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パラグラフ・ライティングの型 ― トピック・センテンス→サポート→結論を「分解」から学ぶ

いきなり書かせる前に、良いパラグラフをバラバラにして並べ直し、役割を見つける。トピック・センテンス、サポート、結論の3つの働きを自分で分析してから書くことで、段落の構成を意識して書くことを目指します。

⏱ 時間
45-50分
🧰 準備
少し
👥 形態
個人→ペア
🎯 技能
ライティング・リーディング
📶 CEFR
A2-B1
🛡️
このページのウラ取り 出典 3 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
パラグラフ・ライティングの型 ― トピック・センテンス→サポート→結論を「分解」から学ぶのイメージ
💡ねらい
  • 意見を述べる段落の基本の型の一つとして、1つの主題を、主題文・支持文・結論という役割の違う文で組み立てる形を理解する(説明や物語など、文章の目的が変われば構成も変わる)。
  • モデルの分析と並べ替えを通して、つなぎ言葉や文の役割に自分で気づく。
  • アウトラインを作ってから、自分の意見を1つの段落で書く。

パラグラフ・ライティングってなに?

ひとことで言うと、意見を述べる段落の基本の型の一つ「主題文 → 理由と例 → 結論」を使って、役割の違う文で1つの段落を組み立てて書くことです。この授業では、書く前にモデルの段落を分解して、それぞれの文の役割を自分で見つけます。

🎈たとえるなら

ハンバーガーです。上のパンが主題文(何について、どう思うか)、中身が理由と例、下のパンが結論です。具がパンからはみ出すと落ちてしまうように、主題と関係のない文が入ると段落はくずれます。全部の文が、上のパン(主題文)につながっていることが大事です。

ほかの「書く」活動とのちがい

クイックライティング パラグラフ・ライティング 協働ライティング
重視すること 止まらずにたくさん書く 段落の構成(文の役割) ペア・グループで相談しながら、1つの文章をいっしょに構想・執筆・見直しする
書く前 ほぼ準備なし モデルの分析とアウトライン ペアで構想メモ
長さの目安 時間内に書けるだけ 1段落(80〜100語) 6〜8文など

やり方を3ステップで

  1. 分解する:モデルの段落の各文に、T(主題文)・S(理由)・D(くわしい説明・例)・C(結論)の記号をつける。
  2. 並べる:バラバラにした別の段落を、ペアで正しい順に並べ、「なぜこの文が最初か」を説明する。
  3. 書く:キーワードだけのアウトラインを作ってから、自分の段落を書く。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 生徒
0:00〜5:00 意見を伝える段落では、主張をどこに置くと伝わりやすいかを問いかける 考えを出す
5:00〜13:00 モデルを読ませ、各文の役割を記号で答えさせる 個人→ペアで確認
13:00〜18:00 役割を板書でまとめる(ハンバーガー図) ノートに図を写す
18:00〜23:00 並べ替え問題(短冊カード) ペアで並べ、理由を説明
23:00〜30:00 お題を選び、アウトラインを作る キーワードで4行
30:00〜45:00 段落を書く(80〜100語) 個人で書く
45:00〜50:00 ペアで「T・S・C に下線を引き合う」チェック 相手の段落の役割を確認
パラグラフ・ライティングの型 ― トピック・センテンス→サポート→結論を「分解」から学ぶの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 問いかけ:「文章の構成は、目的によって変わります。今日は、自分の意見を伝える英語の段落。書き手の言いたいことは、どこに置かれているだろう?」と聞き、予想させる。正解は言わずにモデルへ。
  2. モデルの分析:ワークシートのモデル段落を読み、各文に T(主題文)・S(理由)・D(詳しい説明・例)・C(結論)の記号をつける。ペアで答えを比べ、迷った文について話し合う。
  3. まとめ:黒板にハンバーガーの図を描き、上のパン=主題文、中身=理由と例、下のパン=結論、と整理。「主題文を読めば段落の中身が予想できる」ことを確認する。つなぎ言葉(First, Second, Finally, For these reasons)にも丸をつける。
  4. 並べ替え:別の段落を1文ずつ切った短冊を配り、ペアで並べる。「なぜこの文が最初なのか」を言葉で説明させるのがポイント。
  5. アウトライン:お題を選び、表にキーワードだけで書く。主題文に「話題+意見」が1文で入っているかを、先生が机の間を回りながら確認する(説明の段落を書くときは「話題+その段落で述べる中心となる考え」)。
  6. 書く:アウトラインをもとに80〜100語で書く(理由は2つ)。辞書の使用は可。わからない語は簡単な語で言いかえる。
  7. ペアチェック:交換し、相手の段落の主題文に赤、理由と例(支持文)に波線、結論に青の下線を引く。引けない所があったら、その要素が抜けているのか、役割が伝わりにくいのかをペアで話し合い、書き足すか書き直す。提出は次の時間でよい。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TRead the model paragraph. What's the writer's main idea?
SWalking to school is a good choice.
TRight. Which sentence tells us the main idea?
SSentence one.
TYes. That's the topic sentence. What about sentence three?
SIt's ... an example? A detail?
TExactly. It supports reason one. Now, look at these strips. Put them in order with your partner.
TWhy did you put this sentence first?
SBecause it has the main idea. Other sentences explain it.
TPerfect. Now make your outline. Key words only.
TCheck your topic sentence. Does it have the topic and your opinion?
🏫そのまま使える素材

お題(高1)

  1. The best season of the year
  2. A good way to relax after school
  3. Why I like my favorite subject
  4. The most useful thing in my room
  5. The best place in my town for visitors
  6. Should students eat breakfast every day?

