心理学ホント

「2・4・6」の法則、あなたは見抜ける? 脳が"当たり"ばかり探す確証バイアス

「2・4・6」の法則、あなたは見抜ける? 脳が"当たり"ばかり探す確証バイアス

読む前に予想してみよう!

「2・4・6」のルール当てパズルでは、ほとんどの人が最初の答えで正解できる

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生など
規模
29人(1960年の2-4-6課題)+多数の追試
研究の種類
実験室実験+レビュー
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

人は自分の考えに合う証拠ばかり探し、反する証拠を見落とす。「2・4・6」の数字パズルでは多くの人が正解にたどり着けなかった。

ひとことで言うと「やっぱりね!」と思える情報だけ、集めちゃうクセ!

もくじ
  1. 正解は、拍子抜けするほどシンプル
  2. 同じ資料を読んで、なぜか両方が強気になる
  3. なぜ脳は"当たり"だけ探すのか
  4. 効くのは「反対を考えてみる」
  5. まとめ

まずはクイズから。

「2・4・6」という3つの数字の並びは、あるルールに当てはまっています。あなたは自由に3つの数字を出して、「ルールに合う/合わない」を教えてもらえます。さて、ルールは何でしょう?

多くの人は「8・10・12」「20・22・24」と試して、「合う」と言われ、「2ずつ増える!」と自信満々に答えます。……でも、不正解です。

01正解は、拍子抜けするほどシンプル

このパズルを考えたのは、イギリスの心理学者ピーター・ウェイソン。1960年に発表された実験です。

「1・2・3」でも「5・17・100」でも「合う」。もし、自分の予想では外れるはずの例を試して「合う」と言われていれば、すぐに「2ずつ」が間違いだと気づけたはずなのです。

ところが人は、自分の予想を確かめる例ばかり選び、壊す例を試そうとしません。これが確証バイアスの正体です。

02同じ資料を読んで、なぜか両方が強気になる

確証バイアスは、数字パズルだけの話ではありません。

1979年、スタンフォード大学の研究者たちは、死刑制度に賛成の学生と反対の学生に、同じ内容の研究資料を読ませました。資料には「死刑には犯罪を減らす効果がある」という研究と「ない」という研究の両方が入っています。

普通に考えれば、両方を読めば意見は真ん中に寄りそうですよね。ところが結果は逆。賛成派は自分に有利な研究を「しっかりした研究だ」と評価し、反対派はその逆。どちらも、自分の意見がより強まったと答えたのです。

ただし、この研究の参加者は48人と少なく、「意見が強まった」は本人の自己申告でした。その後の大規模な調査実験(Guess & Coppock, 2018)では、反対意見の証拠を見せても逆に意見が強まる「反発」はほとんど見られず、多くの人は少しずつ証拠の方向に考えを動かしていました。「自分に都合のいい証拠を高く評価する」傾向はくり返し確認されていますが、「反論されるとかえって頑固になる」は、思われているほどよく起きるわけではなさそうです。

同じ証拠でも、見る人の「最初の考え」で重さが変わって見える
同じ証拠でも、見る人の「最初の考え」で重さが変わって見える

03なぜ脳は"当たり"だけ探すのか

確証バイアスについての大きなレビュー(Nickerson, 1998)は、これを「さまざまな姿で現れる、どこにでもある現象」とまとめています。理由としてよく挙げられるのは次のようなものです。

  • 楽だから:自分の考えを壊す情報を探すのは、頭も心も疲れる
  • 間違えたくないから:「自分は正しかった」と思える情報は気持ちいい
  • 記憶のえこひいき:当たった占い、的中した予感など「合っていた例」ほど覚えている

ネットの検索も同じです。「〇〇 効果ある」で検索すれば、効果があるという記事が並びます。質問の仕方の時点で、答えが偏るのです。ネットの情報の確かめ方は横読み(ラテラル・リーディング)の記事、確証バイアスが関わる身近な例は陰謀論の心理や後知恵バイアスの記事も参考にどうぞ。

もっとも、「当てはまりそうな例を試す」こと自体がいつも悪いわけではありません。1987年の研究(Klayman & Ha)は、多くの場面ではこの試し方でも十分役に立ち、2・4・6のように本当のルールが予想より広いときに特に失敗しやすい、と指摘しています。

04効くのは「反対を考えてみる」

うれしいことに、対策もちゃんと研究されています。1984年の研究では、判断の前に「もし逆の結果が出ていたら、自分はどう評価する?」と考えさせると、偏りが小さくなりました。「公平になろう」と心がけるだけより、効果があったのです。

