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【東北大の入試に出た】「学習性無力感」は50年後、提唱者自身が「逆だった」と認めた

【東北大の入試に出た】「学習性無力感」は50年後、提唱者自身が「逆だった」と認めた

読む前に予想してみよう!

学習性無力感の提唱者たちは、50年後に元の説明が「逆だった」と認めた

研究カード(どんな研究?)
対象
犬(1967年)・大学生(1975年)・神経科学研究のレビュー
規模
小規模な実験+総説
研究の種類
動物実験・人の実験・レビュー
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

「どうせ無駄」と学習して動けなくなる、と説明された学習性無力感。50年後、提唱者たちは「無力は生まれつきの反応で、学ぶのはコントロールのほう」と修正した。

ひとことで言うと「どうせムリ」は学ぶものじゃなく、最初からある反応だったかもしれない!

もくじ
  1. 1967年、逃げようとしない犬たち
  2. 人間でも同じことが起きた
  3. 50年後の大どんでん返し
  4. まとめ

何度がんばってもうまくいかないと、「どうせ無理だ」とあきらめてしまう。心理学では、この状態を「学習性無力感」と呼びます。教科書にも載っている超有名な理論です。

ところが2016年、この理論を生み出した本人たちが、「元の説明は逆だった」とする論文を発表しました。科学が自分自身を書き換えた、珍しい瞬間です。

この「学習性無力感」は、2026年度の東北大学(前期)の英語で長文のテーマになりました(代々木ゼミナールの解答速報・概評で確認)。

011967年、逃げようとしない犬たち

二人はこう考えました。②の犬は「何をしても結果は変わらない」と学習してしまい、逃げる努力をやめたのだ、と。これが「学習性無力感」の誕生です。

※現在の基準では、動物への倫理的配慮の点で大きな議論がある実験です。

02人間でも同じことが起きた

1975年には、大学生を対象にした実験も行われました(Hiroto & Seligman)。

止められない不快な音を聞かされたり、答えのない問題を解かされたりした学生は、その後の別の課題(不快な音を止める課題やアナグラム)でも、失敗しやすくなりました。無力感は、ひとつの場面から別の場面へと「広がる」ことが示されたのです。

この理論はやがて、うつ病を理解する手がかりとしても注目されるようになりました。

出口はあるのに、「どうせ無理」が足を止めてしまう
出口はあるのに、「どうせ無理」が足を止めてしまう

0350年後の大どんでん返し

それから約50年。脳科学が進み、無力感の「仕組み」が詳しく調べられるようになりました。

2016年、マイヤーとセリグマンは論文「学習性無力感から50年」で、こう結論づけました。

  • 長く続くつらい出来事に対して受け身になるのは、学習ではなく生まれつきの「初期設定」の反応。脳の奥の背側縫線核という部分が関わっている
  • 学習されるのは無力ではなく、「自分でコントロールできる」という感覚のほう。おでこの奥の内側前頭前野がそれを察知し、受け身の反応にブレーキをかける

つまり私たちは、「無力を学ぶ」のではなく、「自分で状況を変えられる」と学ぶことで、生まれつきの無力から抜け出しているのかもしれません。

04まとめ

「どうせ無理」という受け身の反応は、もともと脳に備わった初期設定かもしれません。だからこそ、小さくても「自分で変えられた」経験を積み重ねることが、そこから抜け出すカギになります。

今日、ひとつだけ「自分で決めて、やり切れること」をやってみませんか。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 1967, Seligman and Maier at the University of Pennsylvania divided dogs into three groups. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In 1967, Seligman and Maier at the University of Pennsylvania divided dogs into three groups. The first group could stop electric shocks, the second received the same shocks but could not stop them, and the third received none.

Later, in a box where they could escape by jumping over a barrier, the first and third groups quickly learned to escape, but many dogs in the second group simply stayed where they were. The researchers concluded that these dogs had learned that their actions made no difference. A 1975 study showed that college students given unsolvable problems also did worse on later tasks. The theory was later used to help understand depression.

111 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1967年、ペンシルベニア大学のセリグマンとマイヤーは犬を3つのグループに分けました。1つ目のグループは電気ショックを止めることができ、2つ目は同じショックを受けるものの止めることができず、3つ目はショックを受けませんでした。

その後、仕切りを飛び越えれば逃げられる箱の中で、1つ目と3つ目のグループはすぐに逃げ方を覚えましたが、2つ目のグループの犬の多くはただその場にとどまっていました。研究者たちは、これらの犬は自分の行動が何の違いも生まないと学んでしまったのだと結論づけました。1975年の研究では、解けない問題を与えられた大学生も、その後の課題で成績が悪くなることが示されました。この理論は後に、うつ病を理解する助けとしても使われました。

4択リーディングクイズ

Q1. Which group of dogs often failed to escape?

Q2. What happened to the college students in the 1975 study?

Q3. What did the researchers believe the second group of dogs had learned?

重要単語

  • helplessnessB2
    名詞無力感Repeated failure can lead to helplessness. help+-less(~がない)+-ness。learned helplessness は心理学系長文の超頻出テーマ。
  • inescapableC1
    形容詞逃れられないThe dogs were given inescapable shocks. in(否定)+escape+-able。uncontrollable とともに実験条件を表すキーワード。
  • passivityC1
    名詞受け身、消極性Passivity may be the brain's default response to stress. passive(受け身の)の名詞形。反対は active / activity。文法の「受動態」も passive voice。
  • controllableB2
    形容詞制御できるFeeling that a situation is controllable reduces stress. controllable は control の語末の l が重なって ll になる点に注意。sense of control(コントロール感)は心理・教育系で頻出。
  • depressionB2
    名詞うつ病、落ち込みThe theory was used to explain depression. 経済の「不況」の意味もある多義語(the Great Depression=世界恐慌)。文脈で判断する。
  • defaultB2
    名詞・形容詞初期設定(の)、既定The default setting of the app is silent mode. by default「初期設定で、自動的に」。経済では「債務不履行」の意味もある。
  • prolongedC1
    形容詞長引く、長期にわたるProlonged stress can harm our health. prolong(延長する)の過去分詞形。pro(前へ)+long(長い)。

動画でもっと知る

4コマでわかる

【東北大の入試に出た】「学習性無力感」は50年後、提唱者自身が「逆だった」と認めたの4コマ漫画
「何をしても無駄だと学ぶと、人も動物も動けなくなる」という有名な学習性無力感。実は50年後、提唱者本人たちが「逆だった」と論文で修正したらしい。無力は生まれつきの反応で、学ぶのは「自分で変えられる」感覚のほうだった。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Seligman & Maier (1967) Failure to escape traumatic shock, Journal of Experimental Psychologydoi.org
  2. Hiroto & Seligman (1975) Generality of learned helplessness in man, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  3. Maier & Seligman (2016) Learned helplessness at fifty: insights from neuroscience, Psychological Reviewdoi.org