英文解釈とは何か、なぜ必要か
英文解釈とは、1つの英文を文法のルールに基づいて分析し、正確に意味をとることです。長文読解が「たくさんの文を読んで全体の内容をつかむ」練習だとすれば、英文解釈は「1文を確実に読む」練習だと言えます。
大学受験では、国公立の二次試験や私大の記述式の問題で、下線部の和訳がよく出されます。下線部はたいてい、構造が複雑で読み違えやすい文が選ばれます。ここで点を取るには、なんとなくの雰囲気ではなく、主語はどれで、動詞はどれで、この部分は何を説明しているのかを根拠をもって説明できる力が必要です。
また、英文解釈の力は長文読解の土台にもなります。長文で内容を誤解する原因の多くは、「1文の読み違い」です。難しい1文を正確に読めるようになると、長文全体の理解度が上がり、結果的に速く読めるようにもなります。
ポイント:英文解釈は「遅く読む練習」ではなく、「正確に読めるようになった結果、速く読めるようになる練習」です。
基本の手順①:まず動詞を探す
英文解釈の第一歩は、動詞を探すことです。英語の文は、必ず中心となる動詞(述語動詞)を1つ持っています。そして、動詞が2つ以上あるときは、それをつなぐ接続詞や関係詞があるはずです。
動詞の数と接続の関係
- 動詞が1つ → 単文。主語と動詞を見つければ骨組みが見える
- 動詞が2つ → 接続詞・関係詞・疑問詞などが1つある
- 動詞が3つ → つなぐ言葉が2つある
これを「動詞の数-1=つなぐ言葉の数」と覚えておくと便利です。
例文で練習
「The idea that students should learn a foreign language from an early age is supported by many parents.」
- 動詞を探す:should learn、is supported の2つ
- つなぐ言葉:that(1つ)
- that から age までが The idea の内容を説明している(同格)
- 文の主語は The idea、動詞は is supported
- 訳:生徒は幼いころから外国語を学ぶべきだという考えは、多くの親に支持されている
ここで注意したいのは、learn や supported のような語が「動詞の形をしているけれど述語動詞ではない」場合があることです。to learn(不定詞)や supported by ~(過去分詞の修飾)のように、形を見て判断する力が必要になります。
基本の手順②:修飾部分を括弧でくくる
動詞がわかったら、次は修飾部分を括弧でくくって文の骨組みを浮かび上がらせます。
くくる対象
- 前置詞+名詞のまとまり:( )で囲む 例:(in the morning)
- 形容詞のはたらきをする部分(関係詞節、分詞、不定詞など):[ ]で囲む
- 副詞のはたらきをする節(when, because, if など):< >で囲む
記号の種類は自分でわかれば何でも構いませんが、名詞を説明しているのか、文全体や動詞を説明しているのかを区別できるようにしておくのがポイントです。
例文で練習
「Many people [living in large cities] feel lonely <even though they are surrounded by others>.」
- 骨組み:Many people feel lonely(多くの人は孤独を感じる)
- [living in large cities]:people を説明(大都市に住んでいる)
- <even though ~>:文全体に「~にもかかわらず」を加える
- 訳:大都市に住んでいる多くの人は、他人に囲まれているにもかかわらず孤独を感じている
括弧でくくると、残った部分が「S+V+(O/C)」の骨組みになります。この骨組みをまず訳し、そこに修飾部分を肉付けしていくと、長い文でも迷わず訳せます。
つまずきやすい構文パターン
英文解釈の問題集でよく扱われる、読み違えやすいパターンを自作例文で紹介します。
1. 主語が長い文
「What surprised me most was his calm attitude.」
What から most までが主語。was が動詞。訳:私を最も驚かせたのは、彼の落ち着いた態度だった。
2. 形式主語 it
「It is not easy for young people to find a job they really like.」
It は後ろの to find ~ を指す。訳:若者が本当に好きな仕事を見つけるのは簡単ではない。
3. 倒置
「Only after the test did I realize how important sleep was.」
Only after ~ が文頭に出たため、did I realize と疑問文の語順になっている。訳:テストの後になってようやく、睡眠がいかに大切かに気づいた。
4. 省略
「Some students prefer studying in the morning, and others in the evening.」
others の後ろに prefer studying が省略されている。訳:朝に勉強するのを好む生徒もいれば、夜に勉強するのを好む生徒もいる。
5. 名詞の後ろの関係代名詞の省略
「The book I borrowed from the library was very interesting.」
The book と I の間に関係代名詞が省略されている。動詞は borrowed と was の2つ。訳:図書館で借りた本はとてもおもしろかった。
ポイント:「名詞+名詞+動詞」の並びを見たら、関係代名詞の省略を疑いましょう。
問題集の回し方と1週間メニュー
英文解釈の問題集は、1冊を決めて繰り返すのがおすすめです。1周目で全部を理解しようとせず、3周を前提に進めましょう。
3周の回し方
- 1周目:自分で構造を書き込み、訳を作ってから解説を読む。わからなかった文に印をつける
- 2周目:印をつけた文だけを、何も見ずに構造分析と訳をやり直す
- 3周目:全文を音読し、意味がすらすら浮かぶか確認する
1週間メニュー(1日30分)
- 月〜金:新しい英文を3〜5文分析(20分)+前日分の音読(10分)
- 土:1週間分の印をつけた文をやり直し(30分)
- 日:短めの長文を1題読み、学んだ構文が出てきたら印をつける(30分)
1日の量は多くなくて構いません。1文を丁寧に扱い、「なぜこの訳になるのか」を説明できる状態にすることが大切です。
よくある失敗
失敗1:訳を覚えて満足する
解説の訳を読んで「なるほど」と思っても、同じ構造の別の文を読めるとは限りません。大切なのは訳ではなく、なぜそう読めるのかという手順です。解説の手順を、自分の言葉で説明し直しましょう。
失敗2:記号を書き込むことが目的になる
SVOCや括弧を書き込むのは、構造を見抜くための手段です。慣れてきたら、頭の中だけで構造をとれるようにしていきましょう。最終的には、長文を読みながら自然と骨組みが見える状態が目標です。
失敗3:文法の基礎が不安なまま始める
関係詞や分詞の基本がわからないまま解釈に取り組むと、解説そのものが理解できません。英文解釈で何度もつまずく単元があれば、いったん文法の問題集に戻って確認しましょう。
失敗4:長文と切り離してしまう
英文解釈で学んだことは、長文で使ってこそ意味があります。長文を読んでいて意味がとれない文に出会ったら、その場で解釈の手順を使って分析する習慣をつけましょう。
まとめ:今日から1日3文
英文解釈は、派手さはありませんが、英語の力を根本から底上げしてくれるトレーニングです。
- まず動詞を探し、「動詞の数-1=つなぐ言葉の数」を確認する
- 修飾部分を括弧でくくって、骨組みを浮かび上がらせる
- よく出る構文パターンを、自作例文でも練習する
- 問題集は1冊を3周。訳ではなく手順を身につける
最初は1文に10分かかっても大丈夫です。続けているうちに、構造が見えるスピードは確実に上がっていきます。今日は、手元の教科書や長文問題から「読みにくい」と感じた文を3つ選び、動詞に印をつけるところから始めてみましょう。



