潮の満ち引きが1日2回なのはなぜ?月の「反対側」の海までふくらむ不思議

読む前に予想してみよう!
海が月に引っぱられてふくらむのは、月に面している側だけだ
月の引力の「差」によって、月と反対側の海もふくらむ。だから満潮は1日2回。
- 対象
- 地球の海と月・太陽
- 規模
- 長期の潮位観測と天体力学
- 研究の種類
- 観測と物理理論
- 確かさ
- ★★★★★
月の引力は地球の場所ごとに強さが違い、その差で海が月の側と反対側の2か所でふくらむ。地球がその下を回るので、満潮は1日に約2回、約12時間25分おきに来る。
ひとことで言うと月の引っぱる力の「差」で、海が2か所ふくらむ!
海に行くと、朝は遠くまで干上がっていた砂浜が、夕方には波の下にかくれていることがあります。潮の満ち引きです。
その原因が月にあることは、聞いたことがあるかもしれません。でも、ここで一つ疑問がわきます。
月が海を引っぱるなら、満潮は月に面した側の1回だけでは? なぜ、満潮は1日に2回あるのでしょうか。
01カギは引っぱる力の「差」
月の引力は、月に近いほど強く、遠いほど弱くなります。地球の直径は約1万3,000km。月に面した側と反対側とでは、月までの距離がこれだけ違います。
その結果、
- 月に面した側の海:地球の中心より強く月に引っぱられる → 月の方へふくらむ
- 地球の中心:その中間の強さで引っぱられる
- 月と反対側の海:地球の中心より弱くしか引っぱられない → 取り残されるように、反対側へふくらむ
つまり、地球全体が月の方へ引っぱられる中で、手前の海は先に、奥の海は遅れて引っぱられる。その「差」が、2つのふくらみを作るのです。この差の力を潮汐力と呼びます。

02だから満潮は約12時間25分おき
地球は1日1回自転しているので、ある海岸は、この2つのふくらみの下を順番に通過します。だから満潮が2回、干潮も2回来るのです。
実際の海では、海底の地形や大陸の形の影響で、1日1回しか満潮がない場所や、満ち引きがとても大きい湾もあります。
03太陽も潮を作っている
太陽も潮汐力を持っています。太陽は月よりはるかに重いのですが、とても遠いため、潮を作る力は月の半分弱です。
- 新月・満月のころ:太陽・月・地球が一直線になり、力が重なって大潮(満ち引きが大きい)
- 半月のころ:力が直角方向にずれ、小潮(満ち引きが小さい)
04大昔は、1日が今より短かった
潮汐は、地球の自転にブレーキをかけています。そのため、1日は少しずつ長くなり、月は少しずつ遠ざかっています。アポロが月に置いた反射鏡にレーザーを当てた測定では、月は1年に約3.8cmずつ遠ざかっています。
オーストラリアの地質学者ウィリアムズ(Williams)さんの2000年の研究では、約6億2,000万年前の地層に残った潮の縞模様から、当時の1日は約22時間、1年は約400日だったと推定されています。
05潮のリズムと生き物
潮の満ち引きは、海の生き物の暮らしにも深く関わっています。干潟のカニの多くは、潮が引いた時間にえさを探し、満ちてくると巣穴にもどります。二枚貝は、水にひたる満潮のころにえさをこし取ります。サンゴの中には、満月のころに一斉に産卵する種類もいます。
人間の暮らしにとっても、潮のリズムは大切です。漁業や港での船の出入り、潮干狩りの計画まで、潮の予報は欠かせない情報になっています。
06まとめ
満潮が1日2回あるのは、月の引っぱる力の「差」が、地球の手前と奥の両側の海をふくらませるからでした。
そして、そのわずかな力が、何億年もかけて1日の長さまで変えてきた。海辺で潮が満ちてくるのを見たら、その向こうにいる月を思い浮かべてみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhy do most beaches have two high tides a day instead of one?
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
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At the beach, the sea comes in and goes out. This is called the tide. The Moon causes it. The Moon pulls the ocean on the near side of Earth more strongly, so the water rises there.
But the water on the far side also rises, because the Moon pulls it more weakly. So there are two bulges of water. As Earth turns, most beaches get two high tides a day.
71 words ・ CEFR A2
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海辺では、海が満ちてきたり引いていったりします。これは潮の満ち引きと呼ばれます。月がその原因です。月は地球の近い側の海をより強く引っぱるので、そこで水が盛り上がります。しかし、反対側の水も盛り上がります。
月がそこをより弱くしか引っぱらないからです。だから水のふくらみは2つあります。地球が回るにつれて、ほとんどの海辺では1日に2回満潮が来ます。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
月が原因で海に2つのふくらみができ、満潮が1日2回来る理由が全体のテーマなので A。
Q2. Why does the water on the far side of Earth rise?
because the Moon pulls it more weakly とあるので B。
Q3. In this passage, "bulges" are ...
bulge は「ふくらみ」。the water rises(水が盛り上がる)の説明に続いて two bulges of water とあるので C。
Why do most beaches have two high tides a day instead of one? The key is the difference in the Moon's pull. Gravity becomes weaker with distance, and Earth is about 13,000 kilometers wide.
So the ocean facing the Moon is pulled more strongly than Earth's center, and it moves toward the Moon. The ocean on the far side is pulled less strongly than the center, so it is left behind and forms a second bulge. This difference is called the tidal force.
As Earth turns, a coast passes under both bulges. Because the Moon also moves around Earth, a lunar day lasts 24 hours and 50 minutes. That is why high tides come about every 12 hours and 25 minutes.
121 words ・ CEFR B1
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なぜ多くの海辺では満潮が1日1回ではなく2回あるのでしょうか。カギは月の引っぱる力の差です。重力は距離とともに弱くなり、地球の幅は約1万3000キロメートルあります。
そのため、月に面した海は地球の中心より強く引っぱられ、月の方へ動きます。反対側の海は中心より弱くしか引っぱられないので、取り残されて2つ目のふくらみを作ります。この差は潮汐力と呼ばれます。
地球が回るにつれて、海岸は両方のふくらみの下を通過します。月も地球のまわりを回っているので、「月の1日」は24時間50分です。だから満潮はおよそ12時間25分おきに来るのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the "tidal force" in the passage?
This difference is called the tidal force. の This difference は、場所ごとの月の引力の差を指すので B。
Q2. How long is a lunar day?
a lunar day lasts 24 hours and 50 minutes とあるので C。12時間25分は満潮の間隔。
Q3. What can we infer from the passage?
月の1日が24時間50分と24時間より長いので、満潮の時刻は毎日少しずつ遅れると推測できる。正解は A。
It seems natural to expect the Moon to raise only the ocean facing it, yet most coasts experience two high tides a day. The explanation lies not in the Moon's gravity itself but in how that gravity varies across Earth. Because the pull weakens with distance, the near-side ocean is drawn toward the Moon more strongly than Earth's center, while the far-side ocean is pulled less strongly and effectively lags behind. This differential, known as the tidal force, produces two bulges.
As Earth rotates beneath them, a given coast meets a high tide roughly every 12 hours and 25 minutes, since the Moon's own orbital motion stretches the lunar day to 24 hours and 50 minutes. The Sun adds a smaller effect, a little under half the Moon's, which creates spring tides when the three bodies line up.
However, the two-bulge picture is a simplification. Real tides are shaped by coastlines and the sea floor, so some places see only one high tide a day. Over time, tidal friction also slows Earth's rotation: one study of ancient tidal layers estimated that a day lasted about 22 hours some 620 million years ago.