お題(高2〜) 7. Should high school students have part-time jobs? 8. Is online shopping better than shopping in stores? 9. The most important skill for the future 10. Should Japanese schools start in September? 11. Is it better to travel alone or with friends? 12. Should cars be banned in city centers?

主題文の「良い例・弱い例」

  • 弱い:I will write about my town.(話題だけで、意見がない)
  • 弱い:My town has a station.(事実だけで、段落が広がらない)
  • 良い:My town is a great place for families with small children.(話題+意見)

つなぎ言葉(役割ごと)

  • 理由を並べる:First, / Second, / Also, / In addition, / Finally,
  • 例を出す:For example, / For instance, / In my case,
  • 結論:For these reasons, / In conclusion, / That's why
🔁アレンジ
  • 小学校:段落の型を明示的に教えることはしない。高学年では、音声で十分に慣れ親しんだ表現を使い、例文を参考に自分のことを1〜2文で書く(例:I like summer. I can swim in the sea.)。
  • 中学:3文パラグラフ(主題文+理由1つ+結論)から。教科書の本文で「主題文はどれ?」を探す読み方の練習と組み合わせる。
  • 高校:次の段階で、反対意見への言及(Some people say ..., but ...)を入れた段落や、複数段落の意見文に進む。
  • 大人数クラス:ペアチェックの後、いくつかの段落を匿名で投影し、「主題文はどれ?」をクラス全体で考える。よくあるつまずきを全体で一度に直せるので、先生が一人一人に同じコメントを書く手間が減る。
  • 苦手な生徒が多いクラス:主題文の「型」(I think ___ is the best ___ for ___.)と、理由の書き出しを空所補充にしたワークシートから始める。
  • タブレット:共同編集の文書に1人1段落を書き、主題文を太字、結論を斜体にさせる。役割がひと目で見え、相互コメントもしやすい。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:主題文・支持文・結論の役割を理解し、役割に合ったつなぎ言葉(理由を並べる First, / 例を出す For example, / まとめる For these reasons, など)を使える。
  • 思考・判断・表現:主題文の意見を、理由と具体的な例で支え、結論で主題に戻っている。読み手にわかる順序で書いている。
  • 主体的に学習に取り組む態度:ルーブリックと自分の段落を照らし合わせ、ペアのチェックも参考にしながら、どこをどう直すかを自分で決めて、より伝わる段落にしようと粘り強く見直している。1回の授業の様子だけで決めず、書き直した原稿や振り返りの記述と合わせて見る。
観点 A B C
構成 主題文・理由2つと例・結論がそろい、すべての文が主題とつながっている 構成はそろうが、理由が1つだけ、または主題と関係の薄い文が混じる 主題文または結論がない
内容 例が具体的(体験・数字・場面)で理由を支えている 理由はあるが例が一般的 理由がない、または理由・例が主題を支えていない
言語 つなぎ言葉を役割に合わせて使い、誤りが理解を妨げない つなぎ言葉は使えるが単調、誤りが一部理解を妨げる 誤りが多く、意味がとりにくい

ルーブリックは書く前に配り、「何を目指して書くか」を先に見せておきます。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 主題文が「話題だけ」になる(I will write about ...) → 「話題+意見」の型を板書し、主題文だけペアで先に見せ合う時間をとる。
  • 理由ばかり並べて例がない → アウトラインの表に「Support」と「detail」を分けて欄を作る。detail の欄が空なら書き始めない、と約束する。
  • 段落の途中で話題が変わる → ペアチェックで「主題とつながらない文」に波線を引かせる。消す勇気も練習です。
  • 結論が主題文の丸写しになる → 言いかえ(同じ意味を別の語で)か、「だから読み手に何をしてほしいか」を加えるよう助言する。
  • 時間内に書き終わらない → 授業ではアウトラインと主題文・1つ目の理由までを確実に書かせ、残りは宿題に。構成が決まっていれば、家で書き進められます。
🔬なぜ効く?

