掲示の目的を3つに分ける
掲示物をつくる前に、「何のための掲示か」を考えます。英語の掲示は、大きく3つの目的に分けられます。
- 使うための掲示:授業中に生徒が見て、実際に使う表現や語彙(クラスルームイングリッシュ、会話の型、ワードウォールなど)
- 見通しのための掲示:授業の流れ、単元の目標、提出物の予定など
- 認めるための掲示:生徒の作品、自主学習ノートの工夫、コンテストの成果など
特に大切なのは、1の「使うための掲示」です。授業中に「わからない時は、あそこを見て」と指させる掲示があると、生徒は自分で助けを得られるようになります。
ポイント:掲示物は、授業中に先生が指さして使ってはじめて生きる。「貼ったまま」にしないことが一番のコツです。
使うための掲示①:クラスルームイングリッシュ
生徒が授業中に使う表現を掲示すると、日本語に頼らずにやり取りできる場面が増えます。
生徒が使う表現の例
- 困った時
- Could you say that again, please?
- How do you say ___ in English?
- What does ___ mean?
- I don't understand. Could you help me?
- ペアワークで
- Let's start. / Your turn.
- Me too! / Really? / That's interesting.
- Can you give me an example?
- 授業の中で
- I'm finished. / I need more time.
- May I go to the restroom?
- Excuse me, I don't have a worksheet.
掲示のコツ
- 教室の前方か、生徒の視線が向きやすい場所に貼る
- 文字は大きく、1枚に載せる表現は5〜6個まで
- イラストや吹き出しを添えると、意味が伝わりやすい
- 最初に貼る時に、一つずつ練習してから使い始める
授業中に生徒が日本語で「もう一回言って」と言ったら、掲示を指さして Could you say that again? と言い直してもらう。これを繰り返すと、自然に使えるようになります。
使うための掲示②:ワードウォールと会話の型
ワードウォール
ワードウォールは、単語カードを壁に貼っていく掲示です。単元で学んだ重要語を少しずつ追加していきます。
- 単元ごとに色を分ける、品詞ごとにまとめるなど、整理の仕方を決める
- 生徒がライティングで使いたい単語を探せるよう、アルファベット順に並べるのも一案
- 学期の終わりに、よく使った単語を生徒に投票させるなど、ワードウォールを使った活動も
気持ちや意見を表す表現
ライティングやスピーキングで使える表現を、テーマ別に掲示します。
- 気持ち:happy, excited, nervous, tired, surprised, disappointed
- 意見:I think ___. / In my opinion, ___. / I agree / disagree because ___.
- つなぎの言葉:First, / Second, / Also, / However, / So, / For example,
会話の型
ペアワークでよく使う会話の流れを、ポスターにします。
- A: Hi! How are you?
- B: I'm good. How about you?
- A: Pretty good. What did you do last weekend?
- B: I ___. How about you?
授業でこの型を使うたびに、ポスターを指さして確認します。
見通しと認めるための掲示
見通しのための掲示
- 今日の授業の流れ:ホワイトボードの端や小さな掲示板に、Today's Plan として書く
- 単元の目標:Can-Doの形で。例:I can talk about my weekend.
- 提出物カレンダー:自主学習ノートや課題の提出日を月ごとに示す
見通しがあると、生徒は安心して取り組めます。特に、急な変化が苦手な生徒にとっては大きな支えになります。
認めるための掲示
- 英作文やポスターなど、生徒の作品を掲示する(本人の了解を得て)
- 自主学習ノートのよい工夫をコピーして紹介する
- Word of the Week として、生徒が見つけた面白い英単語を毎週1つ紹介する
作品を掲示する時は、上手な作品だけでなく、工夫が光る作品や、以前より伸びた作品も選びます。「先生はこういうところを見ている」というメッセージになります。
掲示以外の英語環境づくり
英語の空気は、掲示だけでなく、日々の小さな習慣からもつくられます。
- 始業の英語ルーティン
毎回の授業の始めに、同じ流れの英語のやり取りをする。
- T: Good morning, everyone. How are you today?
- S: I'm fine / sleepy / hungry...
- T: What's the date today? What day is it?
決まった流れがあると、英語で始めることが当たり前になります。
- BGMや音声
授業の始まる前に英語の歌を流す。休み時間の終わりに流す曲を決めておくと、切り替えの合図にもなります。
- Question of the Day
黒板の端に毎日一つ英語の問いを書く。例:What's your favorite snack? 答えを付箋で貼れるようにすると、休み時間にも英語に触れられます。
- 英語のミニ図書コーナー
教室の一角に、英語の絵本や段階別読み物を数冊置く。図書室から期間限定で借りてきてもよいでしょう。
よくある失敗と今週のアクション
よくある失敗
- 貼りっぱなしになる:年度初めに貼ったまま一度も使わない掲示は、やがて風景になります。月に一度は見直し、授業で使っているかを確認しましょう
- 情報を詰め込みすぎる:1枚の掲示に多くの情報を載せると、読まれません。一つの掲示に一つの目的を
- 先生だけでつくる:生徒と一緒につくった掲示は、生徒がよく見ます。ワードウォールのカードを生徒に書いてもらうのも一案です
- 専用教室がないからとあきらめる:ホームルーム教室でも、小さなラミネートカードを持ち込んで黒板に貼る、授業の時だけ使う掲示を用意するなど、工夫できます
今週のアクション
- 教室の掲示物を見渡し、「使うため」「見通しのため」「認めるため」のどれに当たるか分類する
- クラスルームイングリッシュの掲示を1枚つくり、授業で一つずつ練習する
- 始業の英語ルーティンを決め、1週間続けてみる
ポイント:英語環境づくりは、大がかりな準備より「毎日使う」ことが大切。まずは1枚の掲示と、1つのルーティンから始めてみましょう。


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