小学校のTTと中学・高校のTTの違い
中学・高校では英語の免許をもつ先生とALTが組むのが一般的ですが、小学校では学級担任の先生とALTが組むことが多いのが特徴です。
この組み合わせには、大きな強みがあります。
- 担任の先生:子どもの性格や人間関係、ほかの教科の学習状況をよく知っている
- ALT:自然な英語と、自分の国の文化を伝えられる
つまり、担任の先生は「子どもの専門家」、ALTは「英語と文化の専門家」です。どちらかが主で、どちらかが従というより、お互いの専門を持ち寄るイメージをもつと、TTがうまくいきます。
ポイント:英語が得意でなくても、担任の先生の役割はとても大きい。子どもをよく知っていることが、TTでいちばんの武器になります。
学習指導要領解説でも、Small Talk のような活動を、担任とALTなど複数の指導者がやり取りをして聞かせるなど、指導体制に応じて工夫することが示されています。
3分でできる打ち合わせの型
小学校の先生は休み時間も忙しく、長い打ち合わせは難しいものです。そこで、3分で済む打ち合わせの型を決めておきましょう。
- 今日のめあて(30秒):Today's goal is to ask and answer "What do you want to be?"
- 担当の確認(1分):Could you do the model conversation with me? / Could you read the picture book?
- 気になる子ども(30秒):Ken is a little shy. Please talk to him gently.
- 時間の確認(1分):The game will be 10 minutes. Please tell me when we have 5 minutes left.
事前に、ALTに単元の指導計画や教材のコピーを渡しておくと、打ち合わせがさらに短くなります。1週間の授業予定を紙1枚にまとめ、週の初めに渡すのもおすすめです。
授業の場面ごとの役割分担の例
45分の授業で、担任とALTがどう役割を分けるか、例を紹介します。
あいさつ・ウォームアップ
- ALT:あいさつ、天気や日付のやり取り
- 担任:子どもの答えを拾ってほめる、反応が少ない子に声をかける
Small Talk
- 担任とALTが2人でやり取りを見せる
- HRT: What's your favorite season?
- ALT: I like winter. I like skiing. How about you?
- HRT: I like spring. I like cherry blossoms.
- その後、ALTが子どもに同じ質問をする
新しい表現の導入
- ALT:絵カードを使って表現を聞かせる
- 担任:子どもと一緒にリピートし、「学び手の見本」になる
やり取りの活動
- 担任とALTでクラスを半分ずつ見て回り、困っている子を助ける
振り返り
- 担任:日本語で子どもの気づきを引き出す
- ALT:英語で一言コメント(I was happy to hear your ideas!)
ポイント:担任の先生が子どもと一緒に英語を言う姿は、子どもにとって大きな励みになります。
ALTの強みを生かす活動例
ALTがいる授業だからこそできる活動を紹介します。
- ALTの国の紹介クイズ:ALTに、自分の国の食べ物や行事の写真を見せてもらい、クイズを出してもらいます。Is this a fruit or a vegetable? のような簡単な質問にすると、子どもも答えられます。
- インタビュー活動:子どもがALTに質問する時間を作ります。What food do you like? / Do you like Japanese food? など、単元の表現を使ってたずねます。
- 絵本の読み聞かせ:自然なリズムと表情で読んでもらうと、子どもは物語に引き込まれます。
- 子どもの発表へのフィードバック:Your picture is great! I like your idea. など、英語で反応してもらうことで、「伝わった」経験になります。
ALTに「子どもにこんな経験をさせたい」と、目的を伝えてからお願いすると、ALTも活動の工夫をしやすくなります。
打ち合わせで使える英語フレーズ
英語が苦手な先生でも使いやすい、短いフレーズを集めました。
お願いする
- Could you read this part?
- Could you help the students in this group?
- Could you speak a little slower for the students?
確認する
- Is this OK with you?
- What do you think about this activity?
お礼を伝える
- Thank you for your help today.
- The students really enjoyed your quiz.
打ち合わせのメモを英語で書く必要はありません。必要なら、翻訳アプリを使って伝えても大丈夫です。大切なのは、授業の目的を共有することです。
授業後1分の振り返りと、ALTとの関係づくり
TTの質を上げるいちばんの近道は、授業後の短い振り返りです。長い会議は必要ありません。廊下を歩きながらの1分で十分です。
1分振り返りの型
- What went well today? (今日うまくいったことは?)
- What should we change next time? (次に変えることは?)
- Thank you. See you on Thursday! (ありがとう。木曜日にまた)
例えば、ALTから The game was too long. と言われたら、次の授業ではゲームを短くする、というように、すぐに次の授業に生かせます。
日ごろの関係づくり
- 給食や休み時間に、子どもと一緒にALTと過ごす時間をつくる
- 学校行事の予定を事前に伝え、ALTも参加しやすくする
- 子どもが書いた英語のメッセージをALTに渡す機会をつくる
ALTにとっても、担任の先生との信頼関係は授業のしやすさに直結します。英語が完璧でなくても、「一緒に子どもを育てる仲間」という姿勢が伝われば、TTは確実に良くなっていきます。
よくあるすれ違いと対処法
- ALTが「CDプレーヤー役」になってしまう:発音のリピートだけをお願いすると、ALTの強みが生かされません。やり取りやクイズなど、ALTならではの役割をお願いしましょう。
- ALTが話しすぎて、子どもが聞くだけになる:「子どもが話す時間を増やしたい」と事前に伝えると、ALTも意識してくれます。
- 担任が教室の後ろで見ているだけ:担任が一緒に活動に参加し、子どもとリピートしたりやり取りしたりするだけで、授業の雰囲気が変わります。
- 授業後に振り返りをしない:1分でいいので、What went well today? と話すだけで、次の授業の改善につながります。
まずは次のTTの授業で、3分の打ち合わせの型を使ってみましょう。「今日のめあて」をALTと共有するだけでも、授業の一体感が大きく変わります。



