🔍
🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約9分

ペアで1つの英文を書く「協働ライティング」― 話し合いながら正確さを高める

1人1枚ではなく、2人で1枚。どう書くかを相談しながら英文を書くと、「ここは過去形?」「この語でいい?」と文法や語彙の話し合いが自然に起こり、正確な文章になりやすくなります。

⏱ 時間
15-25分
🧰 準備
少し
👥 形態
ペア
🎯 技能
ライティング・文法・やり取り
📶 CEFR
A2-B2
🛡️
このページのウラ取り 出典 4 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
ペアで1つの英文を書く「協働ライティング」― 話し合いながら正確さを高めるのイメージ
💡ねらい
  • 書く過程で、文法・語彙・構成についてペアで話し合う機会をつくる。
  • 相手に説明することで、自分の知識をはっきりさせ、より正確な文章を書く。
  • 「迷った所」を記録し、自分たちのことばの課題に気づく。

協働ライティングってなに?

ひとことで言うと、協働ライティングは、何人かでいっしょに1つの文章を書く活動です。このページでは、2人で相談しながら1枚の紙(1つの文書)に1つの英文を書き上げる形を扱います。

🎈たとえるなら

2人でドライブするときの「運転する人」と「ナビ役」です。ハンドルを握る人(書く人)は1人でも、曲がり角では2人で地図を見て「ここは右?」と相談します。このペアの活動でも、時制や語の選び方で迷ったら、書く前に必ず相談します。迷った所で話し合うことが、この活動の中心です。

ほかの「書く」活動とのちがい

1人で書く ピアレビュー 協働ライティング
書く人 1人 1人で書き、あとで友だちが読む 2人で1つの文章を書く
話し合うとき なし 書き終わったあと 書いている最中
紙 1人1枚 1人1枚(交換する) ペアで1枚

やり方を3ステップで

  1. 構想する:書く内容をペアでメモ(日本語でOK)し、順番を決める。
  2. 交代で書く:1文ごとに「書く人」と「確かめる人」を交代。迷ったら相談してから書き、迷った所に下線を引く。
  3. 見直す:下線の所をペアで読み直し、「何で迷って、どう決めたか」を相談メモに残す。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 生徒
0:00〜3:00 お題・分量・役割(書く人/確かめる人)を説明。モデル文を1文示す ペアを確認
3:00〜8:00 机の間を回り、アイデアが出ないペアに「だれに何を伝えたい?」と質問 Step 1:構想メモ(日本語OK)
8:00〜18:00 下線の所を中心に見て回り、ヒントを出す(答えは言わない) Step 2:1文ごとに交代して書く
18:00〜21:00 「下線の所をもう一度」 Step 3:見直し・相談メモ
21:00〜25:00 2〜3組に読み上げてもらい、よかった表現を板書 発表・聞く
ペアで1つの英文を書く「協働ライティング」― 話し合いながら正確さを高めるの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. お題と分量を決める。 例:「学校紹介を ALT に向けて 6〜8 文で」「4コマ漫画のストーリーを英語で」。読み手(だれに向けて書くか)をはっきりさせます。
  2. ペアを組む。 机を寄せ、ワークシートはペアで1枚だけ使います(書き損じに備えて、予備を1枚先生が持っておく)。紙が1枚だと、書く前に「どう書く?」と相談するきっかけが生まれやすくなります。ただし、それだけで2人が対等に話し合うとは限らず、片方が決めてもう片方が書き写すだけになることもあります(手順4・5と「よくあるつまずき」の対処を合わせて使います)。
  3. ペアで構想(5分)。 書く内容をメモ(日本語でOK)で出し合い、順番を決めます。
  4. 1枚の紙に交代で書く(10分)。 書く役(ペンを持つ人)と、確認する役(辞書・教科書を見る人)を、1文ごとに交代します。
  5. 「迷ったら話す」ルール。 時制・単数複数・語の選び方で迷ったら、必ず相談してから書きます。迷った所には下線を引いておきます。
  6. 見直し(3分)。 下線の所を中心に、ペアで読み直します。先生は下線の所を見て回ってヒントを出します。
  7. 相談メモを残す。 「何で迷って、どう決めたか」を1〜2行。これが次の学習の材料になります。
  8. 提出または交換。 他のペアと交換して読み合うと、ピアレビュー にもつながります。
  9. 下線の所を返す(次の時間)。 先生は提出された文章の下線の所を中心に、正しい形や見直しの手がかりを書いて返します。各自がそれを見て1人で書き直し、正しい形を確かめて終わります(未解決の疑問を残さないため)。この書き直しは先生の手がかりを見ながら行うので、学習の途中を見る形成的な評価にとどめます。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TWork in pairs. You will write one text together.
TFirst, talk about your ideas. You can make notes in Japanese.
TTake turns. One person writes, and the other person checks.
S"Our school have a big gym"... "have" or "has"?
S"Our school" is singular, so... "has"!
TGood discussion! If you're not sure, talk about it before you write. Underline it.
TRead your text together one more time. Check the underlined parts.
TCan you read your text to the class?
TGreat job. The ALT will love it!
🏫そのまま使える素材(お題)

中2〜中3

  1. Introduce our school to a new ALT.
  2. Write a 4-panel comic story in English.(4コマ漫画の吹き出しとナレーション)
  3. Plan a one-day trip in our town for a visitor.
  4. Write a recipe for your favorite dish.
  5. Write a short story: "One Rainy Day."
  6. Write a thank-you letter to the school nurse (or a club coach).

