宇宙・NASAホント

宇宙を全部まぜると何色?答えは「コズミック・ラテ」。最初は水色と発表されていた

宇宙を全部まぜると何色?答えは「コズミック・ラテ」。最初は水色と発表されていた

読む前に予想してみよう!

宇宙の光をすべて平均した色は、夜空と同じ黒である

研究カード(どんな研究?)
対象
近くの宇宙の銀河
規模
20万個以上の銀河のスペクトル
研究の種類
大規模観測データの解析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

20万個以上の銀河の光を平均すると、宇宙の色は少し黄みがかった白「コズミック・ラテ」。最初はソフトの設定ミスで「水色」と発表され、あとで訂正された。

ひとことで言うと宇宙の光をぜんぶまぜると、ミルクコーヒーみたいなうすいベージュ色になるよ。

もくじ
  1. 20万個の銀河の光を「平均」した
  2. 最初の発表は「水色」だった
  3. 夜空が黒いのに「ラテ色」なのはなぜ?
  4. 宇宙はだんだん「赤く」なっている
  5. まとめ

夜空を見上げると、宇宙は真っ黒に見えます。でも、宇宙にある星や銀河の光をぜんぶ集めて混ぜたら、何色になると思いますか?

この「宇宙の平均の色」を、本気で計算した天文学者たちがいます。答えは、ミルクたっぷりのカフェラテのような、ほんのり黄みがかった白。名前はずばり「コズミック・ラテ」です。

しかもこの色、最初はまったく違う色として発表されていました。

0120万個の銀河の光を「平均」した

この研究をしたのは、アメリカ・ジョンズ・ホプキンズ大学のグレーズブルックとボールドリーのチームです。

オーストラリアの大型望遠鏡による銀河の大規模な観測「2dF銀河赤方偏移サーベイ」のデータを使い、20万個以上の銀河の光を集めて、色ごとの明るさ(スペクトル)を平均しました。これを「宇宙のスペクトル」と呼びます。

02最初の発表は「水色」だった

2002年1月、研究チームは「宇宙の平均の色はうすい緑がかった青(ターコイズ)」と発表しました。ニュースは世界中で話題になりました。

ところがその後、大きなミスが見つかります。光のデータを「人の目に見える色」に変換するソフトウェアで、白の基準(白色点)の設定がずれていたのです。正しく直すと、宇宙の色は水色ではなく、わずかにベージュがかった白になりました。

研究チームはすぐに訂正を公表し、ついでにこの色の名前を一般から募集しました。集まった候補の中から選ばれたのが、「コズミック・ラテ」。コンピューターの色コードでは #FFF8E7 です。

最初の「水色」は設定ミス。正しくはカフェラテのような白
最初の「水色」は設定ミス。正しくはカフェラテのような白

03夜空が黒いのに「ラテ色」なのはなぜ?

ここでひとつ疑問がわきます。宇宙の平均がラテ色なら、なぜ夜空は真っ黒なのでしょう?

答えは、星や銀河のあいだのすき間が、とてつもなく広いからです。光っている場所は、宇宙全体から見ればほんの点にすぎません。コズミック・ラテは「光っているものの光だけを集めて混ぜた色」であって、「宇宙を遠くから眺めたときの見た目」ではないのです。

もうひとつ、宇宙には年齢があり、遠くの光はまだ地球に届ききっていません。「夜空はなぜ暗いのか」という問いは、昔から天文学者を悩ませてきた有名な謎で、宇宙に始まりがあることのヒントにもなりました。

04宇宙はだんだん「赤く」なっている

この研究には、もっと深い意味があります。

星の色は、その星の温度と寿命に関係します。重くて熱い星は青白くかがやき、すぐに燃えつきます。軽い星は赤っぽく、長生きです。

NASAの紹介によると、宇宙の平均の色は、この100億年ほどで青っぽさが減ってきたと考えられています。若い青い星が生まれるペースが落ち、長生きの赤い星の割合が増えてきたからです。宇宙は、ゆっくりと年をとっているのです。

