ワードチェーン(英語しりとり)― 毎時間3〜4分で「知っている単語」をすばやく引き出す帯活動
apple → egg → green …。最後の文字から始まる単語を、ペアで交互にどんどん言う英語しりとり。準備ゼロで、覚えた単語をすばやく引き出す練習をする帯活動です。
- ⏱ 時間
- 3-7分
- 🧰 準備
- なし
- 👥 形態
- ペア
- 🎯 技能
- 帯活動・語彙・ゲーム・復習
- 📶 CEFR
- A1-A2

- 覚えたはずの単語を、最後の文字やカテゴリーを手がかりに「自分で思い出す」回数を毎時間ふやす。
- 単語をすばやく口に出すことに慣れ、授業のはじめに英語モードに切りかえる。
- ペアで助け合う雰囲気をつくり、苦手な生徒も「1語は言えた」で終われるようにする。
ワードチェーン(英語しりとり)ってなに?
ひとことで言うと、前の人が言った英単語の最後の文字から始まる英単語を、ペアで交互に言っていく英語版のしりとりです。
しりとりは日本の多くの子どもになじみのある遊びです。英語版は「最後の文字」でつなぐので、日本語の「ん」のような、一律に終わりになる決まりはありません(ただし x などで終わったときは、再開のルールを決めておきます)。準備はゼロ、基本の形なら所要3〜4分(縛りルールや文しりとりに広げると5〜7分)。短い時間に何度も、頭の中の単語帳を自分でめくって単語を思い出す機会になります。
引き出しの多いタンスから、言われた色の服をすばやく取り出す練習のようなものです。服(=単語)はもう持っているのに、どこにしまったかすぐ思い出せないと、急いでいるときに使えません。ワードチェーンは、新しい服を買う(新しい語を覚える)のではなく、持っている服をすぐ取り出せるようにする練習です。
似た活動とのちがい
| ワードチェーン | 単語ビンゴ | 想起クイズ | |
|---|---|---|---|
| 手がかり | 前の単語の最後の文字だけ | 先生のヒント(意味・説明) | 「前回の単語」というテーマだけ |
| 出てくる単語 | 自分が知っている語ならどれでも | 単元で決めた16語 | 前回習った語 |
| 形 | ペアで交互に言う | 個人でマスに丸をつける | 個人で白紙に書く |
やり方を3ステップで
- ルールと開始語を決める:先生が「Food only / Start: apple」のように板書する。
- 1分間つなぐ:ペアで交互に単語を言い、5秒で言えなければパス。つながった語数を記録する。
- 困った文字を共有してもう1回:止まりやすい文字で始まる語を全体で出し合い、同じルールで2回目に挑戦する。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生の動き |
|---|---|---|
| 0:00〜0:30 | 今日のルール発表(自由/食べ物だけ など) | 黒板にルールと開始語を書く |
| 0:30〜1:30 | ラウンド1(1分) | タイマーをスタートし、机の間を歩いて様子を見る |
| 1:30〜2:00 | 語数を数えて記録、困った文字を共有 | 「e で困った人?」と聞き、2〜3語を板書 |
| 2:00〜3:00 | ラウンド2(同じルールでもう1回) | 「さっきの数を超えよう」と声をかける |
| 3:00〜4:00 | 全体で「今日のいちばん良い単語」を共有 | 出てきた単語を教室の単語掲示(ワードウォール)に追加 |

- ペアを決める:となりの席どうし。じゃんけんで勝った方が先攻。机はそのままでよい。
- ルールと開始語を板書:「Rule: Food only / Start: apple」。開始語は先生が毎回変えて指定する(ちがう単語から始めると、毎回同じ流れになりにくい)。
- ラウンド1(1分):交互に単語を言う。後攻の生徒が、開始語もふくめてペア全体でつながった単語の数を、ワークシートの余白に正の字で数える(パスのあとに続いた語も数える)。5秒以内に言えなければ「パス」してよい(パスしたら相手が続ける)。
- 記録:つながった単語の数をワークシートに書く。ペアで「いちばん良かった単語」を1つ選ぶ。
- 困った文字の共有:「Which letter was difficult?」と聞き、多かった文字(e・y・k など)で始まる単語を全体で3つずつ出して板書する。
- ラウンド2(1分):同じルールでもう1回。板書した単語を使ってよい。1回目より数が増えたペアに手を挙げさせる。
- しめ:今日出た単語から1〜2語を、意味の確認とともにワードウォールに貼る。
縛りルール(やさしい順)
- Free(何でもよい)
- Animals only(動物だけ)
- Food and drinks only(食べ物・飲み物だけ)
- School things only(学校にある物)
- 4 letters or more(4文字以上)
- Verbs only(動詞だけ:play → yell → look → keep …)
