宇宙なら夜も雨もない。宇宙で太陽光発電して地上に“電波で送る”計画は意外と本気だった

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宇宙で、電力を無線で飛ばす実験がすでに行われたことがある
2023年、米カリフォルニア工科大学の実験衛星が宇宙空間で無線送電を行い、その電波を地上でも検出した。
- 対象
- 宇宙太陽光発電の構想と実証衛星
- 規模
- 小型実証衛星1機・地上送電実験
- 研究の種類
- 構想論文・技術実証・レビュー
- 確かさ
- ★★☆☆☆
宇宙で太陽光発電し、マイクロ波などで地上に送る構想は1968年から。2023年には宇宙からの無線送電の実証実験も行われた。ただ巨大な設備とコストの壁は高い。
ひとことで言うと宇宙のソーラーパネルで発電して、電気を「電波」で地球に送る計画!
太陽光発電には、どうしても避けられない弱点があります。夜は発電できない。そして曇りや雨の日も弱い。
じゃあ、夜も雲もない場所にパネルを置けばいいのでは?――そう、宇宙です。
宇宙で太陽の光を集めて発電し、その電気を電波に変えて地上に送る。まるでSFのようなこの「宇宙太陽光発電」は、実は半世紀以上前から本気で研究されてきました。そして最近、宇宙での実験も始まっています。
011968年に生まれた壮大なアイデア
宇宙、特に地球からはるか上空の静止軌道あたりなら、夜になる時間はごくわずか。雲も天気もないので、地上よりずっと安定して太陽光を受け取れます。
02電気を「電波」で運ぶってどういうこと?
宇宙から電線を垂らすわけにはいきません。そこで使うのが無線送電です。
- 宇宙のパネルで発電した電気を、マイクロ波(電子レンジやWi-Fiの仲間の電波)に変える
- そのマイクロ波を、地上の受信アンテナに向けてビームのように送る
- 地上で受け取ったマイクロ波を、また電気に戻す
スマホのワイヤレス充電は数ミリの距離ですが、こちらは数万キロ。しかも、ビームの向きを正確に地上の一点に合わせ続けなければなりません。

032023年、宇宙から「電波で送電」に成功
2023年、米カリフォルニア工科大学(Caltech)の研究チームは、打ち上げた実験衛星で、宇宙空間での無線送電の実験を行いました。衛星の上でマイクロ波のビームの向きを変えながら電力を送り、その電波を地上の大学の屋上でも検出できたと発表しています。
日本でも、JAXAなどが長年この分野を研究しています。2015年には地上で、離れた場所にキロワット級の電力をマイクロ波で送る実験が行われました。さらに小型衛星を使って宇宙から地上へ電力を送る実証計画も進められています。
04それでも「実用化はまだ先」な理由
主な壁は次のとおりです。
- 大きさ:本格的な発電所には、キロメートル級のパネルやアンテナが必要とされる
- 打ち上げコスト:その巨大な設備を部品ごとに宇宙へ運び、組み立てなければならない
- 送電の効率:電気→電波→電気と変換するたびにロスが出る
- 安全性への理解:ビームは地上で安全な強さになるよう設計されますが、社会の理解を得ることも欠かせない
ロケットの打ち上げ費用が下がってきたことで、「昔より現実味が出てきた」と見る専門家もいます。
05まとめ
宇宙太陽光発電は、夜も雨もない宇宙で発電し、電波で地上に送るという壮大な計画。1968年のアイデアが、2023年には宇宙での送電実験にまで進みました。
実用化にはまだ大きな壁がありますが、もし実現したら、空から“見えない電気”が毎日降ってくる未来がやってくるかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSolar power on Earth has two weaknesses: it stops at night, and it becomes weaker on cloudy or rainy days.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Solar panels on Earth cannot make power at night, and they are weak on rainy days. In space, there is no night or rain for most of the time.
So scientists want to put solar panels in space. The power would be sent to Earth as radio waves. In 2023, a satellite sent power through space, and people on the ground found the waves. But a real space power station would be huge and expensive.
75 words ・ CEFR A2
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地球上のソーラーパネルは夜には電気を作れず、雨の日には弱くなります。宇宙では、ほとんどの時間、夜も雨もありません。
そこで科学者たちは、ソーラーパネルを宇宙に置きたいと考えています。電気は電波として地球に送られます。2023年、ある衛星が宇宙で電力を送り、地上の人々がその電波を見つけました。しかし、本物の宇宙発電所はとても大きく、費用もかかるでしょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
宇宙で太陽光発電をして電気を地球に送る計画が主題なので D。
Q2. How would the power be sent to Earth?
The power would be sent to Earth as radio waves. とあるので B。
Q3. In this passage, "huge" means ...
huge は「巨大な」。very large と同じ意味なので A。
Solar power on Earth has two weaknesses: it stops at night, and it becomes weaker on cloudy or rainy days. Space-based solar power aims to solve this by placing solar panels in orbit, where there is almost no night and no weather. The idea was first proposed in 1968 by Peter Glaser, an American engineer.
Electricity generated in space would be converted into microwaves, beamed to receiving antennas on the ground, and then turned back into electricity. In 2023, a Caltech satellite transmitted power wirelessly in space, and its signal was also detected on the roof of the university. However, a real power station would need panels and antennas kilometers wide, and launching such huge structures would be very expensive.