05まとめ

  • 20万個以上の銀河の光を平均すると、宇宙の色はコズミック・ラテ(黄みがかった白)
  • 最初はソフトの設定ミスで「水色」と発表され、すぐ訂正された
  • 宇宙は青い星が減り、だんだん赤く、年をとっている

真っ黒に見える夜空も、ぜんぶの光を集めれば、やさしいラテ色。今度カフェラテを飲むときは、「これが宇宙の色か」と思い出してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIf you mixed together all the light from stars and galaxies, what color would you get? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

If you mixed together all the light from stars and galaxies, what color would you get? A team at Johns Hopkins University tried to answer this using data on more than 200,000 galaxies from a large survey with an Australian telescope. Their main goal was actually to learn when stars formed in the history of the universe.

In 2002, the team announced that the average color was pale turquoise. Soon afterward, however, they discovered that the software turning light data into visible colors had used the wrong setting for white. The corrected color was a slightly beige white, which the public helped name "cosmic latte." The universe has also become less blue over time, as fewer young blue stars are born.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

星や銀河の光をすべて混ぜ合わせたら、何色になるでしょうか。ジョンズ・ホプキンズ大学のチームは、オーストラリアの望遠鏡による大規模な観測から得た20万個以上の銀河のデータを使って、この問いに答えようとしました。彼らの本来の目的は、じつは宇宙の歴史の中で星がいつ生まれたかを知ることでした。

2002年、チームは平均の色はうすいターコイズ(青緑)だと発表しました。しかしその直後、光のデータを目に見える色に変換するソフトウェアが、白の設定をまちがえていたことに気づきました。訂正された色はわずかにベージュがかった白で、一般の人々の協力で「コズミック・ラテ」と名づけられました。また、若い青い星が生まれる数が減るにつれて、宇宙は時とともに青っぽさが減ってきています。

4択リーディングクイズ

Q1. What was the main goal of the team's research?

Q2. What caused the first color to be wrong?

Q3. What can we infer from the last sentence?

重要単語

  • spectrumB2
    名詞スペクトル(光を色ごとに分けたもの)The cosmic spectrum shows the light of many galaxies. 複数形は spectra。a wide spectrum of opinions「幅広い意見」のように「範囲」の意味でも使う。
  • averageA2
    動詞・名詞平均する/平均They averaged the light from many galaxies. on average「平均して」は頻出。動詞として average A「Aを平均する」の用法も覚えたい。
  • galaxyB1
    名詞銀河Each galaxy contains billions of stars. ギリシャ語の「ミルク」が語源。天の川 the Milky Way とつながる。複数形は galaxies。
  • correctionB1
    名詞訂正The team published a correction. 動詞 correct(訂正する)。make a correction「訂正する」。
  • star formationC1
    名詞(句)星の誕生、星形成Star formation was more active in the past. form(形成する)の名詞形 formation。star formation rate「星形成率」は天文学の基本用語。
  • beigeB1
    形容詞・名詞ベージュ色(の)The universe is a pale beige color. フランス語から。発音は /beɪʒ/(ベイジュ)。日本語の「ベージュ」とずれるので注意。
  • reconstructB2
    動詞再現する、再構成するScientists reconstructed the history of star formation. re-(再び)+construct(組み立てる)。reconstruct the past「過去を再現する」は歴史・科学の長文で頻出。

4コマでわかる

宇宙を全部まぜると何色?答えは「コズミック・ラテ」。最初は水色と発表されていたの4コマ漫画
宇宙にある銀河の光をぜんぶ混ぜると何色になるか、本当に計算した天文学者がいる。答えはカフェラテのような白っぽいベージュで、名前は「コズミック・ラテ」。最初は計算ミスで「水色」と発表してしまったらしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Baldry et al. (2002) The 2dF Galaxy Redshift Survey: Constraints on Cosmic Star Formation History from the Cosmic Spectrum, The Astrophysical Journaldoi.org
  2. Glazebrook et al. (2003) The Sloan Digital Sky Survey: The Cosmic Spectrum and Star Formation History, The Astrophysical Journaldoi.org
  3. NASA, APOD 2020 December 27: Cosmic Latte: The Average Color of the Universescience.nasa.gov