短い文をつなぐ「文の結合」練習 ― and / because / who で1文にまとめる
「I have a friend. She lives in Canada.」を1文にすると? 短い文をいくつか渡して、接続詞や関係詞で1文にまとめる練習。文法を「書く力」に結びつける、昔からある方法です。
- ⏱ 時間
- 10-15分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- ペア→個人
- 🎯 技能
- ライティング・文法
- 📶 CEFR
- A2-B2

- 習った接続詞・関係詞・分詞などを、文を書く道具として使えるようにする。
- 短い文ばかりの作文から、文と文の関係(理由・時・対比)が伝わる文章へ。
- 同じ内容でも言い方がいくつもあることに気づき、伝えたいことに合う形を選ぶ。
文の結合ってなに?
ひとことで言うと、「I have a friend. She lives in Canada.」のような2〜3の短い文を、and / because / when / who などを使って、意味の通る1つの文にまとめる練習です。
英語では sentence combining と呼ばれ、英語を母語とする子どもの作文指導で昔から使われてきた方法です。答えは1つとは限りません。because を前に置くか後ろに置くか、when でつなぐか so でつなぐかで、伝わる意味や順番が変わります。最後は、自分の作文の中で短い文が続いている所をつないで書き直します。
レゴのブロックを、接続パーツでつないで1つの形にするようなものです。同じブロック(短い文)でも、どのパーツ(and / because / when / who)を使うかで、できあがる形(意味の関係)が変わります。大事なのは、ただ長くつなぐのではなく、言いたい関係に合うパーツを選ぶことです。
似た練習とのちがい
| 文法ドリル(書きかえ問題) | 文の結合 | 自由英作文 | |
|---|---|---|---|
| 材料 | 決まった1文 | 2〜3の短い文 | 白紙から |
| 答え | ほぼ1つ | いくつかありうる(意味に合うものを選ぶ) | 自由 |
| ねらい | 形を正しく変える | 文と文の関係(理由・時・対比)をつなぎ方で表す | 内容を組み立てて書く |
やり方を3ステップで
- 例題をいっしょに:短い2文を板書し、because / who などでつないで見せる。
- ペアでつなぐ:ワークシートの問題をペアで解き、順番を入れかえられる問題は2通り考える。
- 自分の作文で使う:前に書いた作文から短い文が続く所を2か所探し、つないで書き直す。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 先生 | 生徒 |
|---|---|---|
| 0:00〜3:00 | 例題2つを板書し、いっしょに解く | 考えて答える |
| 3:00〜8:00 | ワークシートから選んだ4〜5問をペアで(できる問題は2通り考えさせる) | ペアで相談しながら書く |
| 8:00〜11:00 | 2〜3組の答えを板書し、ちがいを比べる | 発表・比べる |
| 11:00〜15:00 | 自分の作文の「つなげる所」探し | 前に書いた作文を2か所書き直す |

- その日に使う「つなぐ語」を1〜2つ決める。 例:because と when、または関係代名詞 who / which。ワークシートにはいろいろなつなぐ語が混ざっているので、学年に合わせて問題を選びます。
- 例題を先生がいっしょに解く(3分)。
- I was tired. I went to bed early. → I went to bed early because I was tired.
- I have a friend. She lives in Canada. → I have a friend who lives in Canada.
