「仕事の47%が消える」は言いすぎ。あの有名論文が本当に言っていたこと

読む前に予想してみよう!
Frey と Osborne の論文は「アメリカ人の47%が失業する」と予言した
正しくは「米国の雇用の47%が、技術的に自動化されうる高リスクの職業にある」という推定。失業者数の予言ではない。
- 対象
- 米国の職業と働き手
- 規模
- 702職業(米国)と米国の働き手の個人データ
- 研究の種類
- 推計モデル研究
- 確かさ
- ★★★☆☆
2013年の論文が示したのは「米国の雇用の47%が自動化の高リスク職業にある」という推定で、「47%が失業する」ではない。その後、仕事を“作業”ごとに見ると高リスクの割合はずっと小さくなる、という研究も出ている。
ひとことで言うと「47%が失業する」は誤解。仕事を作業ごとに見ると、話はだいぶ変わる!
「今ある仕事の約半分は、10〜20年後には機械に奪われる」
2010年代、こんなフレーズが世界中のニュースを駆け巡りました。もとになったのは、英オックスフォード大学の2人の研究者が2013年に発表した論文です。
あれから10年以上がたち、AIは大きく進歩しました。では、この論文は本当に「仕事の半分が消える」と言っていたのでしょうか?
01実は「47%が失業する」とは言っていない
ここで大事なのは、この数字の意味です。論文が示したのは「技術的には自動化できるかもしれない職業に、どれだけの人が就いているか」という推定でした。
「何年に何人が失業する」という予言ではありません。論文自身も「実際にいくつの仕事が自動化されるかは推定していない」と断っています。自動化が本当に進むかどうかは、コスト、法律、社会の受け入れ方などにも左右されるからです。
日本でも2015年に、野村総合研究所がこの2人との共同研究として試算を発表しました。「日本の労働人口の約49%が、機械に置きかえられる可能性が高い職業に就いている」という内容で、大きな話題になりました。
02「職業」ではなく「作業」で数えると…
その後、別の研究者たちがこの数字に疑問を投げかけます。
ドイツの研究者 Arntz らが注目したのは、同じ職業でも、人によってやっている作業は違うことでした。たとえば「事務職」でも、データ入力が中心の人もいれば、お客さんとの交渉が中心の人もいます。
Arntz らは2017年、学術誌 Economics Letters に、米国の働き手一人ひとりの作業の中身をもとに計算し直した結果を発表しました。同じデータでも、職業まるごとで数えると「高リスク」の仕事は38%。ところが一人ひとりの作業まで見ると、約9%にまで下がったのです。

03生成AIで、話はもう一度変わった
2013年の論文は、機械が苦手なものとして「創造性」や「人とのコミュニケーション」を挙げていました。ところが、文章や画像を作る生成AIの登場で、まさにそうした分野にもAIが入ってきました。
OpenAIなどの研究者 Eloundou らは2024年、科学誌 Science に新しい推定を発表しました。調べたのは、「作業の半分を超える部分が大規模言語モデル(ChatGPTのような文章AI)の影響を受けうる仕事」がどれくらいあるか、です。AIをそのまま使うだけなら、そうした仕事は約1.8%。ところが、AIと組み合わせて使うソフトが整っていくことまで見込むと、46%強に増えるといいます。
ここでいう「影響を受けうる」は、同じ質の作業をずっと短い時間でこなせるようになりうる、という意味です。仕事がなくなるという意味ではありません。
04これからの働き方で大事なこと
05まとめ
「仕事の47%が消える」は、実は「47%が自動化の高リスク職業にある」という推定でした。仕事を作業ごとに数え直すと、その割合はずっと小さくなります。
生成AIの登場で、影響を受けうる仕事の範囲はまた広がりました。ただ、「影響を受ける」と「消える」は別の話です。未来は誰にも断言できないからこそ、「自分の仕事のどの作業が変わりそうか」を考えておくことが、いちばんの備えになるはずです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 2013, Carl Benedikt Frey and Michael Osborne of Oxford University estimated how likely 702 US…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
In 2013, two researchers at Oxford University wrote a famous paper. They said about 47% of jobs in the United States were at high risk from computers. Many people thought that half of all workers would lose their jobs.
