まず目的を決める
オンライン交流を始める前に、「何のために交流するのか」を明確にします。目的によって、交流の形式や準備の内容が変わります。
- 英語を使う機会をつくる:自己紹介や質問のやり取りが中心
- 異文化理解:互いの学校生活や文化を紹介し合う
- 共同の学び:環境問題など共通のテーマについて意見を交換する
最初は「英語で自己紹介をし、相手に質問する」くらいのシンプルな目的で十分です。一度成功すると、次は相手校と相談しながら内容を深めていけます。
また、交流は一度きりのイベントにするより、事前の準備と事後の振り返りを含めた単元として計画すると、学びが深まります。
ポイント:「交流すること」自体を目的にしない。生徒が何を経験し、何を学ぶかを最初に決めておきます。
相手校の見つけ方と調整
相手校を探す方法
- 学校や自治体がすでに持っている姉妹校・友好校とのつながり
- 教育委員会や自治体の国際交流の担当部署への相談
- 学校間の国際交流を仲介する団体やプログラム
- ALTや同僚の先生の知り合いの学校
どの方法でも、学校として交流することになるので、管理職に早めに相談し、承認を得てから進めます。
調整で確認すること
- 時差:授業時間が重なる時間帯があるか。アジア・オセアニアの国は時差が比較的小さく、調整しやすいことが多い
- 学年・年齢:同じくらいの年齢だと話題が合いやすい
- 相手の言語環境:相手も英語を外国語として学んでいる場合、互いにやさしい英語で話せる利点がある
- 使用するツール:両校で使えるビデオ会議ツールを確認する
- 年間の予定:長期休業や試験期間は国によって大きく異なる
相手校の先生とは、事前に一度オンラインで打ち合わせをしておくと安心です。
機材と個人情報への配慮
機材の準備
- カメラ:教室全体が映るもの。生徒が発表する時は、発表者の顔が見える位置に
- マイク:教室の声を拾えるもの。発表者用にハンドマイクがあると聞き取りやすい
- スピーカー:相手の声が教室全体に聞こえる音量
- 回線:事前に同じ時間帯・同じ場所で接続テストをする
当日のトラブルに備えて、チャットで連絡をとる方法や、接続が切れた時の再接続の手順を相手の先生と決めておきます。
個人情報への配慮
- 録画や写真撮影をするかどうか、どう使うかを事前に両校で確認し、学校の方針と保護者の同意の範囲内で行う
- 生徒のフルネームや連絡先、SNSのアカウントを交換させない(学校のルールに従う)
- 画面に映る掲示物などに、個人情報が含まれていないか確認する
- 交流後に生徒同士が個人的につながる場合のルールも、事前に伝えておく
ポイント:技術的な準備と同じくらい、個人情報のルールづくりが大切。管理職や情報担当の先生と一緒に確認しましょう。
事前準備:生徒が話せるようにする
当日に生徒が固まってしまわないよう、事前の準備を丁寧に行います。
自己紹介の準備
- Hello! My name is Yui. I'm fourteen years old.
- I like drawing and playing the piano.
- My favorite food is ramen.
- Nice to meet you!
原稿を書くだけでなく、ペアで何度も練習します。
質問の準備
相手に聞きたいことを、一人2〜3個準備させます。
- What do you usually eat for lunch at school?
- What subjects do you like?
- What do you do after school?
- What is popular among students in your country?
紹介の準備
グループで、自分たちの学校や地域を紹介するスライドを作ります。写真を多めに、文字は少なめに。
- This is our school. We have about 300 students.
- This is our town. It is famous for its apples.
聞き返しの練習
相手の英語が聞き取れなかった時のために、次の表現を練習しておきます。
- Sorry, could you say that again?
- Could you speak more slowly, please?
- Do you mean ___?
当日の流れの例(45〜50分)
- あいさつ(5分):両校の先生があいさつ、全員で Hello! と手を振る
- 学校紹介(10分):両校のグループがスライドで学校や地域を紹介
- 自己紹介と質問タイム(20分):数人ずつ画面の前に出て自己紹介し、相手に質問する
- ミニ活動(10分):互いの言葉であいさつを教え合う、簡単なクイズを出し合うなど
- お別れ(5分):Thank you! See you next time! と感想を一言ずつ
当日の工夫
- 司会役の生徒を決め、進行も英語で行う(Next, Group 2 will introduce our town.)
- 画面の前に出ない生徒には、相手の発言からキーワードをメモする役割を与える
- 先生は、聞き取れなかったやり取りを必要に応じてフォローする
ミニ活動のアイデア
- Show and Tell:身の回りの物を一つ見せて説明する
- Quiz:Which is the most popular sport in Japan? のような選択式クイズ
- Same or Different:互いの学校生活について、同じ点と違う点を探す
事後の振り返りとよくある失敗
事後の振り返り
交流の後の授業で、次のような振り返りを行います。
- 相手について新しく知ったことを3つ書く
- 自分の英語が通じた瞬間、通じなかった瞬間を振り返る
- 次の交流でやってみたいことを書く
- 相手校にお礼のメッセージやビデオレターを送る
よくある失敗
- 接続トラブルで時間がなくなる:事前の接続テストと、トラブル時の代替手段(チャットでのやり取りなど)を準備しておく
- 一部の生徒だけが話す:全員が何らかの役割を持つように計画する
- 質問が同じものばかりになる:事前に質問をクラスで共有し、重複を調整する
- 準備した原稿を読むだけで終わる:質問タイムでは、相手の答えに対する反応(Wow! / That's interesting!)や追加の質問を促す
- 一回で終わってしまう:一度だけで終わらず、学期に一度など継続的な交流にすると、関係が深まり、生徒の成長も見えやすくなります
まずは小さく始める
オンライン交流は、準備に手間がかかるように見えますが、最初から大きな企画にする必要はありません。
- ステップ1:ビデオレターの交換から始める(リアルタイムの接続が不要で、時差の心配もない)
- ステップ2:少人数のグループで、短時間のリアルタイム交流をする
- ステップ3:クラス全体での交流や、共同プロジェクトに発展させる
今週できることとして、まずは管理職に「オンライン交流をしてみたい」と相談し、学校や自治体に既存のつながりがないか確認してみてください。
ポイント:画面の向こうの「同世代の相手」は、どんな教材よりも生徒の英語を使う意欲を引き出します。ビデオレター1本からでも、交流は始められます。