- ペアで解く(5分)。 答えは1つとはかぎりません。because・when・if のように文の順番を入れかえられる問題では、ペアで2通りの言い方を考えさせます(who の問題のように、自然な答えがほぼ1つの問題もあります)。
- いくつかの答えを比べる(3分)。 "When I was tired, I went to bed early." と "I was tired, so I went to bed early." はどう違う? when は「いつ・どんなときか」(時)、so は「その結果どうしたか」(結果)を表します。元の2文が言いたい関係にはどちらが合うかを話し合います。同じ because でも、文の前に置くか後ろに置くかで、先に読み手に伝わる情報が変わることにも気づかせます。
- 自分の作文で使う(4分または宿題)。 前に書いた作文(クイックライティング など)から、短い文が続いている所を2か所探し、つないで書き直します。
- 読み手の目で確かめる。 つないだ文を声に出して読み、長すぎて読みにくくなっていないかペアで確認します。
中2(and / but / so / because / when)
- I got up late. I missed the bus. (so)
- I like summer. I don't like hot days. (but)
- My mother was cooking. I came home. (when)
- I didn't go out. I had a cold. (because)
中3(関係代名詞) 5. I met a girl. She can speak three languages. (who) 6. This is the bike. My father gave it to me. (which / that) 7. Do you know the man? He is standing by the door. (who)
高校(分詞・譲歩・非制限用法) 8. I walked along the beach. I found a beautiful shell. (分詞構文:Walking ~) 9. It was very cold. We enjoyed the festival. (although) 10. My uncle lives in Osaka. He is a chef. (, who) 11. The students finished the project. They felt proud. (分詞構文:Having finished ~) 12. She studied hard. She wanted to become a doctor. (because / to 不定詞)
- 小学校:文法としての指導はせず、"I like dogs. I like cats." → "I like dogs and cats." のように、and でつなぐ言い方を声に出して楽しむ程度に。
- 中学:and / but / because / when から。関係代名詞を習ったら、「人を説明する文を2つ→1つ」の練習に使えます。
- 高校:分詞構文、関係詞の非制限用法、however などのつなぎ言葉まで(however は and や but とちがい、2つの文を直接つなげない語。ピリオドかセミコロンで区切る:It was cold; however, we went out.)。自由英作文の推敲のステップとして取り入れます。
- 大人数クラス:問題はプリントで配り、答えは「1問だけ全員が黒板に書きに来る」より「ペアの答えを数組読み上げる」方が時間がかかりません。
- 苦手な生徒が多いクラス:つなぐ語を1つ(because)にしぼり、文の順番を入れかえるだけの問題から始めます。答えの文の一部を空欄にした「穴埋め型」にしても。
- オンライン・タブレット:共有スライドに1問ずつ出し、ペアの答えを貼ってもらうと、いろいろな言い方を全員で比べられます。
- 知識・技能:接続詞・関係詞を使って、正しく文をつなげるか(ワークシート、小テスト)。
- 思考・判断・表現:自分の作文の中で、文と文の関係(理由・時・対比)に合うつなぎ方を選んでいるか。つなぎすぎて読みにくくなっていないか。
- 主体的に学習に取り組む態度:いくつかの言い方を比べて意味に合う方を選ぼうとしているか、ペアの感想や音読での自己点検をもとに、自分の作文の書き直し方を調整しようとしているか。1回の授業の様子だけで決めず、書き直す前と後の作文をあわせて見ます。
| 観点 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 結合の正確さ | ほぼすべて正しく、順番を入れかえられる問題では2通りの言い方も書ける | おおむね正しく書ける | 誤りが多い |
| 自分の作文への応用 | 意味の関係に合う語でつなぎ、読みやすい | つないでいるが一部不自然 | 書き直していない |
- 答えを1つに決めてしまっていたら → いろいろなつなぎ方を比べると、「時を言っているのか、理由か、結果か」という意味の違いに気づけます。文の順番を入れかえられる問題では、2通り書くことを条件にします。
- because の文だけを独立させて書いてしまったら(Because I was tired. のように)→ 「because の文はそれだけでは文にならない」と例で示し、もう1つの文とくっつける練習をします。
- 問題を解いて終わりになったら → 自分の作文で生かすステップ5がないと、ドリルで終わってしまいます。
- 長い文=よい文、と思いこんでいたら → つなぎすぎると、かえって読みにくくなります。「読み手にとってわかりやすいか」を基準に、声に出して確かめさせます。
- 関係代名詞で代名詞を残してしまったら(a friend who she lives)→ 「who が she の代わり」と、消える語に線を引かせます。
4〜12年生の作文指導の研究をまとめたメタ分析(第二言語の学習者に限った研究ではありません)では、文の結合の作文の質への効果は 0.50 でした(文の結合の研究は5件で、対象は4〜11年生)。これは継続的に指導した研究の結果で、1回15分の活動の効果ではありません。これに対して、形式的な文法を単独で教える指導の平均効果量はマイナス(-0.32)でした 1。ただしこの数字は、文法指導を「比べる側」に置き、ほかの指導法と比べた研究がほとんどです。文法指導をすると作文力が下がる、という意味ではありません。小学4年生の実験でも、ペアで文を結合する練習をしたグループは、文法の指導を受けたグループより、文をつなぐのが上手になり、推敲のときにもその技能を使う様子が見られ、最初の下書きから書き直した作文への質の伸びも大きくなっていました 2。5〜16歳を対象にした系統的レビューでも、形式的な文法指導より文の結合の方が前向きな結果でした。ただし、どちらの方法についても研究の質が十分ではないと注意されています 3。
一方、第二言語の教室については、1980年の時点ですでに慎重な意見が出されていました(歴史的な批判として紹介します)。文の結合を授業の中心にすることには疑問があり、学習者はそもそもつなぐための文法力が足りないことがあるので、文法そのものの指導や、白紙から文章を組み立てる経験も必要だ、という指摘です 4。
「品詞や文の構造などの文法を単独で教えれば作文がうまくなる」とは限らない、というのが、英語で書く子どもの作文研究の結果でした 1。文法は、書く中で道具として使う練習をしたときに、作文の力に結びつきやすいと考えられます。ただし、ここで紹介した研究は第二言語の学習者に限ったものではなく、日本の中高生の英語に同じ効果があるかはこれらの出典からはわかりません。1980年の論考が指摘したように、第二言語の教室では慎重な意見もあるので、文の結合は「作文の一部」として短く使うのが無理のない使い方です 4。
