天王星と海王星の奥では“ダイヤモンドの雨”が降っているらしい

読む前に予想してみよう!
天王星のダイヤモンドの雨は、探査機が直接撮影して確認された
実験や計算で起こりうると示されたが、惑星の奥深くの話なので直接観測はされていない。
- 対象
- 天王星・海王星の内部条件を再現した物質
- 規模
- レーザー衝撃圧縮実験(数回のショット)
- 研究の種類
- 実験+理論計算
- 確かさ
- ★★★☆☆
天王星・海王星の内部ではメタンの炭素が高圧でダイヤモンドになり沈んでいく、という説がある。レーザー実験で再現に成功したが、直接観測はまだ。
ひとことで言うと遠い惑星の中では、ダイヤモンドが雨みたいにふっているかも!
雨といえば水。雪といえば氷。では、ダイヤモンドの雨が降る世界があると言ったら、信じますか?
舞台は、太陽系の外側をまわる青い惑星、天王星と海王星。この2つの惑星の奥深くでは、ダイヤモンドの粒が雨のように沈んでいるかもしれないと考えられています。
ロマンあふれる話ですが、ちゃんと実験の裏づけもあるんです。
01青い惑星の正体は「氷の巨人」
天王星と海王星は、木星や土星とは少し違うタイプの惑星です。中身の多くが、水・アンモニア・メタンなどの「氷」の材料でできているため、巨大氷惑星とも呼ばれます。
青く見えるのは、大気に含まれるメタンが赤い光を吸収するから。そして、このメタンこそがダイヤモンドの材料なのです。
メタンは炭素1個と水素4個がくっついた分子。もし炭素だけを取り出して、ものすごい圧力でぎゅっと押しかためたら……そう、ダイヤモンドになります。ダイヤモンドは、炭素の原子が強い結びつきで立体的にがっちり組み合わさった結晶だからです。
02惑星の奥は「圧力の地獄」
天王星や海王星の内部に深く潜っていくと、圧力は地球の大気圧の何十万倍、何百万倍にもなると考えられています。温度も数千度。
そんな環境では、メタンの分子がばらばらになり、炭素どうしがくっついてダイヤモンドの粒ができる可能性があります。ダイヤモンドは周りより重いので、そのまま中心に向かって沈んでいく──これが「ダイヤモンドの雨」のイメージです。
このアイデア自体は古く、アメリカの研究者ロスが1981年に学術誌『Nature』で「天王星と海王星の中にダイヤモンドがあるかもしれない」と提案していました。

03実験室でダイヤモンドを“作ってみた”
「本当にそんなことが起きるの?」を確かめるため、研究者たちは実験室で惑星の中を再現しようとしました。
ほんの一瞬の出来事ですが、「惑星の中と似た条件で、炭素と水素の物質からダイヤモンドができる」ことが実験で示されたのは大きな一歩でした。その後も研究は続いていて、2022年には同じ国際チームのヘーらが学術誌『Science Advances』で、ペットボトルの材料(PET)のように酸素を含む物質を使うと、ダイヤモンドがより作られやすくなる可能性を報告しています。実際の惑星の中には水(酸素)もたっぷりあるので、より現実に近い条件での実験と言えます。
04惑星の“なぞ”を解くカギにも
ダイヤモンドの雨は、ロマンだけの話ではありません。
天王星と海王星は、地球とちがって、自転の軸から大きく傾き、中心からもずれた、ゆがんだ磁場をもっています。重いダイヤモンドが沈むとき、周りの物質がかき混ぜられたり熱が生まれたりして、惑星の内部の動きや磁場の作られ方に関わっている可能性もあるのです。
天王星を訪れた探査機は、1986年のボイジャー2号だけ。アメリカの惑星科学の専門家たちは2022年、今後10年の最優先の大型探査として「天王星周回機と大気突入プローブ」を推薦しており、新しい探査機を送る計画が検討されています(執筆時点)。
05まとめ
- 天王星・海王星の奥では、メタンの炭素が高圧でダイヤモンドになる可能性がある
- 2017年、レーザー実験でダイヤモンドの生成を再現
- ただし惑星内部を直接見たわけではないので、まだ「有力な仮説」
ダイヤを拾いに行くのは無理そうですが、遠い惑星の「中身」を想像できるだけでも、科学はじゅうぶんキラキラしています。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerUranus and Neptune are called ice giants because much of their interior is made of water, ammonia and methane.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Uranus and Neptune are blue planets far from the Sun. They have a lot of methane, which is made of carbon and hydrogen. Deep inside these planets, the pressure is very high.