- Adjectives only(形容詞だけ:nice → easy → young …)
- This unit's words(今の単元の単語リストから)
- Sentence chain(文の最後の単語の最後の文字で次の文を始める:I like dogs. → She is kind. → Do you …)
- Category switch(1語ごとに「食べ物→動物→食べ物…」と交代)
開始語のストック:apple / desk / music / pencil / tiger / water / yellow / ski / bread / cloud / happy / zoo
詰まりやすい文字のお助け語(小〜中学)
- e:egg, eat, eight, ear, easy, eraser
- y:yes, you, yellow, young, year, yesterday
- k:key, king, kind, kitchen, know, koala
- x で終わったら:box → x は「止め字」。x の次は自由な文字から再開してよいことにする。
高校向け:「3音節以上」「-tion で終わる語は禁止」「学術語(analysis, data, energy …)だけ」など、語のレベルを縛る。
- 小学校:文字ではなく「最後の音」でつなぐ音しりとりにすると、つづりを知らなくても遊べる(cat → tea → eat:cat の最後の音 /t/ から tea、tea の最後の音 /iː/ から eat)。先生が発音して、文字ではなく音でつなぐことを見せる。絵カードを黒板に並べて、カードを指しながら言ってもよい。
- 中学:単元の語彙リストからだけ出す「単元しりとり」にすると、テスト範囲の復習になる。三人称単数や過去形を入れた「文しりとり」で文法の練習にも。
- 高校:品詞を縛る、またはつないだ単語を3つ使って30秒で1文を作る「しりとり→作文」まで広げる。
- 大人数クラス:ペアで同時に行うので、40人でも全員が話せる。班対抗にする場合は、列の前から順に1人1語ずつ言う「リレー」形式に。
- 苦手な生徒が多いクラス:ワークシートのお助け語を見てよいことにする。1分ではなく「5語つないだら合格」にする。
- オンライン・タブレット:共有スライドやチャットに1語ずつ書き込む「書くしりとり」。つづりの練習にもなり、記録が自動で残る。
帯活動は基本的に記録に残す評価ではなく、指導に生かす評価です。ワークシートの語数の変化と振り返りを見て、語彙の定着ぐあいを把握します。語数は開始語・縛り・相手によって変わるペアの記録なので、生徒の自己記録として使い、観点別の評価の基準にはしません。
| 見るところ | よく見られる姿 | 手立て |
|---|---|---|
| 語をすばやく正しく言えるか(知識・技能の手がかり) | 単元の語も使って、止まらずに言える | お助け語を見てよい、ペアでヒントを出す |
| 縛りルールに合う語を選べるか | ルールに合った語を工夫して選ぶ | 縛りのないラウンドから始める |
| 記録とふり返りの使い方 | 困った文字を調べてお助け語を書き足し、次のラウンドで使っている | 「次に覚えたい1語」を一緒に決める |
知識・技能を評価するなら、対象の語を一人ひとりが理解して言える・書けるかを、小テストなどで確かめます。「主体的に学習に取り組む態度」は、記録をつけたかどうかではなく、ふり返りをもとに覚え方を工夫しているか(粘り強さと、やり方の調整)を単元のまとまりで見ます。
定期的に「Word chain テスト」と称して、ワークシートの「新しく覚えたい単語」から小テストを作ると、帯活動と評価がつながります。
- 同じ単語ばかりになる(egg → green → nose …の固定ルート)→ 開始語を毎回変え、「一度出た単語は禁止」のルールを足す。
- 日本語やカタカナ語で済ませる(「エッグ」)→ 発音を気にしすぎる必要はない。文字でつなぐ版では、必要に応じてカードや板書でつづりを確かめる(迷ったらノートに書かせる)。音でつなぐ小学校版では、つづりは判定の条件にしない。
- 得意な生徒だけがしゃべる→ 交互に言うルールを徹底し、詰まった相手には「ヒントを1つ出す(It's an animal.)」ことを得点にする。
- e や y で毎回止まる→ 困った文字のお助け語を全体で出し合い、ワークシートに書き足す。これ自体が良い語彙の復習になる。
- 盛り上がりすぎて騒がしくなる→ 「声はペアに届く大きさ」と最初に言い、1分ごとにきっちり止める。タイマーを見せると切りかえが早い。
外国語の単語を覚える実験では、一度正しく言えるようになった語を「もう一度読む」より「もう一度思い出す」練習を続けた方が、後日のテストの成績がはるかに良く、しかも学生自身はその差に気づいていませんでした 1。教室で行われた222研究・約4万8千人をまとめたメタ分析でも、小テストのように思い出す練習は成績を中程度(g = 0.50)高めていました 2。