But the paper did not say that. Later, other researchers looked at the tasks inside each job. Then the share of high-risk jobs became much smaller, about 9%.
67 words ・ CEFR A2
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2013年、オックスフォード大学の2人の研究者が有名な論文を書きました。彼らは、アメリカの仕事の約47%がコンピューターによる高いリスクにさらされていると述べました。多くの人は、全労働者の半分が仕事を失うと考えました。
しかし、論文はそうは言っていませんでした。その後、別の研究者たちが、一つひとつの仕事の中の作業に注目しました。すると、高リスクの仕事の割合はずっと小さく、約9%になりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
2013年の有名な予測と、その後の研究でわかったことが主題なので C。
Q2. What did the 2013 paper say?
about 47% of jobs ... were at high risk from computers とあるので B。A は人々の誤解。
Q3. In this passage, "tasks" means ...
task は「作業・仕事の一部」。the tasks inside each job(それぞれの仕事の中の作業)なので A。
In 2013, Carl Benedikt Frey and Michael Osborne of Oxford University estimated how likely 702 US occupations were to be automated. They concluded that about 47% of US jobs were in high-risk occupations. News reports often said that half of all jobs would disappear, but the paper only measured what might be technically possible. Whether automation actually happens also depends on cost, laws and social acceptance.
Later, a team of German researchers pointed out that people with the same job title often do different tasks. When they analyzed each worker's tasks instead of whole occupations, the share of high-risk jobs in the US fell from 38% to about 9%. A job that includes some tasks a machine can do will not always vanish.
123 words ・ CEFR B1
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2013年、オックスフォード大学のカール・ベネディクト・フレイとマイケル・オズボーンは、米国の702の職業が自動化される可能性を推定しました。彼らは、米国の雇用の約47%が高リスクの職業にあると結論づけました。ニュースはしばしば仕事の半分が消えると伝えましたが、論文は技術的に可能かもしれないことを測っただけでした。自動化が実際に起こるかどうかは、コストや法律、社会の受け入れにも左右されます。
その後、ドイツの研究チームは、同じ職名の人でも違う作業をしていることが多いと指摘しました。職業全体ではなく一人ひとりの作業を分析すると、米国の高リスクの仕事の割合は38%から約9%に下がりました。機械にできる作業を含む仕事が、必ず消えるとは限らないのです。
4択リーディングクイズ
Q1. How many US occupations did Frey and Osborne study?
estimated how likely 702 US occupations were to be automated とあるので D。
Q2. Why did the German researchers find a much lower figure?
When they analyzed each worker's tasks instead of whole occupations とあり、その結果38%から約9%に下がったので B。
Q3. What can we infer about the news reports mentioned in the passage?
ニュースは「仕事の半分が消える」と伝えたが、論文は技術的な可能性を測っただけ。つまり報道は誇張していたと推論できるので A。
In 2013, Frey and Osborne estimated the probability of computerization for 702 US occupations and concluded that about 47 percent of employment fell into a high-risk category. The number is usually quoted as "47 percent of jobs will disappear." That is not what the study measured. It estimated technical susceptibility, and whether a technology is actually adopted also depends on costs, regulation and public acceptance.
Critics soon went after the method. Arntz and colleagues noted that people in the same occupation perform different tasks. Using data on individual US workers, they found that the high-risk share was 38 percent when whole occupations were scored, but only about 9 percent once each worker's tasks were taken into account.
Generative AI has since reopened the question. A 2024 paper in Science asked how many jobs could have more than half of their tasks affected by large language models. With the models alone, the answer was about 1.8 percent.
Once software built around the models was included, it rose to just over 46 percent. Here, "affected" means a task could be done much faster at the same quality. Whether that cuts jobs or changes them depends on how employers use the tools.
