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スマホの電池を早くヘタらせる犯人は「100%のまま」と「熱」だった

スマホの電池を早くヘタらせる犯人は「100%のまま」と「熱」だった

読む前に予想してみよう!

リチウムイオン電池は、0%まで使い切ってから充電した方が長持ちする

研究カード(どんな研究?)
対象
リチウムイオン電池のセル
規模
実験室の加速劣化試験(多数のセル・条件)
研究の種類
実験研究・レビュー
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

リチウムイオン電池は、満充電で長時間置く・高温になる・0%まで使い切る、が劣化を早める。「使い切ってから充電」は昔の電池の話。

ひとことで言うとスマホの電池は「熱い」と「満タンのまま」が苦手!

もくじ
  1. スマホの電池は「リチウムの行ったり来たり」
  2. 電池が苦手な3つのこと
  3. 今日からできる「電池にやさしい」習慣
  4. まとめ

買ったばかりの頃は1日もったのに、2年たったら夕方には電池切れ……。スマホあるあるですよね。

電池がヘタる(劣化する)のはある程度しかたありません。でも実は、毎日の充電のクセで、その速さはけっこう変わるのです。

しかも、よく言われる「電池は使い切ってから充電しよう」は、今のスマホにはむしろ逆効果。その理由を、電池の中で起きていることから見ていきましょう。

01スマホの電池は「リチウムの行ったり来たり」

スマホに入っているのはリチウムイオン電池。2019年に、この電池の開発に貢献した吉野彰さんら3人がノーベル化学賞を受賞しました。

仕組みはシンプルで、充電するとリチウムイオンがプラス極からマイナス極へ移動し、使うと逆戻りします。電池の中のシャトルバスが、乗客(リチウムイオン)を行ったり来たり運んでいるイメージです。

劣化とは、このシャトルバスが少しずつ使えなくなること。電極の表面に余計な膜が厚くなったり、電極の材料にヒビが入ったりして、運べる乗客の数が減っていくのです。

充電・放電は、リチウムイオンの行ったり来たり。劣化は“運べる量”が減ること。
充電・放電は、リチウムイオンの行ったり来たり。劣化は“運べる量”が減ること。

02電池が苦手な3つのこと

まとめると、苦手なのはこの3つです。

  1. 熱:高温は電池の中の“望まない化学反応”を加速させます。夏の車内やダッシュボード、充電しながらの重いゲームは要注意
  2. 100%のまま長時間:満タンの状態は電池にとって“パンパンに張りつめた”状態。一晩中100%で置かれ続けるとじわじわ負担に
  3. 0%まで使い切る:空っぽの状態も負担になります。電源が落ちるまで使う習慣はおすすめできません

さらに、寒いときの急速充電も、電極の表面にリチウムが金属として付着しやすくなり、劣化の原因になるといわれます。

03今日からできる「電池にやさしい」習慣

とはいえ、神経質になりすぎる必要はありません。今のスマホは電池を守る制御が組み込まれています。「熱くしない・満タン放置を減らす」の2つを意識するだけで十分です。

04まとめ

スマホの電池を早く弱らせるのは、熱・100%のまま・0%まで使い切りの3つ。「使い切ってから充電」は昔の電池の常識でした。

今夜から、充電器に挿す前にちょっとだけ「熱くない?」と気にしてみてください。電池は静かに長生きしてくれるはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIt is normal for a smartphone battery to lose power over time, but your daily charging habits can affect… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

It is normal for a smartphone battery to lose power over time, but your daily charging habits can affect how quickly this happens. Phones use lithium-ion batteries, in which lithium ions move back and forth between two electrodes. As a battery ages, it can carry fewer ions. Research has shown that this damage happens faster at high temperatures and when the battery stays nearly full.

Draining the battery completely to 0% also puts stress on it. The old advice to use up the battery before charging comes from the "memory effect" of older nickel batteries, so it does not apply to modern phones. Experts suggest keeping the charge roughly between 20% and 80% and turning on "optimized charging" features.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

スマートフォンの電池が時間とともに弱くなるのは普通のことですが、毎日の充電習慣によって、それが起こる速さが変わることがあります。携帯電話はリチウムイオン電池を使っており、その中ではリチウムイオンが2つの電極の間を行ったり来たりしています。電池が古くなるにつれ、運べるイオンが少なくなります。研究によると、この劣化は高温のときや、電池がほぼ満タンのままのときに速く進みます。

電池を0%まで完全に使い切ることも、電池に負担をかけます。充電する前に電池を使い切るという昔のアドバイスは、古いニッケル電池の「メモリー効果」から来たものなので、現代の携帯電話には当てはまりません。専門家は、充電をおおよそ20%から80%の間に保ち、「最適化充電」の機能をオンにすることを勧めています。

4択リーディングクイズ

Q1. What happens inside a lithium-ion battery?

Q2. Where does the old advice to use up the battery before charging come from?

Q3. Which habit would be best for a phone battery, according to the passage?

重要単語

  • lithium-ion batteryB2
    名詞(句)リチウムイオン電池Most phones use a lithium-ion battery. ion は「イオン(電気を帯びた粒子)」。発音は /ˈaɪən/(アイオン)。
  • degradeC1
    動詞劣化するBatteries degrade faster in hot places. de-(下へ)+grade(段階)。名詞 degradation。environmental degradation「環境悪化」も頻出。
  • capacityB2
    名詞容量The battery's capacity drops over time. 「収容能力・能力」全般に使う。capacity for ~「~する能力」。capable(できる)と同語源。
  • state of chargeC1
    名詞(句)充電状態(残量の割合)A high state of charge stresses the battery. 略して SOC。charge は「充電・料金・責任」など多義語なので文脈で判断する。
  • memory effectC1
    名詞(句)メモリー効果The memory effect is a problem of old nickel batteries. 継ぎ足し充電で使える容量が減ったように見える現象。リチウムイオン電池ではほぼ問題にならない。
  • inevitableC1
    形容詞避けられないSome loss of battery capacity is inevitable. in-(否定)+evitable(避けられる)。It is inevitable that ~ の構文で頻出。
  • outdatedB2
    形容詞時代遅れのThat charging advice is outdated. out of date と同じ意味。up-to-date(最新の)が反対。

動画でもっと知る

「スマホは電池を使い切ってから充電した方がいい」は昔の電池の話だった。今のリチウムイオン電池が苦手なのは、100%のまま放置・熱・0%まで使い切ること。充電のクセ、見直したほうがいいかも。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. The Nobel Prize in Chemistry 2019(NobelPrize.org)nobelprize.org
  2. Vetter et al. (2005) Ageing mechanisms in lithium-ion batteries, Journal of Power Sourcesdoi.org
  3. Keil et al. (2016) Calendar Aging of Lithium-Ion Batteries: I. Impact of the Graphite Anode on Capacity Fade, Journal of The Electrochemical Societydoi.org
  4. Waldmann, Hogg & Wohlfahrt-Mehrens (2018) Li plating as unwanted side reaction in commercial Li-ion cells – A review, Journal of Power Sourcesdoi.org