コーネル式ノートとは?
コーネル式ノートは、アメリカのコーネル大学で、学習指導に携わっていたウォルター・パウク(Walter Pauk)が広めたノートの取り方です。長く使われてきた方法で、今でも世界中の学生に知られています。
特徴は、ノートの1ページを次の3つのエリアに分けることです。
- ノートエリア(右側の広いスペース):授業や本の内容を書く場所
- キューエリア(左側の細い列):キーワードや「問い」を書く場所
- サマリーエリア(ページ下の数行):そのページの要約を書く場所
線の引き方の目安は、左端から3分の1弱のところに縦線を1本、ページの下から5〜6行分のところに横線を1本です。専用のノートも売られていますが、普通のノートに定規で線を引くだけで作れます。
ポイント:コーネル式の本当の価値は、見た目の分け方よりも「あとで左側を使って自分をテストできる」ところにあります。
5つのR
パウクは、コーネル式ノートを使った学習の流れを、英語の頭文字をとって「5つのR」として整理しています。
- Record(記録する):授業の内容をノートエリアに書く
- Reduce(まとめる):要点をキューエリアに短く抜き出す
- Recite(暗唱する):ノートエリアを隠し、キューを見て声に出して説明する
- Reflect(考える):学んだことを、ほかの知識とつなげて考える
- Review(復習する):定期的にキューを使って見直す
難しく考える必要はありません。「書く→しぼる→隠して言う→つなげる→見直す」と覚えておけば十分です。
書き方の手順:授業中と授業後で分ける
コーネル式は、授業中にすべてを完成させるものではありません。「授業中に書く部分」と「授業後に書く部分」を分けるのがコツです。
授業中:ノートエリアだけ書く
- 右側のノートエリアに、先生の説明や板書を書く
- 完璧な文章でなくてOK。矢印や記号、箇条書きで短く
- 例文は必ず書く。説明より例文のほうが、あとで役に立つ
- わからなかったところには「?」をつけておく
授業後(その日のうちに):キューとサマリーを書く
- ノートエリアを読み返し、大事なポイントをキューエリアにキーワードか問いの形で書く
- たとえば「現在完了の3用法は?」「since と for の違いは?」のように
- ページ下のサマリーエリアに、そのページの内容を2〜3文で要約する
復習:左側だけを見て思い出す
右側のノートエリアを紙で隠し、左側の問いだけを見て、答えを声に出すか書き出します。思い出せたら次へ、思い出せなければ右側を見て確認します。この「隠して思い出す」が、記憶を強くする想起練習になります。
英語の授業ノートの記入例
たとえば、関係代名詞の授業を受けたとします(例文は編集部の自作です)。
ノートエリア(右側)
- 関係代名詞 who:人を説明する
- I have a friend who lives in Canada.(カナダに住んでいる友だちがいる)
- which:もの・動物を説明する
- This is the book which I bought yesterday.(これは昨日買った本だ)
- that:人にもものにも使える
- 目的格(I bought の目的語)は省略できる → This is the book I bought yesterday.
- ? 省略できるのはいつ? → 後ろに主語+動詞が続くとき
キューエリア(左側)
- 人を説明する関係代名詞は?
- ものを説明する関係代名詞は?
- 人にもものにも使えるのは?
- 関係代名詞を省略できるのはどんなとき?
サマリーエリア(下)
関係代名詞は名詞を後ろから説明する。人はwho、ものはwhich、どちらもthatが使える。後ろに「主語+動詞」が続く目的格は省略できる。
このように書いておけば、テスト前には左側の問いに答えるだけで、授業の内容を短時間で復習できます。
長文読解・単語学習にも使える
コーネル式は授業ノートだけでなく、自習にも応用できます。
長文読解ノート
- ノートエリア:わからなかった単語、難しかった構文、段落ごとの要点を書く
- キューエリア:「第2段落の筆者の主張は?」「この文の主語はどれ?」などの問い
- サマリーエリア:長文全体の要旨を日本語で3文、慣れてきたら英語で2文
要旨を英語で書く練習は、英作文や英検の要約問題の練習にもなります。
単語ノート
- ノートエリア:単語の意味、例文、コロケーション(よく一緒に使われる語)
- キューエリア:日本語の意味だけを書く
- サマリーエリア:今日の単語で作った自作の一文
例として、ノートエリアに「reduce:減らす/reduce costs(費用を減らす)/We need to reduce plastic waste.」、キューエリアに「減らす(動詞)」と書きます。左側の日本語を見て英語を思い出す練習ができ、英作文に強い単語帳になります。
ポイント:キューエリアは「答え」ではなく「問い」を書く場所。問いの形にすると、復習がそのままクイズになります。
1週間の練習メニュー
いきなり全教科で始めるより、英語1科目で1週間試してみましょう。
- 1日目:ノートに線を引き、3エリアのページを5ページ分作る
- 2日目:授業(または参考書1単元)の内容を、ノートエリアだけに書く
- 3日目:2日目のページのキューエリアに問いを3〜5個書き、サマリーを書く
- 4日目:2日目のページの右側を隠し、左側の問いに答えてみる
- 5日目:長文を1本読み、長文読解ノートとしてコーネル式で書く
- 6日目:単語10個を単語ノート形式で書く
- 7日目:今週のページ全部について、右側を隠して左側の問いに答える
7日目に「思い出せなかった問い」に印をつけ、翌週の復習リストに入れましょう。これを繰り返すと、ノートがそのまま自分専用の問題集になっていきます。
よくある失敗
失敗1:授業中に全部書こうとする
キューもサマリーも授業中に書こうとすると、先生の話を聞き逃してしまいます。授業中は右側だけに集中しましょう。
失敗2:キューエリアにキーワードを書き写すだけ
「関係代名詞」とだけ書いても、それを見て何を思い出せばいいのかわかりません。「関係代名詞を省略できるのは?」のように、答えが1つに決まる問いにしましょう。
失敗3:サマリーを書かない
一番面倒で、一番飛ばされやすいのがサマリーです。でも、要約するためには内容を理解していないと書けません。2〜3文で十分なので、その日のうちに書きましょう。書けないところは、理解があいまいなサインです。
失敗4:きれいに書くことに時間をかける
コーネル式の目的は、見やすいノートを作ることではなく、復習しやすいノートを作ることです。字の美しさや色分けより、「問い」を作ることに時間を使いましょう。
まとめ:ノートは「書く」より「使う」ためにある
コーネル式ノートは、ページを3つに分けるだけの方法です。でも、その分け方の中に「書く→問いを作る→要約する→隠して思い出す」という、記憶に残る勉強の流れがしっかり入っています。
ノートは、書いた瞬間ではなく、あとで使ったときに価値が生まれます。今日の英語の授業か、参考書の1単元で、さっそく線を1本引くところから始めてみてください。夜、左側の問いに答えられたら、それが最初の成功です。