ワードチェーンは正式な小テストではありませんが、最後の文字やカテゴリーを手がかりに、自分の頭から単語を取り出す(検索する)という点は共通しています。ただし、上の研究は、前に学んだ決まった語をくり返し思い出して正誤を確かめる練習で、しりとりのように知っている語ならどれでも出せる活動に同じ記憶の効果があるかは、確かめられていません。単元の語を確実に覚えさせたいときは、全員が同じ語を思い出して答え合わせができる想起クイズなどを組み合わせます。ただし、しりとりで出てくるのは「すでに知っている単語」が中心なので、新しい語を覚える活動というより、知っている語をすばやく使えるようにする活動と考えるのが正確です。授業の時間を「インプット・アウトプット・言語の学習・流暢さの養成」の4つにバランスよく分けようという提案では、すでに知っている言葉を速く使う練習が4本柱の1つとされています。ただし、その「流暢さの養成」は、意味を伝えたり受け取ったりすることに集中し、たくさんの量を速く処理する活動を指します 3。単語を並べるワードチェーンはそれとは違い、知っている語をすばやく取り出すことを意識したウォームアップと考えるのが妥当です。
❓ よくある質問
Q. 英語しりとりのルールを教えてください。
ペアで、前の単語の最後の「文字」から始まる英単語を交互に言います。日本語のしりとりの「ん」のような、一律に終わりになる決まりはありません(x などで終わったときの再開ルールは決めておきます)。1分間でつながった語数を数えて記録し、同じルールでもう1回挑戦します。開始語は先生が毎回変えて指定します。
Q. 英語しりとりは、何分くらいでできますか?
毎時間3〜4分です。ルール発表30秒、ラウンド1が1分、語数の記録と困った文字の共有、ラウンド2が1分、最後に今日いちばん良かった単語の共有、という流れです。準備はいりません。
Q. e や y で、毎回止まってしまいます。
「Which letter was difficult?」と聞き、多かった文字で始まる単語を全体で3つずつ出して板書します。ラウンド2では、板書した単語を使ってよいことにします。困った文字のお助け語を出し合うこと自体が、良い語彙の復習になります。
Q. 英語しりとりで、単語は覚えられますか?
しりとりで出てくるのは、すでに知っている単語が中心です。新しい語を覚えるというより、最後の文字などを手がかりに、知っている語をすばやく思い出す練習です。外国語の単語では、読み直すより思い出す練習を続けた方が、後のテストの成績がはるかに良かったという実験がありますが 1、しりとり自体に同じ効果があるかは確かめられていません。
Q. 小学校や高校では、どうアレンジしますか?
小学校では、文字ではなく「最後の音」でつなぐ音しりとり(cat → tea → eat)にすると、つづりを知らなくても遊べます。先生が発音して、音でつなぐことを見せます。高校では品詞を縛る、つないだ単語を3つ使って30秒で1文を作る、などに広げます。
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原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。
📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2008). The critical importance of retrieval for learning. Science, 319(5865), 966-968. doi:10.1126/science.1152408 ✔ DOI照合済外国語の単語ペアの学習で、覚えた後も思い出す練習を続けると長く残る。読み直しを続けても効果なし
- Yang, C., Luo, L., Vadillo, M. A., Yu, R., & Shanks, D. R. (2021). Testing (quizzing) boosts classroom learning: A systematic and meta-analytic review. Psychological Bulletin, 147(4), 399-435. doi:10.1037/bul0000309 ✔ DOI照合済教室での小テスト(思い出す練習)の効果のメタ分析。成績を中程度(g = 0.50)高めた
- Nation, I. S. P. (2007). The four strands. Innovation in Language Learning and Teaching, 1(1), 2-13. doi:10.2167/illt039.0 ✔ DOI照合済授業の活動を「意味中心のインプット・意味中心のアウトプット・言語に焦点を当てた学習・流暢さの養成」の4つに分け、ほぼ同じ時間を配分するよう提案した論文
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






