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心理学ホント

同じ6つの言葉でも、並べる順番で印象が逆転した。「最初」と「最後」が記憶と評価を左右する理由

同じ6つの言葉でも、並べる順番で印象が逆転した。「最初」と「最後」が記憶と評価を左右する理由

読む前に予想してみよう!

単語のリストを覚えるとき、真ん中あたりの単語がいちばん記憶に残りやすい

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生/国際大会の採点データ
規模
数十〜数百人の実験/大会記録の分析
研究の種類
実験+アーカイブ分析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

同じ性格の言葉でも、良い言葉から並べると好印象、悪い言葉からだと悪印象に。記憶でも最初と最後が残りやすく、コンテストでは後半の出場者ほど高得点の傾向があった。

ひとことで言うと最初と最後は覚えられやすい。真ん中はちょっと損!

もくじ
  1. 最初の情報が「レンズ」になる
  2. 記憶では「最初」も「最後」も強い
  3. コンテストは「最後の出場者」が有利?
  4. まとめ

ある人について、次の説明を読んでください。

A:頭がいい、勤勉、衝動的、批判的、頑固、嫉妬深い

では、こちらの人はどうでしょう。

B:嫉妬深い、頑固、批判的、衝動的、勤勉、頭がいい

Aのほうが、なんとなく「できる人」に感じませんでしたか? 実は、AとBはまったく同じ6つの言葉を、逆の順番に並べただけです。

01最初の情報が「レンズ」になる

これは、ポーランド出身でアメリカで活躍した心理学者ソロモン・アッシュが、1946年に行った有名な実験です。

最初に入ってきた情報が、その後の情報を解釈する「レンズ」になってしまうのです。「頭がいい」と聞いた後の「頑固」は「意志が強い」に、「嫉妬深い」と聞いた後の「頑固」は「融通がきかない」に聞こえる。これを初頭効果と呼びます。

02記憶では「最初」も「最後」も強い

記憶の実験でも、順番の影響ははっきり表れます。

1962年の研究で、単語のリストを聞かせてから自由に思い出してもらうと、最初のほうと最後のほうの単語がよく思い出され、真ん中の単語は忘れられやすいという、U字型のグラフが得られました。最後のほうの単語が残りやすいことを親近効果と呼びます。

さらに1966年の研究では、リストを聞いた直後に30秒ほど別の作業(数を数えるなど)をさせると、親近効果だけが消えたのです。

ここから、次のように考えられるようになりました。最後のほうの単語は、さっき聞いたばかりで頭の中に残っている短期的な記憶に支えられている。最初のほうの単語は、心の中で何度もくり返して定着した長期的な記憶に支えられている。

最初と最後は覚えやすく、真ん中は忘れやすい「U字カーブ」
最初と最後は覚えやすく、真ん中は忘れやすい「U字カーブ」

03コンテストは「最後の出場者」が有利?

順番の効果は、身近な採点にも入り込みます。

2005年の研究では、ヨーロッパの歌のコンテスト(ユーロビジョン)やフィギュアスケートの国際大会の採点データを分析しました。すると、後半に登場した出場者ほど、高い得点を得やすい傾向が見られたのです。

この傾向は、全員が終わってからまとめて採点する場合でも、1人終わるたびに採点する場合でも見られました。研究者は、審査員が出場者を1人ずつ見ながら、その場その場で印象をつくっていくことが原因ではないかと考えています。

04まとめ

同じ中身でも、どの順番で伝えるかで、印象も記憶も変わります。

「最初」と「最後」はスポットライトの当たる特等席。大事なことはそこに置き、そして自分が人を評価するときには、「順番に惑わされていないかな?」とひと呼吸おいてみましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 1946, the psychologist Solomon Asch read people a list of words describing someone. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In 1946, the psychologist Solomon Asch read people a list of words describing someone. The list was "intelligent, industrious, impulsive, critical, stubborn, envious." Other people heard the same six words in reverse order. Those who heard the positive words first formed a much better impression.

The first information seems to work like a lens through which we see the rest. This is called the primacy effect. Memory shows a similar pattern. In a 1962 study, people remembered the first and last words of a list better than those in the middle.

Remembering the last items well is called the recency effect. A 2005 study even found that performers who appeared later in contests tended to receive higher scores.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1946年、心理学者ソロモン・アッシュは、ある人物を表す言葉のリストを人々に読み上げました。「頭がいい、勤勉、衝動的、批判的、頑固、嫉妬深い」。別の人々は同じ6つの言葉を逆の順番で聞きました。良い言葉を先に聞いた人たちは、はるかに良い印象を持ちました。

最初の情報は、残りを見るためのレンズのように働くようです。これは初頭効果と呼ばれます。記憶にも似たパターンが見られます。1962年の研究では、人々はリストの最初と最後の単語を、真ん中の単語よりよく覚えていました。

最後の項目をよく覚えていることは親近効果と呼ばれます。2005年の研究では、コンテストで後に登場した出場者ほど高い点数を得る傾向があることさえわかりました。

4択リーディングクイズ

Q1. What was different between the two groups in Asch's study?

Q2. What is the recency effect?

Q3. What does the 2005 study suggest about contests?

重要単語

  • primacy effectC1
    名詞(句)初頭効果The primacy effect makes first impressions powerful. primacy は prime / primary(最初の・第一の)と同語源で「最初であること」。
  • recency effectC1
    名詞(句)親近効果The recency effect helps us remember the last items. recency は recent(最近の)の名詞形で「新しさ」。primacy と対で覚える。
  • serial positionC1
    名詞(句)系列位置(並び順の位置)Memory depends on serial position. serial は「連続の・順番の」。series(シリーズ)と同語源。serial number=通し番号。
  • impressionB1
    名詞印象The order of words changed their impression. make an impression on ~、be under the impression that ~(~だと思い込んでいる)が頻出。
  • judgeB1
    名詞・動詞審査員、裁判官/判断するJudges may be influenced by the order of performers. judging from ~(~から判断すると)は分詞構文の慣用表現として入試頻出。
  • stubbornB2
    形容詞頑固なHe is too stubborn to admit his mistake. (as) stubborn as a mule(ラバのように頑固)という比喩も。stubborn stain=落ちにくい汚れ。
  • intactC1
    形容詞損なわれていない、元のままのThe old house survived the storm intact. in-(否定)+tact(触れる)で「触れられていない」。contact, tactile と同語源。

動画でもっと知る

「頭がいい・勤勉・衝動的・批判的・頑固・嫉妬深い」と「嫉妬深い・頑固・批判的・衝動的・勤勉・頭がいい」。同じ6語なのに、良い言葉から並べたほうが好印象になったらしい。中身が同じでも、順番だけで印象が変わる。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Asch (1946) Forming impressions of personality, The Journal of Abnormal and Social Psychologydoi.org
  2. Murdock (1962) The serial position effect of free recall, Journal of Experimental Psychologydoi.org
  3. Glanzer & Cunitz (1966) Two storage mechanisms in free recall, Journal of Verbal Learning and Verbal Behaviordoi.org
  4. Bruine de Bruin (2005) Save the last dance for me: unwanted serial position effects in jury evaluations, Acta Psychologicadoi.org