まず整理したい:授業と外部試験の関係
外部試験への対応を考える時、まず「授業で行うこと」と「授業の外で支えること」を分けて考えます。
- 授業で行うこと:学習指導要領に沿った、教科書を中心とした4技能の指導。これが外部試験の土台にもなる
- 授業の外で支えること:試験の情報提供、形式に慣れるための練習、面接やライティングの個別アドバイスなど
授業を外部試験の対策そのものにしてしまうと、受験しない生徒が置き去りになったり、教科書の学習が薄くなったりします。一方で、授業で身につけた力が外部試験にもつながっていることを生徒に示すのは、意欲を高めるうえで有効です。
ポイント:外部試験は授業の「ゴール」ではなく、授業で育てた力を試す「機会の一つ」。この位置づけを校内で共有しておくと、支援の範囲が決めやすくなります。
情報提供:正確な情報を、公式の案内から
外部試験は、形式や日程、申込方法が改定されることがあります。生徒に伝える時は、必ず実施団体の公式サイトで最新情報を確認しましょう。先生の記憶や、数年前の情報で案内すると、生徒が混乱する原因になります。
生徒に伝えたい基本情報
- 級やレベルの目安と、各技能がどのように測られるか(概要レベルで)
- 申込の方法と締切、受験料(公式サイトで確認するよう案内)
- 学校で団体受験を行っている場合は、その日程と申込方法
掲示やプリントの工夫
- 「申込締切」「試験日」「結果発表」をカレンダー形式で掲示する
- 公式サイトへのアクセス方法を示し、生徒や保護者が自分で最新情報を確認できるようにする
- 級ごとの目安を示す時は、「中学卒業程度」など公式が示す表現を使う
ポイント:日程や形式は必ず公式情報で確認。先生が「たぶんこうだったと思う」で案内しないことが、信頼につながります。
級・レベル選びの相談にのる
「何級を受ければいいですか?」という相談は、とてもよくあります。
相談の進め方
- 目的を聞く:なぜ受けたいのか(自分の力を試したい、進学で使いたい、など)
- 今の力を確認する:定期テストや授業の様子、過去に受けた級
- 公式の過去問題や見本を一緒に見る:実際に一部を解いてもらい、手応えを聞く
- 準備期間を考える:試験日までにどのくらい時間があるか
声かけの例
- 「過去問題を一回分やってみて、どの技能に手応えがあったか教えて。それで作戦を立てよう」
- 「今回は一つ下の級で合格を目指して、次回に上の級に挑戦するのもいい作戦だよ」
- 「背伸びして挑戦するのもいい経験。ただ、準備の計画は一緒に立てよう」
本人の意欲を大切にしつつ、準備の見通しを一緒に立てることが先生の役割です。最終的な判断は本人と家庭に委ねます。
ライティングと面接の練習を支える
外部試験の中でも、ライティングやスピーキング(面接)は、生徒が一人で準備しにくい技能です。ここは学校のサポートが特に役立ちます。
ライティング
- 意見を述べる文章の基本の型を示す
- 主張:I think ___.
- 理由1:First, ___.
- 理由2:Second, ___.
- まとめ:For these reasons, I think ___.
- 書いたものを添削する時は、すべてを直すより「型に沿っているか」「理由と具体例があるか」を中心に見る
- よく出てくる誤り(主語と動詞の一致、時制など)はリストにして返す
面接(スピーキング)
- 入退室のやり取りや、基本的な受け答えの流れを練習する(形式は級や試験によって異なるので、公式の案内で確認)
- 先生やALTが面接官役になり、短い時間でも本番に近い練習をする
- 聞き返し方を練習しておく:Could you repeat the question, please? / I'm sorry, could you say that again?
面接練習の運営のコツ
希望者が多い場合は、日程表を作り、1人5〜10分の枠で予約制にします。生徒同士で面接官役と受験者役を交代して練習する方法も、互いの学びになります。
授業で育てた力を試験につなげる
外部試験の対策を授業に持ち込まなくても、普段の授業の活動が試験の力につながっていることを生徒に示すことはできます。
授業の活動と技能の対応を示す
- 教科書本文の内容理解や音読 → 読む力、語彙
- 英語の指示や ALT の話を聞く活動 → 聞く力
- 自分の意見を理由とともに書く活動 → 書く力
- ペアで質問し合う活動 → 話す力
単元の始めに「この活動で伸ばしたいのは、こういう力だよ」と一言添えるだけで、生徒は授業と自分の目標のつながりを意識しやすくなります。
意見を書く・話す活動を定期的に入れる
多くの外部試験では、自分の考えを理由とともに表現する力が問われます。教科書の題材をもとに、Which do you like better, ___ or ___? Why? のような問いに答える活動を帯で続けておくと、受験するかどうかにかかわらず、全員の発信力の土台になります。
語彙の復習を習慣にする
単元の新出語を、次の単元でも小テストや帯活動で繰り返し扱うと、語彙が長く残りやすくなります。忘れかけたころに復習する仕組みは、試験の準備でも授業の定着でも役立ちます。
放課後講座・自習支援の進め方
学校によっては、放課後や長期休業中に外部試験向けの講座を開くこともあります。
講座の例(4回コース)
- 1回目:試験の概要説明、過去問題で現状チェック
- 2回目:語彙と読解。間違えた問題の振り返り方を指導
- 3回目:ライティング。型を使って1本書き、添削
- 4回目:リスニングと面接練習
自習を支える工夫
- 過去問題や問題集を、図書室や英語科の棚で借りられるようにする(学校の予算や規定の範囲で)
- 学習計画表を配り、試験日から逆算して1週間ごとの目標を書かせる
- 週に一度、「進んでいるか」を短く声かけする
先生の負担を考える
外部試験の支援は、本来の授業や校務に上乗せされる仕事です。英語科で分担する、ALTと協力する、生徒同士の学び合いを取り入れるなど、無理のない形を考えましょう。
よくある失敗と今週のアクション
よくある失敗
- 古い情報で案内する:形式の変更を見落とし、準備がずれてしまう。必ず公式情報で確認を
- 合格だけを目標にする:不合格だった生徒が英語そのものを嫌いにならないよう、準備の過程で伸びた力を伝える
- 受験を強く勧めすぎる:受験料の負担や本人の状況もあります。受験は本人と家庭の判断であることを前提に
- 授業が試験対策一色になる:受験しない生徒への配慮を忘れずに
- 一人の先生に負担が集中する:英語科全体で支援の方針を決めておく
今週のアクション
- 外部試験の公式サイトで、最新の日程と形式の概要を確認する
- 英語科で、校内サポートの範囲(情報提供・面接練習・添削など)を話し合う
- 生徒向けの「外部試験カレンダー」を掲示する
ポイント:外部試験の校内サポートは、「正確な情報」と「一人ではできない練習の場」を提供すること。できる範囲で、仕組みとして整えていきましょう。