Scientists think this pressure may turn carbon into tiny diamonds. The diamonds are heavy, so they may sink like rain. In 2017, scientists made tiny diamonds in a lab with a strong laser. But no one has seen diamond rain directly.
73 words ・ CEFR A2
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天王星と海王星は、太陽から遠く離れた青い惑星です。どちらにもメタンがたくさんあり、メタンは炭素と水素でできています。これらの惑星の奥深くでは、圧力がとても高くなっています。
科学者たちは、この圧力によって炭素が小さなダイヤモンドに変わるかもしれないと考えています。ダイヤモンドは重いので、雨のように沈んでいくかもしれません。2017年、科学者たちは強力なレーザーを使って実験室で小さなダイヤモンドを作りました。しかし、ダイヤモンドの雨を直接見た人はいません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
天王星・海王星の内部でダイヤモンドが雨のように沈んでいるかもしれない、という話なので D。
Q2. What did scientists do in 2017?
In 2017, scientists made tiny diamonds in a lab with a strong laser. とあるので A。C は no one has seen diamond rain directly と矛盾。
Q3. In this passage, "sink" means to ...
sink は「沈む」。重いダイヤモンドが下(中心)へ向かって落ちていくという意味なので B。
Uranus and Neptune are called ice giants because much of their interior is made of water, ammonia and methane. They look blue because methane in their atmosphere absorbs red light. Deep inside, the pressure may be hundreds of thousands or even millions of times higher than on Earth's surface, and the temperature reaches thousands of degrees.
Under these conditions, methane molecules may break apart, and the carbon may form diamonds that sink toward the center. This idea was suggested as early as 1981. In 2017, an international team hit a plastic made of carbon and hydrogen with a powerful laser. For a moment, the shock wave created planet-like conditions, and X-rays showed nanodiamonds forming. However, diamond rain has never been observed directly.
122 words ・ CEFR B1
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天王星と海王星は、内部の多くが水・アンモニア・メタンでできているため、巨大氷惑星と呼ばれます。青く見えるのは、大気中のメタンが赤い光を吸収するからです。奥深くでは、圧力は地表の数十万倍、あるいは数百万倍にもなり、温度は数千度に達すると考えられています。
こうした条件のもとでは、メタンの分子がばらばらになり、炭素がダイヤモンドになって中心に向かって沈んでいくかもしれません。この考えは早くも1981年に提案されていました。2017年、国際チームが炭素と水素でできたプラスチックに強力なレーザーを当てました。一瞬だけ、衝撃波が惑星内部のような状態を作り出し、X線によってナノダイヤモンドができる様子がとらえられました。しかし、ダイヤモンドの雨が直接観測されたことは一度もありません。
4択リーディングクイズ
Q1. Why do Uranus and Neptune look blue?
They look blue because methane in their atmosphere absorbs red light. とあるので C。
Q2. What did the 2017 experiment show?
the shock wave created planet-like conditions, and X-rays showed nanodiamonds forming とあるので B。
Q3. What can we infer about the idea of diamond rain?
実験では裏づけられたが、never been observed directly とあるので、惑星内部ではまだ確認されていないと推論できる。A。1981年に提案されているので C は誤り。
Uranus and Neptune, often called ice giants, are rich in water, ammonia and methane, the last of which gives them their blue color by absorbing red light. Deep in their interiors, pressures may reach hundreds of thousands to millions of times Earth's atmospheric pressure, with temperatures of thousands of degrees.
As early as 1981, a researcher proposed in Nature that such conditions could split methane and squeeze its carbon into diamonds, which, being denser than their surroundings, would sink toward the core. In 2017, an international team led by Kraus fired powerful lasers at polystyrene, a plastic made of carbon and hydrogen, briefly recreating interior conditions and detecting nanodiamonds with X-rays.
A follow-up study in 2022 suggested that oxygen-bearing materials such as PET may form diamonds even more readily, which is relevant because these planets contain plenty of water. Sinking diamonds might even affect interior motion and how magnetic fields form. The evidence has clear limits, though. The laser-driven pressure lasts only nanoseconds, the test materials differ from real planetary ice, and models of the interiors are themselves uncertain. No spacecraft has observed diamond rain; only Voyager 2 has ever visited Uranus.