❓ よくある質問
Q. 文の結合の練習とは、どんなものですか?
I was tired. I went to bed early. を I went to bed early because I was tired. のように、2〜3の短い文を and / but / because / when / who などで、意味の通る1文にまとめる練習です。答えは1つとはかぎらないので、文の順番を入れかえられる問題では、ペアで2通りの言い方を考えさせます。
Q. 文の結合の練習で、作文はうまくなりますか?
4〜12年生の作文指導のメタ分析では、文の結合(4〜11年生の5研究)の作文の質への効果は0.50でした。形式的な文法を単独で教える指導はマイナス(-0.32)でしたが、ほかの指導法と比べた相対的な値で、文法指導で作文力が下がるという意味ではありません 1。ただし第二言語の学習者に限った研究ではなく、第二言語の教室では慎重な意見もあります 4。
Q. 問題を解いて終わりになってしまいます。
前に書いた作文(クイックライティングなど)から、短い文が続いている所を2か所探し、つないで書き直させます。自分の作文で生かすこのステップがないと、ドリルで終わってしまいます。
Q. 長い文ほど、よい文ですか?
いいえ。つなぎすぎると、かえって読みにくくなります。つないだ文を声に出して読み、「読み手にとってわかりやすいか」を基準に、ペアで確かめさせます。答えを比べるときは、when(時)・so(結果)のように、つなぐ語で文と文の関係が変わることも話し合わせます。
Q. 中学では、どのつなぎ方から始めればいいですか?
and / but / because / when から始めます。関係代名詞を習ったら、「人を説明する文を2つ→1つ」の練習に使えます。苦手な生徒が多いクラスでは because 1つにしぼり、答えの文の一部を空欄にした穴埋め型から始めます。
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📑 出典(4件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Graham, S., & Perin, D. (2007). A meta-analysis of writing instruction for adolescent students. Journal of Educational Psychology, 99(3), 445-476. doi:10.1037/0022-0663.99.3.445 ✔ DOI照合済4〜12年生の作文指導のメタ分析。文の結合(sentence combining)は 0.50、文法の単独指導は -0.32
- Saddler, B., & Graham, S. (2005). The effects of peer-assisted sentence-combining instruction on the writing performance of more and less skilled young writers. Journal of Educational Psychology, 97(1), 43-54. doi:10.1037/0022-0663.97.1.43 ✔ DOI照合済小4で、ペアで文を結合する練習をした群は、文法指導の群より文の結合がうまくなり、物語文もよくなった
- Andrews, R., Torgerson, C., Beverton, S., Freeman, A., Locke, T., Low, G., … (2006). The effect of grammar teaching on writing development. British Educational Research Journal, 32(1), 39-55. doi:10.1080/01411920500401997 ✔ DOI照合済5〜16歳の作文と文法指導の系統的レビュー。形式文法の指導の効果は乏しく、文の結合の方が前向きな結果
- Zamel, V. (1980). Re-evaluating sentence-combining practice. TESOL Quarterly, 14(1), 81-90. doi:10.2307/3586811 ✔ DOI照合済文の結合練習をESLの授業の中心にすることへの批判的検討
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら





