Teacher Talkとは:生徒にとって最初のインプット
Teacher Talkは、教師が授業中に話す英語のことです。教科書の音声と並んで、生徒にとって最も身近なインプットの一つになります。
学習指導要領では、授業は英語で行うことを基本とし、その際は生徒の理解の程度に応じた英語を用いることが示されています。つまり、ただ英語で話すのではなく、「生徒が分かる英語で話す」ことが大切だということです。
生徒に伝わるTeacher Talkには、次のような特徴があります。
- ゆっくり、はっきり話す(ただし不自然に区切りすぎない)
- 短い文で話す
- 既習の語彙を中心に使う
- 身振り、表情、実物、絵、板書で意味を補う
- 大事なことは言い換えて繰り返す
ポイント:「全部英語」より「伝わる英語」を目指しましょう。理解できないまま英語が流れる時間は、生徒にとって学びになりにくくなります。
伝わる英語にする5つのテクニック
1. 短く区切る
× Please open your textbook to page 45 and read the dialogue with your partner, and then answer the questions.
○ Open your textbook. Page 45. (見せる) Read the dialogue with your partner. Then, answer the questions.
2. 言い換える
難しい単語を使ったら、すぐにやさしい言葉で言い換えます。This is an ancient temple. Ancient means very, very old.
3. 見せる
説明するより、やって見せます。Watch me. と言って先生がデモをしてから、Now, your turn. と促します。
4. 確認の質問をする
Do you understand? と聞くと、多くの生徒は Yes と答えてしまいます。代わりに、内容を確認する質問をします。How many minutes do you have? — Three minutes! Who starts, A or B? — A!
5. 板書やスライドで補う
指示の要点(ページ番号、時間、やること)はスクリーンに出しておきます。聞き逃した生徒も、目で確認できます。
場面別クラスルーム・イングリッシュ
よく使う場面ごとに、短くて伝わりやすい表現をまとめます。
授業の始まり
- Good morning, everyone. How are you today?
- Let's check today's goal.
活動の指示
- Make pairs. / Make groups of four.
- You have three minutes.
- Start! / Time's up. / Stop, please.
ほめる・励ます
- Good job! / Nice try! / That's a great idea.
- Almost! Try again.
- Don't worry about mistakes.
確認・促し
- Any questions?
- Can you say that again, louder?
- Who can help him?
授業の終わり
- Let's review today's lesson.
- Your homework is page 30.
- See you next time.
同じ場面では毎回同じ表現を使うのがコツです。生徒は繰り返し聞くことで、意味を覚えて反応できるようになります。
日本語を使う場面をどう考えるか
「英語で授業を行うことを基本とする」は、日本語を一切使ってはいけないという意味ではない、と考える先生が多いです。どのような場面で日本語を使うかは、学習指導要領の解説や学校・地域の方針も確認しつつ、あらかじめ決めておくと迷いが減ります。
日本語を使う場面の例としては、次のようなものが挙げられます。
- 複雑な文法の仕組みを短く整理するとき
- 安全や生活指導に関わる大事な連絡
- 生徒の心のケアが必要な場面
逆に、英語で行いやすいのは、あいさつ、活動の指示、ほめ言葉、簡単な質問、教科書本文の内容についてのやり取りなどです。
おすすめは、日本語を使ったら、同じことを英語でも言うことです。たとえば文法を日本語で説明したあと、So, when we talk about the past, we use "-ed". と英語でまとめ直すと、英語のインプットも確保できます。
40人クラスでのよくある失敗と対策
失敗1:先生ばかり話している
英語で授業をしようとすると、説明が長くなりがちです。先生が話す時間を測ってみると、意外に長いことがあります。指示は30秒以内を目安にし、残りは生徒の活動時間に回しましょう。
失敗2:一部の生徒だけが理解している
英語の得意な生徒が反応するので、クラス全体が分かっていると勘違いしがちです。内容確認の質問をクラス全体に投げ、指で数を出させる(Show me with your fingers.)など、全員の理解を見える形にしましょう。
失敗3:分からない生徒が置いていかれる
活動を始める前に、ペアで「何をするか」を日本語で確認し合う時間を10秒だけ取る方法もあります。英語の指示を理解できたかを、生徒同士で補い合えます。
失敗4:難しい語彙を使いすぎる
自分の話す英語を録音して聞き直すと、生徒にとって難しい単語や、長すぎる文に気づけます。
生徒の反応を引き出すTeacher Talkの質問
英語で授業を進めるとき、先生が一方的に話すだけでは、生徒は受け身になってしまいます。Teacher Talkの中に、生徒が反応できる「質問」を意識的に入れましょう。
反応しやすい質問から始める
- Yes/No で答えられる質問:Do you like summer?
- 選択肢のある質問:Which do you like better, summer or winter?
- 手を挙げるだけの質問:Raise your hand if you have a dog.
最初は答えやすい質問から始め、生徒が慣れてきたら、理由を問う質問(Why do you think so?)に進みます。
待つ時間を取る
質問をしたら、すぐに当てずに3〜5秒待つことが大切です。英語で考えて答えるには、日本語よりも時間がかかります。Think for a moment. と言って、考える時間を明示してもよいでしょう。
生徒の答えを広げる
生徒が単語だけで答えたときは、それを文にして返すと、よいインプットになります。
- Teacher: What did you eat for breakfast?
- Student: Bread.
- Teacher: Oh, you ate bread for breakfast. With jam? With butter?
このように、先生の質問と言い直し(リキャスト)を組み合わせることで、生徒は無理なく英語でのやり取りに参加できます。授業の中で、生徒への質問を10回以上入れることを目標にしてみてください。
今日からできる1週間の練習
- 月:自分がよく使う指示を10個書き出し、短い英語にする
- 火:授業の始まりと終わりのあいさつを、毎回同じ英語にする
- 水:指示を出す前に、先生がデモをしてみせる
- 木:Do you understand? の代わりに、内容確認の質問を使う
- 金:自分の授業を5分だけ録音し、話す速さと文の長さをチェックする
Teacher Talkは、一度に変えなくても大丈夫です。毎日1つずつ試していけば、1か月後には英語で授業を進めることが自然になっているはずです。



