和文英訳の減点はどこで起きるか
和文英訳の採点基準は大学ごとに異なり、公表されていないことがほとんどです。ただ、一般的に減点されやすいのは次のようなミスだと考えられます。
- 文法のミス:時制、主語と動詞の一致、冠詞、名詞の数
- 語法のミス:動詞の使い方(他動詞・自動詞)、前置詞の組み合わせ
- 意味のずれ:日本語の内容の一部が抜けている、または違う意味になっている
- 不自然な表現:日本語を直訳して、英語として意味が通りにくい
このうち、文法と語法のミスは見直しで防げることが多いのがポイントです。和文英訳は「書く力」と「見直す力」の両方で点が決まります。
難しい表現で満点を狙うより、確実に書ける表現で減点を防ぐ。これが和文英訳の基本戦略です。
基本の型:主語と動詞を先に決める
日本語の文をいきなり頭から英語にすると、構造が崩れやすくなります。まず英語の骨組み(主語+動詞)を決めましょう。
手順
- 日本語の文の「言いたいこと」を一言でつかむ
- 英語の主語を決める(日本語の主語と同じとは限らない)
- 動詞を決める
- 残りの情報(時・場所・理由など)を後ろに足す
自作の例
日本文:最近では、スマートフォンで本を読む人が増えている。
- 言いたいこと:スマホで本を読む人が増えている
- 主語:More and more people
- 動詞:read
- 足す情報:on their smartphones / these days
英訳例:These days, more and more people read books on their smartphones.
主語を変える発想
日本文:この町は、冬になると雪が多い。
- ✕ This town is much snow in winter.
- ◯ We have a lot of snow in this town in winter.
- ◯ This town gets a lot of snow in winter.
日本語の「は」を、そのまま英語の主語にしないことが大切です。
チェック1:時制
時制のミスは、和文英訳で最も多いミスの一つです。
確認すること
- 過去の話は過去形になっているか
- 「~したことがある」「ずっと~している」は現在完了になっているか
- 時・条件を表す when / if の節の中で、未来のことを現在形で表しているか
自作の例
日本文:駅に着いたら、電話してください。
- ✕ Please call me when you will arrive at the station.
- ◯ Please call me when you arrive at the station.
日本文:私は3年間英語の日記を書き続けている。
- ✕ I write an English diary for three years.
- ◯ I have been keeping a diary in English for three years.
見直しのコツ
答案の動詞すべてに印をつけ、「いつのことか」を1つずつ確認します。動詞に印をつけるだけで、時制のミスはかなり防げます。
チェック2:冠詞と名詞の数
冠詞(a / an / the)と名詞の数(単数・複数)は、日本語にない区別なので、特に注意が必要です。
確認すること
- 数えられる名詞の単数形に、a / the / my などがついているか
- 一般的な話をするとき、複数形を使っているか
- 初めて出てきたものに the をつけていないか
自作の例
日本文:犬は人間の最良の友だと言われている。
- ✕ Dog is said to be human's best friend.
- ◯ Dogs are said to be humans' best friends.
日本文:昨日、公園で面白い本を見つけた。その本は古い写真集だった。
- ◯ Yesterday I found an interesting book in the park. The book was an old photo album.
数えられない名詞に注意
information、advice、furniture、homework などは数えられない名詞として使うのが一般的です。
- ✕ many informations
- ◯ a lot of information
名詞に印をつけて、「a/the/複数形/数えられない」のどれかを確認する習慣をつけましょう。
チェック3:主語と動詞の一致・語法
主語と動詞の一致
主語が三人称単数なら、現在形の動詞に -s がつきます。主語が長いと見落としやすいので注意。
自作の例:
- ✕ The number of students who study abroad are increasing.
- ◯ The number of students who study abroad is increasing.
主語は The number(数)なので単数扱いです。
語法:自動詞と他動詞
- ✕ discuss about the problem → ◯ discuss the problem
- ✕ reach to the station → ◯ reach the station / get to the station
- ✕ explain me the rule → ◯ explain the rule to me
語法:前置詞の組み合わせ
- be interested in
- depend on
- be different from
- be good at
自分のミスノートを作る
過去問の添削で指摘されたミスを、ノートにまとめておきましょう。自分がよくするミスは、人によって偏りがあるので、自分専用のチェックリストが最強の見直しツールになります。
見直しチェックリスト(本番用)
答案を書き終えたら、次の順番で見直します。1つの項目につき1回、答案全体を見るのがコツです。
- 意味:日本語の内容がすべて入っているか(抜けている部分はないか)
- 動詞:すべての動詞に印をつけ、時制と主語との一致を確認
- 名詞:すべての名詞に印をつけ、冠詞と数を確認
- 語法:動詞と前置詞の組み合わせ、自動詞・他動詞を確認
- つづり:よく使う単語のつづりを確認
- 句読点:文の最後のピリオド、カンマの位置
時間の目安
1題(2〜3文)につき、見直しは2〜3分。見直しの時間を最初から計画に入れておくことが大切です。
よくある失敗
- 書き終えて安心し、見直しをしない
- 見直しで表現を大きく変えて、新しいミスを作る
- 難しい構文を使おうとして、文の構造が崩れる
見直しは「表現をよくする」時間ではなく、「ミスを見つけて直す」時間と割り切りましょう。
1週間の練習メニュー
1日20分のトレーニング
- 日本文1〜2文を英訳(8分)
- チェックリストで自己点検(4分)
- 模範解答と比べ、違いを確認(5分)
- ミスをミスノートに記録(3分)
1週間メニュー
- 月:時制がポイントになる文を3つ英訳
- 火:冠詞・名詞の数がポイントになる文を3つ
- 水:主語を変える発想が必要な文を3つ
- 木:過去問の和文英訳1題
- 金:木曜の答案を先生に添削してもらう、または模範解答と比較
- 土:ミスノートを見直し、同じミスをした文をもう一度英訳
- 日:例文暗記(自分で使いたい表現を5つ)
例文暗記のすすめ
和文英訳では、自分が確実に書ける例文のストックが武器になります。英文解釈や長文で出会った「使える文」を暗記しておくと、本番で表現に迷う時間が減ります。
今日やることは、自分が最近書いた英作文を1つ取り出し、動詞と名詞にすべて印をつけてみること。見落としていたミスがきっと見つかります。



