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カラスに一度嫌われると、会ったこともないカラスにまで怒られる話

カラスに一度嫌われると、会ったこともないカラスにまで怒られる話

読む前に予想してみよう!

カラスは、自分をつかまえた人の顔を何年も覚えていることがある

研究カード(どんな研究?)
対象
野生のアメリカガラス
規模
捕獲7羽+キャンパスの群れ(数年間の追跡)
研究の種類
野外実験+脳画像(PET)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

カラスは危険な人間の顔を何年も覚え、その情報は仲間や次の世代にまで広がる。お面を使った野外実験でわかった。

ひとことで言うとカラスは「こわい人の顔」を覚えて、友だちにも教えちゃう!

もくじ
  1. お面をかぶって、カラスをつかまえてみた
  2. 「つかまったことのないカラス」まで怒り出した
  3. カラスの脳は、顔を見るとどう動く?
  4. カラスとうまく付き合うコツ
  5. まとめ

「なんかあのカラス、私にだけ鳴いてくる気がする…」

それ、気のせいではないかもしれません。

カラスは人間の顔を見分けて覚えます。しかも、イヤな目にあわされた人の顔は、何年も忘れない。さらに、その情報を仲間にまで広めてしまうのです。

01お面をかぶって、カラスをつかまえてみた

この話を確かめたのは、アメリカ・ワシントン大学の鳥類学者ジョン・マーズラフさんたちです。

研究のために野生のカラスをつかまえて、足に目印をつけることになりました。そこでチームは、ある工夫をします。つかまえるときに、決まったお面をかぶったのです。

ポイントは、反応したのが「人」ではなく「お面」だったこと。カラスは服や歩き方ではなく、顔そのもので人を見分けていたのです。

お面の「顔」を覚えたカラスたちが、一斉に騒ぎ出す。
お面の「顔」を覚えたカラスたちが、一斉に騒ぎ出す。

02「つかまったことのないカラス」まで怒り出した

驚くのはここからです。

時間がたつにつれて、お面に向かって騒ぐカラスの数は減るどころか増えていきました。しかも、その中には一度もつかまったことのないカラスや、実験のあとに生まれた若いカラスまでいたのです。

2012年に『Proceedings of the Royal Society B』に載った続報では、カラスが仲間の騒ぐ様子を見て「この顔は危険だ」と学ぶ社会的学習が起きていると結論づけました。社会的学習とは、自分で体験しなくても、仲間のふるまいを見て覚えること。人間でいう「うわさ」や「口コミ」に近いものです。

03カラスの脳は、顔を見るとどう動く?

マーズラフさんたちは2012年に『PNAS』で、捕獲したカラスにお面の顔を見せ、PET(陽電子放射断層撮影)という方法で脳の活動を画像化した研究も発表しています。

「危険役」の顔を見たカラスでは、恐怖や学習にかかわる脳の部分が活発に働いていました。哺乳類が危険を感じたときに働く「扁桃体(へんとうたい)」に似た場所です。扁桃体は、ざっくり言えば脳の「警報装置」。カラスの脳でも、似た警報が鳴っているらしいのです。

04カラスとうまく付き合うコツ

05まとめ

カラスは人間の顔を見分け、危険な人の顔を何年も覚えていました。その情報は、会ったこともない仲間や次の世代にまで「口コミ」で広がります。

街で見かけるあの黒い鳥は、私たちが思っているよりずっと、私たちのことを見ているのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerCrows can recognize human faces, and they remember people who treat them badly. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Crows can recognize human faces, and they remember people who treat them badly. Researchers at the University of Washington wore a certain mask while they caught seven crows on their campus. Later, when people walked around in the same mask, many crows scolded them loudly and gathered in groups.

However, the birds hardly reacted to a different mask that had not been used for catching them. This reaction continued for at least two years. Over time, the number of crows that scolded the mask actually grew. Some of them had never been caught, and some were young birds born after the experiment. The researchers concluded that crows learn about dangerous people by watching other crows, a process called social learning.

120 words ・ CEFR B1

和訳を見る

カラスは人間の顔を見分けることができ、ひどい扱いをした人を覚えています。ワシントン大学の研究者たちは、キャンパスで7羽のカラスをつかまえる間、決まったお面をかぶりました。その後、人が同じお面をつけて歩き回ると、多くのカラスが大声で威嚇し、群れで集まってきました。

しかし、捕獲に使われなかった別のお面には、鳥たちはほとんど反応しませんでした。この反応は少なくとも2年間続きました。時間がたつにつれて、お面を威嚇するカラスの数はかえって増えていきました。その中には一度もつかまったことのないカラスや、実験のあとに生まれた若い鳥もいました。研究者たちは、カラスはほかのカラスを見ることで危険な人について学ぶと結論づけました。これは社会的学習と呼ばれるしくみです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. How did the crows react to the mask that was not used for catching them?

Q3. Why was the increase in scolding crows surprising?

重要単語

  • recognizeB1
    動詞見分ける、認識するCrows can recognize individual human faces. re-(再び)+cognize(知る)=「見て、知っているものだとわかる」。名詞は recognition。
  • scoldB2
    動詞(鳥が)激しく鳴いて威嚇する、叱るThe crows scolded the person in the mask. scold A for B「BのことでAを叱る」が基本形。鳥の警戒の鳴き声にも使う。
  • social learningC1
    名詞(句)社会的学習(他者を見て学ぶこと)Young crows learn about danger through social learning. 自分で体験せず、他者の行動を観察して学ぶこと。心理学・動物行動学の長文で頻出。
  • threateningB2
    形容詞脅威となる、危険なThe birds reacted only to the threatening mask. threat(脅威)→ threaten(脅かす)→ threatening(脅威となる)。endangered(絶滅の危機にある)と区別。
  • persistB2
    動詞長く続く、持続するThe crows' memory of the mask persisted for years. per-(ずっと)+sist(立つ)。persist in ~ing「しつこく~し続ける」。形容詞 persistent も重要。
  • offspringB2
    名詞子、子孫Parents passed the information on to their offspring. 単複同形(offsprings とはしない)。生物系の長文の定番語。
  • regardless ofB2
    前置詞(句)~に関係なくThe crows reacted regardless of who wore the mask. regard(注意)+-less(ない)+of。irregardless は誤用とされるので注意。

動画でもっと知る

4コマでわかる

カラスに一度嫌われると、会ったこともないカラスにまで怒られる話の4コマ漫画
カラスにイタズラすると、その顔を何年も覚えられるうえ、その場にいなかったカラスにまで「アイツは危険」と広まるらしい。お面をかぶった研究者が身をもって確かめた。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Marzluff et al. (2010) Lasting recognition of threatening people by wild American crows, Animal Behaviourdoi.org
  2. Cornell, Marzluff & Pecoraro (2012) Social learning spreads knowledge about dangerous humans among American crows, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
  3. Marzluff et al. (2012) Brain imaging reveals neuronal circuitry underlying the crow's perception of human faces, PNASdoi.org