120 words ・ CEFR B1
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地球上の太陽光発電には2つの弱点があります。夜には止まり、曇りや雨の日には弱くなることです。宇宙太陽光発電は、夜がほとんどなく天気もない軌道上にソーラーパネルを置くことで、これを解決しようとしています。このアイデアは、1968年にアメリカの技術者ピーター・グレーザーによって初めて提案されました。
宇宙で作られた電気はマイクロ波に変換され、地上の受信アンテナに向けてビームとして送られ、それから再び電気に戻されます。2023年、カリフォルニア工科大学の衛星が宇宙で無線で電力を送り、その信号は大学の屋上でも検出されました。しかし、本物の発電所には幅何キロメートルものパネルやアンテナが必要で、そのような巨大な構造物を打ち上げるには非常に費用がかかるでしょう。
4択リーディングクイズ
Q1. Who first proposed space-based solar power?
first proposed in 1968 by Peter Glaser とあるので C。
Q2. What is the correct order of the power transmission process?
宇宙で作った電気をマイクロ波に変え、地上のアンテナへ送り、電気に戻す、という順なので B。
Q3. What can we infer about the 2023 experiment?
信号は検出されたが、本物の発電所は巨大で高価だとあるので、仕組みの確認段階で実用はまだ先と推論できる。正解は A。
Ground-based solar panels face unavoidable limits: they produce nothing at night and little under heavy cloud. Space-based solar power proposes to bypass these limits by collecting sunlight in orbit, particularly near geostationary orbit, where a station would be in darkness only briefly and never affected by weather. The concept was first set out in 1968, when engineer Peter Glaser argued in Science that a large orbiting power station could beam energy to Earth as microwaves. The process involves three conversions: electricity is turned into microwaves, transmitted as a narrow beam to ground antennas tens of thousands of kilometers away, and converted back into electricity.
In 2023, Caltech's demonstration satellite steered a microwave beam in space and its signal was detected on a campus rooftop, while Japan's JAXA has conducted ground-based kilowatt-class transmission tests. These were proofs of concept, however, delivering only tiny amounts of power. A practical station would require kilometer-scale structures assembled in orbit, each conversion step would lose energy, and public acceptance of the beams would be essential. Falling launch costs have revived interest, but some analyses conclude that spending the same money on ground solar plus storage would be cheaper.
193 words ・ CEFR B2
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地上のソーラーパネルには避けられない限界があります。夜には何も作れず、厚い雲の下ではわずかしか作れません。宇宙太陽光発電は、軌道上、特に静止軌道の近くで太陽光を集めることで、これらの限界を回避しようとしています。そこでは発電所が暗闇に入るのはごく短い時間だけで、天気の影響を受けることもありません。この構想は1968年に初めて示されました。技術者ピーター・グレーザーが『Science』で、軌道上の大きな発電所がマイクロ波としてエネルギーを地球に送れると論じたのです。この過程には3つの変換が含まれます。
電気をマイクロ波に変え、数万キロメートル離れた地上のアンテナへ細いビームとして送り、再び電気に変換するのです。2023年、カリフォルニア工科大学の実証衛星は宇宙でマイクロ波のビームの向きを制御し、その信号はキャンパスの屋上で検出されました。また日本のJAXAは、地上でキロワット級の送電試験を行ってきました。しかし、これらは概念の実証であり、送られた電力はごくわずかでした。実用的な発電所には、軌道上で組み立てるキロメートル規模の構造物が必要で、変換の各段階でエネルギーが失われ、ビームについての社会の受け入れも欠かせません。打ち上げ費用の低下が関心を再燃させていますが、同じお金を地上の太陽光発電と蓄電に使う方が安いと結論づける分析もあります。
4択リーディングクイズ
Q1. Why is geostationary orbit attractive for a solar power station?
where a station would be in darkness only briefly and never affected by weather とあるので B。
Q2. How does the author describe the 2023 Caltech experiment?
These were proofs of concept, however, delivering only tiny amounts of power. とあるので C。
Q3. What do some analyses conclude about the economics of space-based solar power?
some analyses conclude that spending the same money on ground solar plus storage would be cheaper とあるので D。
重要単語
- wireless power transmissionC1名詞(句)無線送電Wireless power transmission sends energy without cables.
transmit(送る)の名詞 transmission。車の「トランスミッション(変速機)」も同じ語。 - microwaveB1名詞マイクロ波、電子レンジThe satellite converts electricity into microwaves.
micro-(小さい)+wave(波)。日常では「電子レンジ」の意味で使うことが多い。 - geostationary orbitC1名詞(句)静止軌道A power station in geostationary orbit sees the Sun almost all the time.
geo-(地球)+stationary(静止した)。地上から見て止まっているように見える軌道。 - feasibilityC1名詞実現可能性Engineers are studying the feasibility of the plan.
形容詞 feasible(実行可能な)。feasibility study「事業化調査」はビジネス英語の定番。 - launch costB2名詞(句)打ち上げ費用Lower launch costs make the idea more realistic.
launch は「打ち上げる/(事業を)始める/発売する」。launch a new product も頻出。 - orbitB2名詞・動詞軌道/周回するThe satellite orbits the Earth.
in orbit「軌道上で」。orbit は他動詞なので orbit around としなくてもよい。 - convertB1動詞変換するThe antenna converts microwaves back into electricity.
convert A into B「AをBに変える」。名詞 conversion。宗教の「改宗する」の意味もある。
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宇宙には夜も雲も雨もない。だから宇宙でソーラー発電して、電気を電波で地上に送ろう——という計画、SFじゃなくて1968年から本気で研究されてるらしい。2023年には宇宙からの無線送電実験も行われた。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Glaser (1968) Power from the Sun: Its Future, Sciencedoi.org
- Caltech (2023) In a First, Caltech's Space Solar Power Demonstrator Wirelessly Transmits Power in Spacecaltech.edu
- Jaffe & McSpadden (2013) Energy Conversion and Transmission Modules for Space Solar Power, Proceedings of the IEEEdoi.org
- JAXA 宇宙航空研究開発機構(公式)jaxa.jp
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。








