【図鑑が変わった】恐竜はモフモフだった? 羽毛恐竜の証拠と、T・レックスの意外な真実

読む前に予想してみよう!
恐竜の化石から、もとの羽毛の色がわかることがある
羽毛に残った色素の入った小さな粒(メラノソーム)の形から、色や模様を推定した研究がある。
- 対象
- 羽毛・皮膚の痕跡が残る恐竜化石
- 規模
- 遼寧省などの化石標本と琥珀
- 研究の種類
- 化石の記載・比較研究
- 確かさ
- ★★★★☆
1996年以降、中国などで羽毛の跡が残る恐竜化石が次々発見。ただし全恐竜がモフモフだったわけではなく、大人のT・レックスはうろこ肌だった可能性が高い。
ひとことで言うと羽毛が生えた恐竜はたくさんいた!でもみんながフワフワだったわけじゃない
子どものころに見た恐竜図鑑。ゴツゴツしたうろこにおおわれた、まるで巨大なトカゲのような姿を覚えている人も多いはず。
ところが最近の図鑑をひらくと、ふわふわの羽毛におおわれた恐竜がたくさん登場します。
「え、恐竜ってモフモフだったの!?」――答えは、「かなり多くの恐竜はそうだった。でも全員ではない」。今日は、恐竜の見た目を塗り替えた発見の数々を紹介します。
011996年、中国から「羽毛の恐竜」が出てきた
始まりは1996年、中国北東部の遼寧省(りょうねいしょう)で見つかった化石でした。
シノサウロプテリクスと名づけられたその小さな恐竜の首から背中、しっぽにかけて、細い毛のような繊維の跡がくっきり残っていたのです。1998年には Nature に詳しい記載論文も出ました。これが、鳥ではない恐竜で羽毛(「原羽毛」と呼ばれる単純な繊維)が確認された最初の例とされています。
遼寧省のあたりは、大昔に火山灰が湖の底に静かに降り積もった場所。そのため、骨だけでなく羽毛や皮ふのような柔らかい部分まで化石に残りやすかったのです。
02体長9mの「羽毛ティラノの仲間」
ちなみに名前の「ユティランヌス」は、中国語の「羽(ユー)」と、ラテン語で「暴君」を意味する言葉を合わせたもの。まさに「羽毛の暴君」です。
この恐竜が見つかった地域は、当時は比較的すずしい気候だったと考えられ、羽毛は体温を保つのに役立っていたのかもしれません。
03羽毛の「色」までわかってきた
さらに驚くのは、羽毛の色までわかるようになったことです。
羽毛の中には、色のもとになる色素を入れたメラノソームという小さな粒があります。この粒は形によって色が違い、たとえば細長いと黒っぽく、丸いと赤茶色っぽくなる傾向があります。
2010年にNatureに発表された研究では、化石の羽毛に残ったメラノソームの形を調べ、シノサウロプテリクスのしっぽが赤茶色と白のしま模様だった可能性が示されました。

2016年には、ミャンマー産のこはく(樹液の化石)の中に、羽毛つきの恐竜のしっぽの一部が閉じこめられていたという報告もあり、世界中を驚かせました(ただしミャンマー産こはくは、紛争地域での採掘という倫理的な問題から、近年は扱いを控える学会や学術誌も出てきています)。
羽毛は、ティラノサウルスの仲間のような「鳥に近い肉食恐竜」だけのものでもないかもしれません。2014年にはシベリアで、鳥とは遠い系統の植物食恐竜クリンダドロメウスから、うろこと羽毛のような繊維の両方が見つかったと Science に報告されました。もしこれが本当に羽毛の仲間なら、羽毛のルーツは恐竜全体の共通祖先にまでさかのぼる可能性があります。
04でも、T・レックスはうろこ肌だった?
ここで「じゃあティラノサウルス・レックスもモフモフだったんだ!」と思った人、ちょっと待ってください。
2017年に学術誌 Biology Letters に発表された研究(ベルら)では、T・レックスやその近い仲間の皮ふの跡の化石を調べ、首や腰、しっぽなどに小さなうろこがあったことを報告しました。
体が巨大になると、体温を保つより熱を逃がすことのほうが大事になります。ゾウやサイの毛が少ないのと同じ理屈で、大人のT・レックスは羽毛を大部分なくしていたのでは、と考えられています(背中などに少し残っていた可能性は、まだ議論中です)。
05そして鳥は「生き残った恐竜」
羽毛恐竜の発見がもたらした一番大きな結論は、鳥は恐竜の子孫、というより、鳥は恐竜そのものの一グループだということです。
庭にやってくるスズメも、公園のハトも、分類の上では恐竜の仲間。そう考えると、恐竜は絶滅したのではなく、今も私たちのまわりを飛び回っていることになります。
06まとめ
- 1996年以降、中国などで羽毛の跡が残る恐竜化石が次々と見つかった
- 体長9mのティラノサウルスの仲間にも羽毛があった
- 化石の小さな粒から、羽毛の色まで推定できるようになった
- 大人のT・レックスは、少なくとも体の多くがうろこだったらしい
- 鳥は、今も生きている恐竜の仲間
次に鳥を見かけたら、その足をよく見てみてください。うろこにおおわれた足と、ふわふわの羽毛。その組み合わせこそ、恐竜時代から受けつがれてきた「デザイン」なのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerFor a long time, dinosaurs were drawn as giant scaly lizards.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Old picture books showed dinosaurs with rough skin, like big lizards. But since 1996, scientists in China and other places have found many dinosaur fossils with feathers. One relative of T. rex was about 9 meters long and had feathers.
However, not all dinosaurs had feathers. Adult T. rex probably had small scales on much of its body. Birds are a living group of dinosaurs.
65 words ・ CEFR A2
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昔の図鑑では、恐竜は大きなトカゲのようなゴツゴツした肌で描かれていました。しかし1996年以降、中国などの科学者たちは、羽毛のある恐竜の化石をたくさん見つけてきました。T・レックスの仲間の一つは体長約9mで、羽毛がありました。
しかし、すべての恐竜に羽毛があったわけではありません。大人のT・レックスは、おそらく体の多くの部分に小さなうろこがありました。鳥は、今も生きている恐竜の一グループなのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
羽毛のある恐竜の化石の発見と、羽毛がなかった恐竜についての話なので C。
Q2. How long was the feathered relative of T. rex?
One relative of T. rex was about 9 meters long and had feathers. とあるので A。
Q3. In this passage, "relative" means ...
relative は「親せき」。ここでは T・レックスと近い仲間の恐竜を指すので D。
For a long time, dinosaurs were drawn as giant scaly lizards. That image began to change in 1996, when a small dinosaur called Sinosauropteryx was found in Liaoning, China, with thin, hair-like fibers along its back and tail. In 2012, scientists described Yutyrannus, a relative of T. rex about 9 meters long, which also had feathers as long as 15 to 20 centimeters.
Researchers can even guess feather colors by studying tiny structures called melanosomes, which hold pigment. However, skin fossils suggest that adult T. rex had small scales on much of its body. Large animals need to lose heat, so feathers may have been less useful for them.
109 words ・ CEFR B1
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長い間、恐竜はうろこにおおわれた巨大なトカゲとして描かれてきました。そのイメージが変わり始めたのは1996年、シノサウロプテリクスという小さな恐竜が中国の遼寧省で見つかったときで、その背中からしっぽにかけて細い毛のような繊維がありました。2012年、科学者たちはユティランヌスを記載しました。体長約9mのT・レックスの仲間で、これにも長さ15〜20cmほどにもなる羽毛がありました。
研究者たちは、色素を含むメラノソームという小さな構造を調べることで、羽毛の色まで推測できます。しかし皮膚の化石からは、大人のT・レックスは体の多くの部分に小さなうろこがあったことがうかがえます。大きな動物は熱を逃がす必要があるので、羽毛はあまり役に立たなかったのかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
羽毛恐竜が次々見つかったが、大人の T・レックスはうろこだった、という内容なので B。
Q2. What can melanosomes tell scientists?
Researchers can even guess feather colors by studying ... melanosomes とあるので D。
Q3. Why might adult T. rex have had few feathers?
Large animals need to lose heat, so feathers may have been less useful とあるので A。
Since 1996, fossils from Liaoning, China, where volcanic ash once settled gently into lakes and preserved soft tissue, have transformed our image of dinosaurs. The small predator Sinosauropteryx bore simple filaments now regarded as early feathers, and in 2012 Xu Xing's team described Yutyrannus, a tyrannosaur relative roughly 9 meters long and 1.4 metric tons in weight, covered in filaments up to 20 centimeters long. By comparing the shapes of fossilized melanosomes, pigment-bearing structures, with those of living birds, researchers have even proposed that Sinosauropteryx had a tail striped in reddish-brown and white. A 2014 report of a Siberian plant-eater bearing both scales and filaments raised the possibility that feather-like structures date back to the common ancestor of all dinosaurs.
But feathers were not universal: skin impressions published in 2017 indicate small scales on adult Tyrannosaurus, perhaps because giant bodies needed to shed heat. Each claim has limits. Color reconstruction cannot detect pigments that do not fossilize, and the T. rex skin patches are small, so partial feathering cannot be ruled out. What is clear is that birds are living dinosaurs.
181 words ・ CEFR B2
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1996年以降、かつて火山灰が湖に静かに降り積もって柔らかい組織まで保存した中国・遼寧省の化石は、恐竜のイメージを一変させてきました。小型の肉食恐竜シノサウロプテリクスには、現在では初期の羽毛とみなされる単純な繊維があり、2012年には徐星(シュー・シン)のチームが、体長約9m・体重1.4トンほどのティラノサウルスの仲間ユティランヌスを記載しました。その体は最長20cmほどの繊維でおおわれていました。色素を含む構造であるメラノソームの化石の形を現生の鳥と比べることで、研究者たちはシノサウロプテリクスのしっぽが赤茶色と白のしま模様だったとまで提案しています。2014年には、うろこと繊維の両方を持つシベリアの植物食恐竜が報告され、羽毛のような構造がすべての恐竜の共通祖先にまでさかのぼる可能性が出てきました。
しかし、羽毛はすべての恐竜にあったわけではありません。2017年に発表された皮膚の跡は、大人のティラノサウルスに小さなうろこがあったことを示しており、それは巨大な体が熱を逃がす必要があったからかもしれません。どの主張にも限界があります。色の復元では化石に残らない色素を検出できませんし、T・レックスの皮膚の跡は小さいので、部分的に羽毛があった可能性は否定できません。はっきりしているのは、鳥が生きている恐竜だということです。
4択リーディングクイズ
Q1. Which best summarizes the passage?
羽毛は多くの恐竜に広がっていたがすべてではなく、各主張には限界もある、という内容なので C。
Q2. Why were the Liaoning fossils so well preserved?
where volcanic ash once settled gently into lakes and preserved soft tissue とあるので B。
Q3. Why can partial feathering of adult T. rex not be ruled out?
the T. rex skin patches are small, so partial feathering cannot be ruled out とあるので D。
重要単語
- fossilB1名詞化石The fossil showed clear traces of feathers.
fossil fuel「化石燃料」も環境問題で頻出。dig(掘る)が語源。 - featherB1名詞羽毛Some dinosaurs were covered in simple feathers.
ことわざ Birds of a feather flock together.「類は友を呼ぶ」も覚えておきたい。 - scaleB2名詞うろこIts tail was covered with small scales.
多義語。「規模」「目盛り」「はかり」の意味もある。形容詞 scaly(うろこ状の)。 - pigmentC1名詞色素Melanosomes contain pigment that gives feathers their color.
paint(塗る)と同語源。melanin(メラニン)も色素の一つ。 - ancestorB2名詞祖先Small meat-eating dinosaurs were the ancestors of birds.
反意語は descendant(子孫)。common ancestor「共通祖先」は進化の文章で頻出。 - evolveB2動詞進化するFeathers may have evolved first to keep animals warm.
名詞 evolution。evolve from ~「~から進化する」、evolve into ~「~に進化する」。
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- Chen, Dong & Zhen (1998) An exceptionally well-preserved theropod dinosaur from the Yixian Formation of China, Naturedoi.org
- Xu et al. (2012) A gigantic feathered dinosaur from the Lower Cretaceous of China, Naturedoi.org
- Zhang et al. (2010) Fossilized melanosomes and the colour of Cretaceous dinosaurs and birds, Naturedoi.org
- Godefroit et al. (2014) A Jurassic ornithischian dinosaur from Siberia with both feathers and scales, Sciencedoi.org
- Bell et al. (2017) Tyrannosauroid integument reveals conflicting patterns of gigantism and feather evolution, Biology Lettersdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