高校の学習指導要領の解説では、「論理・表現Ⅰ」の書くことで、意見や主張を述べる1つの段落を、トピック・センテンスによる導入、サポーティング・センテンスによる展開、主題と展開をまとめる結論という構成で書くことが例に挙げられています。さらに、その構成やそれぞれの文の働きを、モデルとなる段落の文章例を使って生徒自身が分析しながら学ぶことが大事だとされています 1。この授業の前半(分析・並べ替え)は、そのための時間です。

作文指導の研究からは、何を組み合わせればよいかの手がかりが得られます。4〜12年生(日本の小4〜高3に当たる学年)の作文指導の実験研究をまとめたメタ分析では、文章の質への平均効果量は、計画・修正などの手順を明示的に教える方略指導が0.82、要約の指導が0.82、仲間の助け合いが0.75、完成する文章に求める具体的な目標(含める要素など)を示す指導が0.70でした。ただし、メタ分析全体は4〜12年生が対象でも、方略指導の研究は10年生(高1相当)まで、目標を示す指導の研究(5件)は8年生(中2相当)までの生徒が対象です。高2・高3でも同じ効果が出るかは、直接は確かめられていません。一方、モデル文を調べてその形や特徴を自分の文章でまねる指導(study of models)は0.25と小さめでした 2。ただし、これらは別々の研究群から出した種類ごとの平均で、同じ条件で直接比べた結果ではありません。モデルの指導や目標の提示は効果量の数も少なく、暫定的な結果と考える必要があります。第二言語のライティングでは、完成した文章や言語の特徴を重視する「プロダクト」、書く過程を重視する「プロセス」、目的や読み手・社会的な文脈を重視する「ジャンル」の3つのアプローチは補い合うものだとして、それらを組み合わせた「プロセス・ジャンル・アプローチ」が提案されています 3。

「良いモデルを見せて分析させれば書けるようになる」と思いがちですが、メタ分析では、モデルを調べてまねる指導だけの平均効果は小さめでした 2。この授業でも、モデルの分析で終わらせず、アウトラインを作る、ルーブリックで完成の目標を示す、仲間と確かめ合う、といった「書く手順」と組み合わせます。なお、このメタ分析の研究の中心は英語を母語とする(または英語圏で学ぶ)生徒で、第二言語の学習者を扱った研究は一部です。日本の高校生のように外国語として英語を学ぶ生徒にどこまで当てはまるかは、まだわかっていません。

❓ よくある質問

Q. 英語の段落は、どんな構成で書かせればいいですか?

意見を述べる段落の基本の型の一つが、トピック・センテンス(主題文:話題+意見)→ サポーティング・センテンス(理由と具体例)→ 結論、という組み立てです。必ずこの形にしなければならないわけではなく、文章の目的や長さで構成は変わります。高校の学習指導要領の解説も「論理・表現Ⅰ」で、意見や主張を述べる段落の構成の例としてこれを挙げ、モデルの段落を生徒自身が分析しながら学ぶことが大事だとしています 1。

Q. よいモデル文を見せれば、書けるようになりますか?

それだけでは足りないようです。作文指導のメタ分析では、モデル文を調べてまねる指導の平均効果量は0.25と小さめで、計画・修正の手順を明示的に教える方略指導(0.82)や、完成する文章の具体的な目標を示す指導(0.70)の平均は大きめでした。ただし別々の研究群の平均で直接比べた結果ではなく、研究の中心も英語を母語とする生徒です。方略指導の研究は10年生(高1相当)まで、目標を示す指導の研究は8年生(中2相当)までが対象です 2。

Q. 主題文が "I will write about ..." になってしまいます。

話題だけで意見がない主題文です。「話題+意見」の型を板書し、主題文だけをペアで先に見せ合う時間をとります。My town is a great place for families with small children. のように、話題と意見が1文に入っているかを確かめます。

Q. 1時間で書き終わらないときはどうしますか?

授業ではアウトラインと主題文・1つ目の理由までを確実に書かせ、残りは宿題にします。構成が決まっていれば、家でも書き進められます。ルーブリックを書く前に配っておくと、何を目指して書くかもはっきりします。

Q. 中学でもパラグラフの型は教えられますか?

3文パラグラフ(主題文+理由1つ+結論)から始めます。教科書の本文で「主題文はどれ?」を探す読み方の練習と組み合わせると、型に気づきやすくなります。苦手な生徒が多いクラスなら、主題文の型(I think ___ is the best ___ for ___.)を空所補充にしたワークシートから始めます。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(3件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. 文部科学省 (2018). 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 外国語編 英語編 公式ページ ✔ リンク確認済高校の科目構成(英語コミュニケーションⅠ〜Ⅲ・論理・表現Ⅰ〜Ⅲ)、「支援」の考え方、語数、授業は英語での趣旨を説明した公式の解説
  2. Graham, S., & Perin, D. (2007). A meta-analysis of writing instruction for adolescent students. Journal of Educational Psychology, 99(3), 445-476. doi:10.1037/0022-0663.99.3.445 ✔ DOI照合済4〜12年生の作文指導のメタ分析。文の結合(sentence combining)は 0.50、文法の単独指導は -0.32
  3. Badger, R., & White, G. (2000). A process genre approach to teaching writing. ELT Journal, 54(2), 153-160. doi:10.1093/elt/54.2.153 ✔ DOI照合済プロダクト・プロセス・ジャンルの3つのアプローチは補い合うとして、統合した「プロセス・ジャンル」アプローチを提案

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら