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パソコン横のサボテン、電磁波は吸っていなかった。物理で考えると一瞬でわかる理由

パソコン横のサボテン、電磁波は吸っていなかった。物理で考えると一瞬でわかる理由

読む前に予想してみよう!

サボテンを置くと、周りの電磁波を吸い寄せて部屋の電磁波が減る

研究カード(どんな研究?)
対象
電磁波の物理と家電の磁場測定
規模
―(サボテンの効果を示した研究はなし)
研究の種類
物理法則・測定研究
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

サボテンが周りの電磁波を「吸い寄せて」減らすしくみはない。電磁波は離れるほど弱まるので、植木鉢を置くより距離をとるほうがずっと効果的。

ひとことで言うとサボテンは電磁波の掃除機じゃない。癒やし担当としては優秀!

もくじ
  1. 電磁波ってそもそも何?
  2. サボテンは電磁波を「吸い寄せ」ない
  3. いちばん効くのは「距離」
  4. そもそも、どれくらい心配すべき?
  5. なぜサボテンが選ばれたの?
  6. まとめ

「パソコンの横にサボテンを置くと、電磁波を吸収してくれるんだって」

1990年代から2000年代にかけて、パソコンが家庭や職場に普及すると同時に、こんな話が広まりました。「セレウス」などの名前で、電磁波を吸うサボテンとして売られた品種もあったほどです。

確かにデスクのサボテンはかわいいし、癒やされます。でも、電磁波の性質を知ると、この話には大きな無理があることがわかります。

01電磁波ってそもそも何?

電磁波は、電気と磁気の“波”が空間を伝わっていくもの。とても範囲の広い仲間がいて、ラジオやスマホの電波、電子レンジのマイクロ波、目に見える光、日焼けのもとになる紫外線、レントゲンのX線まで、すべて電磁波です。

パソコンからも弱い電磁波は出ていますが、その多くは低い周波数(=波がゆっくり揺れる)のもので、エネルギーはとても小さいものです。

02サボテンは電磁波を「吸い寄せ」ない

電磁波は、光と同じようにまっすぐ広がっていく性質を持っています。途中に物があれば、その物に当たった分だけ、跳ね返ったり吸収されたり通り抜けたりします。

つまりサボテンにできるのは、自分に当たった分を少し吸収することだけ。電磁波を引き寄せる「掃除機」のような力はありません。

光が懐中電灯の横の植木鉢に吸い込まれないのと同じで、サボテンが電磁波を吸い寄せることはない
光が懐中電灯の横の植木鉢に吸い込まれないのと同じで、サボテンが電磁波を吸い寄せることはない

たとえるなら、懐中電灯の横に植木鉢を置いても、光が鉢に吸い込まれていかないのと同じです。もし体に届く分を減らしたいなら、サボテンはパソコンとあなたの間、しかも顔の前をふさぐ位置に置く必要があります。それでは画面が見えません。

03いちばん効くのは「距離」

電磁波は、発生源から離れるほど急速に弱まります。とくに家電から出る低い周波数の磁場は、数十センチ離れるだけでぐっと小さくなることが知られています。1980年代にアメリカで行われた家電の磁場の測定調査でも、機器のすぐそばと少し離れた位置とで、磁場の強さが大きく違うことが示されています。

だから、もし気になるなら、サボテンを置くよりパソコン本体や電源アダプターから少し距離をとるほうが、ずっと確実です。

04そもそも、どれくらい心配すべき?

これは「危険だと分かった」という意味ではなく、「否定も肯定もしきれないので、研究を続けよう」という位置づけです。そのうえで、日本を含む多くの国では、電波の強さに安全のための基準が設けられています。

05なぜサボテンが選ばれたの?

サボテンは砂漠の強い日差しに耐える植物。「過酷な環境に強い→電磁波にも強い→電磁波を吸ってくれる」という、イメージの連想ゲームが働いたのかもしれません。

さらに、パソコンを長時間使う不安を「かわいい鉢植え」で解消できるなら、こんなに気軽な対策はありません。売る側にとっても、買う側にとっても、ちょうどいい話だったのです。

06まとめ

  • 電磁波はまっすぐ広がる。サボテンが周りから吸い寄せるしくみはない
  • 気になるなら、サボテンより「距離」が圧倒的に効く
  • サボテンの本当の役目は、目と心の癒やし

デスクのサボテンは、そのままで大丈夫。電磁波の盾ではなく、がんばるあなたを見守る小さな相棒として、大切にしてあげてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhen personal computers spread in the 1990s and 2000s, a popular story claimed that a cactus placed next to… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

When personal computers spread in the 1990s and 2000s, a popular story claimed that a cactus placed next to a computer could absorb its electromagnetic waves. Some cactus types were even sold for this purpose. However, the physics does not support the idea. Electromagnetic waves, which include radio waves and visible light, travel outward in straight lines.

When they hit an object, part of them may be reflected, absorbed or passed through. A cactus can only absorb the small amount that actually reaches it; it cannot pull waves toward itself like a vacuum cleaner. The most effective way to reduce exposure is distance, because the fields from home appliances become much weaker just tens of centimeters away.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1990年代から2000年代にパソコンが広まったとき、パソコンの横に置いたサボテンがその電磁波を吸収してくれるという話が人気になりました。この目的で売られたサボテンの品種さえありました。しかし、物理学はこの考えを支持しません。電磁波には電波や目に見える光も含まれ、外へ向かってまっすぐ進みます。電磁波が物に当たると、その一部は跳ね返されたり、吸収されたり、通り抜けたりします。

サボテンが吸収できるのは、実際に自分に届いたわずかな量だけで、掃除機のように電磁波を自分の方へ引き寄せることはできません。浴びる量を減らす最も効果的な方法は距離です。家電からの電磁場は、数十センチ離れるだけでずっと弱くなるからです。

4択リーディングクイズ

Q1. What happens when electromagnetic waves hit an object?

Q2. Why can't a cactus protect you from a computer's waves?

Q3. What does the comparison to a vacuum cleaner suggest?

重要単語

  • electromagnetic waveC1
    名詞(句)電磁波Light and radio are both electromagnetic waves. electro-(電気)+magnetic(磁気の)。electromagnetic radiation とも言う。
  • absorbB2
    動詞吸収するA plant cannot absorb radiation from across the room. be absorbed in ~「~に夢中になる」も頻出。名詞 absorption。
  • frequencyB2
    名詞周波数、頻度Home appliances produce fields with a low frequency. 日常では「頻度」の意味が基本。形容詞 frequent「頻繁な」。
  • distanceA2
    名詞距離Distance is the easiest way to reduce exposure. keep one's distance「距離を置く」、in the distance「遠くに」。形容詞 distant。
  • carcinogenicC1
    形容詞発がん性のあるThe evidence was too limited to call it clearly carcinogenic. carcino-(がん)+-genic(生み出す)。名詞 carcinogen「発がん物質」。
  • radiationB2
    名詞放射、放射線、電磁放射Sunlight is a form of radiation. 動詞 radiate「放つ」。radio と同語源で「(中心から)放たれるもの」。
  • hazardB2
    名詞危険(の原因)、有害性A hazard is not the same as a high risk. hazard(危険のもと)と risk(実際に害が起こる可能性)の区別は科学リテラシーの重要ポイント。

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4コマでわかる

パソコン横のサボテン、電磁波は吸っていなかった。物理で考えると一瞬でわかる理由の4コマ漫画
「パソコンの横にサボテンを置くと電磁波を吸収してくれる」って話、物理で考えると、サボテンが周りの電磁波を吸い寄せるしくみはないらしい。電磁波対策なら、距離をとるほうがはるかに効く。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Baan et al. (2011) Carcinogenicity of radiofrequency electromagnetic fields, The Lancet Oncologydoi.org
  2. Gauger (1985) Household Appliance Magnetic Field Survey, IEEE Transactions on Power Apparatus and Systemsdoi.org
  3. Radiation: Electromagnetic fields(WHO, 世界保健機関)who.int