ゲームで学びが残らない3つの理由
ゲームが「楽しいだけ」で終わってしまうのには、よくある理由があります。
- 英語を使う量が少ない:勝ち負けに夢中になり、英語を言う回数がほとんどないゲームになっている。
- ねらいとつながっていない:単元の表現と関係のないゲームをしている。
- 振り返りがない:ゲームの後に「どんな英語を使ったか」を確認していない。
逆に言えば、この3つを意識するだけで、ゲームは立派な学習活動になります。
ポイント:良いゲームの条件は、「英語を何度も聞く・言う」「単元の表現を使う」「終わった後に振り返る」の3つです。
ゲーム選びの3つの基準
① 英語を聞く・言う回数が多いか
例えば、1人ずつ順番に答えるゲームでは、1人が英語を言う回数は数回です。ペアやグループで同時に行うゲームにすると、全員の発話量が一気に増えます。
② 単元の表現を使うか
好きな食べ物の単元なら、I like 〜. / Do you like 〜? を何度も使うゲームを選びます。ゲームの「ルール」ではなく、「使う英語」から選ぶのがコツです。
③ 勝ち負け以外の楽しさがあるか
運だけで勝敗が決まるゲームは、英語を使う必然性が生まれにくくなります。友だちのことがわかる、情報を集めるなど、英語を使うことそのものに意味があるゲームがおすすめです。
定番ゲームの英語での進め方
キーワードゲーム(3・4年向け)
ペアで向かい合い、間に消しゴムを置きます。先生が言う単語をリピートし、キーワードが聞こえたら消しゴムを取ります。
- T: The keyword is "apple." Repeat after me. Banana.
- S: Banana.
- T: Grapes.
- S: Grapes.
- T: Apple!
- S: (消しゴムを取る)
リピートするので、単語を何度も言う練習になります。
ミッシングゲーム(3・4年向け)
黒板に絵カードを並べ、子どもが目を閉じている間に1枚取ります。
- T: Close your eyes. ... Open your eyes. What's missing?
- S: Pencil!
探し人ビンゴ(5・6年向け)
ビンゴのマスに「サッカーが好きな人」「犬を飼っている人」などを書き、友だちにインタビューして当てはまる人を探します。
- A: Do you like soccer?
- B: Yes, I do.
- A: Please sign here.
友だちとのやり取りが自然に生まれ、単元の表現を何度も使えます。
伝言ゲーム(5・6年向け)
グループで一列に並び、先生が最初の人に英語の文を伝えます。I have a red bag. のように、単元の表現を使った文を伝えていきます。
ゲームを学びにつなげる進め方
ゲームの効果を高めるには、「前」と「後」の時間が大切です。
ゲームの前
- 使う英語を全員で確認する(絵カードを使って2〜3回リピート)
- 先生とALT、または先生と代表の子どもでデモンストレーションをする
ゲームの途中
- 一度止めて、うまく言えていた子どもの英語を全体で共有する
- Good! Everyone, say it together! と、良い表現をクラス全体で言う
ゲームの後
- What English did you use? と振り返る
- 「今日いちばん言った英語」を1つ、振り返りカードに書く(5・6年は書き写し)
ポイント:ゲームの時間は10分程度に。長すぎると、英語を使うより勝ち負けに意識が向いてしまいます。
ゲームのアレンジで「考えて話す」活動にする
同じゲームでも、少しアレンジするだけで、単語を言うだけの活動から「考えて話す」活動に変わります。
ミッシングゲームのアレンジ
- 基本:What's missing? — Pencil!
- アレンジ:答えを文で言う。The pencil is missing. / I think it's the pencil.
- さらに:ヒントを出す側を子どもにする。It's long. It's yellow. You use it in class.
キーワードゲームのアレンジ
- 基本:単語をリピートする
- アレンジ:文でリピートする。I like apples. / I like bananas. のように、単元の文型に単語を入れて言う
スリーヒントクイズ(5・6年向け)
グループで1つのものを選び、英語で3つのヒントを考えて出題します。
- Hint 1: It's an animal.
- Hint 2: It's big and gray.
- Hint 3: It has a long nose.
- Answer: It's an elephant!
ヒントを考える過程で、子どもは「知っている英語で、どう伝えるか」を考えます。これは、学習指導要領が大切にしている「目的や場面に応じて伝え合う」力にもつながる活動です。
ポイント:高学年ほど、「自分で問題を作る」「相手に伝わるように工夫する」要素を入れると、ゲームが知的な活動になります。
勝ち負けへの配慮と教室づくり
ゲームでは、勝ち負けで子どもの気持ちが大きく動きます。英語の授業が嫌いにならないよう、次のような配慮をしましょう。
- 勝ち負けのないゲームを入れる:探し人ビンゴのように、全員が目標を達成できるゲームもおすすめです。
- チーム戦にする:個人戦より、チームで協力するゲームのほうが、英語が苦手な子どもも参加しやすくなります。
- ほめる基準を変える:「一番早かった人」ではなく、「大きな声で言えた人」「友だちを助けた人」をほめます。
- 失敗を笑わない約束:ゲームの前に、「間違えても笑わない」ことを全員で確認します。
特に高学年では、英語を人前で言うことに抵抗を感じる子どももいます。ペアやグループの中で言う機会を多くし、全体の前で言う場面は無理強いしないようにしましょう。
1単元の中でのゲームの使い分け(6時間の例)
ゲームは、単元のどの段階で使うかによって、ねらいが変わります。
- 1〜2時間目(聞いて慣れる):キーワードゲーム、ミッシングゲームなど、たくさん聞いて言うゲーム
- 3〜4時間目(使ってみる):スリーヒントクイズ、伝言ゲームなど、文で言うゲーム
- 5〜6時間目(伝え合う):探し人ビンゴ、インタビュー活動など、友だちの情報を集めるゲーム
このように、単元の前半は「聞く・言う量を増やすゲーム」、後半は「本当に知りたいことをたずね合うゲーム」と使い分けると、ゲームが単元のゴールに向かう階段になります。単元の最初に、どの時間にどのゲームを使うかを決めておくと、準備もスムーズです。
よくある失敗と今日からの一歩
- ルール説明が長すぎる:説明は短く、デモンストレーションで見せるのがいちばんです。
- ゲームが目的になる:ゲームの前に「今日はこの英語を使うよ」とめあてを確認しましょう。
- 一部の子どもだけが活躍する:ペアやグループで同時に行う形にすると、全員の発話量が増えます。
- 毎回新しいゲームを用意する:同じゲームを単語だけ変えて使えば、ルール説明の時間が減り、英語を使う時間が増えます。
まずは、今の単元でよく使っているゲームを1つ選び、「ゲームの後に使った英語を1つ振り返る」時間を加えてみましょう。それだけで、ゲームが学びの時間に変わります。