199 words ・ CEFR B2
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2013年、フレイとオズボーンは米国の702の職業についてコンピューター化の確率を推定し、雇用の約47%が高リスクの区分に入ると結論づけました。この数字はたいてい「仕事の47%が消える」という形で引用されます。しかし、それはこの研究が測ったものではありません。研究が推定したのは技術的な影響の受けやすさであり、ある技術が実際に導入されるかどうかは、コスト、規制、社会の受け入れにも左右されます。
批判者たちはすぐにその方法を問題にしました。Arntzらは、同じ職業の人でも異なる作業をしていることに注目しました。米国の働き手一人ひとりのデータを使うと、職業まるごとで評価した場合の高リスクの割合は38%でしたが、一人ひとりの作業を考えに入れると約9%にとどまりました。
その後、生成AIがこの問いを再び開きました。2024年の『Science』の論文は、作業の半分を超える部分が大規模言語モデルの影響を受けうる仕事がどれくらいあるかを調べました。モデルだけなら約1.8%でした。
モデルを中心に作られたソフトまで含めると、46%強に増えました。ここでいう「影響を受ける」とは、作業を同じ質のまま、ずっと速くこなせるようになりうるという意味です。それが仕事を減らすのか、仕事を変えるのかは、雇い主がその道具をどう使うかによります。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the 47% figure actually measure?
That is not what the study measured. It estimated technical susceptibility とあり、失業の予測ではなく技術的な影響の受けやすさの推定なので B。
Q2. What did the 2024 Science paper find?
With the models alone, the answer was about 1.8 percent とあるので B。46%強はソフトまで含めた場合で、「消えた」仕事の割合ではない。
Q3. Why was the figure from Arntz and colleagues lower than 38 percent?
people in the same occupation perform different tasks と指摘し、each worker's tasks を考えに入れると約9%になったので B。
重要単語
- automationB2名詞自動化Automation changes how factories and offices work.
動詞 automate、形容詞 automatic。AIと雇用の長文で最頻出の語。 - occupationB2名詞職業The study looked at 702 occupations in the US.
動詞 occupy(占める)から=「時間を占めるもの」。「占領」の意味もある。job より改まった語。 - taskA2名詞作業、仕事の一部AI can take over some tasks but not the whole job.
job(職)と task(作業)の区別がこの記事のカギ。perform / carry out a task。 - exposureB2名詞(影響を)受けること、さらされることHigh exposure to AI does not always mean job loss.
動詞 expose(さらす)。be exposed to ~「~にさらされる」は入試頻出。 - displaceC1動詞取って代わる、押しのけるSome workers may be displaced by new machines.
dis-(離す)+place(置く)。displaced people「避難民」の意味でも出る。 - estimateB1動詞・名詞推定する/推定(値)They estimated that 47% of jobs were at high risk.
動詞は /ˈestɪmeɪt/、名詞は /ˈestɪmət/ と語尾の発音が変わる。overestimate / underestimate も。 - unemploymentB1名詞失業The paper did not predict unemployment.
un-+employ(雇う)+-ment。unemployment rate「失業率」。employer(雇用主)/ employee(従業員)も整理。
動画でもっと知る
動画は各チャンネルの公式埋め込みで表示しています(YouTube)。
公式・一次情報をチェック
- 職業の変化(総務省 平成30年版 情報通信白書)soumu.go.jp
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「10〜20年で仕事の47%が消える」で有名なオックスフォードの論文。実は「47%が失業する」とは言っていなかった。仕事を“作業”ごとに数え直した研究では、高リスクの仕事は米国で約9%まで下がったらしい。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Frey & Osborne (2017) The future of employment: How susceptible are jobs to computerisation?, Technological Forecasting and Social Changedoi.org
- Arntz, Gregory & Zierahn (2017) Revisiting the risk of automation, Economics Lettersdoi.org
- Eloundou et al. (2024) GPTs are GPTs: Labor market impact potential of LLMs, Sciencedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。







