共通テストと二次試験の違い
国公立大学を受験する場合、多くの人は共通テストと、各大学の個別試験(二次試験)の両方を受けます。英語では、この2つの試験の性格がかなり違います。
共通テストの英語
- リーディング(80分・100点)とリスニング(100点)
- マーク式で、多様な英文から情報を探したり要点をつかんだりする問題が中心
- 英文の量が多く、速く読む力が求められる
二次試験の英語
- 大学ごとに出題が異なる
- 長文読解に加えて、和訳・英訳、要約、自由英作文など記述式の問題が多い
- 答えを「選ぶ」のではなく、「自分で書く」力が求められる
つまり、二次試験では「わかっている」ことを、採点者に伝わる答案として書く力が必要です。選択肢があれば正解できる内容でも、自分の言葉で書くとなると、とたんに難しくなります。
ポイント:二次試験対策は「読む力」に加えて「書いて伝える力」のトレーニング。答案を書く練習の量が、そのまま得点力になります。
二次試験でよく出る形式と対策
大学によって出題形式は異なりますが、国公立の二次試験でよく見られる形式と、それぞれの対策の方向性を整理します。
1. 下線部和訳
構造が複雑な文を正確に訳す問題です。英文解釈の力が直接問われます。主語・動詞・修飾関係を確認してから訳す習慣をつけましょう。
2. 内容説明
「下線部はどういうことか、日本語で説明しなさい」のように、本文の内容を自分の言葉でまとめる問題です。下線部の前後から根拠を探し、字数内に過不足なくまとめる力が必要です。
3. 要約
段落や文章全体の要旨を、日本語または英語で指定の字数にまとめる問題です。各段落の要点を取り出し、つなげる練習が効果的です。
4. 和文英訳
日本語の文を英語にする問題です。日本語を英語にしやすく言い換える力と、正確な文法が求められます。
5. 自由英作文
与えられたテーマについて、自分の意見を英語で書く問題です。主張・理由・具体例の型を身につけておくと書きやすくなります。
志望校の過去問を見て、どの形式が毎年出ているかを確認し、練習の比重を決めましょう。
内容説明問題の答案の作り方
二次試験で特に差がつきやすいのが、内容説明問題です。ここでは、答案作りの手順を自作例で紹介します。
手順
- 設問を正確に読む:「理由を説明せよ」「内容を説明せよ」「筆者の考えをまとめよ」など、何を問われているかを確認する
- 下線部の構造を分析する:下線部そのものの意味を正確にとる
- 根拠を本文から探す:下線部の前後の文に、説明のヒントがあることが多い
- 要素を箇条書きにする:答案に入れるべきポイントを2〜4つに整理する
- 字数内でまとめる:箇条書きの要素をつなげて文章にする
自作例
本文(要旨):多くの人は、失敗を避けるべきものだと考える。しかし、失敗から学ぶことで、人は新しい方法を見つけることができる。
設問:「失敗は貴重である」と筆者が考える理由を説明しなさい。
答案に入れる要素:
- 失敗から学ぶことができる
- それによって新しい方法を見つけられる
答案例:失敗から学ぶことで、それまで気づかなかった新しい方法を見つけられるから。
設問が「理由」を問うているので、文末を「~から」で終えている点にも注目しましょう。
ポイント:設問の問い方に文末を合わせるだけで、答案の印象と正確さがぐっと上がります。
記述答案の基本ルール
記述式の答案では、内容だけでなく「書き方」でも評価が変わることがあります。次の基本ルールを守りましょう。
日本語で答える問題
- 字数制限がある場合は、制限の8〜9割以上を目安に書く
- 設問の問い方に合わせて文末を整える(理由→「~から」「~ため」、内容→「~ということ」)
- 本文の表現をそのまま使うだけでなく、必要に応じてかみくだいて説明する
- 字は丁寧に。読みにくい字は、採点者に正しく伝わらないおそれがある
英語で答える問題
- 指定の語数を守る
- 自信のない難しい表現より、確実に書ける表現を選ぶ
- 三単現の -s、時制、冠詞、複数形を最後に見直す
部分点を意識する
記述問題では、完全な答案が書けなくても、要素の一部が書けていれば部分点がもらえる可能性があります。わからないからといって白紙にせず、わかる範囲で書くことが大切です。
答案用紙の使い方
解答欄の大きさは、求められている答えの分量のヒントになることがあります。過去問を解くときは、できれば実際の解答欄と同じくらいの枠を紙に書いて、その中に収める練習をしておきましょう。本番で「書きすぎて枠からはみ出す」「少なすぎて空白が目立つ」を防げます。
共通テスト後の二次対策スケジュール
共通テストが終わってから国公立の二次試験までは、それほど長い期間ではありません。この期間の使い方が合否を大きく左右します。ただし、共通テスト前から二次試験の記述対策を少しずつ続けておくことが前提です。
共通テスト前(秋〜12月)
- 週に2〜3回は、二次試験形式の記述問題(和訳・英作文など)を書く
- 志望校の過去問は、秋のうちに数年分を解いて傾向をつかむ
- 12月以降は共通テスト対策の比重を上げつつ、英作文や和訳を週1回は続ける
共通テスト後
- 気持ちを切り替え、すぐに二次試験の過去問演習に移る
- 1日1年分を目安に過去問を解き、復習に同じくらい時間をかける
- 英作文や和訳は、できる限り先生に添削してもらう
- 本番と同じ時間配分で解く練習をくり返す
共通テストの結果に一喜一憂する気持ちはわかりますが、二次試験の配点が大きい大学も多くあります。切り替えの早さが大切です。
二次対策の1週間メニューとよくある失敗
秋ごろを想定した、二次試験対策の1週間メニュー例です(英語に1日2時間程度使う場合)。
平日
- 月:長文1題+下線部和訳の答案作成
- 火:内容説明問題2題+答案の見直し
- 水:和文英訳2題+表現ストックの追加
- 木:要約1題(段落ごとの要点メモ→要約)
- 金:自由英作文1題(型に沿って書く)
週末
- 土:志望校の過去問1年分を時間を計って解く
- 日:過去問の復習と、1週間の答案の見直し
よくある失敗
- 頭の中だけで答えを考える:実際に書かないと、字数や表現の問題に気づけません。
- 自己採点が甘い:解答例と比べて「だいたい合っている」で済ませず、要素が足りているかを1つずつ確認しましょう。
- 共通テスト対策だけに偏る:マーク式だけでは記述の力はつきません。共通テスト前でも記述練習を続けましょう。
- 添削を受けない:記述問題は、第三者に見てもらうことで初めて気づく弱点が多い分野です。
まとめ:書いた答案の数が力になる
国公立二次試験の英語は、「読める」を「書ける」に変える試験です。
- 志望校の過去問で、出題形式を早めに確認する
- 和訳・内容説明・英訳・要約・英作文、それぞれの手順を身につける
- 設問の問い方に答案の文末を合わせる
- 共通テスト前から記述の練習を続け、共通テスト後はすぐに切り替える
記述式の力は、答案を書いた数に比例して伸びていきます。今日は、最近読んだ長文から1か所を選び、「この部分はどういうことか」を日本語50字でまとめてみましょう。その1題が、二次試験への確かな一歩になります。



