読むことで単語が身につく理由
単語帳で覚える学習と、読みながら覚える学習には、それぞれ得意分野があります。
- 単語帳:短時間で多くの単語の「意味」を知ることができる
- 読解:単語が実際にどう使われるか(一緒に使われる語、ニュアンス、文法的な使い方)を知ることができる
たとえば単語帳で「reach=着く、届く」と覚えても、reach a decision(決定に至る)や reach out to(手を差し伸べる、連絡をとる)のような使い方は、英文の中で出会わないとなかなか身につきません。
また、1回の出会いで単語を覚えられることは少なく、いろいろな文脈で何度も出会うことで、少しずつ記憶に定着していくと考えられています。たくさん読むことは、この「何度も出会う」機会を自然に作ってくれるのです。
ポイント:読解で語彙を増やすコツは、「1回で覚えよう」とせず、「何度も出会う仕組み」を作ることです。
知らない単語の割合と読みやすさ
語彙の研究では、文章の中の知らない単語が少ないほど、内容を理解しやすいことが知られています。テキスト中の語のおよそ98%を知っていると、辞書なしでも快適に読めるという研究結果がよく引用されます。
98%というのは、50語に1語くらいしか知らない単語がない状態です。1ページが250語なら、知らない単語は5語程度。これは、「推測しながら楽しく読める」レベルの目安と考えてよいでしょう。
逆に、知らない単語が10語に1語もあると、推測するための手がかり自体が足りなくなり、読むのが苦しくなります。語彙を増やすための読書は、知らない単語が少ない、やさしめの英文で行うのが効率的です。
文脈から意味を推測する4つのヒント
知らない単語に出会ったら、すぐに辞書を引く前に、まず推測してみましょう。推測すること自体が、単語への注意を高め、記憶に残りやすくしてくれます。
ヒント1:言い換え・説明
The city is facing a drought, a long period with little or no rain.
カンマのあとに drought の説明がついています。「長期間雨がほとんど降らない状態」=干ばつ、とわかります。that is、or、in other words なども言い換えの目印です。
ヒント2:対比
Unlike his cheerful sister, Tom was quite gloomy.
Unlike があるので、gloomy は cheerful(明るい)の反対、「暗い、陰気な」と推測できます。but、while、however も対比の手がかりです。
ヒント3:具体例
She loves citrus fruits such as oranges, lemons, and grapefruit.
such as 以下の例から、citrus fruits は「柑橘類」だとわかります。
ヒント4:単語の形(語源・接頭辞・接尾辞)
unbelievable は un(否定)+ believe(信じる)+ able(〜できる)で「信じられない」。こうした部品を知っていると、初めて見る単語でも意味の見当がつきます。
よく出る部品の例を挙げておきます。
- re-(再び):rebuild(建て直す)、rewrite(書き直す)
- pre-(前に):preview(下見)、prehistoric(有史以前の)
- -less(〜がない):careless(不注意な)、endless(終わりのない)
- -ful(〜に満ちた):peaceful(平和な)、helpful(役に立つ)
推測のあとは確認する
推測は外れることもあります。読み終えてから、特に気になった単語だけ辞書で確認しましょう。推測が当たっていたらそれだけで記憶が強まり、外れていたら「意外だった」という驚きで記憶に残ります。どちらにしても、推測なしで辞書を引くより得るものがあります。
どの単語を調べて、どう記録するか
出会った知らない単語を全部調べると、読書が止まってしまいます。調べる単語は、次の基準で絞りましょう。
- 何度も出てくる単語:その文章の理解に欠かせない可能性が高い
- 話の流れがわからなくなる単語:推測できず、先に進めない場合
- 自分でも使いたいと思った単語・表現
逆に、1回しか出てこない専門用語や固有名詞は、飛ばしてかまいません。
記録は「文ごと」に
単語だけをメモするのではなく、その単語が出てきた文ごと記録するのがおすすめです。
- 単語:reluctant(気が進まない)
- 出てきた文:He was reluctant to tell his parents about the test.
- 自分の例文:I was reluctant to get up early on Sunday.
自分の例文を1つ作るだけで、単語が「見たことがある語」から「使える語」に一歩近づきます。
復習のタイミング
記録した単語は、翌日・数日後・1週間後のように、時間をあけて見直すと記憶に残りやすくなります。見直すときは、いきなり意味を見るのではなく、元の文を読んで意味を思い出してから確認しましょう。
読解で語彙を増やす1週間メニュー
1日20〜25分を想定したメニュー例です。
- 月曜:やさしめの英文を15分読む。知らない単語に印をつけ、推測だけしておく
- 火曜:月曜の印の単語のうち、3〜5語だけ辞書で確認し、文ごと記録する
- 水曜:新しい英文を15分読む+月曜の記録を見直す
- 木曜:水曜の単語を3〜5語、文ごと記録し、それぞれ自分の例文を作る
- 金曜:同じテーマの英文を読み、記録した単語にもう一度出会えないか探す
- 土曜:好きな本を30分読む。記録は1〜2語だけ
- 日曜:1週間の記録を見直し、意味を思い出せなかった単語に印をつけて来週へ
単語帳学習との組み合わせ方とよくある失敗
単語帳と読解は「両輪」
単語帳で意味を先に知っておくと、英文で出会ったときに「あ、これだ」と気づけます。逆に、英文で出会った単語を単語帳で見つけると、「生きた例」と結びついて記憶が強まります。単語帳で覚えた単語に、読解で出会い直すことを意識すると、両方の効果が高まります。
よくある失敗
- 全部の単語を調べる:読む量が減り、出会い直しの機会も減ってしまいます。1回の読書で調べるのは5語程度までにしましょう。
- 難しすぎる英文で語彙を増やそうとする:知らない単語が多すぎると推測ができず、辞書引きの作業になってしまいます。
- 記録して満足する:ノートに書くだけでは覚えられません。見直しと想起をセットにしましょう。
- 意味を1つだけで覚える:多くの単語には複数の意味や使い方があります。出会った文の中での意味を大切にしましょう。
まとめ:推測して、記録して、また出会う
読解で語彙を増やすポイントをまとめます。
- 知らない単語が少ない、やさしめの英文を使う
- 言い換え・対比・具体例・単語の形から推測する
- 調べる単語は絞り、文ごと記録して自分の例文を作る
- 時間をあけて見直し、新しい英文で出会い直す
今日は、やさしめの英文を1本読んで、知らない単語を1つだけ推測してから辞書で確認してみてください。



