「月の裏側はいつも真っ暗」は誤解。新月の夜、月の裏側は"真昼"だった

読む前に予想してみよう!
月の裏側には、太陽の光が一度も当たらない
月も自転しているので、裏側にも昼と夜がある。新月のときは裏側全体が太陽に照らされている。
- 対象
- 月の観測・探査データ
- 規模
- 探査機による撮影・着陸調査など
- 研究の種類
- 観測・探査研究
- 確かさ
- ★★★★★
月はいつも同じ面を地球に向けているので、裏側は地球から見えない。でも太陽の光は裏側にもちゃんと当たる。新月のときは、裏側がまるごと昼になっている。
ひとことで言うと月の裏側も、ちゃんと太陽に照らされる。見えないだけで、暗くはないんだ!
英語には"the dark side of the Moon"(月の暗黒面)という言葉があります。有名なロックアルバムのタイトルにもなり、「見えない秘密」「人の心の闇」のたとえとしても使われます。
そのせいか、「月の裏側は、いつも真っ暗な世界」と思っている人は少なくありません。
でもNASAは、こう説明しています。地球から見えない側を「ダークサイド」と呼ぶ人もいるが、それは誤解を招く呼び方だ、と。
01月はいつも同じ顔を見せている
まず、本当のことから。月はいつも同じ面を地球に向けています。だから地球からは、ウサギの模様(に見える面)しか見えません。
これは、月が地球のまわりを1周する間に、ちょうど1回自転しているから。長い年月の間に、地球の重力(潮の満ち引きを起こす力)によって、月の自転がこのペースにそろってしまったのです。これを潮汐固定といいます。
そのため、月の裏側は地球からは決して見えません。「暗い」と誤解された理由のひとつは、この「見えない」と「暗い」が混ざってしまったことでしょう。
02月の裏側にも、昼と夜がある
ポイントは、月がちゃんと自転していることです。
地球に昼と夜があるように、月にも昼と夜があります。ただし月の1日はとても長く、地球の日数でいうと約1か月。昼が約2週間、夜が約2週間続きます。
03新月の夜、月の裏側は「真昼」
ここが一番の"マジか"ポイントです。
新月のとき、月は地球と太陽のあいだにあります。地球から見える面(表側)は太陽と反対を向いているので暗く、月が見えません。
では、そのとき太陽に照らされているのは? そう、月の裏側の全体です。

逆に、満月のときは表側が全部照らされていて、裏側は夜。つまり、月の表側と裏側は、同じだけ太陽の光を浴びているのです。
04人類が裏側を「見た」のは1959年
月の裏側は地球から見えないため、長い間、人類にとって謎の世界でした。
初めて裏側の写真を撮ったのは、1959年の旧ソ連の探査機ルナ3号です。その後、アポロ計画の宇宙飛行士たちは月を回りながら裏側を自分の目で見ています。
そして2019年、中国の探査機嫦娥(じょうが)4号が、人類で初めて月の裏側への着陸に成功しました。その観測データからは、月の深い部分(マントル)に由来する可能性のある物質が見つかったと報告されています。
裏側が「暗い」のではなく、ただ「人類がなかなか行けない」場所だったのです。
05なぜ「ダークサイド」と呼ばれたのか
英語の"dark"には「暗い」だけでなく、「よくわからない」「未知の」という意味もあります。地球から見えず、長い間誰も見たことがなかった裏側は、まさに"dark"な場所だったわけです。
その言葉が、いつのまにか「光が当たらない」という意味で受け取られるようになった――。言葉の意味のずれが、誤解を生んだ例と言えそうです。
06まとめ
- 月はいつも同じ面を地球に向けているので、裏側は地球から見えない
- でも裏側にも昼と夜があり、太陽の光は表と同じように当たる
- 新月のとき、月の裏側はまるごと昼
今度、月のない夜空を見上げたら思い出してください。今ごろ月の裏側は、太陽の光をいっぱいに浴びているのだと。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPeople often talk about "the dark side of the Moon," but NASA says this name is misleading.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
We always see the same side of the Moon from Earth. The other side is called the far side. Some people call it the "dark side," but it is not always dark.
The Moon turns slowly, so both sides get sunlight. When we cannot see the Moon at night, at the new moon, the far side is in full sunlight. It is not dark. We just cannot see it.
69 words ・ CEFR A2
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私たちは地球から、いつも月の同じ面を見ています。もう一方の面は「裏側」と呼ばれます。それを「ダークサイド(暗い側)」と呼ぶ人もいますが、いつも暗いわけではありません。
月はゆっくり回っているので、両方の面に太陽の光が当たります。夜に月が見えない新月のとき、月の裏側は太陽の光をいっぱいに浴びています。暗いのではありません。私たちには見えないだけなのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
月の裏側は「暗い側」と呼ばれるが、いつも暗いわけではない、という話なので A。
Q2. What happens to the far side at the new moon?
at the new moon, the far side is in full sunlight とあるので B。
Q3. In this passage, "turns" means the Moon ...
The Moon turns slowly は「月がゆっくり回転(自転)する」という意味なので C。
People often talk about "the dark side of the Moon," but NASA says this name is misleading. It is true that we always see the same side of the Moon. This is because the Moon spins exactly once each time it goes around Earth. As a result, the far side can never be seen from Earth.
However, "cannot be seen" does not mean "dark." Like Earth, the Moon has day and night, although one lunar day lasts about a month. At the new moon, the Moon sits between Earth and the Sun, so the side facing us is dark while the far side is completely lit. In fact, both sides receive the same amount of sunlight over time.
118 words ・ CEFR B1
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人々はよく「月の暗黒面(ダークサイド)」について話しますが、NASAはこの呼び名は誤解を招くと述べています。私たちがいつも月の同じ面を見ているのは本当です。これは、月が地球のまわりを1周するたびに、ちょうど1回自転しているからです。その結果、裏側は地球から決して見ることができません。
しかし、「見えない」は「暗い」という意味ではありません。地球と同じように月にも昼と夜がありますが、月の1日は約1か月続きます。新月のとき、月は地球と太陽の間にあるため、私たちに向いている面は暗く、裏側は全体が照らされています。実際、長い目で見れば両方の面は同じ量の太陽の光を受けているのです。
4択リーディングクイズ
Q1. Why do we always see the same side of the Moon?
the Moon spins exactly once each time it goes around Earth とあるので B。
Q2. How long is one lunar day?
one lunar day lasts about a month とあるので A。
Q3. Why does NASA call the name "dark side" misleading?
both sides receive the same amount of sunlight over time とあり、裏側も同じように光を受けるので D。
The phrase "the dark side of the Moon" has become a popular metaphor for hidden secrets, but as a description of the lunar far side it is misleading, as NASA itself points out. The Moon does always present the same face to Earth. Over long periods, Earth's tidal forces slowed the Moon's rotation until it matched its orbit, so that the Moon now spins exactly once per revolution, a state known as tidal locking.
Consequently, the far side is never visible from Earth. Being unseen, however, is not the same as being unlit. The Moon is always half illuminated, and its day-night cycle lasts about a month, with roughly two weeks of daylight followed by two weeks of darkness.
At the new moon, when the Moon lies between Earth and the Sun, the near side faces away from the Sun and the entire far side is in daylight. The confusion probably stems from the double meaning of "dark," which can mean "unknown" as well as "unlit." Indeed, the far side remained unknown until a Soviet probe photographed it in 1959, and no spacecraft landed there until China's Chang'e-4 in 2019.
190 words ・ CEFR B2
和訳を見る
「月の暗黒面」という言い回しは隠された秘密のたとえとして広く使われるようになりましたが、月の裏側を表す言葉としては誤解を招くものだと、NASA自身が指摘しています。月はたしかに、いつも同じ面を地球に向けています。長い時間をかけて地球の潮汐力が月の自転を遅くし、公転と一致させた結果、月は今では1回の公転につきちょうど1回自転しています。
これは潮汐固定と呼ばれる状態です。そのため、裏側は地球から決して見えません。しかし、見えないことは照らされていないことと同じではありません。月は常に半分が照らされていて、その昼夜のサイクルは約1か月続き、約2週間の昼のあとに約2週間の夜が来ます。
新月のとき、月は地球と太陽の間にあり、表側は太陽と反対を向き、裏側全体が昼になっています。この混乱はおそらく、"dark" という語が「照らされていない」だけでなく「未知の」という意味も持つという二重の意味から生じたのでしょう。実際、裏側は1959年に旧ソ連の探査機が撮影するまで未知のままであり、2019年に中国の嫦娥4号が着陸するまで、どの宇宙船もそこに降り立ったことはありませんでした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main purpose of the passage?
the dark side という表現が misleading であることを説明する文章なので B。
Q2. What is "tidal locking"?
the Moon now spins exactly once per revolution, a state known as tidal locking とあるので A。
Q3. According to the author, why did the phrase "dark side" cause confusion?
the double meaning of "dark," which can mean "unknown" as well as "unlit" とあるので D。
重要単語
- far sideB1名詞(句)(月の)裏側No one on Earth has seen the far side of the Moon directly.
反対は near side(表側)。the far side of the river「川の向こう側」のようにも使う。 - tidal lockingC1名詞(句)潮汐固定(いつも同じ面を向けること)Tidal locking keeps one side of the Moon facing Earth.
tide(潮)の形容詞 tidal + lock(固定する)。 - phaseB2名詞(月の)満ち欠けの段階、局面The Moon's phase changes every few days.
a new phase of ~「~の新しい段階」のように一般的な「段階」の意味でも頻出。 - rotateB2動詞自転する、回転するThe Moon rotates once for each orbit.
rotate は「自転」、revolve は「公転」。名詞は rotation / revolution。 - new moonB1名詞(句)新月During a new moon, the far side is in daylight.
full moon(満月)、half moon(半月)、crescent(三日月)とセットで。 - misleadingB2形容詞誤解を招くThe name "dark side" is misleading.
mislead(誤った方向へ導く)から。a misleading title「誤解を招くタイトル」。
公式・一次情報をチェック
- Moon Facts(NASA Science)science.nasa.gov
- Moon Phases(NASA Science)science.nasa.gov
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「月の裏側はずっと真っ暗」は誤解らしい。裏側は地球から"見えない"だけで、太陽の光はちゃんと当たる。しかも地球から月が見えない新月の日、裏側はまるごと真昼。NASAも「ダークサイド」は誤解を招く呼び方だとしている。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