高校 7. Write a proposal: "How to make our school greener." 8. Summarize today's reading passage in 5 sentences. 9. Write an opinion: "Should high school students have part-time jobs?" 10. Write a news report about our school festival. 11. Write a dialogue for a role-play: "At a hotel front desk." 12. Write a review of a movie or book you both know.

🔁アレンジ
  • 小学校:ペアで1枚の絵はがきやポスターを作り、"We like ___." "Our school has ___." などの例文から選んで書き写す形にします。
  • 中学:教科書の Unit の終わりに、本文のまとめや続きをペアで書く課題に。習った文法を1つ以上使うことを条件にします。
  • 高校:意見文をペアで書き、主張と理由について話し合わせます。話し合いを英語にするか日本語にするかは、目的に応じて決めます。
  • 大人数クラス:40人なら20組。提出物が半分になるので、先生のフィードバックが丁寧にできます。ペアの組み方(同じくらいの力か、差があるか)は単元ごとに変えてみましょう。
  • 苦手な生徒が多いクラス:使える表現(Useful expressions)から文を選び、空欄を埋めるだけでも1文完成、という形から始めます。分量は4文に。
  • オンライン・タブレット:共有文書で2人同時に編集。コメント機能で「迷った所」を残させると、話し合いのあとが見えます。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:ペアの文章の正確さ(とくに下線の所が正しく解決できているか)。ただし、2人で作った1つの文章だけでは、一人一人の力は切り分けられません。ペアの作品と、先生が返した手がかりを見ての書き直しは、形成的な評価(指導に生かす評価)に使います。先生の手がかりや相手の書いた部分が入るので、本人が1人でできることとは切り分けられないからです。記録に残す評価には、後日、同じ文法・表現を使う別のお題を、答えを示さずに1人で書く短い課題や、別の個人作文を使います。
  • 思考・判断・表現:読み手(ALT など)に合わせて、内容を選び、わかりやすく構成できているか。個人の課題でも同じ観点で見ます。
  • 主体的に学習に取り組む態度:迷った所を自分たちで見つけ、辞書・教科書で調べたり相談したりして表現を直そうとしているか(粘り強さ)、ふり返りで「次はここに気をつける」と自分の学び方を見直しているか(学習の調整)。交代して書いたか・相談メモを残したかは、その様子を見るための材料の1つにとどめます。
観点 A B C
正確さ 下線の所もほぼ正しく解決し、誤りが少ない 誤りはあるが意味は伝わる 誤りが多く伝わりにくい
協働(形成的に見る) 交代して書き、相談した内容を具体的にメモしている 交代して書いている 1人だけが書いている

「協働」の行は、活動中の声かけと指導に使う目安です。成績に入れる場合は、上の「主体的に学習に取り組む態度」の見方で、ふり返りや、後日の1人で書く課題とあわせて判断します。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 1人だけが書いて、もう1人は見ているだけになったら → 1文ごとに書く役を交代するルールで防ぎやすくします。交代のたびにペンを渡させると目に見えます。ただし、交代していても、片方が全部決めてもう片方は書き写すだけ、ということは起こります。確認する役にも「なぜその形にするか」や別の案を1つ言わせ、先生は机の間を回りながら、2人ともが提案しているかを見て声をかけます。成人の ESL 学習者10組を1学期追った研究でも、ペアのやり取りには対等さや互いの関わり方がちがう4つのパターンがあり、学習に結びつきやすいパターンとそうでないパターンがあったと報告されています 1。
  • 話し合いが日本語の雑談になったら → 「迷ったら話す」「迷った所に下線」のルールを思い出させ、話し合う中身を英語の形(時制・単数複数・語の選び方など)に向けます。
  • 2人とも自信がなくて決められなかったら → 辞書・教科書のどこを見るかヒントを出し、それでも決まらなければ下線のまま提出してよい、とします。その下線の所には、次の時間に先生が正しい形や手がかりを返し、各自の書き直しで確かめます。
  • 文章が短くなりすぎたら → 最低の文数を決め、構想メモの段階で「何を書くか」を先に決めさせます。
  • ペアの評価のしかたが不公平だと感じたら → ペアの提出物は指導に生かす評価にとどめ、記録に残す評価は、後日、同じ文法・表現を使う別のお題を、答えを示さずに1人で書く短い課題で行います(ふり返りは態度を見る材料の1つ)。相談メモは各自の貢献を知る手がかりになります。
🔬なぜ効く?

