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🌍 英語学習

🪜 学力差が大きい英語のクラスでの工夫|足場かけと選択課題で全員が伸びる授業

✍️ 原田英語が厳選・執筆🗓 2026-09-28📖 6分🎁 読了で +10XP
同じ教室に、英検準2級を持っている生徒と、be動詞があやしい生徒が並んで座っている。公立の中学・高校では珍しくない状況です。真ん中に合わせると上は退屈し、下はついてこられない。この悩みに万能の答えはありませんが、「足場かけ」と「選択課題」という2つの考え方を組み合わせると、1つの授業の中で全員に適度な挑戦を用意しやすくなります。

「真ん中に合わせる」をやめる

学力差のあるクラスで一番起きやすいのは、授業を「平均的な生徒」に合わせてしまうことです。一見公平ですが、実際には上位層と下位層の両方が置き去りになります。

発想を変えて、次の2つを同時に考えます。

  • 全員が到達すべき最低ライン(例:本文の内容を日本語で説明できる、キーセンテンスを音読できる)
  • その上に積み上げる伸びしろ(例:本文の内容を英語で要約する、自分の意見を加える)

このように、ゴールを「共通の床」と「伸びる天井」の2層で設計すると、同じ活動の中で生徒ごとに違う到達点を持つことができます。

ポイント:授業の目標を1つではなく「全員の最低ライン」と「挑戦ライン」の2段で書いてみる。これだけで授業の見え方が変わります。

足場かけ(スキャフォールディング)の具体例

足場かけとは、学習者が一人ではまだできない課題に取り組めるよう、一時的な支えを用意し、できるようになったら少しずつ外していく考え方です。建築の足場と同じで、最後には外すことが前提です。

英語の授業で使える足場

  1. 文の型を示す(センテンススターター)

意見を言う活動なら、次のような型を板書やカードで示します。

  • I think ___ because ___.
  • I agree with ___. / I'm not sure about ___.
  • For example, ___.
  1. 語彙バンク

ライティング課題の横に、使えそうな単語を10個ほど並べておく。例:「週末の出来事」なら went, visited, enjoyed, tired, fun, family, shopping など。

  1. モデル文

先生が書いた短い見本を配る。例:Last Sunday, I went to the park with my brother. We played catch. It was sunny and fun.

苦手な生徒は単語を入れ替えるだけでも1つの作品になります。

  1. 聞き取りの足場

リスニングの前に「聞くポイント」を1つだけ示す(「何時に集合するか」だけ聞く、など)。2回目で別のポイントを足す。

足場を外すタイミング

足場は、使い続けると依存につながります。例えば、1回目は型と語彙バンクの両方を配り、2回目は型だけ、3回目は何も配らず「必要な人は教卓に取りに来て」とする、という具合に段階的に減らしていきます。

選択課題の作り方:難易度を「生徒が選ぶ」

難易度別の課題を先生が割り振ると、「自分は下のグループ」というラベルが生まれがちです。そこで、生徒自身が選ぶ形にします。

例:教科書本文の後の活動(3レベル)

  • Mild(マイルド):本文の空所に、下の語群から語を選んで入れる
  • Medium(ミディアム):本文の内容に関する質問に英語で答える(例:Why was Emi surprised?)
  • Spicy(スパイシー):本文の登場人物に宛てた3文のメッセージを書く

辛さのレベルのような名前にすると、どれを選んでも恥ずかしくない雰囲気になります。「今日はお腹の調子がよくないからマイルドで」と冗談にできるくらいがちょうどよいです。

選択課題を回すルール

  • どのレベルを選んでも、最低ライン(Mild)は全員ができる状態で終わるようにする
  • 早く終わったら次のレベルに進んでよい
  • 選んだレベルは成績を下げる理由にしない(評価は別の観点で見る)
  • 時々「今日は一つ上のレベルに挑戦してみよう」と背中を押す

ポイント:選択課題は「どれを選んでも学びになる」ことが大前提。易しいレベルも、単なる作業ではなく本文理解につながる内容にしておきます。

ペア・グループの組み方

学力差をマイナスではなく資源として使うのが、ペアやグループの工夫です。

組み方の選択肢

  • 異質ペア:得意な生徒と苦手な生徒を組む。音読や答え合わせでは効果的ですが、毎回だと得意な生徒が「教えるだけ」になりがち。
  • 同質ペア:近いレベル同士で組む。選択課題で同じレベルを選んだ生徒同士など。互いに遠慮なく挑戦できる。
  • ランダムペア:くじや座席順で組む。関係づくりの面で大切。

1つの方法に固定せず、活動の目的に合わせて使い分けるのが現実的です。

「教える側」も伸びる仕掛け

得意な生徒に説明役を頼む時は、「答えを教える」のではなく「ヒントを1つだけ出す」というルールにします。例えば、Look at the word before the blank.(空欄の前の単語を見て)のように、考え方を伝える役割にすると、教える側も説明する中で理解が深まります。

評価をどうそろえるか

選択課題や足場かけを取り入れると、「評価が不公平にならないか」という心配が出てきます。ここは事前に整理しておくと安心です。

観点で見る

評価は「どのレベルを選んだか」ではなく、「その課題の中で何ができたか」を観点ごとに見ます。例えば、書く活動なら次のような簡単なルーブリックを作っておきます。

  • 内容:問いに答えているか、理由や具体例があるか
  • 正確さ:語順や時制など、既習の文法が使えているか
  • 工夫:接続語(and, but, so, because)を使って文をつなげているか

Mild を選んだ生徒でも「内容」や「正確さ」では十分に評価でき、Spicy を選んだ生徒は「工夫」の観点で伸びが見えやすくなります。

生徒にも基準を見せる

ルーブリックは課題の前に生徒に配ります。「このレベルでも、ここまでできればA」とわかると、易しいレベルを選んだ生徒も最後まで丁寧に取り組みますし、上位の生徒は何を足せばよいかが見えます。

よくある失敗

  1. 上位層に「待ち」の時間が多すぎる

早く終わった生徒に「静かに待っていて」と言うと、その時間は学びが止まります。発展課題を常に用意しておきましょう。例:Write two more questions about the story for your classmates.

  1. 下位層向けの足場が、授業の最後まで外れない

毎回同じ語彙バンクを配り続けると、それなしでは書けなくなります。外す計画を先に立てておきます。

  1. 選択課題の説明に時間がかかりすぎる

3レベルの説明に5分かかると本末転倒です。ワークシートを1枚にまとめ、上からMild・Medium・Spicyと並べるだけにすると、説明は30秒で済みます。

  1. テストだけが一律で、授業とのギャップが大きい

授業では選べるのに、定期テストでは全員同じ難問、だと苦手な生徒は報われません。テストにも基礎問題と発展問題をバランスよく配置しましょう。

1単元で試すプラン

いきなりすべての授業を変える必要はありません。1つの単元で試してみるプランの例です。

  • 1時間目:単元の最低ラインと挑戦ラインを生徒に示す(例:最低ライン=本文を音読できる、挑戦ライン=本文を30語で要約できる)
  • 2〜3時間目:本文理解の後、3レベルの選択課題を実施。ワークシート1枚に並べる
  • 4時間目:ライティング活動で、センテンススターターと語彙バンクを配る
  • 5時間目:同じ形式のライティングを、語彙バンクなしで行う(必要な人は取りに来てよい)
  • 振り返り:生徒に「どのレベルを選んだか」「次はどれに挑戦したいか」を一言書かせる

振り返りを読むと、生徒が自分の力をどう見ているかがわかり、次の単元の設計に生かせます。

ポイント:学力差は「なくすもの」ではなく「前提として設計するもの」。足場と選択肢があれば、同じ教室で全員が少しずつ背伸びできます。

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よくある質問

選択課題にすると、みんな一番簡単なものを選びませんか?
最初はそうなることもあります。易しいレベルを終えたら次に進めるルールにし、上のレベルに挑戦した生徒の取り組みを具体的に認めると、徐々に挑戦する生徒が増えていきます。先生から個別に「次は Medium どう?」と声をかけるのも効果的です。
評価はレベルごとに変えるべきですか?
選んだレベルそのもので成績に差をつけると、易しいレベルを選ぶことがリスクになり選択の意味が薄れます。観点別評価の基準に沿って、どのレベルでも評価できる観点(内容の正確さ、表現の工夫など)を設定するのが一般的です。
習熟度別クラスがない学校でもできますか?
むしろ習熟度別クラスがない学校向けの方法です。1つの教室の中で、課題と支えを複数用意することで、同じ時間に違う到達点を目指せるようにします。
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英語の神動画図鑑 編集部(原田英語)
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