込む具体的な方法を紹介します。

どの語から教えるか:頻度という物差し

語彙研究でまず押さえたいのは、語の頻度によって役割が違うという考え方です。

  • 高頻度語:日常のどんな英文にも繰り返し出てくる基本語。数は少なくても、文章の大部分を占めます
  • 学術語彙:分野を問わず学術的な文章によく出てくる語(analyze, significant, approach など)
  • 専門語彙:特定の分野でだけ使われる語(医療の diagnosis、経済の inflation など)
  • 低頻度語:それ以外の多くの語

大学生の多くは、高頻度語はある程度学んできていますが、学術語彙が手薄なことがよくあります。一般教養の英語では、ここに重点を置くのが効果的です。

学術語彙のリストとしては、Academic Word List や、NGSLプロジェクトが公開している学術語彙リストなどが知られています。リストを丸暗記させるのではなく、授業で読む英文に出てきた語をリストと照らし合わせて優先順位をつけるのが現実的な使い方です。

どのくらい知っていれば読めるのか

英文を辞書なしで無理なく読むには、文章中の語のかなり高い割合(研究ではおよそ95〜98%程度という目安がよく引用されます)を知っている必要があると考えられています。裏を返せば、知らない語が多すぎる英文は、読解の練習にも語彙の学習にも向かないということです。

授業で使える点検方法を紹介します。

  1. 使う予定の英文から、ランダムに100語分を選ぶ
  2. 学生が知らないと思われる語に印を付ける
  3. 印が5語を大きく超えるなら、注釈を付けるか、別の英文を検討する

Compleat Lexical Tutor の VocabProfile のようなツールを使うと、英文の語彙がどの頻度帯に属するかを自動で色分けできます。教材選びの勘を、データで補うことができます。

ポイント:難しい英文を読ませることが悪いわけではありません。精読用の難しい英文と、流暢さを育てるやさしい英文を分けて考えるのがコツです。

Nationの「4つの柱」で授業のバランスを点検する

語彙研究で知られるPaul Nationは、言語学習のプログラムを4つの柱(four strands)のバランスで考えることを提案しています。

  1. 意味中心のインプット:内容を楽しみながら読む・聞く
  2. 意味中心のアウトプット:伝えたいことを話す・書く
  3. 言語に焦点を当てた学習:単語カード、発音練習、文法の説明など
  4. 流暢さの養成:すでに知っている語を使って速く読む・話す

この枠組みで自分の授業を点検すると、偏りが見えてきます。たとえば、90分のうち60分が英文の和訳と文法説明なら、3番目の柱に大きく偏っていることになります。

点検の例

  • インプット:今は精読のみ → 授業外に多読を追加
  • アウトプット:ほぼなし → 毎回3分のペアトーク
  • 言語焦点:60分 → 45分に短縮
  • 流暢さ:なし → 既習英文の速読を1回

4つを均等にする必要はありませんが、どれか1つがゼロになっていないかを確かめるだけでも授業は変わります。

単語テストを「覚えたか」から「使えるか」へ

多くの大学で行われている毎週の単語テストも、少しの工夫で効果が上がります。語を知っているということには、意味・形・使い方など複数の側面があるからです。

改善例:意味だけのテストから段階的なテストへ

  • 改善前:英単語を見て日本語訳を書く(20問)
  • 改善後:
  1. 英語→日本語の意味(10問)
  2. 日本語→英語のつづり(5問)
  3. コロケーションの選択(3問):例 ___ a conclusion(reach / arrive / get)
  4. 自分のことを1文で書く(2問):例 significant を使って

さらに、前の週までの語を必ず2〜3割混ぜると、間隔を空けて思い出す練習になります。一度テストした語を二度と出さない形式は、せっかく覚えた語を忘れやすくしてしまいます。

採点の負担が気になる場合は、1と2を小テストツールで自動採点し、3と4だけを手で見る方法もあります。

学生に渡す「1週間の語彙学習メニュー」

授業外の自習を学生任せにしないために、具体的なメニューを示すのが効果的です。以下は、1日15分を想定した例です。

  • 月:今週の新出語20語を単語カード(紙またはアプリ)に作る。表に英語、裏に意味と例文
  • 火:カードで想起練習。答えを見る前に必ず思い出そうとする
  • 水:前の週の語も混ぜて想起練習。間違えた語を別の束に分ける
  • 木:新出語のうち5語を使って、自分の専攻や生活について5文書く
  • 金:多読用のやさしい本か、授業の英文を読み直し、今週の語に出会えたら印を付ける
  • 土:間違えた語の束だけを復習
  • 日:休み(または音読で今週の英文を1回読む)

大切なのは、想起(思い出す)と間隔(日を空ける)を組み込むことです。眺めるだけの学習より、思い出そうとする学習のほうが記憶に残りやすいことは、学習研究で広く確かめられています。

学術語彙を読解の授業と結びつける例

学術語彙は、単語リストで覚えるより、実際の英文の中で何度も出会うほうが定着しやすくなります。読解の授業と結びつける手順の例です。

  1. 予習:授業で読む英文(700語程度)から、学術語彙を教師が5〜8語選んでおく
  2. 導入(10分):選んだ語を文脈なしで示し、知っている語に印を付けさせる
  3. 読解(30分):英文を読みながら、選んだ語が出てきたら下線を引き、前後の語もいっしょに書き出す
  • 例:a significant increase in, play a crucial role in
  1. まとめ(10分):書き出した「語のかたまり」を使って、自分の専攻に関する文を1つ書く
  • 例:Social media plays a crucial role in how students choose their universities.
  1. 次週:同じ語を別の英文や小テストで再び扱う

大切なのは、語を単独ではなくかたまりで覚えることと、翌週以降に再会させることです。1回の授業で覚えきることを目指すより、学期を通して何度も出会う設計にしましょう。

よくある失敗:リスト配布で終わってしまう

語彙研究を授業に取り入れようとしたときによくある失敗を挙げます。

1. リストを配って終わり

学術語彙リストを配布しただけでは、学生はどう使えばよいか分かりません。授業の英文とリストをつなぐ作業を、教師が最初の数回は一緒に行いましょう。

2. すべての語を同じ重みで扱う

低頻度語の暗記に時間をかけすぎると、よく使う語の定着が後回しになります。語の頻度に応じて、「使えるように練習する語」と「読んで分かればよい語」を分けます。

3. テストが意味の暗記だけ

意味だけのテストでは、書くときに使えない語が増えます。コロケーションや例文作成を少しずつ加えましょう。

まずは次の単語テストで、前の週の語を3問だけ混ぜるところから始めてみてください。それだけでも、学生の復習の仕方が変わるはずです。

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よくある質問

語彙サイズテストは大学の授業で使えますか?
研究者が公開している語彙サイズテストは、学生のおおよそのレベルを知る手がかりになります。ただし、成績評価に直接使うのではなく、クラス分けや教材選びの参考として使うのが適切です。利用条件は公開元で確認しましょう。
単語アプリに任せてもよいですか?
間隔反復の機能があるアプリは、想起練習の道具として便利です。ただしアプリだけでは使う練習が不足しがちなので、授業での発話や作文と組み合わせることをおすすめします。
専門語彙は英語教員が教えるべきですか?
専門語彙の意味は専門科目の教員のほうが詳しい場合が多いです。英語教員は、専門語彙の見つけ方や、辞書・コーパスでの調べ方を教える役割を担うと、無理なく連携できます。
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英語の神動画図鑑 編集部(原田英語)
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