語呂合わせと語源、それぞれの強みと弱み
まずは2つの方法の特徴を比べてみましょう。
語呂合わせ
- 強み:すぐに覚えられる。インパクトがあるので最初の1回に強い
- 弱み:1語ごとに別の語呂が必要。数が増えると語呂どうしが混ざる。発音が日本語寄りになりやすい
語源
- 強み:1つのパーツを覚えると、たくさんの単語に応用できる。初めて見る単語の意味も推測しやすい
- 弱み:最初にパーツを覚える手間がかかる。すべての単語が語源で説明できるわけではない
ポイント:語源は「たくさんの単語に効く共通のカギ」、語呂合わせは「どうしても開かない扉のための合鍵」と考えるとわかりやすいです。
つまり、どちらか一方だけに頼るより、単語のタイプによって使い分けるのが効率的です。
まずは語源で「骨組み」を作る
英単語の多くは、接頭辞(前につくパーツ)・語根(中心のパーツ)・接尾辞(後ろにつくパーツ)の組み合わせでできています。よく出るパーツをいくつか知っておくだけで、覚え方がぐっと楽になります。
- pre-(前に):predict(前もって言う→予言する)、prepare(前もって準備する)
- re-(再び・後ろへ):return(戻る)、review(もう一度見る→復習する)
- trans-(越えて):transport(運んで越える→輸送する)、translate(訳す)
- dict(言う):dictionary(言葉の本→辞書)、contradict(反対のことを言う→矛盾する)
- port(運ぶ):import(中へ運ぶ→輸入する)、export(外へ運ぶ→輸出する)
- -able(~できる):readable(読める)、portable(運べる→持ち運びできる)
このように、1つのパーツから単語のグループを作ると、1語ずつ覚えるよりも記憶に残りやすくなります。新しい単語に出会ったら「知っているパーツはないかな?」と探す習慣をつけましょう。
語源で覚えにくい単語に語呂を使う
語源パーツが見つからない単語や、パーツを知っても意味とつながりにくい単語もあります。そんなときに語呂合わせの出番です。
以下は、編集部で作った語呂の例です(あくまで一例なので、自分で作ったもののほうが覚えやすいはずです)。
- obey(従う):「オー、ベイ(はい)!」と元気に返事して先生に従う
- rural(田舎の):「ルーラル、ルーラル」と鼻歌を歌いながら田舎道を歩く
- timid(臆病な):「チ、ミッ…」と小声しか出せない臆病な子
語呂を作るときのルールは3つです。
- 意味が必ず入っていること(音だけの語呂は意味を忘れる)
- 本当の発音も確認すること(語呂の音で覚えると発音がずれやすい)
- 例文でも1回使うこと(語呂を卒業するため)
語呂はあくまで「最初のきっかけ」。何度か使ううちに語呂なしで思い出せるようになるのが理想です。
単語のタイプ別・おすすめの覚え方
どの単語に語源を使い、どの単語に語呂を使うか迷ったら、次の目安を参考にしてください。
語源が向いている単語
- 長めの単語(information, international, unbelievable など)
- パーツがはっきり見える単語(un- + happy、inter- + national など)
- 同じ仲間が多い単語(spect を含む inspect, respect, spectator など)
語呂やイメージが向いている単語
- 短くてパーツに分けにくい単語(obey, vague, keen など)
- 何度見ても意味を忘れる単語
- 似た単語と混同しやすい単語(adapt と adopt など、区別のきっかけがほしいもの)
どちらも使わなくてよい単語
- 日常でよく目にする基本語(book, water, happy など)
- カタカナ語として定着している単語(computer, camera など)
こうした単語は、読む・聞く・使う回数を増やすのが一番の近道です。
ポイント:「この単語はどのタイプ?」と一瞬考えるだけでも、単語をしっかり観察することになり、記憶に残りやすくなります。
単語帳を開いたら、覚えにくい単語に「語」(語源)か「呂」(語呂)の印をつけて、方法を決めてから覚え始めましょう。
組み合わせ方の具体例
語源と語呂は、1つの単語の中で組み合わせることもできます。
例:transparent(透明な)
- 語源:trans-(通して)+ par(見える、という意味に関係すると説明されることが多い)
- イメージ:向こうが「通して見える」→透明
例:benefit(利益・ためになる)
- 語源:bene(良い)+ fit(なす)→ 良いことをなす
- 仲間:beneficial(有益な)、benevolent(慈悲深い)
例:abandon(見捨てる)
- 語源で説明しにくい場合は、語呂やイメージで補う
- 自作イメージ:「あ、バンド(band)を捨てて一人で出ていく」→見捨てる
ポイント:語源の説明には諸説あるものも多いので、辞書の語源欄など信頼できる情報で確認し、「覚えるための手がかり」として使いましょう。
大切なのは、語源で説明できる部分は語源で、できない部分は語呂やイメージで、と柔軟に切り替えることです。
1週間の実践メニュー
- 1日目:よく出る接頭辞を5つ(pre-, re-, trans-, un-, inter-)ノートにまとめる
- 2日目:それぞれの接頭辞を使った単語を3つずつ単語帳から探す
- 3日目:語根を3つ(dict, port, spect)調べて、単語グループを作る
- 4日目:語源で覚えにくい単語を5つ選び、自分で語呂を作る
- 5日目:1〜4日目の単語を、見ずに書き出すテスト
- 6日目:覚えた単語を使って英作文を5文作る
- 7日目:単語帳の未習ページで、パーツから意味を推測するゲームをする
7日目の「推測ゲーム」は特におすすめです。知らない単語でも意味の見当がつく体験をすると、語源学習が一気に楽しくなります。
よくある失敗と対策
- 失敗1:語呂を作ることが目的になる → 語呂づくりに時間をかけすぎると、覚える量が減ってしまいます。思いつかないときは例文で覚えましょう。
- 失敗2:語源の説明を丸暗記する → 語源は理解のための道具です。パーツの意味だけ押さえ、細かい由来まで覚える必要はありません。
- 失敗3:語呂の音で発音を覚えてしまう → 必ず辞書アプリなどで本当の発音を確認し、声に出して練習しましょう。
- 失敗4:推測だけで意味を決めつける → 語源から推測した意味は、必ず辞書で確認を。パーツが同じでも意味がずれる単語もあります。
語源と語呂を上手に使い分ければ、「覚えられない単語」がぐっと減ります。まずは今日開く単語帳の1ページだけでいいので、語源パーツ探しと語呂づくりを試してみてください。方法を持っているだけで、暗記への苦手意識がかなり軽くなるはずです。



