言い換え力は「語彙の少なさ」を補う武器
どれだけ単語を覚えても、会話の中では「知らない単語」「ど忘れした単語」に必ず出会います。そのたびに会話が止まっていては、なかなか話は進みません。
そこで役立つのが、言い換え(パラフレーズ)です。
たとえば「炊飯器」という単語(rice cooker)が出てこなかったとします。
- It's a machine for cooking rice.(ご飯を炊くための機械です)
これで十分に伝わります。相手が Oh, a rice cooker? と言ってくれれば、正しい単語もその場で覚えられます。
言い換え力は、会話を止めないだけでなく、次のような場面でも役立ちます。
- 相手が自分の言葉を理解できなかったとき、別の言い方で伝え直す
- 英検やIELTSなどのスピーキング試験で、知らない単語を避けながら答える
- 英作文で同じ単語の繰り返しを避ける
ポイント:単語を知らないことは問題ではない。「知っている単語で説明できるか」が会話力の差になります。
知らない単語を説明する5つの型
単語が出てこないときは、次の型のどれかを使ってみましょう。
① 種類+目的・特徴
- It's a kind of ... that ...(〜する一種の…です)
- 例:「炊飯器」→ It's a kind of machine that cooks rice.
- 例:「のり」→ It's a kind of dried seaweed. We use it for rice balls.
② 使い方・場所
- You use it when ...(〜するときに使います)
- 例:「傘立て」→ It's something you put your umbrella in near the door.
③ 人の説明
- It's a person who ...(〜する人です)
- 例:「幹事」→ It's the person who organizes a party or event.
④ 反対・似ているもの
- It's the opposite of ...(〜の反対です)
- It's similar to ..., but ...(〜に似ていますが…)
- 例:「締め切り」→ It's the last day you can submit something.
- 例:「居酒屋」→ It's similar to a pub, but you can eat many small dishes.
⑤ 例を挙げる
- For example, ...
- 例:「季節の行事」→ Things like cherry blossom viewing or summer festivals.
どれか1つの型でいいので、すぐに出せるようにしておくと安心です。
難しい日本語を「かみくだいて」から英語にする
言い換えが必要なのは、単語だけではありません。日本語で考えた文が難しすぎて英語にできない、ということもよくあります。
そんなときは、子どもに説明するつもりで日本語をかみくだくのがコツです。
例1
- 元の日本語:「彼は責任感が強い」
- かみくだく:「彼は自分の仕事を最後までちゃんとやる」
- 英語:He always finishes his work. He never gives up halfway.
(responsible という単語を知っていれば He is very responsible. でもOKです)
例2
- 元の日本語:「その案は現実的ではない」
- かみくだく:「その案は実際にやるのは難しい」
- 英語:That idea is hard to do in real life.
例3
- 元の日本語:「最近、運動不足だ」
- かみくだく:「最近あまり運動していない」
- 英語:I haven't exercised much lately.
日本語の熟語や四字熟語、ことわざを直訳しようとすると詰まります。意味だけを取り出して、簡単な日本語にしてから英語にしましょう。
会話での使い方と相手を助ける言い換え
会話例①(単語を忘れたとき)
- A: So what do you do on weekends?
- B: I usually go to the... um, the place where you can see many old things, like paintings and history items.
- A: Oh, a museum?
- B: Yes, a museum! I love history museums.
会話例②(伝わらなかったとき)
- A: I'm a little worried about the deadline.
- B: Sorry, the...?
- A: The deadline. I mean, the last day we can send the report.
- B: Oh, I see. When is it?
A さんは、相手が deadline を理解できなかったときに、I mean ... で簡単に言い換えています。自分が話すときだけでなく、相手にわかりやすく伝え直すときにも言い換え力は大切です。
言い換えを助けるフレーズ
- I mean ...(つまり〜)
- In other words, ...(言い換えると〜)
- What I'm trying to say is ...(言おうとしているのは〜)
- It's like ...(〜みたいなもの)
相手が正しい単語を教えてくれたら、Yes, that's it! と言って、その単語を一度くり返しましょう。これだけで記憶に残りやすくなります。
ゲーム感覚の練習とよくある失敗
練習① 英語で「あるなしクイズ」
身の回りのものを1つ選び、その名前を使わずに英語で30秒説明します。家族や友だちに当ててもらえれば成功です。
- 例:「冷蔵庫」→ It's a big box in the kitchen. It keeps food cold. You open it many times a day.
練習② 難しい日本語チャレンジ
ニュースの見出しや、仕事でよく使う日本語を1つ選び、かみくだいてから英語にします。
練習③ 3通り言い換え
1つの文を3通りの言い方で言ってみます。
- I'm very busy. → I have a lot to do. → I don't have much free time.
よくある失敗
- 単語帳の訳語を探して沈黙する:出てこない単語を思い出そうとして固まるより、すぐ説明に切り替えたほうが会話は続きます。
- 説明が長くなりすぎる:一度に全部説明しようとせず、1文言って相手の反応を見ましょう。
- 言い換えで満足して単語を覚えない:言い換えで乗り切ったあとは、正しい単語を調べてメモする習慣をつけると、語彙も増えていきます。
1週間メニューとまとめ
1週間メニュー(1日10分)
- 月曜:説明の5つの型を声に出して覚える。
- 火曜:部屋の中のもの5つを、名前を使わずに英語で説明。
- 水曜:日本の食べ物や行事3つを、英語で説明(おせち、花見、銭湯など)。
- 木曜:難しい日本語3つを、かみくだいてから英語に。
- 金曜:1つの文を3通りに言い換える練習を5セット。
- 土曜:オンライン英会話で、単語がわからないときにあえて説明で乗り切る。
- 日曜:今週、言い換えで乗り切った単語の正しい英語を調べてメモ。
まとめ
英語が話せる人は、単語を全部知っている人ではなく、知らない単語を上手に説明できる人です。
- It's a kind of ... / It's something you use when ... / It's a person who ... の型を持っておく。
- 難しい日本語は、子どもに説明するつもりでかみくだく。
- 伝わらなかったら I mean ... で言い直す。
今日は、目の前にあるものを1つ選んで、その名前を使わずに英語で説明してみてください。言えたら、あなたの言い換え力はもう動き始めています。