05まとめ

確証バイアスは、だれにでも起こりうる、という意味でもやっかいです。

大事なのは「自分は偏っていない」と思うことではなく、わざと「1・2・3」のような、外れるはずの例を試してみる勇気。予想を壊す例を探しにいける人が、いちばん早く正解にたどり着けます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 1960, British psychologist Peter Wason gave students the numbers 2, 4, 6 and asked them to find the rule… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In 1960, British psychologist Peter Wason gave students the numbers 2, 4, 6 and asked them to find the rule behind them. They could test any three numbers. Most people tried sets like 8, 10, 12, which fit their guess that the numbers increase by two. Only 6 of 29 students gave the correct rule on their first attempt: any three increasing numbers.

If they had tried 1, 2, 3 and heard that it fit the rule, they would have seen that their idea was wrong. This tendency to look for evidence that supports our beliefs is called confirmation bias. It also affects internet searches, since how we ask can shape the answers we find. One helpful strategy is to ask yourself, "What if the opposite were true?"

128 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1960年、イギリスの心理学者ピーター・ウェイソンは、学生たちに2、4、6という数字を与え、その背後にあるルールを見つけるよう求めました。学生たちは3つの数字のどんな組み合わせでも試すことができました。ほとんどの人は8、10、12のような組を試しましたが、それは数字が2ずつ増えるという彼らの推測に合うものでした。最初の挑戦で正しいルール、つまり「増えていく任意の3つの数」を答えたのは、29人中6人だけでした。もし1、2、3を試して「合う」と言われていれば、自分の考えが間違っていることにすぐ気づいたでしょう。自分の信念を支持する証拠を探すこの傾向は、確証バイアスと呼ばれます。

それはネット検索にも影響します。質問の仕方が、見つかる答えを形作ってしまうからです。役に立つ方法の一つは、「もし逆が正しかったら?」と自分に問いかけることです。

4択リーディングクイズ

Q1. Why did most students fail to find the rule?

Q2. According to the passage, how could students have discovered their mistake?

Q3. How does confirmation bias affect internet searches?

重要単語

  • biasB2
    名詞偏り、思い込みEveryone has some bias in their thinking. confirmation bias「確証バイアス」。形容詞 biased「偏った」。
  • hypothesisC1
    名詞仮説Scientists test a hypothesis with experiments. 複数形 hypotheses。hypothetical「仮定の」も合わせて。
  • evidenceB1
    名詞証拠We need more evidence before we decide. 不可算名詞。evidence for / against ~「~を支持する/~に反する証拠」。
  • confirmB1
    動詞確かめる、裏づけるThe results confirmed my guess. 名詞 confirmation。予約の「確認」でも使う日常語。
  • oppositeA2
    名詞・形容詞反対、逆のこと/反対のTry to imagine the opposite result. the opposite of ~「~の反対」。consider the opposite は偏りを減らす方法として有名。
  • ubiquitousC2
    形容詞どこにでもあるConfirmation bias is ubiquitous in daily life. ラテン語「どこにでも」。ubiquitous computing など難関大長文で出る。
  • disproveC1
    動詞反証する、誤りを証明するTry examples that could disprove your idea. dis-(否定)+prove。名詞的には disconfirming evidence「反証となる証拠」。

動画でもっと知る

「2・4・6」に当てはまるルールを当てるだけのパズル。簡単そうなのに、多くの人が外す。理由は「当たりそうな例」ばかり試して「外れそうな例」を試さないから。これが確証バイアスらしい。

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出典・参考文献(6件)タップで表示
  1. Wason (1960) On the failure to eliminate hypotheses in a conceptual task, Quarterly Journal of Experimental Psychologydoi.org
  2. Nickerson (1998) Confirmation bias: A ubiquitous phenomenon in many guises, Review of General Psychologydoi.org
  3. Lord, Ross & Lepper (1979) Biased assimilation and attitude polarization: The effects of prior theories on subsequently considered evidence, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  4. Lord, Lepper & Preston (1984) Considering the opposite: A corrective strategy for social judgment, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  5. Guess & Coppock (2018) Does counter-attitudinal information cause backlash? Results from three large survey experiments, British Journal of Political Sciencedoi.org
  6. Klayman & Ha (1987) Confirmation, disconfirmation, and information in hypothesis testing, Psychological Reviewdoi.org