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トンネル効果とは? 壁をすり抜ける量子のふしぎが、スマホと太陽の光を支えていた

トンネル効果とは? 壁をすり抜ける量子のふしぎが、スマホと太陽の光を支えていた

読む前に予想してみよう!

トンネル効果は、目に見えないほど小さな粒子でしか起きないことが確かめられている

研究カード(どんな研究?)
対象
電子・原子・超伝導回路
規模
複数の実験
研究の種類
物理学の理論・実験研究
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

トンネル効果は、電子などの粒子が本来こえられない壁を確率的にすり抜ける量子現象。スマホのメモリや太陽の核融合に関わり、2025年ノーベル物理学賞のテーマにも。

ひとことで言うと小さな粒は、こえられないはずの壁を「すり抜ける」ことがある!

もくじ
  1. なぜ壁をすり抜けられるのか
  2. 1928年、原子核の謎をとく鍵に
  3. 太陽が光るのも、スマホが記憶するのも
  4. まとめ

トンネル効果とは、電子などのとても小さな粒子が、本来ならこえられないはずのエネルギーの「壁」を、ある確率ですり抜けてしまう現象です。ふつうのボールを壁に投げれば必ず跳ね返りますが、量子の世界の粒子は波のような性質を持つため、壁の向こう側にも少しだけ「しみ出す」ことができるのです。

これはただの理屈ではありません。あなたのスマホに写真を保存できるのも、太陽が光っているのも、このすり抜けのおかげです。

01なぜ壁をすり抜けられるのか

量子力学では、粒子が「どこにいるか」は確率の波で表されます。壁にぶつかると、この波は壁の中でどんどん小さくなりますが、ゼロにはなりません。

壁が十分に薄ければ、反対側にも小さな波が残ります。つまり、ある確率で、粒子は壁の向こう側に現れるのです。壁が厚くなるほど、高くなるほど、その確率は急激に小さくなります。

粒子の「波」は、壁の中でも完全には消えない
粒子の「波」は、壁の中でも完全には消えない

021928年、原子核の謎をとく鍵に

トンネル効果が大活躍した最初の舞台は、放射性物質でした。ウランなどの原子核から飛び出すアルファ粒子は、原子核の「壁」をこえるほどのエネルギーを持っていないのに、なぜか外に出てきます。

1928年、ロシア出身の物理学者ガモフらは、これをトンネル効果で説明しました。同じ年、ファウラーさんとノルドハイムさんは、強い電場をかけた金属から電子がトンネルで飛び出すしくみを理論化しています。

03太陽が光るのも、スマホが記憶するのも

太陽の中心では、水素の原子核どうしがくっつく核融合が起きています。ところが、原子核どうしは電気の力で強く反発し合うので、太陽の中心の温度でも、本来はなかなかくっつけません。それでも核融合が起きるのは、トンネル効果で反発の壁をすり抜けることがあるからです。

スマホのメモリ(フラッシュメモリ)では、ごく薄い絶縁体の壁ごしに、電子をトンネル効果で出し入れして0と1を記録しています。電源を切っても写真が消えないのは、壁の向こうに電子を閉じこめておけるからです。

04まとめ

トンネル効果は、「こえられない壁を、確率ですり抜ける」という、量子の世界ならではの現象です。

それは教科書の中だけの話ではなく、太陽の光から、スマホの写真、未来の量子コンピューターまで、私たちの世界を支えています。ポケットの中のスマホも、量子のふしぎで動いているのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerQuantum tunneling is a strange effect in which tiny particles, such as electrons, pass through barriers… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Quantum tunneling is a strange effect in which tiny particles, such as electrons, pass through barriers that they do not have enough energy to cross. This is possible because, in the quantum world, particles behave like waves. When a wave hits a barrier, it becomes smaller inside it, but it does not disappear completely.

If the barrier is thin, a small part of the wave reaches the other side, so the particle may appear there. Tunneling is part of everyday life. Flash memory in smartphones moves electrons through very thin walls to store data. The Sun shines because atomic nuclei can tunnel through the force that pushes them apart, which allows nuclear fusion to happen.

115 words ・ CEFR B1

和訳を見る

トンネル効果とは、電子のような小さな粒子が、こえるのに十分なエネルギーをもっていない壁を通り抜けてしまう、ふしぎな現象です。これが可能なのは、量子の世界では粒子が波のようにふるまうからです。波が壁にぶつかると、壁の中では小さくなりますが、完全には消えません。

壁が薄ければ、波の小さな一部が反対側に届くので、粒子がそこに現れることがあるのです。トンネル効果は日常生活の一部になっています。スマホのフラッシュメモリは、とても薄い壁ごしに電子を動かしてデータを保存しています。太陽が光るのは、原子核どうしを押しはなす力を原子核がトンネル効果ですり抜けられるからで、それによって核融合が起こるのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. Why can particles pass through barriers?

Q3. What would probably happen if the barrier were much thicker?

重要単語

  • tunnelingC1
    名詞トンネル効果Tunneling lets electrons pass through a barrier. tunnel は動詞で「トンネルを掘って進む」。イギリス英語では tunnelling とつづる。
  • barrierB2
    名詞障壁・壁The barrier is only a few nanometers thick. language barrier「言葉の壁」のように比喩でもよく使う。barrier-free「バリアフリー」も同じ語。
  • probabilityB2
    名詞確率There is a small probability of passing through. a high/low probability「高い/低い確率」。形容詞 probable、副詞 probably。
  • semiconductorC1
    名詞半導体Semiconductors are used in every smartphone. semi-(半分)+conductor(伝導体)。semifinal「準決勝」の semi- と同じ。
  • fusionC1
    名詞核融合・融合Fusion in the Sun depends on tunneling. nuclear fusion「核融合」、nuclear fission「核分裂」の区別が頻出。料理の「フュージョン(融合)」も同じ語。
  • indispensableC1
    形容詞欠かせない・不可欠なTunneling is indispensable to modern electronics. in-(否定)+dispense with(~なしで済ます)+-able。be indispensable to/for ~ の形。essential の言いかえで入試頻出。

4コマでわかる

トンネル効果とは? 壁をすり抜ける量子のふしぎが、スマホと太陽の光を支えていたの4コマ漫画
ボールを壁に投げたら、たまに壁の向こうに出てくる――ミクロの世界ではそれが本当に起きる。これが「トンネル効果」。スマホに写真を保存できるのも、太陽が光っているのも、このすり抜けのおかげらしい。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Gamow (1928) Zur Quantentheorie des Atomkernes, Zeitschrift für Physikdoi.org
  2. Fowler & Nordheim (1928) Electron emission in intense electric fields, Proceedings of the Royal Society Adoi.org
  3. Esaki (1958) New Phenomenon in Narrow Germanium p-n Junctions, Physical Reviewdoi.org
  4. Devoret, Martinis & Clarke (1985) Measurements of Macroscopic Quantum Tunneling out of the Zero-Voltage State of a Current-Biased Josephson Junction, Physical Review Lettersdoi.org
  5. Ramos et al. (2020) Measurement of the time spent by a tunnelling atom within the barrier region, Naturedoi.org