192 words ・ CEFR B2
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月は自分に面した海だけを持ち上げると考えるのは自然に思えますが、ほとんどの海岸では1日に2回満潮があります。その説明は、月の重力そのものではなく、その重力が地球上でどう変化するかにあります。引力は距離とともに弱まるため、手前側の海は地球の中心よりも強く月の方へ引き寄せられ、一方で反対側の海はより弱くしか引っぱられず、事実上取り残されます。この差は潮汐力として知られ、2つのふくらみを作ります。その下で地球が自転するにつれ、ある海岸ではおよそ12時間25分ごとに満潮が来ます。
月自身の公転運動によって、月の1日が24時間50分に延びるためです。太陽も月の半分弱という、より小さな効果を加え、3つの天体が一直線に並ぶと大潮が生じます。
しかし、2つのふくらみという図式は単純化です。実際の潮は海岸線や海底の形に左右されるため、1日に満潮が1回しかない場所もあります。また長い時間をかけて、潮による摩擦は地球の自転を遅くしています。古代の潮の地層を調べたある研究は、約6億2000万年前の1日は約22時間だったと推定しました。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, what actually causes the two bulges?
not in the Moon's gravity itself but in how that gravity varies across Earth と述べ、その差(tidal force)が2つのふくらみを作るとしているので B。
Q2. Why does the author call the two-bulge picture "a simplification"?
直後に Real tides are shaped by coastlines and the sea floor とあり、1日1回の場所もあると説明しているので D。
Q3. What can be inferred from the final sentence?
潮の摩擦が自転を遅くし、昔の1日は約22時間だったとあるので、1日は徐々に長くなってきたと推論できる。正解は A。
重要単語
- tideB1名詞潮、潮の満ち引きThe tide comes in twice a day.
high tide(満潮)/low tide(干潮)。比喩で the tide of history(歴史の流れ)、turn the tide(形勢を逆転させる)も入試頻出。 - high tideB1名詞(句)満潮Fishing boats leave at high tide.
前置詞は at high tide。反対は at low tide。 - bulgeC1名詞・動詞ふくらみ/ふくらむThe ocean forms a bulge on each side of Earth.
budget(もとは「小さな革袋」)と同じく、「革袋」を意味する古フランス語 bouge、さらにさかのぼるラテン語 bulga が語源。ポケットが「ぽっこりふくらむ」イメージ。ポケットが「ぽっこりふくらむ」イメージ。 - spring tideC1名詞(句)大潮Spring tides happen at the new moon and full moon.
季節の「春」ではなく spring(わき上がる)の意味。反対は neap tide(小潮)。 - gravitational pullB2名詞(句)引力The Moon's gravitational pull causes the tides.
gravity(重力)の形容詞 gravitational + pull(引くこと)。exert a gravitational pull on ~「~に引力を及ぼす」。 - rotateB2動詞回転する・自転するEarth rotates once a day.
自転は rotate、公転は revolve / orbit と区別する。名詞は rotation。 - simplificationC1名詞単純化The two-bulge model is a useful simplification.
simplify(単純化する)の名詞形。an oversimplification(単純化しすぎ)は評論文で頻出。
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公式・一次情報をチェック
- Tides and Water Levels: Frequency of Tides – The Lunar Day(NOAA)oceanservice.noaa.gov
- Tides and Water Levels: What Causes Tides?(NOAA)oceanservice.noaa.gov
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潮の満ち引きって、なんで1日2回なんだろう?月に引っぱられるなら、月の側だけふくらみそうなのに。じつは月の「反対側」の海もふくらんでいるらしい。カギは引っぱる力の「差」。しかも満潮は毎日約50分ずつ遅れていく。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- NOAA National Ocean Service: Tides and Water Levels, Frequency of Tides – The Lunar Dayoceanservice.noaa.gov
- NOAA National Ocean Service: Tides and Water Levels, What Causes Tides?oceanservice.noaa.gov
- Williams (2000) Geological constraints on the Precambrian history of Earth's rotation and the Moon's orbit, Reviews of Geophysicsdoi.org
- Dickey et al. (1994) Lunar Laser Ranging: A Continuing Legacy of the Apollo Program, Sciencedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