協働ライティングの研究33件をまとめたメタ分析では、ペアやグループで書いた文章は、1人で書いた文章より正確でした(g = 0.73、中程度)。さらに、協働ライティングを経験したあとに1人で書いた文章の評価も、1人で書き続けたグループより高くなっていました(g = 0.94)。ただし、それ以外の指標については研究が少なく、結論は出ていません 2。

1人で書いた48人と、ペアで書いた48組(96人。1組で1つの文章)を比べた研究では、ペアの文章は正確さが高かった一方、流ちょうさや複雑さは変わりませんでした 3。中等教育のEFLの生徒(1人で書く16人・ペアで書く16人)を対象にした研究でも、ペアで書いた意見文は短いけれど正確で、内容・構成の評価も高く、話し合いの中でアイデアを出し合い、ことばの使い方を相談し、互いにフィードバックしていました 4。これらの研究が示しているのは「ペアの条件で書いた文章の方が正確だった」という条件の差で、話し合いのどの部分が正確さにつながったのかまでは切り分けられていません。

ペアで書くと、正確になる一方で、文章が短くなることがあります。上の中等教育の研究では、ペアの意見文の方が短くなりました 4。ただしこれは1クラスずつの小さな研究で、長さや流ちょうさへの影響は、研究によって結果がそろっていません 2。相談に時間を使う分、書く量が減ることもある、と考えておくとよいでしょう。量を伸ばしたいときはクイックライティング、正確さを高めたいときはペアで書く、と目的で使い分けましょう。

❓ よくある質問

Q. 協働ライティングは、1人で書くより効果がありますか?

協働ライティングの研究33件をまとめたメタ分析では、ペアやグループで書いた文章は1人で書いた文章より正確で(g = 0.73)、協働を経験したあとに1人で書いた文章の評価も高くなっていました。それ以外の指標は研究が少なく、結論は出ていません 2。

Q. ペアで書くと、文章が短くなりませんか?

短くなることがあります。中等教育のEFLの生徒の小さな研究では、ペアで書いた意見文は短いけれど正確でした 4。ただし長さや流ちょうさへの影響は研究によって結果がそろっていません 2。相談に時間を使う分、量が減ることもあるので、量を伸ばしたいときはクイックライティング、正確さを高めたいときはペアで書く、と目的で使い分けます。

Q. 1人だけが書いて、もう1人は見ているだけになりませんか?

1文ごとに「書く役(ペンを持つ人)」と「確認する役(辞書・教科書を見る人)」を交代するルールで防ぎやすくします。交代のたびにペンを渡させると目に見えます。ペアの作品や、先生の手がかりを見ながらの書き直しは指導に生かす評価にとどめます。記録に残す評価には、後日、同じ文法・表現を使う別のお題を、答えや手がかりを示さずに各自で書く短い課題を使います。ふり返りは「主体的に学習に取り組む態度」を見る材料の1つにします。

Q. 協働ライティングは何分くらいかかりますか?

25分ほどです。お題と役割の説明3分、日本語OKの構想メモ5分、1文ごとに交代して書く10分、下線の所の見直しと相談メモ3分、2〜3組の読み上げ4分、という流れです。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(4件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Storch, N. (2002). Patterns of interaction in ESL pair work. Language Learning, 52(1), 119-158. doi:10.1111/1467-9922.00179 ✔ DOI照合済ペアワークのやり取りを4つの型に分け、協力的なペアほど学びが起こりやすいと示した研究
  2. Elabdali, R. (2021). Are two heads really better than one? A meta-analysis of the L2 learning benefits of collaborative writing. Journal of Second Language Writing, 52, 100788. doi:10.1016/j.jslw.2020.100788 ✔ DOI照合済協働ライティングのメタ分析(33研究)。ペアで書いた文章は1人で書いた文章より正確(g = 0.73)
  3. Wigglesworth, G., & Storch, N. (2009). Pair versus individual writing: Effects on fluency, complexity and accuracy. Language Testing, 26(3), 445-466. doi:10.1177/0265532209104670 ✔ DOI照合済1人で書く48人とペアで書く48組(96人)を比較。ペアは正確さが上がったが、流ちょうさ・複雑さは変わらなかった
  4. Villarreal, I., & Gil-Sarratea, N. (2019). The effect of collaborative writing in an EFL secondary setting. Language Teaching Research, 24(6), 874-897. doi:10.1177/1362168819829017 ✔ DOI照合済中等教育のEFLの生徒32人。ペアで書いた意見文は短いが正確で、内容・構成の評価も高かった

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら