心理学ビミョー

美人が書いた作文は点数が上がる?見た目が全部を照らす「ハロー効果」

美人が書いた作文は点数が上がる?見た目が全部を照らす「ハロー効果」

読む前に予想してみよう!

人は「見た目の印象」が他の評価に影響していることに、たいてい自分で気づいている

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生など
規模
各実験 数十人+多数の研究のメタ分析
研究の種類
実験室実験・メタ分析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

見た目がいい人は「頭も性格もいい」と思われやすい。作文の採点まで動いた実験も。ただし誠実さなどへの影響は小さく、万能ではない。

ひとことで言うとひとつ良いところがあると、ぜんぶ良く見えちゃう心のクセ!

もくじ
  1. 100年前、軍隊の評価表で見つかった「ズレ」
  2. 「美しいものは良いものだ」実験
  3. いちばん怖いのは「自分は大丈夫」と思っていること
  4. ただし「美人は全部得する」はウソ
  5. まとめ

「あの人、顔もいいし、たぶん仕事もできるんだろうな」

こんなふうに思ったこと、ありませんか? 顔と仕事の能力には、本来なんの関係もないはず。それなのに、人間の脳はひとつの目立つ長所を見つけると、ほかの部分まで勝手に良く見積もってしまうクセがあります。

これが心理学でいうハロー効果。ハロー(halo)とは、宗教画で聖人の頭の後ろに描かれる「後光」のこと。ひとつの光が、その人全体をピカーッと照らしてしまうイメージです。

01100年前、軍隊の評価表で見つかった「ズレ」

名前をつけたのは、アメリカの心理学者エドワード・ソーンダイク。1920年の論文で、軍の上官が兵士を評価した記録を分析しました。

すると、「体格」「知性」「リーダーシップ」「人柄」といった、本来は別々のはずの項目の点数が、不自然なほど連動していたのです。体格が良いと評価された兵士は、知性も人柄も高く評価されがち。上官たちは一人ひとりの項目を冷静に採点しているつもりで、実は「なんとなくの全体印象」で塗りつぶしていたわけです。

02「美しいものは良いものだ」実験

1972年には、写真を使った有名な研究が登場します。

さらに1974年には、同じ作文に「魅力的な書き手の写真」か「そうでない写真」を添えて採点させると、魅力的な写真の方が点数が高くなりやすい、という実験も報告されました(Landy & Sigall)。特に作文の出来がイマイチなときほど、見た目の差が点数に出やすかったといいます。

ただしこれは、男子大学生数十人を対象にした1回の小規模な実験です。「美人の作文は必ず点数が上がる」とまで言えるわけではなく、タイトルの「?」はそういう意味だと思ってください。

中身は同じでも、添えられた「印象」が点数をこっそり動かすことがある
中身は同じでも、添えられた「印象」が点数をこっそり動かすことがある

03いちばん怖いのは「自分は大丈夫」と思っていること

ハロー効果の本当のコワさは、本人がまったく気づかないところにあります。

1977年、心理学者のニスベットとウィルソンは、ある講師のビデオを学生に見せました。同じ講師が「温かい態度」で話すバージョンと「冷たい態度」で話すバージョンです。

すると、温かいバージョンを見た学生は、講師の外見やしぐさ、なまりまで「好ましい」と評価。冷たいバージョンでは同じものが「イラッとする」と評価されました。ところが学生たちは「態度で外見の評価が変わった」とは思っておらず、むしろ逆向きの因果を答えた人もいたのです。

04ただし「美人は全部得する」はウソ

ここでどんでん返し。たくさんの研究をまとめたメタ分析(研究の「まとめ買い」のようなもの)を見ると、話はもう少し複雑です。

Eagly ら(1991)の分析では、見た目の良さは「社交的」「人気がありそう」という評価には強く効く一方、「誠実さ」や「他人への思いやり」の評価への影響は小さいことがわかりました。つまり後光が照らす範囲には限りがあるのです。

また、ハローには裏返しもあります。ひとつの欠点が全体を悪く見せる「ホーン効果(悪魔の角)」です。見た目に限らず、学歴・肩書・声の良さなども後光や角になりえます。

05まとめ

ハロー効果は「ずるい美人がいる」という話ではなく、見る側の脳のクセの話です。

だからこそ、得をする・損をするを嘆くより、「自分は今、後光に目がくらんでいないか?」と立ち止まるほうがずっと役に立ちます。キラキラした第一印象を見たら、心の中でサングラスをかけてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe halo effect is our tendency to let one good quality shape our whole judgment of a person. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The halo effect is our tendency to let one good quality shape our whole judgment of a person. The psychologist Edward Thorndike named it in 1920 after noticing that army officers gave soldiers similar scores for very different traits, such as physique and intelligence.

Later, a 1972 study found that people judged attractive strangers as having nicer personalities and better futures. In a small 1974 experiment, essays received higher grades when they came with a photo of an attractive writer. What makes the halo effect powerful is that people often do not notice it. However, a review of many studies showed that good looks strongly affect judgments of sociability but have only a small effect on judgments of honesty.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ハロー効果とは、1つの良い性質によって、ある人についての判断全体が左右されてしまう傾向のことです。心理学者エドワード・ソーンダイクは1920年、軍の上官が体格や知性のようなまったく異なる特性について、兵士に似たような点数をつけていることに気づき、これを名づけました。

その後、1972年の研究で、人々は魅力的な見知らぬ人のほうが性格が良く将来も明るいと判断することがわかりました。1974年の小規模な実験では、作文に魅力的な書き手の写真が添えられていると、より高い点数がつきました。ハロー効果が強力なのは、人がそれにしばしば気づかないからです。しかし、多くの研究をまとめた分析では、見た目の良さは社交性の判断には強く影響するものの、誠実さの判断への影響は小さいことが示されました。

4択リーディングクイズ

Q1. How did Thorndike discover the halo effect?

Q2. According to the review of many studies, which judgment is least affected by good looks?

Q3. Why does the writer say the halo effect is "powerful"?

重要単語

  • haloC1
    名詞後光The saint in the painting has a golden halo. 発音は /ˈheɪloʊ/(ヘイロウ)。対になる悪い印象の効果は horn effect(ホーン効果)。
  • attractiveA2
    形容詞魅力的なThe town has many attractive old buildings. attract(引きつける)+-ive。名詞 attractiveness、attraction(魅力・名所)。tourist attraction=観光名所。
  • first impressionB1
    名詞(句)第一印象You never get a second chance to make a first impression. make a good impression on ~(~に良い印象を与える)の前置詞 on が頻出。
  • evaluateB2
    動詞評価するTeachers evaluate essays using a checklist. e-(外へ)+value(価値)で「価値を引き出して測る」。名詞 evaluation。assess とほぼ同義。
  • unconsciousB2
    形容詞無意識のOur unconscious biases can affect our choices. un-+conscious(意識している)。be conscious of ~ の形もセットで。unconscious bias=無意識の偏見。
  • salientC1
    形容詞目立つ、顕著なThe most salient feature of the plan is its low cost. ラテン語 salire(跳ぶ)から。「飛び出して見える」イメージ。難関大・英検1級レベル。
  • integrityC1
    名詞誠実さ、高潔さShe is a person of great integrity. integer(整数・完全なもの)と同語源で「欠けたところがない」。a person of integrity の形で使う。
同じ作文なのに「書いた人の写真」が魅力的だと点数が上がった、という実験があるらしい。ひとつの長所が後光のように全体を照らす「ハロー効果」。しかも本人は影響されてると気づかない。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Thorndike (1920) A constant error in psychological ratings, Journal of Applied Psychologydoi.org
  2. Dion, Berscheid & Walster (1972) What is beautiful is good, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  3. Landy & Sigall (1974) Beauty is talent: Task evaluation as a function of the performer's physical attractiveness, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  4. Nisbett & Wilson (1977) The halo effect: Evidence for unconscious alteration of judgments, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  5. Eagly et al. (1991) What is beautiful is good, but…: A meta-analytic review of research on the physical attractiveness stereotype, Psychological Bulletindoi.org