宇宙・NASA

小惑星が地球にぶつかる確率は?「3.1%」で世界が騒いだ2024 YR4のその後

小惑星が地球にぶつかる確率は?「3.1%」で世界が騒いだ2024 YR4のその後

読む前に予想してみよう!

小惑星の衝突確率が一時的に上がったら、それは衝突がほぼ確実になったということだ

研究カード(どんな研究?)
対象
地球近傍小惑星
規模
数万個の天体の軌道監視
研究の種類
観測と軌道計算
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

2025年、小惑星2024 YR4の地球衝突確率が一時3.1%に上がったが、追加観測で0.004%に。NASAは地球に近づく小惑星を常に監視している。

ひとことで言うと危ない小惑星は、毎日見張られている!

もくじ
  1. 2024 YR4:確率が上がって、下がった
  2. なぜ確率は上がったり下がったりするのか
  3. 危険度を表す「トリノスケール」
  4. 2029年、アポフィスが「ニアミス」
  5. まとめ

「小惑星が地球にぶつかる確率、3.1%」

2025年2月、こんなニュースが世界をかけめぐりました。映画のような話ですが、これは本物のNASAの発表です。その後どうなったのか、そして私たちはどれくらい心配すべきなのかを見ていきましょう。

012024 YR4:確率が上がって、下がった

さらに、一時は月にぶつかる確率が4%ほどまで上がりましたが、2026年3月、ウェッブ宇宙望遠鏡の追加観測によって、月への衝突の可能性もなくなったとNASAは発表しています。

02なぜ確率は上がったり下がったりするのか

小惑星が見つかったばかりのころは、観測の数が少なく、軌道に大きな「ぼやけ」があります。

天気予報の「台風の予報円」をイメージしてください。最初は大きな円で、その中に地球が入っていれば、衝突確率はゼロではありません。観測が増えて円が小さくなると、地球がまだ円の中に残っている間は確率が上がって見えることがあります。そしてさらに円が小さくなり、地球が円の外に出た瞬間、確率は一気に0に近づくのです。

つまり、確率が上がってから下がるのは、観測がうまくいっている証拠でもあるのです。

観測が増えるほど「予報円」が小さくなり、地球から外れていく
観測が増えるほど「予報円」が小さくなり、地球から外れていく

03危険度を表す「トリノスケール」

NASAなどは、天体衝突の危険度を0〜10の11段階で表すトリノスケールを使っています。1999年に国際天文学連合が採用したもので、マサチューセッツ工科大学のビンゼル(Binzel)さんが提案しました。

  • 0:衝突の可能性はない、または無視できる
  • 1:通常の発見。心配はいらない
  • 2〜4:天文学者の注意が必要
  • 5〜7:脅威あり
  • 8〜10:衝突が確実

NASAのジェット推進研究所は、セントリーというシステムで、今後100年間に地球に衝突する可能性がある天体を自動で計算し続けています。

042029年、アポフィスが「ニアミス」

もう一つ注目の小惑星が、アポフィスです。大きさは約340m。NASAによると、2029年4月13日に地球の表面から約3万2,000kmのところを通過します。これは静止衛星の軌道より内側です。

ただし、NASAは少なくとも今後100年間、衝突の危険はないと発表しています。ヨーロッパやアフリカなどでは、肉眼で見える可能性があると考えられています。

05まとめ

「衝突確率3.1%」は、怖がるための数字ではなく、観測を続けるための合図でした。そして実際、追加観測で危険はほぼなくなりました。

地球を守る第一歩は、早く見つけて、よく見ること。今夜も世界中の望遠鏡が、空を見張っています。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn February 2025, news spread around the world that an asteroid called 2024 YR4 had a 3.1 percent chance of… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In February 2025, news spread around the world that an asteroid called 2024 YR4 had a 3.1 percent chance of hitting Earth in 2032. The asteroid is about 53 to 67 meters wide, and 3.1 percent was the highest risk NASA had ever recorded for an object of that size. However, after more observations, the chance dropped to just 0.004 percent within a week.

Why did this happen? When an asteroid is first found, its path is uncertain, like the large circle in a typhoon forecast. As more data come in, the circle becomes smaller. When Earth falls outside the circle, the chance quickly drops to almost zero. So rising and falling odds show that observation is working.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

2025年2月、2024 YR4という小惑星が2032年に地球に衝突する確率は3.1%だというニュースが世界中に広まりました。この小惑星は幅約53〜67mで、3.1%は、NASAがその大きさの天体についてこれまでに記録した中で最も高い危険度でした。しかし、追加の観測の後、確率は1週間以内にわずか0.004%まで下がりました。

なぜこうなったのでしょうか。小惑星が最初に見つかったとき、その進路は不確かで、台風の予報の大きな円のようなものです。データが増えるにつれて、円は小さくなります。地球が円の外に出ると、確率は急速にほぼゼロまで下がります。つまり、確率が上がったり下がったりするのは、観測がうまくいっていることを示しているのです。

4択リーディングクイズ

Q1. Why was the 3.1 percent figure special?

Q2. What does the writer compare an asteroid's uncertain path to?

Q3. What is the writer's main message about changing odds?

重要単語

  • asteroidB2
    名詞小惑星The asteroid will pass close to Earth in 2029. aster(星:asterisk「*」と同語源)+-oid(~のようなもの)。comet(彗星)、meteor(流星)と区別。
  • impact probabilityC1
    名詞(句)衝突確率The impact probability dropped after new observations. impact は「衝撃・影響」の多義語。have an impact on ~「~に影響を与える」も入試超頻出。
  • planetary defenseC1
    名詞(句)地球防衛(天体衝突から地球を守ること)Planetary defense starts with finding asteroids early. planetary は planet の形容詞。英国式つづりは defence。
  • near-Earth objectC1
    名詞(句)地球近傍天体Telescopes search the sky for near-Earth objects. 略して NEO。ニュースでは NEO の形でもよく見かける。
  • observationB1
    名詞観測More observations made the orbit clearer. 動詞 observe。observatory は「天文台」。observance(遵守)と混同しないこと。
  • hazardB2
    名詞危険(要因)The asteroid poses no hazard to Earth. hazard map(ハザードマップ)でおなじみ。形容詞 hazardous(危険な)。pose a hazard「危険をもたらす」。
  • promptB2
    動詞うながす、引き起こすThe news prompted more observations. prompt A to do「A に~するよううながす」の型が頻出。形容詞では「即座の」。

動画でもっと知る

2025年2月、小惑星「2024 YR4」が2032年に地球にぶつかる確率が一時3.1%まで上がり、世界がざわついた。でも追加観測で0.004%に。確率が上がって下がるのは、実は「観測がうまくいっている証拠」らしい。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Binzel (2000) The Torino Impact Hazard Scale, Planetary and Space Sciencedoi.org
  2. Brown et al. (2002) The flux of small near-Earth objects colliding with the Earth, Naturedoi.org
  3. NASA: Latest Calculations Conclude Asteroid 2024 YR4 Now Poses No Significant Threat to Earth in 2032 and Beyondscience.nasa.gov
  4. NASA: New NASA Asteroid Observations Eliminate Chance of 2032 Lunar Impactscience.nasa.gov
  5. NASA JPL CNEOS: Sentry Earth Impact Monitoringcneos.jpl.nasa.gov