192 words ・ CEFR B2
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しばしば巨大氷惑星と呼ばれる天王星と海王星は、水・アンモニア・メタンを豊富に含んでおり、このうちメタンが赤い光を吸収することで、惑星を青く見せています。その内部の奥深くでは、圧力が地球の大気圧の数十万倍から数百万倍に達し、温度は数千度にもなると考えられています。
早くも1981年に、ある研究者が『Nature』で、そのような条件ではメタンが分解され、炭素が押し固められてダイヤモンドになり、周りよりも密度が高いため中心核に向かって沈むだろうと提案しました。2017年、クラウスが率いる国際チームは、炭素と水素でできたプラスチックであるポリスチレンに強力なレーザーを当て、一瞬だけ惑星内部の条件を再現し、X線でナノダイヤモンドを検出しました。
2022年の続く研究では、PETのような酸素を含む物質のほうがさらにダイヤモンドができやすい可能性が示されました。これらの惑星には水が豊富にあるので、この点は重要です。沈んでいくダイヤモンドは、惑星内部の動きや磁場のでき方に影響するかもしれません。それでも、証拠には明確な限界があります。レーザーで作った高圧はナノ秒しか続かず、実験の材料は実際の惑星の氷とは異なり、惑星内部のモデル自体にも不確かさがあります。ダイヤモンドの雨を観測した探査機はなく、天王星を訪れたことがあるのはボイジャー2号だけです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
実験で裏づけが得られた一方、限界があり直接観測はされていない、という流れなので C。A は No spacecraft has observed diamond rain と矛盾。
Q2. Why is the 2022 study relevant to real planets?
which is relevant because these planets contain plenty of water とあり、水には酸素が含まれるので酸素を含む物質での実験が実際に近いと言える。A。
Q3. Which is NOT mentioned as a limitation of the evidence?
限界として挙げられているのはナノ秒しか続かない、材料が違う、内部モデルが不確か、の3点。X線装置の故障は書かれていないので D。
重要単語
- ice giantC1名詞(句)巨大氷惑星Uranus and Neptune are called ice giants.
木星・土星は gas giant(巨大ガス惑星)。ここでの ice は「氷の材料になる物質」の意味。 - methaneB2名詞メタンMethane gives Neptune its blue color.
英語の発音は /ˈmeθeɪn/(メセイン)。温室効果ガスとしても入試の環境テーマで頻出。 - pressureB1名詞圧力The pressure inside the planet is enormous.
press(押す)の名詞形。「精神的な重圧」の意味でも使う。under pressure「プレッシャーを受けて」。 - shock waveB2名詞(句)衝撃波A laser created a powerful shock wave.
比喩的に send shock waves through ~「~に衝撃を与える」のようにも使う。 - precipitateC1動詞析出する・沈殿するDiamonds may precipitate deep inside the planet.
名詞 precipitation は「降水(量)」。天気予報の英語にも出る。雨=空から「析出」するイメージで覚える。 - absorbB1動詞吸収するMethane absorbs red light.
be absorbed in ~「~に夢中になる」も入試頻出。名詞は absorption(p に変わる点に注意)。 - denseB2形容詞密度が高い・密集したDiamonds are denser than the material around them.
名詞は density。a dense forest「うっそうとした森」、dense fog「濃い霧」のようにも使う。
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- Uranus(NASA Science)science.nasa.gov
- Neptune(NASA Science)science.nasa.gov
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天王星や海王星の奥深くでは、メタンの炭素がとてつもない圧力でダイヤモンドに変わり、雨のように沈んでいるかもしれない。2017年にはレーザー実験でダイヤ生成の再現にも成功したらしい。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Kraus et al. (2017) Formation of diamonds in laser-compressed hydrocarbons at planetary interior conditions, Nature Astronomydoi.org
- Ross (1981) The ice layer in Uranus and Neptune—diamonds in the sky?, Naturedoi.org
- He et al. (2022) Diamond formation kinetics in shock-compressed C─H─O samples recorded by small-angle x-ray scattering and x-ray diffraction, Science Advancesdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












