1級の一次試験の全体像
1級の一次試験は、リーディング・ライティングが100分、リスニングが約35分です。
- リーディング:短文の語句空所補充22問、長文の語句空所補充6問、長文の内容一致選択7問
- ライティング:英文要約1問(90〜110語)、英作文1問(200〜240語)
- リスニング:会話の内容一致選択10問、文の内容一致選択10問、Real-Life形式5問、インタビューの内容一致選択2問(放送は1回)
2024年度のリニューアルで、1級にも要約問題が加わり、ライティングは2題になりました。100分の中で2題を書き切ることが、1級の新しい壁です。
直前1か月の最優先は「ライティング2題を時間内に書き切る体力」。語彙は毎日の積み上げ、長文は時間管理で守ります。
1週目:時間を測り、書く量を体に入れる
過去問1回分を本番どおりに解き、パートごとの所要時間を記録します。1級で多いのは、長文に時間を取られて英作文の結論が雑になるケースです。
手で書く速度を測る
1級の英作文は200〜240語。手書きで書く場合、構成メモ込みで何分かかるかを測っておきましょう。普段パソコンで文章を書いている社会人は、手書きの速度が想像以上に遅いことに驚くことがあります(S-CBTではタイピングを選べる場合があるので、受験方式に合わせて練習します)。
1週目の毎日メニュー(平日90分)
- 語彙:30分(通勤・スキマ時間に分散してOK)
- 要約か英作文:40分
- リスニング:20分
2週目:要約90〜110語を「論点の地図」で書く
1級の要約は、長めの英文を90〜110語にまとめます。複数の立場や論点が絡むことが多いので、論点の地図を先に作るのがコツです。
手順
- 段落ごとに「誰が・何を主張しているか」をメモ
- 賛成側・反対側・中立(提案)などに分類
- 具体例と数字を削り、抽象語でまとめる
- 本文の論理(対比・譲歩・因果)を接続語で再現
自作の練習例(要旨)
ある国で、週4日勤務制を試験導入する企業が増えている。支持者は、生産性の向上と従業員の健康改善を挙げる。一方、顧客対応が必要な業種では人手不足が起きやすく、中小企業には負担が大きいという批判がある。専門家は、業種ごとに柔軟な制度設計が必要だと指摘する。
要約の書き出し例:
A growing number of companies are experimenting with a four-day workweek. Supporters argue that it can raise productivity and improve employees' well-being. Critics, however, point out that...
このように「現象→支持→批判→提案」の流れを保つと、100語前後にまとまりやすくなります。
3週目:英作文200〜240語とリスニングの仕上げ
英作文の型
- 序論:立場+理由3つの予告
- 本論1〜3:理由→説明→具体例
- 結論:立場と理由の再確認
序論の自作例:
Whether nations should prioritize economic growth over environmental protection is a contentious issue. I firmly believe they should not, for three reasons: long-term economic risks, public health, and international responsibility.
この序論で約30語。本論1段落あたり50〜60語、結論25〜30語で、200〜240語に収まります。
よくある失敗
- 理由3つのうち2つが似た内容になる
- 具体例が一般論のままで説得力がない
- 結論で新しい論点を出してしまう
リスニング:インタビュー形式
インタビュー問題は、ゲストの経歴や考え方を聞き取る長めの音声です。話の転換点(But, Actually, What I realized was...)に注意して聞くと、設問の答えにつながる部分を拾いやすくなります。普段から英語のインタビュー番組やポッドキャストを聞き、話者の主張を一文でメモする練習が効果的です。
4週目:リハーサルと語彙の最終確認
100分の配分例
- 語彙22問:12分
- 長文空所補充6問:13分
- 長文内容一致7問:30分
- 要約:17分
- 英作文:25分
- 見直し:3分
あくまで一例なので、自分のリハーサルで調整しましょう。語彙問題は即答できないものに時間をかけないのが鉄則です。
語彙の最終確認
直前週は、単語帳全体を見直すより、「何度も間違える語」だけのリストを作り、朝と夜に見ます。1級の語彙は、句動詞(熟語)も出題されます。句動詞は例文ごと覚えると忘れにくくなります。
自作例文:
- The negotiations fell through at the last minute.
- She finally came around to our proposal.
前日
英作文の序論テンプレ、要約の手順、間違えやすい語のリストだけを確認し、しっかり眠りましょう。
長文は「捨てない」けれど「粘らない」
1級の長文は、専門的なテーマを扱う長い英文です。時間が足りなくなりそうなときは、設問を先に読み、答えの根拠になりそうな段落を探して読む「設問起点」に切り替えます。全文を読み切ることより、7問すべてに根拠を持って答えることを目標にしましょう。
1週間メニュー(4週目・社会人向け)
- 月:語彙30分+要約1題
- 火:語彙30分+リスニング(インタビュー)
- 水:語彙30分+英作文1題
- 木:語彙30分+長文1題
- 金:語彙30分+Real-Life・会話問題
- 土:過去問リハーサル(本番と同じ時間帯)
- 日:リハーサルの復習、ライティングの書き直し
当日の心構え
1級は、合格者でも「手応えがない」と感じることが珍しくない試験です。難しい問題に出会っても、それは全員にとって難しい問題。取れる問題を確実に取ることだけに集中しましょう。
二次試験:スピーチの準備を始める
1級の二次試験は約10分で、与えられた5つのトピックから1つを選び、2分間のスピーチを行い、その後その内容などについて質疑応答があります。
一次試験で書いた英作文の論点は、そのままスピーチのネタになります。一次試験が終わったら、英作文で書いたテーマを使って2分で話す練習を始めましょう。書くときの「立場→理由→例→結論」の型は、スピーチでもそのまま使えます。
今日やることは、過去問の英作文を1題、時間を計って手で書いてみること。自分の「書く速度」を知ることが、1か月作戦の出発点です。



